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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

蒼い観覧車 18



チャンミンが寝付いたのを確認して
ユノはその前髪を少し上げてそっと額にキスをした


ユノは薄っすらと笑みを浮かべていたけれど、
その瞳には哀しみの色が宿る


それを深く眠っているチャンミンは気づくことができなかった


あまりにも泣いたチャンミンを理解するのは
今のユノには難しい

それでも、チャンミンを救いたかった


翌朝、チャンミンが目覚めると、ユノはもう出かけていた

朝ごはんを作ってあげなければいけなかったのに
なにもできなかったな…


チャンミンは疲労感を感じていた

たぶん、泣きすぎたのだ

なぜあんなに涙がでたのだろう

身体中の水分がみんな出てしまったみたいに


チャンミンは窓の外を見ると
季節の変わり目の強い風が吹いていて

ビニールの袋が空に舞っていた

はじめてユノと会ったあの日のように

それはクラゲに見えて

チャンミンの瞳はビニールの袋が舞うのをずっと追っていた。


************



ユノはスビンとカフェにいた

幾分迷惑そうなスビンだったけれど

それでも会いたいと連絡してきたユノを無下にせず、
こうしてカフェまで出てきた


「この間の父親の話は、正直言って衝撃的だった」

ユノがポツリと言った

「言わない方がよかったかな?」

「いや、そういう意味じゃなくて
なんか、俺、全然知らなかったから…」

「僕が傷ついたのではないかって?」

「知らずに傷つけていたのかな、と」

フッとスビンは笑った

「それはユノのせいではないよ
親父のせいだ、誰も悪くない」


「………」


「チャンミンはどうしてる?
僕が結婚すると言ったら、取り乱してしまって」

「うん…泣き暮らしてる感じだ」

「そうか…今までと何も変わらないのにな」

「え?」

「チャンミンだって、いつか結婚するだろう?」

「それは…ないと思う…」

ユノは困惑した

「社会的にって意味で結婚するだろう」

「チャンミンは…そんな人間じゃない
体裁のために誰かと結婚するなんて…」

「ユノや僕とは違うと言うのか?」

「俺は…」


スビンと話をすると、自分のダメな部分を突かれるようで、言い返せないユノだった


「チャンミンには、僕から話しておくよ
大丈夫」

「なにを…話すんだ?」

「変わらずにチャンミンを好きだよと、話すよ
そして、チャンミンにも結婚をすすめる」

「え?」

「僕の奥さんになる人は友達が多くてね
きっとチャンミンにぴったりの人がいると思うんだ」

「チャンミンが…結婚?」

「ああ、それで4人で出かけたりして
きっといつか、お互いの子供も含めて人数が多くなっていくかな、なんてね」

「じゃあ、チャンミンとスビンの仲は
どうなるって言うんだ」

「ま、それは成り行きだけど
お互いいつまでも奥さんだけっていうのもね」

「そんな…」

「いい構図だと思うけどね」

「そんなの、チャンミンは受け入れないよ?」

「そんなこと、ユノにわかるのか?」


「………」


「チャンミンはきっと、そんな未来を夢見るようになるよ」

「………」

「どう考えても、幸せだ」


ユノはスビンを不思議そうに見つめた


「ユノは…本当にカッコいいね
チャンミンも楽しいだろうね」

「楽しい?」

「ユノは激しいんだと言ってたよ」

そう言って、スビンは苦笑した

「そんなこと…チャンミンはスビンに話すのか?」

「うん…ま、僕もいろいろ聞いたからね
チャンミンは正直に答えたまでだよ」

「…そうか」

ユノは穏やかに微笑んでコーヒーを飲んだ

そんなユノをスビンがチラッと見てため息をついた

「ほんとうはさ」

「?」

「ユノが今日会いたいって言ってきたときに
僕は殴られるのかと思ってね」

「……殴りたい…よ」

「ふぅん…」

「チャンミンをあんなに泣かせて」

「君の大好きなチャンミンを…か?」

「………」

「殴りたいのは自分じゃないのか?」

「自分?」

「結局はチャンミンを自分のものにできない自分」

「………」

「不甲斐ない自分を殴りたいだろう
君ならそう考えるはずだ」

「………」


「心配しないで。チャンミンはちゃんと僕が面倒をみて
幸せな人生を送るようにするから」

「チャンミンを…幸せに?」

「ああ、ユノが考える幸せとは違うかもしれないけれど
きっと、チャンミンは幸せになれる」


「そう…か…」


「今、チャンミンが遊園地をデザインしてるって話だけど、それが完成したら、ダブルデートでもするよ
あ、子供ができてからかもしれないな」

「……俺は…」

「?」

ユノは遠くを見つめるような表情で
穏やかに…そして哀しそうに笑う


「俺は…チャンミンが幸せなら…なんでもいい」


「まかせておけよ」

スビンはニッコリと笑って伝票をつかんで席を立った

「あ…」

「気にしないで、最後まで惨めなユノでいてくれ」


そう言って、スビンは笑った







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