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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜7〜



仲間に見送られてユノは体育館を出る。

「早く俺たちのコーチとして、ここに戻ってこいよ」

「ああ、絶対戻ってくるから」

「待ってるぞ!」


ユノは胸が熱くなった。

ついこの間まで、苦楽を共にしていた仲間だ。
違う世界に行ってしまったのに、俺を忘れないでくれた。

ユノはしみじみと時計の入った箱をながめた


そういえば

あれ?

チャンミンは?

ユノは体育館を囲む道路でチャンミンの車を探した

迎えに来なくていいって言ったけど
絶対来ると息巻いていたのに

どうしたんだろ

仕方なくユノはタクシーでマンションに帰った

もしかしたら、俺の部屋に来てるのかもしれない…


でも
チャンミンは来ていなかった

ユノはジャージに着替えると、チャンミンにスマホで連絡をとった。


「はい」

「チャンミン、今日迎えに来るんじゃなかったの」

「来なくていいって、ユノ言ってたでしょ?」

「だけど、そう言ってもいつもは…」

「来なくていいって言われてるのに、わざわざ行かないよ」

「チャンミン…」

いつもと違う、チャンミンの冷静な声。


もしかして…俺…とうとう飽きられたのかな

ふとユノは身震いがした

いつかはこんな日が来ると…
覚悟はしていた…

もしも…

その時はサラッと湿度低く去ろう

ユノはそう決めていた

少なくとも、チャンミンの記憶の中に
カッコいい自分だけを残して去りたい

「ユノ…」

「え?」

「今度…話したいことがある」


ほら来た!


「だから、今度…」

ユノは着ているパーカの胸を思わず掴んだ

「今、言えよ」

「は?」

「言いたいことがあるなら、今言えよ」

「……」

スマホの奥から、チャンミンのため息が聞こえた

「ユノ、渡すものもあるので、それと合わせて話を」

「……何か事務的なことか」

「それもある」

「事務的な事以外にも話があるのか」

「ユノ、心配しないで」

「心配?俺が?なんの心配?」

「うん、何も心配することないから大丈夫」


何が大丈夫なもんか!

きっと手切れ金とかそう言う話だろ
ふざけんな…

「だから僕のために時間を作って。
今度の日曜日、少し遠出をしようよ」

「遠出?思い出づくりをしようって話か?」

ユノはまくし立てた

「え?なに?」

「いや、なんでもない!」

なにを言ってるんだ、俺は…


「ユノ、なにかあった?」

「別に…いや、お前がここに来てるかと思って、あ、いや」

「あなたの部屋に?」

「いや、別にそんなのは…」

ユノはもう支離滅裂だった


「それで怒ってるの?
あ、ユノは僕に何か用事があった?」

「用事なんか、ない」

「そう?」

「俺からお前に用事なんかないよ」

「……あ…そう…」

「……」

「とにかく、日曜は空けておいてね」


ユノから僕に用事なんてない…


わかってるけどさ


僕にはあるんだ



翌日、会社へ出勤すると
ユノは相変わらず忙しそうに働いていた

あれこれと社員に指示を出して
的確に仕事をこなす

コネで入ってきたとは思えないユノ

十分に職場に馴染み、人望も厚い


チャンミンはひっそりとデスクの荷物を片付けはじめた。赴任してきたばかりで特に大きな荷物もない

そんな様子にユノが気付いた


「なにやってんのお前」

「片付けです。辞令が下りて」

「辞令?」

「異動ですよ、本社に戻ります。
知らなかったんですか?課長なのに」

「聞いてないよ」

「そうですか」

「ちょっとこっちへ」

ユノはチャンミンの腕を取って椅子から引っ張り上げた

「なっ…」

そのままユノに連れて行かれるチャンミンを
営業部の社員が見て見ぬ振りをしつつ、見送った。

非常階段の踊り場まで連れてこられたチャンミンは
ユノに隅まで追い詰められた

そのクールな顔がチャンミンの鼻先にあって
キスしてきそうな勢いだ


「異動って、自分で決めたんだろ」

「まあね、発動権は僕にあるから」

「………どうして?」

「どうしてって…」

ユノが睨むようにチャンミンを見つめる

スッと切れ上がった目尻がとても綺麗だ

あの頭取がユノを豹だと言ってたけど
ほんとに豹みたいだね、とても綺麗な豹…


チャンミンはじっとユノの瞳を見つめた
ユノも負けずに見つめ返す


「俺に…飽きた?」

「え?」

その意外な言葉に、チャンミンは驚いた

ユノの瞳が一瞬縋るように見えたのは気のせいか


「他に…新しいオモチャでも見つけたか?」

「は?オモチャ?」

ユノが何を言っているのか、わからない…

「新しい男でもできた?
それならそれでいいぜ?」

「えっと……」

「お役御免ならさっさと引き下がるよ
だけどな、そうなら早めにハッキリ言って欲しい」

「お役……御免…?」

「部屋を探したり、いろいろあるしさ、
今、どっぷりと世話になってるから、早めに行動したいよ、わかるだろ?」

「新しいオモチャって…ユノは僕にとってオモチャだって言うの?」

ハッとユノは笑った

「オモチャじゃなくて、なんだって言うんだよ?
まさか本命の恋人だとか、そんなんじゃないクセに」

「ユノ…」

捨てられる不安に駆られたユノは
興奮して言葉が止まらない

「ユノ…昨日から変だよ。
すぐそうやって興奮して突っかかってくる」

「こ、興奮なんか…」

「いつも冷静なのに」

イヤになるくらい、冷静なのに…

「出て行くとか、一人でどんどん話進めてさ…」

「……」

「………」

「とにかく、早めに言って欲しいんだよ。
グズグズするのは嫌だ!」

「………」

「………」


「ユノは…」

「あ?」

「なんかさ、こう…」

「なんだよ」


僕に未練とか…ないの…


たしかに…ユノを解放してあげようと
思ってたよ

それがあなたにとって一番いいこと。

あなたが喜ぶことをしてあげたかったんだ

僕も…あのチームの仲間みたいにね
ユノが泣くほど喜ぶことを…


「なんだよ、言いたいことさっさと言えよ」

ユノはもう怖くて仕方なかった

まるで怯えた子犬が吠えまくるように
チャンミンにつっかかった。

チャンミンはユノと喧嘩になることを避けたかった。

「わかったよ、ユノ。
これで今度の日曜に持っていく書類が増えた」

チャンミンはキッと唇をひき結んだ

「書類?」

「うん、お望みなら今度の日曜にいろいろスッキリさせよう」

「チャンミン…」

「それがあなたの望みでしょ?
さっさと済ませたいんでしょ?」


自分で半分こんな事態にしておきながら
ユノは打ちのめされた

やっぱり

自分で出て行く、なんて啖呵切ったものの
こうやって言われると、悲しくて怖くて足が震える

とうとう恐れていた時が来たのだ

覚悟を決めなきゃいけないんだ…ユンホ…


「わかった…じゃあ日曜に」

できるだけ、サラリと言ったつもりだった

ユノはくるりと踵を返して非常階段から出て行った。
ドアは重い金属音を立てて閉まる。


チャンミンはため息をついた

わかって…いたじゃないか…

ユノは僕が離れようとしても
なんとも思わないんだ

当たり前だ

なんでも金だコネだと、そんなものを振りかざしては
ユノを縛り付けていたのは僕だ。

最低…

僕自身に未練なんかないに決まってる


暗い非常階段に残されたチャンミンは
そこでひとしきり泣いた

こんなにも、ユノのことが好きになっていたなんて

本当はとっくに気づいてた


僕はあなたが大好き
ユノを愛してる






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こんばんは、百海です。
「そこに愛はあるか〜7〜」はあまりにお話が長くなってしまったため、8時15分に途中でカットしました。
ごめんなさい。
明日分に加筆してアップしますね。
この15分に読まれた方はびっくりですよね(^◇^;)
すみません
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