FC2ブログ
プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

蒼い観覧車 31




泣き崩れて座り込むチャンミンを
ユノは優しく抱き起こしてソファに座らせた


「チャンミン…」

「うぅ……うっ…」

「俺を必死で追い帰す理由は…スビンだろ?」

「………」

「スビンが俺に何かするんじゃないかって
お前は心配してるんだよな?」

「………もう…なにか…されてるでしょう…」

「心配しなくていい」

「だけど…」

「俺は大丈夫。何されても平気だよ」

「そんな…ユノは…何もわかってない…」


「いいか?よく聞くんだ」

「………」

「俺がどうしてお前と離れたか」

「………」

「お前はスビンといた方がいいと思ったんだよ
俺といるより、幸せになれると思った」

「………」

「だけど…こんなんじゃ、もう俺はお前から離れない」


チャンミンの痩せた頬に、ユノは優しく手を添えた


「ユノ……」

「もう悩まなくていい。」

「ユノ、お願いだから」

「………」

「帰って…」

「帰らないよ?そのために、畑に人を雇って準備もしてきた」

「もう、僕のことは…忘れてほしいんだ」

「忘れられない…忘れるつもりもない」


ユノは座り込むチャンミンの髪を撫でた


「チャンミン…」

「うっ…これ以上…僕に構わないで」

「もう泣かなくていい…チャンミン」


「構うなって言ってるじゃないかっ!!」


チャンミンは泣きながら、伸ばされたユノの手を払いのけた。

ユノは取り乱すチャンミンにまったく怯まなかった

ユノを払いのけようとしたチャンミンの手を
逆にユノは掴んで引き寄せた


「やめてくれよ!!」

暴れるチャンミンをユノが押さえ込むように抱きしめる

「泣かないで…チャンミン」


「うう…どうして…僕を…そっとしておいてくれないんだ…よ…」


ユノの腕の中で、泣き崩れながら抵抗する力を失っていくチャンミン

ユノは腕の中のチャンミンにくちづけた

その唇は、やがて相手を求めて、彷徨う

ユノは角度を変えてなんどもくちづけ
一度チャンミンの唇をしっかり捉えると
そのまま深くくちづけてきた


絡み合う舌と心

会いたかった気持ち

欲しかった温もり


ユノは性急さを増して、チャンミンのシャツのボタンを外しにかかった

「やめてよ…ユノ…」

チャンミンはまだ泣いていた

ユノの手がチャンミンのジーンズのベルトを
器用に解く


「お願いだから…ユノ…やめてよ…」


縋るようなチャンミンの泣き声も
ユノの征服欲を煽るだけだった

チャンミンは抵抗する力を失った


ユノを傷つけたくない気持ちだけで
力なくユノを制した


それでも


ユノはチャンミンを抱こうとした

この愛しい温もりを感じたくて
そして、冷え切った心を癒してやりたかった


もう一度、あの笑顔が息を吹き返すように…


と、その時

ユノの視界に異様なものが映った


え?


愛しいそのチャンミンの左足首にまとわりつく唐草。


まさか…

まさか、そんな…


連想させるものはただひとつ

それは重い足枷

囚われの身である刻印のように、それはくっきりと飾られていた


ユノは恐ろしい夢を見ているような気持ちになった



「……チャン…ミン…」

ユノが小さくつぶやくと


チャンミンが自分の左足首を両手で隠して
大声を出して泣き喚いた


「うわぁぁぁ…」

「チャンミン…おまえ…」


チャンミンが泣き叫ぶ

「見ないで!!見ないでぇぇぇぇ!!!!」

チャンミンは自分の左足首をかきむしるようにして
泣き喚いた

「見ないでよ…見ないで…ううう…うわぁぁぁ」


部屋中に轟くチャンミンの泣き声が
ユノには別世界の音に聞こえる


「見せたくなかったのに!!ううう…」




心臓が…止まりそうだ…

こんな…こんなこと…


泣き叫ぶチャンミンの姿が
涙で滲んでよくみえなくなってきた


チャンミン…


ユノは跪いて、夢中でチャンミンの両手を払いのけた

「いやだっ!!!ユノ!!やだっ!!」


チャンミンは足首にまとわりつく
その呪われた印を隠そうと暴れたけれど


ユノに晒されてしまった…


見せたくなかった

この先、生涯ずっと

会えなくていいから


ユノには、笑う僕だけを
覚えていてほしかった


綺麗な身体を覚えていてほしかった


悪魔に魂を売り渡したこんな姿を
決して見せたくなかったのに…


「こんな…こんなこと…」

ユノも泣いていた…


「なんで…」


ユノは泣きながら、その震える手で悪魔の模様を
そっと撫でた

「うっ……うう…ユノ…ごめん…」

チャンミンは自分の足首を撫でるそのユノの手に触れた

ユノはそっと、チャンミンから手を離すと
ふるふると震えながら、自分の膝を叩いた


悔しそうに、ユノの握りこぶしが震えている

「こんなこと…なんで!」

膝の握り拳にユノの涙がポタポタと落ちて流れていく


「ユノ…うっ…ううう…」


「何にも知らずに…俺は…」


ユノは泣いた…


後悔と憎しみと悔しさと


「俺が側にいれば……」



チャンミンはユノの首にそっと腕をまわした

「泣かないで…ユノ…うっ…えっ…」

ユノの涙に濡れた頬に、自分の頬を当てた


大好きなユノ…

こんなに苦しめてごめん…


「許さない」

ユノ?


「こんなこと…許さない!」

ユノはチャンミンをきつく抱きしめた


「あ……」


だめだ…

ユノ、それは絶対にダメだ…


ユノは身体を離すと、涙に濡れたその切れ長の瞳で
チャンミンを見つめた


ユノ…


子供のように2人は泣き喚いて

やがて泣き止むと、何がみえてくるのか


それをあのスビンは十分知っているのだ


「チャンミン…」


ユノが泣き顔のまま、無理に笑おうとしている


「ユノ?」

「俺が…仇をとってやる…
おまえをこんな風に…しやがって…」

「ユノ…それは…ダメだ…」

「許さない…」

「ユノ!」

ユノはギュッと目を閉じると、ふたたびチャンミンを抱きしめた

「痛かっただろう?
こんなこと、したくなかったよな…
可哀想に…俺のチャンミン…」

「ユノ…ううっ…」


「こんなの、綺麗に消してやる。
な?時間をかければきっと綺麗になるから」

「…………」

「俺はなんとも思わない…おまえは何も変わらない」

「ユノ……」

「だけど…もう…許せない」


ユノはチャンミンを離すと、立ち上がった


チャンミンは慌てた

「ユノ!ダメだよ!スビンのところに行っちゃダメだ!」

「大丈夫」


玄関へ向かうユノより先回りをして
チャンミンは玄関ドアを開けさせないように立ちはだかった

向かい合う2人

ユノの顔は怒りで震えている


「ユノ、よく聞いて」

「………」


「罠なんだよ、ユノ。
これはスビンがユノに仕掛けた罠だ…」

「罠?」

「これを…ユノが見てしまうことは…きっと
スビンは予想していたんだと思う…」

「……」

「ユノを怒らせて、スビンに掴みかかるのを
あの男は待っているんだよ!」


「……だったら、ひと思いに殺してやる」

「ユノを犯罪者にしたいんだよ!!
わかるでしょ?!あの男の…考えること!」

「………」

「ユノを…簡単に挑発できると思ってるんだ」

「………」

チャンミンの目に涙の膜が張る…


「あの男はね、ユノが僕を…とても大事に思ってくれていることを…よく…知ってる」


チャンミンの瞳から…また涙がこぼれる


「それにね」

チャンミンがその濡れた大きな瞳で
ユノを見上げた

ユノも愛おしくてたまらない、といった目で
チャンミンを見つめた


「僕が、ユノを心から愛していることも知ってるんだよ」


「チャンミン…」

ユノの顔が歪む

「僕が…ユノのためなら…なんでもするかどうかの
テストみたいな…ものだったんだよ」

ユノはたまらず、チャンミンを抱きしめた


「だからね、ユノ。
もうこれで、スビンは負けたんだ
僕の身体がどうなったって…僕の身体中にタトゥーをいれたって…」

「………」


「僕の心は…ユノから離れないんだから」


2人はきつく抱き合った





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
検索フォーム
ブロとも申請フォーム