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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 19



雨に濡れて冷え切っていたユノは
その夜中に熱を出した

熱にうなされて苦しそうなユノを
チャンミンは見ているのが辛くてたまらない

布団にもぐって、ユノを抱きしめた

熱い身体はまったく汗をかいていない
これからどんどん熱が高くなっていくのかもしれない

苦しそうだ…可哀想に

この程度で可哀想だなんて思っているようじゃ
ユノの最期なんか、とてもじゃないけど立ち会えそうにない

やっぱり無理だ…

全能の神よ

自分にはこんな使命は無理です


チャンミンはユノの熱い額にそっと口付けた

チャンミンの唇がみるみる白くなり
やがて青に見えるほど白くなった

しばらくそうしていると
ユノの荒い呼吸が落ち着いて来た


…人間を治したりして
僕は…はじめて…掟を破ってしまった


それでも…苦しそうなユノを見ていられなくて




その時

チャンミンの鎖骨あたりに熱い痛みが走ったかと思うと
それがチャンミンの身体の中を貫いた


「!!!!!」

チャンミンはユノのベッドから転げ落ち
はじめて感じる「痛み」にのたうちまわった

自分に何が起こったのか⁈

これが…痛み、というものか…

苦しくて、チャンミンは声もだせなければ
目を開けることもできず

固く目を閉じ、ひたすら呻いていた

見れば、自分の身体を稲妻が縦に貫き
赤々と燃えている

苦しい

痛い

やがて…チャンミンの頭の中に
低い声が響いて来た


" 何をしている "


声は1人ではなかった

何人もの声が重なって聴こえる


うう…

苦しくて返事をすることもできない


" 人間の苦しみに手を出したのだな "

" それは一番してはいけないこと "


そんなこと…知ってるけど…


" 2度と人間に手を出してはならない "


くっ…

チャンミンは呻いた


" わかったか…"


チャンミンは身体に稲妻が刺さったまま
なんとか立ち上がった


このまま、飛べるだろうか


外ではカミナリが轟く


ぎゅっと目を瞑るチャンミンに
稲光が攻撃をしかける

うわぁぁぁぁ…

一瞬目の前が真っ白になり
その熱さと痛みに気が遠くなりそうになった

しばらくじっとしていたけれど
なんとか身体を動かして起き上がり


這いつくばるようにして
チャンミンは外へ出た


ハァハァと荒い息を整え

チャンミンはよろよろと
立ち上がった

稲光と共に激しい雨がチャンミンの身体を打つ

そして真っ黒な雲がうずまく空に向かって


チャンミンは大きく手を広げた


黒いコートの裾が大きくひるがえる


チャンミンの瞳には強い決意があった


全能の神よ


この身がどうなろうとも


わたしは…ユノを地獄の番人には渡さない



空が割れるほどの雷が轟き

またひとつ稲妻がチャンミンの身体を貫いた


うっ……


今度こそ意識が遠のきそうだ


" 全能の神に口をきこうとは "

" なんたる無礼 "

" まだ人間の秩序を乱すつもりか "


たとえ、この声がどこから聞こえようとも
全能の神が許さないと仰せられても


この気持ちは

ユノを愛するこの気持ちは

誰にも抑え込むことはできない


" まだ戯事を言うか "


愛してるんだ…

どうか…


" 次はないぞ、チャンミン "


僕はどうなってもいいのです


" おまえはどうなってもいいかもしれない
しかし、掟破りのその先は、おまえにとって最も苦しい罰がある "


ユノを愛した事は罪なのか?


次に稲光が轟くと

チャンミンは気を失ってしまった


************



「チャンミン!チャンミン!」



え…


真っ白なモヤが少しずつ開けていくような…

そんな意識が朦朧とするなか


チャンミンの身体をゆり起こす何か


ユノ?


僕は…どうなった?


「チャンミン!大丈夫か?」

「ユノ?」

「あーチャンミン、やっと起きた」

チャンミンはガバッと起き上がると
自分がベッドの下にいることに気がついた





「チャンミン、寝相悪すぎ」

「え?僕?」

「死神のくせに、ベッドから落ちるなよ」

ユノが爽やかに笑っている

あ!そうだ!

「ユノ!熱は?」

「熱?」

チャンミンはユノの額に自分の額を当てた

「チャンミン!」

「はい?」

「お前!すごい熱!」

「え?」

ユノはチャンミンを抱きかかえて
ベッドに横たわらせる

「なんだよ、お前すごい熱じゃないか!」

チャンミンは自分の鎖骨あたりを触って見た

そこには普通に滑らかな肌が存在していたけれど
よく見ると、真っ赤に痣になっている

「それ…どうしたんだ?」

あ…ユノに見られた


「ど、どうしたんだろう」

まさか雷が自分に落ちたなんて言えない


「この痣のせいで熱があるのかもしれないぞ」

「あ…」


稲光の熱がまだ身体に残っているのだろう

「大丈夫ですよ」

「何言ってんだよ、このまま今日は寝てろ」

「でも…」

「何か、食べられるものはないか?」

「特には…」

「リンゴ搾ってやるから待ってろ」

「リンゴ?」

「熱がある時はこれが一番いいんだ」

「そう…なんですか?」


「昔…」

一瞬ユノの手が止まった

「……」

「ルカが…熱を出すと、リンゴを盗んでこうやって搾ってやったんだ」

「そうなんですね…」

「だから、これが一番いい」


一生懸命リンゴの皮を剥き、搾ってくれるユノ

その後ろ姿を、チャンミンはベッドに横たわりながら
見ていた

ユノ…

僕のために…


悲しくなるから…そんなに優しくしないで


「粥も作ってやるからな。
こういう時、身体は冷やすんじゃなくて、温めないとダメだ」

「うん……」

ユノがベッドサイドに氷とタオルを持って来た

「だけど、苦しいから顔は冷やしてやる」

「うん」

冷たくしたタオルで、ユノがチャンミンの顔を拭いてくれる

「大丈夫か?つらいだろ?」

「大丈夫だよ」

「すぐ治してやるから、な?」

「うん」

チャンミンはユノの肩にコテっと頭を落とした


「どうした?」


「甘えて…いい?」


「チャンミン…」


「少しだけでいいから、甘えたい…
そうしたら、治るから」

「いいよ、ほら」


ユノは布団に入って、チャンミンを抱きしめた


「赤ちゃんみたいに甘えていい?」

「いいけど…お前…変なの」

ユノがクスクスと笑う


チャンミンはそれこそ子供のように
ユノに抱きついた

「ユノ、優しいね」

「当たり前だろ、チャンミンなんだから」

「みんなにも優しいじゃん」

「フッ…」

ユノは諦めたように微笑んだ

「俺は優しいか?」

「うん…」

「その分悪いこともたくさんしたから」

チャンミンはユノのシャツをぎゅっと掴んだ

「俺さ…」

「はい…」

「やっぱり死ぬの、怖いんだな…」

「ユノ…」

「昨日、雨に打たれながら、耐えられなくなりそうだった」

「ごめんなさい、長いこと1人にして」

「いいんだよ。
お前、俺のためにさ、仕事してんだから」

「……」

「強くならなきゃな、俺」


チャンミンはユノの胸でぎゅっと目を瞑った






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