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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

蒼い観覧車 3



ユノと遊園地のオーナーのパクさんは
それから事務所に行って、所有権の譲渡などについて確認をした。

チャンミンはその間、ひとり遊園地を歩き回って
アイデアを膨らませた

かつて家族連れで賑わった小さな遊園地
それの持つ温かく、どこか切ない雰囲気をチャンミンは堪能した。


「チャンミン、帰るぞ」

ユノが事務所から出てきて、チャンミンを呼んだ


「はい」

「パクさんからこんなに蜜柑をもらってさ」

「え!すごい!いいんですか?」

ユノが蜜柑がたくさん入った段ボールを抱えていた
パクさんも続いて事務所から出てきた

「いいんだよ、たくさん食べて
いい観覧車を作っておくれ」

パクさんがにこやかに微笑んでくれた



帰りは2人ともとても満たされた気分だった


「ユノさん」

「ん?」

「今日は来てよかったです」

「そうか?アイデアが湧いたか?」

「はい」

チャンミンが横を向くと
夕陽をバックにしたユノの横顔がシルエットとなって
黒く浮かび上がる

そのラインの綺麗なこと

「ユノさん」

「なに?」

「ユノさん、モテるでしょう」

「モテないよ、彼女いないし」

「えーそうなんですか?
バツイチでこんなイケメン、女子がほっておかないでしょう」

「ところが、ほっておかれまくってる」

ユノが笑った

「そんなぁ」

「自殺なんだ」

「え?」

突然、話の脈絡とは関係のない言葉が飛び出して
チャンミンはびっくりした

「嫁さん、自殺したんだよ」

ユノはサラリと言ってのけた


「あ…」


「そんなバツイチはみんないらないって話」

そう言ってチャンミンを見たユノは
ニコニコと笑っている


「……そんなこと」


チャンミンはなんと言っていいかわからない

「悪い悪い…もう済んだことだから。
ま、いつか誰かの噂話で聞くかもしれないし」

「そう…かもしれないけど」

「気にしないで、本当のことだけど
もう終わったことだから」

「ユノさんの中で決着ついてる?」

「ああ」

「そう…」


「チャンミンも結婚は慎重に」

「え?僕?」

「モテるだろ?チャンミン」

「うーん、どうかな」

「女はダメなのか?」

「いや、そうじゃなくて
僕は…スビンがスビンだから好きなだけです」

「……そうか」

「僕にとって、スビンは絶対なんです」

「ふぅん」

「ま、僕のことはどう思ってるのか知らないけど」


ユノは思った

こんな風に、チャンミンに思われるなんて
スビンが羨ましい…

絶対の存在だなんて…

チャンミンにとって、唯一絶対の存在は
スビンなんだな…

それは落ち込みなのか、諦めなのか
よくわからない感情だったけれど

これでよかったのだとユノは思うことにした

あのまま、想いを募らせても
うまくいかなかっただろう


「ユノさん」

「ん?」

「お腹すきませんか?」

「ああ、途中どこか寄ってくか
サービスエリアの食堂も最近は結構いいらしいから」

「はい!」


途中のサービスエリアで
2人はイタリアンを食べた

「チャンミンは細いのによく食うなぁ」

「太らないんですよ。お酒も大好き」

「アハハハ…なんかイメージと違う」

「そう言われます」

「もう一枚ピザを頼むか?」

「いいんですか?」

「いいよ、遠慮するな。」

ユノが大食漢のチャンミンを楽しそうに見つめる

その視線がどこかくすぐったくて心地よくて
チャンミンは気持ちがよかった


チャンミンのアパートに着いた頃には
空に月が出ていた

「蜜柑はチャンミンがたくさん持って行って。
スビンにもあげればいい」

「え…でも」

「俺はひとりだから、そんなに食べきれないよ」

「はい…」

「こんなに遅くなって、スビンが心配してるよ。
しかも俺なんかと一緒にいて」

「スビンは…そういうの気にしないんです。」

「そうなのか?」

「ヤキモチとか妬かないんですよ」

「なんで?」

「低俗な感情なんだって」

「ヤキモチが?」

「そ」

「へぇ、なんかいかにもスビンが言いそうな事だな」

「へへっ」

「……チャンミン」

「はい?」

「寂しそうだぞ?
ほんとうはヤキモチ妬いてほしいんだろ」


チャンミンを見つめるユノの瞳が優しすぎて、
一瞬チャンミンは泣きそうな気持ちになった


「ユノさん、優しいね」

フッとユノが微笑んだ

「それがね、ダメなんだってさ、俺」

「優しいのが?ダメ?」

「ああ、難しいよ、いろいろと」


わかる気がした

優しいからダメ

優しすぎて、逆に人を傷つけることもある

優しくするのが、本人のためにならないこともある


「でも、俺ダメなんだ
一旦好きになると、メロメロに甘やかしちゃって」


そのセリフにチャンミンはなぜかドキッとした

ユノにたまらない色気と包容力を感じて
心臓がドキドキした

こんな人に愛されて甘やかされたら
その人は幸せだろうな


「ユノさん…」

「なに?」

「やっぱりモテないってウソ」

「は?」

「絶対モテるはず」

アハハハハ…とユノは笑ったけれど


それが図星だったことは、ずっと後になってわかった







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