FC2ブログ
プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜13〜

「大丈夫か?チャンミン」

ユノが泣きじゃくるチャンミンの耳元で囁く

「うん」

「不安だったんだろ?」

「………」

「昨日…あんなに怖がってたのに
俺、気づかなくてごめんな」

「ごめんね、会社とか本当にごめん」

「大丈夫だよ」

「大丈夫なわけない」

チャンミンの目からポロポロと涙がこぼれる

「全部自分で背負い込まないで
俺が一緒に考えてやるから」

「もう僕はなにもユノに与えてあげられなくなっちゃった」

「チャンミン…」

「喜ばせられない…もう何もない…意味のない僕だよ」

ユノはぎゅーっとチャンミンを抱きしめて
深いため息をついた。

「昨日、俺があれだけ言ったのに
なんにも伝わってないね」

「だってさ…外を見たでしょう?
みんなが僕を責めてるんだよ」

「だから?」

「だから…」

「世界の全員がお前の敵でも
俺はお前の味方だよ」

「ユノ…」

「アハハ…カッコいいな、俺」

「………」

「大丈夫。もう1人じゃないよ」

「もう僕には何もないのに?」

「俺たちには愛ってヤツがあるんだ
それでなんでも解決できる」

「あんな付き合い方だったのに
愛なんて…」

「俺にはあったよ。
お前にもあっただろ?」

「………」

「世界に5個しかない時計なのに
あんな風にメッセージ入れちゃって」

「あ…」

「あの一流ブランドにワガママ言ったんだろ
メッセージ入れろって」

「だって…」

「お前がシム家の御曹司だからって
あのブランドが言うこと聞いてくれるわけないよ。」

「だって…」

「ああいうところは金じゃなくてプライドだ。
どうやって押し通したの」

「ユノの事を話したの」

「え?」

「なにがあってもメッセージは絶対入れられないって言われて」

「うん」

「ユノの事がどれだ好きなのか話した。
ブランド担当者に3週間くらい毎日」

「3週間?!毎日?!」

「そう。もうデパートの外商や営業が役に立たなくて
自分で直接言いに行った」

「相手は折れたのか」

「最後は…職人を紹介してくれた。
でも笑ってたよ。今度そのユノさんに会わせてほしいって言ってた」

「どうしてそこまでして…」

「ユノが初めてモノに興味を示したから」

「え?そう?」

「うん、はじめて、これいいなって…そう言ったんだ」

「そうなのか…」

「そういうの買ってあげるしか、僕はできなかったから」

ユノがチャンミンの髪を撫でる

「今はもう…それさえできないけど…」

「俺はチャンミンがチャンミンなら他になにもなくていいよ」

見上げれば、ユノの優しい瞳がチャンミンを包む


少し…歩き出してみようか…

今朝からずっとマスコミが外を張っていて
チャンミンは怖くて震えていた…

ユノには一切迷惑をかけないつもりでいたけれど
こうやって抱きしめてもらっていると、心から安心できて
恐怖感が波がひくように消えていく

「俺、バスケのコーチの話、引き受けるから」

「ほんと?」

「人気のチームにして見せるよ。
お前がせっかく残してくれたんだし」

「ありがとう…ユノ…」

「騒ぎはきっとそう簡単には収まらない…
しばらくここにいよう」

「でもお父様が矢面にたたされているのに
僕だけが何もできないなんて…」

「……」

「じゃあ、表にでてみるか?」

「えっ?」

「外に出たらバンビを襲うハイエナのように
マスコミが押し寄せるぞ」

「……」

チャンミンに父親から連絡があった。

しばらくしたら「事情聴取」という形で
外にでなくてはいけないようだった

マスコミと違って正々堂々とチャンミンを奪いに来る

それなら今は…少しだけユノと2人だけで過ごさせてほしい

話を聞いているユノはとても不安そうで
チャンミンは怖くなったけれど

ひと通り理解すると、ユノは覚悟を決めたように微笑んだ

「事情聴取なんて怖くないよ
知らないことは知らないと正直に言えばいいだけだ」

「知ってることは?」

「言う必要ないよ」

「……わかった」

それから二人は常に体を離すことなく一緒に過ごした

料理をするユノの背中にはチャンミンがしがみつき
テレビを見るチャンミンをユノが後ろから抱きしめる

ともにシャワーを浴び、夜になれば愛し合い
昼間は長い時間語り合った

密度の濃い時間…

「最初からこんなふうにユノと過ごせばよかった」

チャンミンは唇をへの字に曲げる

そんなチャンミンを世界一かわいいと思うユノ

そしてそんなユノが世界一大好きなチャンミン

幸せな二人のもとに、現実の足音は聞こえなかった




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
検索フォーム
ブロとも申請フォーム