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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

蒼い観覧車 19





なにも変わらない日が続いているように見えた

でも

チャンミンはユノに後ろめたい気持ちがあった

ひどく自分が泣いたことを
やはりユノなりにいろいろ考えてしまったのではないだろうか

そんなの…当然だといえば当然

チャンミンはなぜあれだけ涙が止まらなかったのか
自分でも説明がつかないのだ


夜も更けて、チャンミンはユノの部屋で少し仕事をした。

プレゼンの準備もそろそろ本格的に進めなければならない

しばらく仕事に没頭していると
玄関のキーを外す音がした

ユノ?

チャンミンは急いで玄関に行った

そこには

かなり酔ったユノがフラフラとしながら
靴を脱いでいるところだった


「おかえなさい、ユノ」

「ん…ただいま」

「呑んできたの?」

「ん…」


靴を脱ごうとして、ユノはバランスを崩し
とうとう玄関に尻もちをついてしまった

「あーかなり酔ってるね、大丈夫?」

手を貸そうとしたチャンミンのそれを
ユノは反射的によけた

「ユノ…」

「だいじょうぶ…自分で立てるから」

そういいながら、立とうとはせず
その場に座り込んだままだ。

チャンミンはため息をつきながら
キッチンからペットボトルの水を持ってきた

「はい、これ少し飲むといいよ」

ユノはチラリとそのペットボトルを見てから
また俯いた

「ねぇ、ユノ」

「それ、お前の炭酸入りのやつ」

「え?」

チャンミンはボトルを見返したけれど
炭酸の入っていないユノの水だった

「これ、ユノのだよ?」

「そう?」

「うん」

「お前のは飲みたくない」

「炭酸入ってないよ」

「そういうことじゃなくて」

「僕が持ってきた水はイヤだって意味?」

「そう」

「は?」

「………」

チャンミンは口をへの字に曲げた

「じゃあ、ご自分でどうぞ!」

チャンミンはユノを置いてリビングへ戻った

仕事にとりかかりはじめたけれど
ユノが入ってくる様子がない

気になって玄関に行くと、ユノがいない

チャンミンは何度目かのため息をついて寝室へ行くと
ベッドにうつ伏せになってユノが寝ていた


「あーもう、ユノ、シャワー浴びてから寝てよ」

「ん…」

「ね?起きて?」

チャンミンはユノの顔を覗き込んだ

既に見慣れたといえるユノの顔だけれど

相変わらず綺麗な顔だ

チャンミンはそっと、ユノの唇にキスを落とした


「やめて、チャンミン」

ボソッとユノが呟いた

「なんで?」


「お前は俺のチャンミンじゃないから」


チャンミンはドキッとした

「ユノ…」

ユノはまた眠っている様子だ

チャンミンはユノの髪をそっと撫でると

またその瞳が薄っすらと開いた


「チャンミン…」

「なに…?」

「さっきお前…拗ねただろ?」

「うん、ちょっと拗ねた」

チャンミンは子供をあやすように、ユノの髪を撫で続けた

「拗ねた顔…可愛いよ…」

「……そう?」

「俺は…その拗ねた顔に惚れたんだ」

「そっか、ありがと、ユノ」

「今日さ…」

「うん」

「俺、すげぇモテた」

チャンミンのユノの髪を撫でる手が止まった

「なにそれ」

「俺って…モテるんだなぁ…」

「今頃気づいたの?変なの」

「ヤキモチ妬いて…可愛く拗ねてくれ…」

「もう拗ねてますよっ!」

そう言って、ユノの鼻先にまたキスをしようとして
チャンミンは止まった


ユノが泣いている


「ユノ…」

僕のせいだよね

僕が…あなたを泣かせているんだね


「ユノ…泣かないで」

「ん…」

「大丈夫だからね?」

「ん…」

そう呟いて、ユノは眠りに落ちた


*****


翌朝、ユノは二日酔いもなく、普通に起きた

いつものようにスーツを着こなして
仕事モードだ

チャンミンはヨロヨロと起きて朝ごはんの支度をしている

「チャンミン、もう出かけるからいいよ」

「早いね」

「ああ、昨日、いくつかの業者と打ち合わせて
いい照明の会社を見つけた」

「照明?」

「ああ、観覧車を夜に照らすのに、いいアイデアをもらったよ」

「ほんと?それ聞かせてほしいな」

「ああ、帰ったら話そう」


結局その日から、
ユノとチャンミンは仕事の話しかしなくなった。

少しずつ違和感を感じているチャンミンだったけれど
ユノがあまりに熱心に仕事に取り組んでいるものだから

そこは何も言えなかった

自分のデザインする観覧車や遊園地を
うまく実現させようとしているだけのユノなのだ

そこにチャンミンが疑問を投げかける余地はない


けれど、それはある日、突然言われた


「チャンミン…自分の家に帰って」

「えっ?!」

仕事をしていたチャンミンは驚いて顔をあげた

「どうして?そんなこと言うの?」


「少し…離れよう…」


「………」


いつか…言われるのではないかと思っていた

ユノからそう言われたら、もう自分はここにはいられないと、そう覚悟していたところがある


「僕と…離れたいの?」

「スビンのところに…戻るといい」

「なっ……」

「スビンはチャンミンを悪いようにはしない」

「ユノが…僕と離れたいなら…仕方ないけど」

ユノは毅然とチャンミンを見つめた


「俺が…お前と離れたいんだ」

「………」

「そう」

チャンミンの心に怒りがこみ上げてきた

誰に対する怒りだろう

ユノに?

違う…

これは…自分に対する怒りだ


チャンミンはバタバタと仕事の道具を片付けると
それを大きなデザイナーバッグに入れ、

勢いで、ユノの部屋を出た


悔しい…


情けない…


どの言葉もまったくあてはまらない


僕はいったい…何をしているのだ


どうしたいのだ…





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