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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋 1




フワフワとした雲の上

透き通るような金髪の巻き毛

白いロングブラウスの背中には
柔らかな羽根が生えている

そんなテミンが難しそうな顔で書類の束を見ている

ふと、その白い指が一枚の書類に触れた


「ヒョン!チャンミニヒョン!」


声は足元の雲に一瞬バウンドして
柔らかに跳ね返る


しばらくすると

何もない空間に、霧が現れた

雲の上に次第に上がってくる…
グレイからやがて漆黒の姿へとそれは変化した


黒いロングコートに黒いシャツ、そして黒いブーツ

柔らかな栗毛は少しテミンと似ているけれど
穏やかな、けれど固い表情はテミンのそれとは別だ。


「どうしたの?テミン」

「地獄行きみたい、これ」

テミンは指に挟んだ書類をヒラヒラと揺らしてみせた

「テミンではなく、僕の仕事?」

「地獄行きだって言ったでしょ」


黒装束のチャンミンがため息をつく。

「テミン、地獄ってはっきり言わないで」

「だって…」

「まだ決まったわけではないんだから」

「ヒョンが査定すればみんな真っ直ぐ地獄行き」

テミンがニコニコといたずらっぽく微笑む

「査定結果によっては地獄とは限らないよ」

「だって、サイテーだよ、この男」

「そうなんだ、じゃあ早く終わるかな」

「査定期間1ヶ月だって」

「残りの命が1ヶ月か。既に病気?」

「ちがう、事故死」」

「見せて」

テミンは書類をチャンミンに渡した


チョン・ユンホ
30歳
予定死因:落下事故により急死

幼き頃より盗みを働き、結婚詐欺の常習犯
現在、表面上無職
偽造パスポート作成で不法滞在の外国人より
高額な金額をせしめている


「なるほど」

チャンミンは書類を読むと二つ折りにして
胸ポケットにしまった

「さっさと片付けてくる」

「もし天国行きなら早目に連絡してね」

「それはなさそうだね」

「そんなに?」

「うん、騙された女性の泣き声がすでに
僕の耳に入ってくる」

チャンミンは目をギュッと閉じて
自分の胸に手を置いた


チャンミンの耳の奥に女性達の泣き声がこだまする

" 私がいなきゃ、ユノはだめなのに…"

" ユノの何がわかるの?彼には私がいないと…"


「みんな…可哀想に…
一番残酷なパターンで女性を捨ててると見た」

「そんなの、女の方にも隙があることも…」

「テミン」

チャンミンがたしなめると、テミンはバツが悪そうな顔をした。

「テミンは天使らしからぬ発言が多すぎるよ?」

「チャンミニヒョンも死神らしからぬ気遣いが多いと思うよ」

「死神って言うな」

「だって…」

「僕だって、立派な天使なんだ
悪人専門っていうだけで、テミンとは衣装も違いすぎるよ」

チャンミンは面白くなさそうにつぶやく


「下界へ降りるとよくわかるよ。
たまに僕たちが見える人いるでしょ?
僕のことは天使っていうけど、ヒョンは死神って言われてるし」

「納得いかないよ。
2人とも、亡くなる人間を導くことに変わりないのに」

「いつか、異動になるかもしれないしさ」

「この黒装束はテミンの方が似合いそうだ」

「どうだかね?」

ニッコリと微笑むテミンはまさに天使の笑顔だ


「じゃあ、行ってくるよ」

「はーい、気をつけてね」


チャンミンは雲の切れ間から下界へと降りて行った

時間は夜

チョン・ユンホの住まいを見つけた

崩れそうなボロ小屋

不法入国者から金を巻き上げてるはずなのに
家には金をかけないタイプか。


チャンミンはその家のドアの前に立ち
そっとドアをすり抜けようとしたその時

いきなり目の前のドアが開いた

「!」

真正面からチョン・ユンホと向き合う形となったチャンミンは驚いて目を大きく見開いた


「へぇー」

チョン・ユンホはチャンミンを見てニヤッと微笑んだ

スッキリと細い顔、涼しげで整った目鼻立ち
背は高く、身体は程よく筋肉質で締まっている


え?

見えている?僕が?

確実に視線が合っている


「いいね、可愛いよ。新入り?」

「はい?」

「お前の店はいいの取り揃えてるねー相変わらず」

「あの…」

「ま、いいから入って」

チャンミンは腕を引っ張られ、ボロ屋の中に引きずり込まれた

「ちょっ!!!」

崩れそうにドアが閉まる

チャンミンの目の前にチョン・ユンホの顔がある

「前金?」

「え?」

「ユノって呼んで。金は後でいいのか?」

「あの…ユノは…僕が見えてます?」

「なんだよ、天然キャラか?いいねー♬」

ユノはチャンミンの顔を両手で押さえ込み
耳元でそっと囁いた


「キスは禁止なの知ってるけど、いいよね?」

「え?キ…ん!!」

チャンミンはいきなりユノに唇をキスで塞がれた

目を白黒させてもがくチャンミンの口の中に
容赦なくユノの舌が入り込む

「ん……」

その時、チャンミンの心に一瞬だけ
とてつもない「寂しさ」が流れ込んできた

これは、この男の…寂しさ?

唇を離してくれたかと思ったら
今度は抱きしめられた

「あ、あの…ちょっと…」

「緊張してるね、この仕事はじめて?」

「仕事?」

「大丈夫、俺、優しいから」

「何がですか?」

「もう、可愛いんだから、たまんないね」

ニヤニヤと笑いながら

ユノはチャンミンの黒いシャツのボタンに手をかける

「な、なにしてるんですか?」

「言わないとダメ?
あ、そういうプレイ?」

「シャツのボタンを外されてるのはわかりますけど
なんのために?」

みるみるボタンは外され
チャンミンは上半身裸にされてしまった

チャンミンのカラダを驚いたようにユノが見つめる
そして感嘆のため息をついた


「なんのためにって…
いちいち言葉にしてほしいタイプ?」

「そりゃ…」

ユノの手がチャンミンの裸の腰にまわる

「ひぇっ!」

「ほんとに綺麗だよ
いくらでも言ってあげる」

そう呟くと
ユノの切れ長の瞳がチャンミンの横顔に近づく
そして唇がチャンミンの耳を襲う

「あ、あのっ!」

そして、チャンミンはユノの硬いベッドに沈められた




ギシっという音でチャンミンは目が覚めた

古いベッドがユノが起き上がった拍子に
大きく傾いたのだ。

横たわるチャンミンの背中で
ユノがあくびをするのが聞こえる


チャンミンの目の前には
教会で使う子供用の椅子がある

ユノがベッドの上でチャンミンを跨ぐと
さらにベッドが傾いだ

チャンミンの視界に
裸にトランクスだけのユノがキッチンに行くのが見えた

背中の筋肉が逞しく盛り上がる

小さな冷蔵庫からユノがペットボトルを2つとって乱暴に締めると、古い冷蔵庫のモーター音がおかしな音になった。

ユノがベッドに近づいて、
木の椅子にペットボトルを1つ置いた

「飲みな」

チャンミンはその言葉には返事をせず
再び目を閉じた

ユノがガサガサと何か音を立てている

「はい、これ」

チャンミンがもう一度目を開けると
目の前の木の椅子の上に数枚の札があった

「名前なんだっけ」

「…チャンミンです」

「チャンミン、すげぇ良かったよ。
また指名するから」


「………」

「俺、出かけるけど
そのまま帰っていいから」

「鍵は…」

「そんなのいいよ」

そう言い捨てて、ユノがボロ屋から出て行った


チャンミンはゆっくりと髪をかきあげて
ベッドから半身を起こした

あーー

まずい…お咎めは免れないな

人間と…交わってしまった…

僕としたことが…

しかも…これから地獄へ誘導しなければならないのに
そんな相手と…


あーーー!もう!


チャンミンはまたばったりと
硬いベッドに倒れた





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こんにちは、百海です

台風がいくつも生まれる不思議な夏ですね
いかがお過ごしですか?

新しいお話がはじまりました。
最近、ほんとにファンタジーづいていて
描いていて楽しくてしかたないので、またファンタジーです

ちょうど韓国ドラマの「トッケビ 」にハマっていたところで、大好きな映画「ベルリン・天使の詩」をなぜか想い出してしまい、こんなお話を描いてみたくなりました。

チャンミンは天使ですが、
亡くなった人間を天国ではなく、地獄へ導く役目を担っています。
詐欺や偽造を働くユノを地獄へ導くべく下界に降りたチャンミンは、そんなユノに恋をしてしまいます。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです
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