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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 7




「で?マンゴースムージー食べたんだね?」

「美味しかったよ!テミン、教えてくれてありがと」

「どういたしまして。
そんなチャンミ二ヒョンの笑顔、初めて見るよ
よっぽど美味しかったんだろうねぇ」

テミンがニコニコしながらチャンミンを見つめる


「うん、冷たくてね」

「当たり前でしょ、スムージーなんだから」

「あ、そうだね…へへ」

「もう…チャンミ二ヒョン…
その笑顔はスムージーが美味しかったからだけじゃないねー」


テミンのニコニコがとまらない


「ユノと一緒にいると、ほんとに楽しくてしかたないんだよ」

「そうなんだ!」

「だってさ、ユノね…」

「ヒョン」

テミンがはしゃぐチャンミンの言葉を遮った


「僕は…しっかりと警告したからね」


テミンがチャンミンの顔を真剣な瞳で見上げた
途端にチャンミンもさっきまでのはしゃぎぶりがウソのように静かになった…


「…わかってる」


チャンミンは項垂れている

「情が湧いてしまったら…ダメなんだよヒョン」

テミンはできるだけ優しく、けれどきっちりとチャンミンを窘めようとした

「うん…」


「情なんて通り越して、すでに恋って感じに見えるけど?」

「……」

「そんな感情が僕らに芽生えるなんて…
あってはいけないことだ」

チャンミンは可哀想なほど、下を向いてしまって
唇を噛み締めて、何かに耐えているように見える

「……」

さすがにテミンもチャンミンが哀れになってきた

なんのための使命かも理解できず
これが当然の仕事として、こなしてきた自分たち

人間とコミュニケーションをとることは
とても楽しいことだと、テミンもわかっている

恋だって…することもあるさ。


「でもね、ヒョン」

テミンの声にチャンミンが顔をあげる

「チャンミニヒョンがそれだけご執心なんて
どんな人だか見てみたい!」

「は?」

「誰にも言わないよ。ね?」

「だ、だめだよ…テミンには会わせられない
きっとテミンの姿はユノは見える」

「だったら尚更会いたい!」

「なんて紹介していいかわからないからダメだよ!」

「友達だとか、あ、同僚だとかなんとか誤魔化せば」

「ダメ、絶対ダメ」

「どうしてさ」


「ユノがテミンを…気に入ったらいやだ」


「………」

「………」


チャンミンは再び、下を向いてしまった
俯いたチャンミンの耳は真っ赤だ


「チャンミニヒョン…」

「………」

「ヒョン、可愛い」

「なっ…」

「それって嫉妬っていうやつでしょ?
どんな感情?それが生まれるとどんな気分?」

「…あまり…気分は良くないよ」

「だけどさ、ヒョン」

「うん…わかってる」

「そう?」

テミンがチャンミンの顔を覗き込む

「地獄へ連れていかなきゃいけないんだよ?」

「……」

「罪は軽くできても…僕が天国へ連れて行くわけにはいかない」

「うん…わかってる…」

「……」


チャンミンはますます下を向く


わかってる…


でも、今は…少しだけ楽しませて



チャンミンはユノの後を追って、今日も屋根伝いに空を歩く


ジーンズに革ジャンのユノはとてもカッコいい

口笛を吹きながらポケットに手を突っ込み
軽やかに大きなストライドで歩く


ユノは繁華街の裏に入ると
大きな身体の男が待っていて

その言葉の通じない客と身振り手振りと少しの英語で話しをはじめた。


「パスポート、オーケー?キャッシュ、ギブミー」

ユノは自分の胸を指した

「オーケー」

相手の男は胸ポケットからくしゃくしゃになった札を出した。

ユノはそれを綺麗な二本指で挟んで胸ポケットに入れると、代わりに左手に持っていたパスポートを差し出した

「サンキュー」
「ユアウェルカム」

チャンミンはため息をつきながらそのやりとりを
屋根からみている


「あ、ちょっと、ヘイ!」


ユノが男を呼び止めた

不思議そうな顔をして、男が戻ってきた


「ユー、ゴーホーム、えーっとなんだ、トイ!おもちゃ!買ってってやれ、子供に」

「トイ?」

ユノはふところから、札を一枚抜くと男に渡した

「これで酒なんか飲むなよ、ノーウォッカ、ディスマネー」

「?」

「トイ、フォア、ユアベイビー」

途端に男の顔が緩んだ

「マイベイビー…サンキュー…ユノ」

男は一瞬ユノに抱きつき嬉しそうに笑った

チャンミンは羽根のついたペンで
黒いバインダーに今見たことをサラサラと書き込む

その表情はとても穏やかだった


ユノは…とても優しい


どうかこの優しさが天国のジャッジに伝わりますように

チャンミンは黒いコートの胸ポケットから
黒いスマホを出してにっこりと微笑んだ

そして、黒いコートを翻して
片足のつま先から地面に降り立った

しばらく音を立てないように
ユノの後をついて歩き

突然声をかけた

「ユノ!」

ユノはビクッと肩を震わせて、驚いたように振り向いた

「…チャンミン!」

「ユノ、こんにちは!」

「……」

「あ!僕ね!」

「……」


話しかけるチャンミンを無視して
ユノが向き直って歩き出した


「あ…ユノ…」


どうしたのだろう

明らかに怒っている


この間は僕を好きだと言ってくれたのに

スタスタと歩いて行ってしまうユノをチャンミンは泣きそうになりながら追いかけた

「ねぇ、ユノ…」

「………」

「何怒ってるの?」


と、路地の突き当たり近づいたところで、
ユノが急に振り向いたので、チャンミンとユノはお互い額を軽くぶつけ合ってしまった


「ユノ…」

眉が八の字になっているチャンミンと
その切れ長の瞳を吊り上げて怒っているユノ

「お前…」

「はい?」

ユノはイラついたように、辺りを見回してつぶやく


「ブラックエンジェルなんて店なかった」


「え?」


「お前が言ってた店、ないじゃないか!
ウソついただろ!」

「僕を…もしかして…」

「そうだよっ!お前を探したんだよっ!
この間別れる時、俺の連絡先くらい聞けよ!」

「僕が?え?僕から聞けって?」


チャンミンは目を白黒させている
ユノの言っている意味がよくわからない
なぜこんなに怒っているのだろう

「俺からお前の連絡先なんて聞けるかよ!」

「どうして?」

「どっ…どうしてって…」

「?」

「プライドってもんがあるだろ?」

「……プライド?」

「俺から、お前に聞くのかよ?電話番号とかをさ!」

「…えっと」

「そのまま帰るからびっくりだよ…
だから、店に連絡するしかねぇかと思って」


引き留めて、連絡先を教えてって素直に言ってくれればよかったのに…

あ、でも

「あのね、僕…」

チャンミンは嬉しそうに胸ポケットから
スマホを取り出した


「これ、僕、スマホ持つことにしたんです」

「え?お前、今までスマホなかったの?」

「はい…店のしかなくて…でも、今度からこれで。
僕もユノと連絡がとりたくて、手に入れたんです」


「チャンミン…」

「えっと、どうやったら、ユノの番号が…」


スマホを不器用に操作しようとするチャンミンの様子をしばらく見つめていたユノは

いきなりそのスマホをとりあげて、チャンミンの腕を引っ張った

「あ!なにする…」

ユノは自分の胸にチャンミンをしっかりと抱き込んだ

「!」

いきなり抱きしめられたチャンミンはびっくりして
言葉がでなかった

「………」

「ユノ?」

「……チャンミン」

「はい」


「会いたかったよ…」


「え…」


「すごく会いたかった…
探したんだぞ…」


ユノはぎゅっとチャンミンを抱き込んだ


ユノ…


「ごめんなさいユノ…
僕も会いたかった…」

「だからスマホ手に入れたんだろ」

「うん…」

「嬉しいから許すよ、もういい」

「?」

チャンミンを解いたユノは
満面の笑顔だった

ユノ…

チャンミンの胸がぎゅっと苦しくなった


僕は

本当に

この人が好きだ


「俺の番号登録するから」

チャンミンから奪い取ったスマホに
ユノは自分の番号を登録した

終わると放るようにチャンミンにスマホを返した

「俺の電話番号しか登録しなくていいからな」

「フフ…」

チャンミンが嬉しそうに微笑む

「わかった?」

「わかりました」

「これからしょっちゅう連絡するけど」

「はい」

「お前も連絡しろよ?」

「はい!」

「たぶん俺は毎日連絡するかもしれないけど…」

「きっと僕も毎日しちゃいますね」

「そう?」

「はい!」

「何時でもいいからな?」

「いいの?」

「ああ、ほんとに何時でも、チャンミンからの電話なら出るから」

チャンミンがニンマリと笑う

可愛い唇をニーッと開き
目を細め、その眉がなぜか段違いに下がる

「なんだよ、そんなデレっとした顔して」

ユノは照れ隠しに鼻をすするようにして
そっぽを向いた


テミンの忠告はいったん宿題だ


チャンミンはそう思った





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