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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 13



夜、抱き合ったあと、
なんとはなしにお互いの体に触れている時間が好きだ

チャンミンはそう思った

どうでもいい会話をして
たいして面白くもないのに笑い合う

そんな…夜

「チャンミン」

「んー」

チャンミンはうつろなまま、返事をした

「チャンミンは天使なのに
なんでいつも黒い服なの?」

ユノのことばに、チャンミンはパチっと目を開けた

「えっと…天使が白い服を着て羽が生えてるっていうのは、人間の想像で」

そう言いながらも、チャンミンはテミンの姿を思い出していた

テミンはまさに天使そのものだ
人間が想像している天使

「そういうもんか、俺が小さい時よく見ていた天使はみんな白っぽかったからさ」

「黒い服の天使ってみたことない?」

「ないね」

「そう…」

「でも、お前は黒ずくめでも、十分かわいいよ」

チャンミンは嬉しそうに、恥ずかしそうに笑う
その笑顔をユノはまぶしそうに見つめた

「おいで、俺の可愛い天使」

布団にくるまったまま、ユノはチャンミンを抱き寄せた

チャンミンがユノの胸に収まった、その時

また

ユノの胸から

あの声が聞こえる


" ユノヒョン!"

" ルカ!"


「………」

「どうした?チャンミン」

「あの…」

「ん?」

「僕ね、仕方ないんだけど、どうしたって
聴こえてしまうんです」

「なにが?」

「ユノ」

「なに?」


「ルカって…だれ?」


「………」


ユノが固まった


「ごめん…言いたくないことならいいんです」


想像以上のユノの反応にチャンミンは慌てた


「………」


「あ…ごめん…ほんとに」


「チャンミン…」

「はい…」

「ルカっていうのはね、幼い頃、俺がいつも一緒にいた弟みたいな子供だよ」

「そう…」

「………」

「………」


しばらくの沈黙の後、ユノがゆっくりと話し出した


「俺ね…浮浪孤児だったんだ」


ユノは遠くを見るような目で天井を見つめている

その視線の先は…幼かった自分だろうか。


「……」


チャンミンはごくっと唾を飲んだ


「親のことはおぼろげに覚えているような、いないような」

ユノはチャンミンを抱きしめて、その柔らかい髪を撫でながら、ゆっくりと言葉を紡いだ


「たぶん、浮浪児のグループみたいなのに
親は俺を預けたんだろうな…面倒見てやってって感じでさ…」

「…覚えてるの?」

「おぼろげにね…うーん…
覚えているけれど…忘れたいのかも…」

「そう…」

「そのうち…また小さい子が入ってきて」

「それが…ルカ?」

「うん…どこの国の子供だったのか、わからないけど」

「………」

「俺だけに懐いててね…もう寝る時も俺の懐で寝てた」

「かわいいね…」

「ああ…可愛かった…
俺が守ってやらなきゃって…そう思った」

「そっか」


「俺は…いや、俺たちは物心ついたときから
それこそ生きるために何でも盗んだ」


チャンミンはギュッと目を閉じた


「いつも、ルカの手を引いて…食べ物を盗んでは
一目散に走ったんだ」

幼いユノが幼い子供の手を引いて
食べ物を持って懸命に逃げる姿が浮かぶ

「悪いことだとか…そんな事考える余裕もなくて」

「……」

「ある時さ…同じ浮浪孤児に…」

「……」


「教会に行けば、温かい食べ物をくれると
そう聞いて、俺はルカをつれてその教会ってやつに行こうと…」

ユノの声が震えだした

「ユノ、もういいよ、ごめん、イヤなにこと思い出させて」

チャンミンは布団から顔を出すと、ユノの頬に手をやった

「ユノ…」

ユノは泣いていた

この強いユノが…泣くなんて…

ユノは…
眉間にしわを寄せ、嗚咽をこらえて泣いていた


「あんな小さい子を…大人たちが連れ去ったんだよ」

「……え」


「ルカはどうしてもリンゴが食べたくて…ただそれだけだったのに…」

「ユノ…もうやめて…ユノのせいじゃない」

「たったひとつリンゴが食べたくて盗んだんだ
ルカは俺のマネをしただけだ…」

ユノの瞳から熱い涙が溢れる…

「俺が…ボランティアに飯をもらいに行ってる時」

「………連れて行かれたの?」

「警察から何からみんなで来て
ルカを連れて行った」

「………それって…」

「ルカは泣いて俺の名前を呼んでいたって…」

ユノの瞳からポロポロと涙が流れる

「ユノ!きっとその子は安全に保護されたんだよ、ね?」

「俺は…ルカが乗せられた車を見つけて、走った」

「ユノ……」

チャンミンはユノの頬を伝う涙を唇でぬぐった

「走ったけど…追いつけなくて…」

「ユノ…ルカ君はきっと教会へ…」

「俺も…そう思った…追いつけなかったけど…ルカはこれで…教会に行けるって…」

「きっと行ったよ、ね?」

チャンミンも半泣きだった

「それが…」

「……」

「それが違ってた…」

「え…」

「ルカは俺がいなくて…何も食べず…死んだんだ」

「まさか…」

「俺が…俺が食べていいっていうものしか食べちゃダメだって言ったから…」

ユノはもう、嗚咽をこらえず泣いた

「ユノ…」

「ルカが腐ったものを食べないように…
小さかったから…ほかの子供みたいに死んだりしないように…」

「そんな……」

「ルカは俺の言いつけを守って…俺と会うまで何も食べないって…」

「………」

「毎日…俺は毎日…ルカに会いたくて…警察まで行ったりしたんだ」

「会えなかったの?」

「そんな俺を可哀想に思った警官が…
ルカは死んでしまったって…」


ユノは声を殺して泣いた…

「……ユノは間違ってない…」

「俺が一緒にいて、教会に連れていってやるべきだった…なのに…結局…俺だけが教会に連れて来られて」


チャンミンの胸に…はじめて映像としての幼きユノが浮かんだ

道端に倒れているユノ

それを見つけて、駆け寄るあのカン牧師…


ユノはずっと…自分を責め続けていたんだ

ユノはちっとも悪くないのに…


チャンミンも嗚咽をこらえずに泣いた…


僕が、…あなたの側にいる
あなたを地獄なんかにいかせない

そうだよ

あのリストは間違っている!

ユノ…

僕があなたを救うからね

すべての悲しみと苦しみから
僕が救ってあげるから

だから…

泣かないで…


「チャンミン…」

「なに…ユノ…なに?」

「お前は俺の側にいてくれ…」

「いるよ、もちろん!離れたりしないから」

チャンミンはユノの涙をきれいに拭った

「僕は離れないからね?いいでしょう?」

「ああ…頼む…お前は俺から離れないでくれ」


ユノは泣きながらチャンミンを抱きしめた


ユノの心の深くにある傷の痛みが
そのままチャンミンにも伝わった…


闇夜が白み始めるまで、チャンミンは目を開いていた

ユノはそのうち寝息をたてて眠っていたけれど

チャンミンはユノの腕にしっかりとしがみついて
目を開いていた

チャンミンはチャンミンで
自分の使命とユノへの愛の狭間で苦しみはじめていた

けれど

チャンミンは希望を捨てなかった

何かいい方法があるはずなんだ

ユノを助けられるのは自分だという自負が
朝焼けをより明るいものに感じさせていた…





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