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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 9



懺悔室に消えたチャンミンを思い
ユノはその小さなドアを見つめながら立ち竦んでいた


チャンミンが何を懺悔することがあるというのか。
あんなに純粋で…素直で優しくて

でも

もしかしたら……チャンミンにも懺悔することがある?

え?

そうなのか?

自分の知らないチャンミン…が…いるのか?

そう言われて見たら
チャンミンのことを何も知らない

チャンミンはいったい何者なのだろう

どこから来て、どこに住んでいるのだろう

もしかしたら…


ユノの心にあるひとつの疑念がやがて確信となってきた


チャンミンは懺悔室から出てきた。
その高い身長を折り曲げるようにして。

その表情は晴れやかで
ユノに向けて可愛い笑顔を見せる

「お待たせしました!」


「どうだった?
スッキリしたって顔だぜ?」

「うん、スッキリしました」

「そう?」

チャンミンがニコニコと微笑みながら
ユノの目の前に立った

「このまま、あなたを好きでいようって
決心しました」

「え?へへっ…なんだそれ」

ユノが驚きながらも少し照れくさそうに笑う

「僕には先の事とかいろいろ考えすぎるところがあって。でも、今を大切にしようって。」

「ふぅん…」

チャンミンはニコニコと笑っている

「ま、俺のことそのまま好きでいようって言うならなんでもいいや」


「今日はこれからどうしますか?」

「うーん、そうだな」

そこへカン牧師も懺悔室から出てきた

「つつましいものだけど、よかったら子供たちとシチューでも食べて行かないか?」

チャンミンが振り向いた

「僕…も?」

「当たり前じゃないか」

カン牧師が穏やかに微笑んだ

「あ…ほんとにいいんですか?」

「いいよ、チャンミン、
シチューご馳走になっていこうぜ」

「はいっ!」

チャンミンが子供のように元気よく返事をすると
まわりの子供たちもマネをして次々に返事をした。


施設にはいろんな年代の子供がいるようで
数人の保育士がいるようだった。

施設として認可を得て、ある程度の補助もあるだろうけれど、その生活ぶりはとても慎ましいものだった。

それでも食事は温かく
子供たちの笑顔も明るくて

下界にいるときはいつも1人で食事をしていたチャンミンにとって、とても楽しい時間だった


食事が終わると、ユノが子供たちに紙芝居を見せてくれ
チャンミンは子供を膝に乗せながらそれを楽しんだ

子供を喜ばせようと戯けるユノは
とても優しくて頼もしくて

チャンミンは反対にとても切ない気持ちにもなった。



残り少ない命を少しでも幸せに

僕はあなたを幸せにしたい

そして、あなたが後にあまり苦しまなくて済むように…

僕はがんばるよ

ね、ユノ


子供たちは寝る時間となり
それぞれ寝室へ入っていった


「チャンミンニヒョン、また遊びに来てね」

「あ、うん!また来てもいいのかな」

「来なきゃダメだからね?」

「……」

「やくそくだよっ!」

「…ありがとう!また来るね」


みんなに見送られ、ユノとチャンミンは夜の小径を歩く


「みんな、子供たち可愛いですね」

「ああ、みんないろんな事情で親と住めない子供たちなんだよ」

「でも、すごく明るい」

「うん、小さい頃の思い出ってさ
その後の人生にすごく影響あると思うんだ」

ユノも…そうなんだね
だから、あなたの心から悲しみが溢れ出してる

「だから、ここの子供たちには絶対楽しくすごしてほしいんだよ」

「いい思い出を、ね?」

「ああ」

チャンミンは胸が張り裂けそうになった
僕もあなたに人生は楽しかったと少しでも思ってほしい


「お前、今夜俺のところに来るだろ」

「…うん、いいの?」

「ずっといたらいいよ」

「へへっ…そんなこと言われると
ずっといるかもよ」

「大歓迎だよ、お前なら」

そう言われて横を見ると、そこにはユノの真剣な顔があった

チャンミンは嬉しくなってユノの手に自分の指を絡めた


「僕と住んでたらいいことばかりだよ」

「そうなのか?そりゃいいな」

「料理は得意だし。
なんでも作ってあげる」

「楽しみだな。
だけどうちの台所が残念な感じだな」

「そんなの関係ないよ」


崩れそうなユノのボロ家が見えて来た

どんなに家がボロくても、関係ない

ユノがいれば…


夜が更けると、2人はベッドにもぐる

チャンミンが布団にもぐってニコニコとユノを見ている


「毎晩…抱いてね、ユノ…」

「お前…そんな顔でそんなこと言うなよ」

「どうして?」

「俺もう理性が全部ふっとんだ!」

そう言ってユノはチャンミンを抱きしめた

自分の胸の中のチャンミンを
愛おしそうに見つめながら

ユノはチャンミンの頬を優しく撫でた

その夜も散々抱き合って
ユノはぐっすりと眠っていた


チャンミンはひとり起き上がり
月夜に照らされたユノの整った顔を見つめていた

そして、そっとユノの胸に手を置いて
目を閉じた


聞こえる

また、あの悲しい叫び


" ルカ! "

" ヒョン!ユノヒョン!"


幼い声だけれど、ユノの声だとわかる

どんなつらいことがあったのか

ユノをヒョンと呼ぶ、ルカとは誰なのか

幼いユノの悲しさがチャンミンに伝わる
胸が張り裂けそうな悲しみ

チャンミンの閉じた瞳から
ポロポロと涙が溢れて止まらない

" この泥棒!"

幼いユノが受けたであろう罵声に

チャンミンはビクッとなった



気づくと、チャンミンの手はユノに握られていた

「あ…」

自分の胸に置かれたチャンミンの手をしっかりと
ユノが握りしめている

その切れ長の瞳はじっとチャンミンを見つめていた

「泣いてんの?」

「えっと…」

握られてない方の手で
チャンミンは自分の涙を拭った

何をしているのか?と聞かれたら
なんと答えればいいのだろう

「チャンミン…」

「あ…えっと…なに?」

「………」

「……?」



「お前、この世のモノじゃないだろ…」


え…








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