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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 6



はしゃぐチャンミンと、そんなチャンミンをやれやれといった感じで引き寄せるユノ。

そんなユノはとても嬉しそうな顔をしている。

店に入ると、2人は隅のテーブル席についた


若い女の店員がやってきた

「ご注文は?」

「マンゴースムージー2つ」

ユノがメニューを指差す

「え?2つですか?」

店員が不思議そうな顔をする

「うん、2つ…」

ユノも不思議そうな顔で答える


マズイ…


チャンミンは思わず下を向いてしまった

ユノにはチャンミンが見えているけれど
基本、この店員のように普通の人間にチャンミンの姿は見えない。

ユノはそのことを知らない

チャンミンを普通の人間だと…思っているだろう


はしゃぎ過ぎた…


ユノとコミュニケーションがとれることが
思わず楽しくて…

2人きりでいる時は良くても
こんな風に街中に出てマンゴースムージーなんて

やっちゃダメなことだった…


それに気づくと、なんだかチャンミンはとても悲しくなった。


「お2つ…召し上がるんですね?」

「そう」

「2つ同時にお持ちしますか?」

「………」

ユノが怪訝な表情になってきた


「もちろん、2つ…一緒に持ってきて」

「はい、かしこまりました」


ユノが店員の後ろ姿をしばらく見てから
チャンミンに視線を戻した

「男が2人でスムージーだっていいじゃねえか」

「………」

「なぁ?」

チャンミンはぎこちなく笑った

「うん…ほんと、いいじゃないですかね?」

「チャンミンはこういう甘いのが好きなのか?」

「そう…ですね、
友達が下界で流行ってるって」

「下界?」

「いや、ちがっ!…なんていうか、一般的に…」

「ふぅん」


やがて、マンゴースムージーが2つ運ばれて
それは2つとも、ユノの目の前に並べられた

店員が去るとチャンミンは急いでひとつを取って
自分の目の前に置いた。


上目遣いでユノの様子を伺ってみたけれど
ユノはそれについては特になにも感じなかったようだ。


チャンミンはひと匙氷の部分を掬って口にいれた

冷たくて甘い感触が口いっぱいに広がる


「美味しい!」


チャンミンが思わず大きな声を出すと
ユノがびっくりして顔を上げた

「甘くて…すごく美味しい」

満面の笑みのチャンミン

その笑顔を見てユノは一気に破顔した

「そうか?それはよかった
連れてきた甲斐がある」

ユノは優しく微笑んだ


優しいユノと美味しいスムージー
チャンミンは幸せで胸がいっぱいになった。


自分がなぜこんな存在で
いつからこんな使命を受けて仕事をしているのか

まったくわからない

自分が誰でどこから来たのか
それを知ろうとしたこともあったけれど

意味のないことに思えて
いつかやめてしまった


毎日、漠然と…悪いとされる人間の元へ行っては最期を看取り、死後に地獄へ連れて行く


たまにユノのように査定が必要な人間もいたけれど
チャンミンの査定はいつも辛口だった

悪い奴等にチャンミンの姿が見えることは滅多になく、
常にチャンミンは孤独だった。


「チャンミン」

「はい?」

「金、払うから。
こうやって外に連れ出すと追加料金だろ?」

「え?あ…僕ですか?」

「そうだよ」

「いりませんよ、プライベートですから」

「えっ?」

「プライベートでこうやって
僕自身が楽しんでるんですから」

「じゃあ…だけど、今夜あんなに抱いたのに…」

「タダです」

「ちょっ…タダって自分で言うかよ!
だけど…あの時間もプライベートって意味か?」


「……そうです」


「………」


「迷惑…ですか?」


「迷惑?」


「僕の意思でまたユノのところに来たんです
迷惑でしたか?」

「迷惑なもんか…」

ユノはどこか思いつめたような真剣な表情で。
けれど力強く言った


「それなら嬉しいです」

チャンミンはにっこりと笑った


チャンミンは本当に…嬉しかった

人間にはお金をもらって相手に身体を抱かせる仕事があることをチャンミンは知っている

お金がどういうもので、人間にとってどれだけの意味をもつものかもわかる

人間はお金で人間を抱くくせに
身体を売る人間を汚らわしく思うところがある


ユノが自分のことを、そんな風には思っていないようで
とっても嬉しい…


ユノは迷惑に思っていない…よね?


チャンミンの口の中にマンゴーの甘い香りが広がる


この気持ちはテミンがよく言うところの「幸せ」ってやつかな。

きっとそうだ


自然と頬が緩んで、にやけてしまう


「チャンミン」

「はい?」


見上げれば、ユノが今までにない優しい笑みを浮かべている


「俺、お前のこと好きだと思う」

「え…」

「迷惑か?客が好きだとか…」

「………」


チャンミンが黙っていると、ユノが少し不安そうな表情になった

チャンミンの心に警鐘が鳴った

それは確かだ

テミンの戒めるような表情も浮かんだ


だけど

それよりも、この美しい人が大好きだと思う気持ちのほうが勝った


ずっと一緒にいたいと…そしてその気持ちを伝えたいと強く思う

だから

「迷惑なわけないじゃないですか
僕だって、あなたが大好きなんですから」

ユノが少し驚いたような顔をした

「………」

「僕だって、あなたが大好きなんです」

「フフ…」

「なんで笑うんですか?」

「お前、そんなこと言うと…」

「?」

「これからラーメンでも食べに連れて行こうかと思ったのに」

「できたら、僕はラーメン屋さんではなく
またユノの家に行きたいんですけど」

「だから、また家に連れ帰って抱きたくなる。
そう言おうとしたんだよ」

「じゃ、そうしてください!ね?」


恥ずかしげもなく、自分の気持ちを素直に出す

そんなチャンミンがユノはたまらなく好きだと思った。

この存在が愛おしくて可愛くて


自分が心から誰かを恋しく思うなんて
ユノは今までも今後もないと思っていた

いきなり自分の心と人生に飛び込んで来たチャンミン



その夜…さっきまでの2人の体温がまだ感じられるようなベッドで

2人は再びキスをしていた


ユノはチャンミンの黒いシャツをゆっくりと脱がせて
なんどもその可愛い顔にキスをする

チャンミンは少し唇を開いたまま、
官能的にそのキスを受け止める

目を閉じたその瞼は長い睫毛が縁取り

それがゆっくりと開くと同時に

ユノはチャンミンを抱き込んでベッドに倒れた


何度も抱いたはずなのに

ユノは激しく取り乱し
汗ばみ…眉間にシワを寄せながら

チャンミンを抱いた

チャンミンがその白い首をユノに差し出すかのように
背中を仰け反らせると

ユノは獲物を前にした獰猛な生き物のように
その綺麗な首に食らいついた


泣くようなチャンミンの声が
次第に甘さを含み

ユノの苦しそうな吐息もまた
甘さを含んで、その濡れた声が掠れはじめる


愛し合ってはいけない2人が
月の光に照らされて

美しすぎるほど輝いて愛し合った


ユノに跨るチャンミンの背中には
真っ白な羽根が生えているように、ユノは錯覚した


チャンミン…

お前は天使なのかもしれないね


ひとりぼっちだった俺に

もしかしたら、ルカが…プレゼントしてくれた天使なのかもしれないね

いつまでも、過去に囚われて
押しつぶされるように生きている俺に

ルカが

もう、いいよヒョン、


と言ってくれているような気がする






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