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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

蒼い観覧車 6




チャンミンはスビンのマンションに来ていた。

スビンはネットで調べものに没頭している

シャワーを浴びてチョコレート色のローブに身を包んだチャンミンがスビンの後ろから抱きついて甘える

「何調べてるの?」

「んー?仕事のこと」

「大学の?」

「これでも法学部の講師だからね」

「ふぅん」

「チャンミンは仕事どう?」

「うん、難しい…
提案が通るかわからなくて、今度プレゼンしないと」

「どんな仕事でもプレゼンは必要だ」

「苦手なんだもん、プレゼン」

「フリーランスでやっていくんだろ?
だったら苦手だなんて言ってられないよ」

「そうだけどさ」

「がんばるしかないね」

つっぱねられたような気がして
チャンミンは拗ねてスビンから身体を離した

「僕がフリーランスになったら、スビンは冷たくなったよねっ」


スビンはため息をついた

「チャンミン…」

「………」

「僕は当たり前のことを言ってるだけだ」

「そうたけどさ…」

「僕がチャンミンのプレゼンに付き添うわけにいかないんだし」

「そんなこと…言ってないよ」

「じゃどうしてほしいんだ?」

「大丈夫だよって…その…頭を撫でてくれるとかさ」


「……あのね、チャンミン」

「……」

「チャンミンがその不安な仕事を一生懸命している時に
僕が構ってほしいと抱きついてきて、なんだかんだと話しかけてきたら、どんな感情になる?」

「相手をしてあげなきゃって思うよ」

「邪魔してほしくないと思うだろう?」

「あ……」

「わかる?僕も今、真剣に仕事をしているんだよ」

「わかるけど…」

「今夜は出来れば仕事をしたいと、電話でも言ったはずだ。一方的にここへ来たのはチャンミンだろ?」

「………」

チャンミンはプイと拗ねると
バスローブを脱いで着替えはじめる

スビンはやれやれといった感じでため息をつく。

「どこ行くの?チャンミン」

「仕事!」

「あー」

スビンは頭を抱えた。

「頭を冷やしておいで」

「………」

チャンミンは返事をせず
乱暴にドアを閉めて部屋を出ていった


**********


「ねぇーもう一杯ちょうだい」

チャンミンがカウンターに寝そべるようにして
バーテンに酒をねだっている

「軽めのカクテルにしましょう」

バーテンがチャンミンの様子を見て
アルコールの少ない酒を用意した

チャンミンの隣に次々と見知らぬ男が座っては
チャンミンを誘ってきたけれど

チャンミンはそれを片っ端からつっぱねた

ところが、名前を呼ばれた

「チャンミン?」

「ん?なんで僕の名前…」

カウンターからゆっくりと起き上がったチャンミンの視界に入ったのは、なんとユノだった

「え?ユノさん?」

「チャンミン…1人でこの店で深酒は危険だよ」

チャンミンの顔を心配そうに覗き込んで
ユノがささやく

「え?え?」

チャンミンは酔いが醒めた気がして
目をこすった

「なんで?ユノさんここにいるの?」

ユノはバツが悪そうな顔をした

この店はいわゆる男が男の相手を見つける店

ここで気が合えば、自宅へ連れ帰ったり
ホテルに行ったりする、そういう店だ。


そんな場所になぜユノが?


それがチャンミンの率直な感想だった


ユノが同性を好きなようにはとても見えない
そっち方面の男にモテそうなのはわかるけれど…

でも、ユノ自身はいたってノーマルな…
そんなイメージだった


「え…ユノさん、そうなの?」

「………」


ユノが視線を泳がせている


「えー」

チャンミンが目をまんまるにして驚く

「いや…俺は…」

ユノはしどろもどろになった


「ユノさんは…抱く方…だよね?」

「そ……そう…」

ユノはどうしていいかわからない様子で
いつもの自信に溢れたビジネスマンぶりが影をひそめる


「あ、じゃあ、ユノさん、隣座って?」

「俺は…」

「ほかの人が来てうるさいから、お願い」

そう言われてユノはその椅子に座る理由ができたようで
戸惑いながらも座った


「ユノさんがそうだなんて、全然気づかなかった…」

「そう…か?」

「誰も知らないでしょ?」

「ああ…たぶん…」

「いつも…この店?」

「いや、そういうわけじゃないけど」

ユノはあまり語りたがらない

「話してくれてよかったのに
僕だって同じなんだから。知ってたでしょ?」

「ああ、うん…」

「何になさいますか?」

バーテンがいい具合にユノをフォローする

「あ、ビールで」

「はい、かしこまりました」

そう言うと、バーテンがナッツをグラスに入れたものを
ユノに差し出した

カウンターの横を通る男が、ユノをマジマジと見つめ
隣のチャンミンを見て、つまらなそうな顔をした


「ユノさん、相手を見つけに来たんだよね」

「………そういうわけでもないけど
ちょっと飲もうかと、それだけ」

そんな訳はないことくらい
チャンミンにはわかる

少し…イタズラ心が出た

酔っていたからかもしれないし
スビンに冷たくあしらわれたからかもしれない


「僕のこと、どう?」

茶色のクセ毛の前髪から
挑戦的な大きな瞳が覗く

ユノはひどく驚いて、チャンミンを見つめた

「どうって…チャンミンにはスビンがいるだろう?」

「だって、ここはそういう店だよ?
彼氏持ちだって、みんな誰か他の人と店を出て行くよ」

「スビンは…どうするんだよ」

スビンがいいなら、この人は自分の誘いに乗ってくるというのだろうか。

なんだか可笑しくなってきてチャンミンは声高らかに笑った

「スビンは僕が浮気したって
何も言わないよ」

「それって…」

「そういう人だよ、ユノさんも知ってるでしょう?」

そう言いながら、チャンミンはカウンターに置かれた
ユノの綺麗な手をそっと握った

「僕ね、ユノさんに頭撫でられて気持ちよかった」

「え?」

「だから、ユノさんとシたいなって思ってたんだ」

「チャンミン…」

「だからさ、どう?」

チャンミンがユノに自分の顔を間近まで近づけて覗き込む


目が泳ぐユノ


正直な気持ちを言えば

一目惚れのチャンミンに恋い焦がれていた

こんな風に手を握られて、どうか、などと言われたら
ユノは抵抗する力など微塵もない

この胸にチャンミンを抱けたら

その可愛い顔に…きれいなうなじに…
たくさんキスできたら…

ユノの理性の鎖はあと一歩で全壊だった
そんなユノの最後の抵抗…

「チャンミンは…酔ってる…」

ユノはムッとしたような顔をした

チャンミンはさらにユノに顔を近づけて囁く

「記憶がないなんてこと…ないよ?」

チャンミンは握っていたユノの手を
自分の口元へ持っていく

ユノの息が荒くなったようには感じるのは自惚れか

ユノの綺麗な人差し指を口に含んで表情を伺うと

ユノはそっと目を閉じて甘受している

あまりにセクシーで

あまりに淫靡なユノの横顔


カッコいい人だとは思っていたけれど
ここまで色っぽい人だったのか…

チャンミンもユノに欲情した

「ユノさんが…ほしい」








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