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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜15〜



取り調べとはいえ、犯罪者というわけではなく
微妙な立場のチャンミンを
調査官たちはどうやって責めようか、考えあぐねていた。

当のチャンミンは動じることなく
平然と椅子に座り、まわりの調査官を見渡す

ともすれば、傲慢と思われてしまいそうなその態度

精神的な攻防戦がはじまった


************


ユノは1人別荘に残り
しばらく呆然としていた。

チャンミンがいなくなったことを
自分なりに受け止めようとしていた


いい方向に行っているんだ

ユノはそう思えるように
様々なことを考えていた



付けっ放しのテレビでは
シム家の経営について、評論家が好き勝手を語っている。

しばらくそんな時間が過ぎて

チャイムが鳴って、ハッとしたユノの元に訪れたのは
ソクジンだった

「ぼっちゃまをありがとうございました」

「俺は何も…1人で行ってしまったよ」

「はい、テレビで拝見いたしました。
立派なお姿でした」

「…うん」

「堂々としたお姿は大旦那様にそっくりで」

「大旦那様?」

「ぼっちゃまの曾祖父様です。
お見かけしたのは、私がかなり若い頃ですが。
今のシム家を作られた方です。」

「チャンミンは今までお気楽な三代目って感じだったけど、今日は風格があった」

「変わられたんですよ、ぼっちゃまは。」

「相変わらず可愛いけど」

「それはユンホ様の前だからで…」

「え?」

「いや、なんでもございません」

ユノはためいきをついた

「チャンミンは戻ってこれるだろうか」

「そんなぼっちゃまですから、大丈夫ですよ
意外にお強いんです」

「書類を見た限り、罪に問われるようなことはなさそうだけど」

「旦那様は、今回の暴落で誰かが路頭に迷うようなことはされてません。だからこそご自分が犠牲になり、
家族がバラバラに…」

ソクジンは声をつまらせた。

「ああ、さすがだと思った。
チャンミンはもう贅沢はできないけれど
生きていく糧は残してくれて」

「はい…しかしながら…あまりにぼっちゃまが可哀想で…」

「ソクジンさん」

「はい」

「俺ね、チャンミンに何も持たない人生の楽しさってのも教えてやりたいんだ」

「はぁ」

「自由だろ、少なくとも」

「ぼっちゃまはそういうのに慣れておりませんから」

「これからは普通の生活をしなくちゃいけないんだし」

「そうでございますね…ユンホ様だけが頼りです」

「俺は…なんか嬉しいよ」

「は?」

「いや、たしかに大きなトラブルだけどさ
俺たちにとってはね、怪我の功名」

「どうかよろしくお願いいたします」

ソクジンは丁寧に頭を下げた




チャンミンと調査官との攻防戦は
2日目を迎えていた

「仮眠室とやらのベッドはなんですか?あれ」

チャンミンは腰を押さえながら文句を言った

「人間が寝る場所ではありません」

「……」

昨日から散々毒舌を吐いて
調査官の怒りスイッチを押しまくっているチャンミンだった。

「シム・チャンミン。今日はあなた自身の資産その他について、確認します。」

「お調べいただいた通りです」

「なぜバスケチームがあなたの所有に?」

「私が生活していく術です。
私が所有しても誰にも迷惑をかけない資産です」

「………」

ユノと数日間、ただキスして抱き合ってたわけではない

書類を丹念に調べ、ユノが調査官に突っ込まれた時の
かわし方を考えてくれた。

運動神経がいいと頭もいいのだろうか。
書類を一瞥しただけで、その中身を理解し、
ほかの事情と組み立てて考えることができる

惚れ惚れするユノの頭の回転の良さ

もう、本当に大好き

思わずチャンミンはユノを思い出し微笑んでしまった


「うまく話を組み立てたなぁ、シムさん。
あのバスケ崩れの色男の口添えですか?」


その言葉にチャンミンの中の何かが切れた


「今、なんと言いましたか?」

「一緒に暮らしてるんですよね?
わかってますよ」

「あなたは調査官の割に、人の言ったことが理解できないようですね。
なんと言ったか?と聞いてるんです」

「えっ…」

「もう一度言ってください。
そして、そこの書記官は今言った言葉はもちろん書き留めてますよね?」

書記官が慌てた

「まさか?昨日から散々民間人の私を罵倒した言葉を
まったく書き留めていないのですか?」

「そっ、それは…」

チャンミンは調査官に向き直った

「さあ、もう一度はっきりと言ってください」

「何も言ってないよ。
だから、書記官は何も書いていないんだ」

調査官は得意げに言い放った


チャンミンは大きくため息をついた

そして、アスコットタイの中から
小さな録音機器を取り出してスイッチを入れた


" うまく話を組み立てたなぁ、シムさん。
あのバスケ崩れの色男の口添えですか?"

先ほど言った言葉が再生されて
調査官は青ざめた

「昨日は私の父についても、調査官らしからぬ
表現をされてました。お聞かせしましょうか?」

「………」

「まあ、いいでしょう。
調査官の言葉を録音するようにというのは
その色男の口添えです。」

「え?」

「けれど、バスケ崩れと言ったことは
チームのオーナーとして、彼のパートナーとして
許せません」

「どうするっていうんだ」

「訴えます」

「は?何言ってるんだ
これから、貴様が訴えられる立場なんだぞ?」

「それではお伺いしますが、昨日から今日にかけて
お話してきた中に、私の落ち度はありましたか?」

「それは…これから…」

調査官の額に脂汗が浮かぶ

「あなたは私を虐めたいだけ。
なぜだかわかりますか?」

「………」

「あなたは寂しい人なんです
哀れです」

「さ、寂しい?なんで俺が?!」

思わず立ち上がった調査官を、書記官が慌てて止めた

チャンミンはゆっくりと調査官を睨む

「あなたには愛がないんです」

「は??愛??」

「愛と聞いて、そんな変な声が出るほど
あなたに縁遠いものなんですね」

調査官の額に血管が浮かぶ

「見ていろ!絶対吊るし上げてやる」

「それなら、あのベッドを変えてください。
そうしたら、私は何日でも付き合いますよ?」

「くっ……」

「隅々まで調べたって何も出てきません
なにしろ、あなたと違って、私には愛がありますから」

「何をわけのわからないことを…」


それから、何日もチャンミンはユノの元に帰らなかった

ユノとソクジンはさすがに心配になって

チャンミンが隔離されている施設へ行った

対応した係の人間の対応は冷たかった


「拘束理由を教えてください」

ユノが真正面から向き合った

「まだ調べが終わってないんですよ」

「では面会を」

「それは許可できません」

「なぜ?」

「入れ知恵されるようなことがあっては
困ります」

「俺が?」

「そうです」

「お前に入れ知恵してやろうか」

「何を言ってるのか理解できません」

「俺はお前の上司に会ったことがある」

「上司?長官ですか?」

「ああ、そうだよ。
会員制のサロンでね」

「………」

男の視線が少し泳ぎ
後ろにいた部下が部屋から走り出て行った。

こりゃ相当ウラがある上司なんだな


ユノが男の耳元に口を寄せた

「そのサロンで何があったか
毎晩、何が繰り広げられていたか、知りたくないか?」


「ユノ!」


いきなり大きな声で呼びかけられて
ユノはびっくりして振り向いた

「チャンミン!」

そこには仁王立ちで睨むチャンミンが立っていた

ユノの顔がぱーっと笑顔になった


「ユノ、何してるの、その男と」

「え?」

チャンミンは俺に会えてうれしくないのか

「好み?その男」

係の男がびっくりして、ユノから離れた

「おいおい、とんでもないこと言うなよ
俺はチャンミンを解放してもらうために
ハッタリかましてたんだぜ」

ハッタリと聞いて、まわりの男たちは一様に悔しそうな顔をした。

「チャンミン!」

ユノは手を広げた

むぅっとムクれるチャンミン

「ほら、会いたかったよ!
抱きしめさせてくれ」

満面の笑みでチャンミンを包み込もうとするユノ

ムクれていたチャンミンの口元が大きく歪んで
眉が垂れ下がり、その大きな瞳から涙がポロポロと流れ落ちた

「チャンミン…」

「もう!早く迎えにきてよっ!遅いよっ!」

チャンミンがユノに体当たりするように
その胸に抱きついた

「そんなにぶつかってきても、俺はびくともしないよ」

ユノが泣きじゃくるチャンミンの髪を撫でた







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百海です。

このところ20時にアップ出来ない日があり
申し訳ございません。

明日は最終回になります。

台風が近づいているようです。
皆さま、気をつけてくださいね
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