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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜3〜


バスケのコーチングが終わったユノが体育館の方から仲間と出てきた。


ソクジンがチャンミンに伝える
「ユンホ様がお見えになりましたね」

「うん、わかってる」

ソクジンがライトを点滅させて合図をした。


「あーやれやれ」

ユノがチャンミンの車に乗り込んだ

まだプロチームのコーチはできないけれど
会社のバスケ同好会でみんなをみてやっている。


ドカッと高級なシートに座り込んだユノに
チャンミンが怪訝な顔をする

「汗臭いな、課長」

「そうか?じゃ前の座席に乗るか」

座席のドアに手をかけたユノの手を
チャンミンが掴んだ

「そういうことではないです」

ユノがニヤッと笑う
チャンミンの顔は真剣だ。

「帰ったらすぐシャワーを浴びて」

「はいはい」

ユノは後部座席のクッションに身体を戻した。


「今日はサロンへ行くんだから」

「え?そうだっけ?
今日は部員たちと飲みに行く約束してるけど」

「それは断って。
ユノを面倒みてるのは僕だから、あなたに自由はないんだからね」

「すげぇ縛りだなぁ」

「当然だよ」

「はいはい」

ユノは面倒くさそうにため息をついてみせた。


「それより、うちの部署はどう?」

「僕が経営者だってことは…」

「それは社員に言ってないよ。馴染めそうか?」



チャンミンは軽くユノを睨んだ

「女子と仲良くなって、早速いい話を聞いた」

「いい話?」

「ナナっていう子の自慢話」

「あー俺がキスした話?」

「記憶あるんだ」

「ないよ、本人から後で聞いた」

「ふぅん、珍しいね、あなたが記憶なくすほど飲むなんて」

「俺にもそういう日があるんだよ」

「そういう日って、どういう日?」

「たとえば、せっかく慣れた職場を
ぼっちゃまのヤキモチでカンタンに変えられちゃった日とか」

「………」

「みんなとも仲良くなりはじめてたのに」

「その仲良くすることが問題です」

「ナナの件で、俺、また異動なの?」

ユノが面倒臭そうにチャンミンをみた。

「……今後も何かあるようなら考える」

「なんでも仰せの通りにしてるだろ
何がご不満なんだよ」

「………」


「ちっ」

何も答えないチャンミンにユノが呆れてため息をつくと
運転するソクジンもひとりため息をついた。


しばらく走ると車はタワーマンションのエントランスに滑り込んだ

この豪華なマンションはいわゆるユノの「寮」だ。

もちろんチャンミンがユノのために用意した。

「じゃ、後で」

ユノがさっさと車を降りると
あわててチャンミンも車を降りた

「ぼっちゃま」

ソクジンが嗜めるようにチャンミンを呼ぶ

「爺は帰ってて、僕はユノと話があるから」

「旦那様に挨拶をなさってから
お出かけになってください」

「爺…」

チャンミンの眉がハの字に下がる

はじまった…

そう気づいたソクジンは視線を逸らした

この美しいぼっちゃまのおねだり顔には
恐ろしき魔力があることをソクジンは知っていた。

じっと見ていては魔法にかけられてしまうのだ。

「パパにはボクから電話しておくから、ね?」

キラキラした大きなひとみと
ハイトーンボイス

「だから、適当に言っておいて。お願いだから」

甘えたようにソクジンを見つめるチャンミンに
ユノも思わず見惚れてしまう

少し首をかしげて
唇を気持ちへの字に曲げる

可愛い

とにかく可愛いのだ

ユノを上回る身長があり、最近はかなり鍛え上げて
筋肉もつけている。

それなのに、可愛くてたまらない


見惚れていたユノはハッと我に帰り、慌てて取り繕った。

「お、お前が家に帰っても俺のとこ寄っても
俺はどっちでもいいけど」


その言葉にチャンミンがユノを見れば
ユノはとても面倒くさそうな表情をしていた。

ソクジンが何度目かのため息をついて
車に戻った。

「それではユンホ様、よろしくお願いします
わたくしは帰りますので」

「あ、はい、お疲れさまでした」

ユノはソクジンに明るく手を振った


そんなユノを見てチャンミンは思う

ユノは飼い主の愛情を上手に利用して
優雅に生きる猫のようだ

飼い主の言いなりになっているようでも
決して誰のものにもならない気高い猫

そしてユノは思う

チャンミンはすべてを意のままにする
きまぐれな猫のようだ。

与えられたおもちゃが気に入らなければ見向きもしない
ちょっと気に入っても少し遊べば飽きる

そんな仔猫にとって、実は生きているネズミなんかのほうがとても気になるものだ。
捕まえられなくて尚更興味をそそる。

だからユノは思う。

自分はネズミでいなくてはならない。
捕まえられないすばしこいネズミ

でも、だからと言って、そばを離れたらダメなのだ
このわがままな仔猫は視界に入らないものには興味がない。

ユノは常にチャンミンの視界に入ろうと努めながら
チャンミンに興味がないフリをする。

本当はこの可愛いチャンミンに
どっぷりとハマっているのに



ユノを繋ぎとめておくために
財力にモノを言わせ、欲しがるものを与えて束縛するチャンミンと

チャンミンが興味を失わないように
そっけない態度で追わせようとするユノ

なんの意味もない滑稽な関係

それでも2人は必死だった。


部屋に入るやいなや、

ユノはふいにチャンミンを抱きしめた

「うわ」

普段見られないがっついたユノの態度に
チャンミンのテンションが上がる


「僕に会いたかったとか?」

ユノの身体を受け止めながら
チャンミンが可愛く微笑む

とっても嬉しそうだ


「会いたい?別にそういうわけじゃない」

「じゃ、なんでシャワーも浴びずに抱きしめたりするの」

「シたいから」

「僕を抱きたい?」

自信有り気にチャンミンが聞く


「正直誰でもいい。抱かせてくれたら」

「……」

チャンミンは少し悲しそうな顔をした。

「ユノは…」

「ん?」

「ユノはほんとうに人を好きになったことがないんだね」

「なーに言ってんだよ、俺はチャンミンぼっちゃまが大好き」

「……」

「なんで僕のことが大好きか知ってるよ」

「そう?」

「僕のお金と地位ってやつでしょ?」

「………」

「人聞きの悪いこと言うなぁ………セックスも楽しませてもらってるよ。」

「そっちですか…」

「お前も楽しんでるだろ?」

「ええ、楽しんでますよ。
いい仕事をしてくれたら、その分はきっちり払う」

「俺もしっかり貢いでくれたら、きっちり応える」


チャンミンは丁寧にネクタイをとりながら
ため息をついた

ユノがその首元に長い指を這わせて手伝う


「シてからサロン行くか?」

「いや、いいです。」

「ふぅん」

「……」

「お前さ」

「はい?」

「俺のこと、ほんとに人を好きになったことないなんて言ったけど」

「うん」

「チャンミンはどうなんだよ」

「……」

「ほんとに人を好きになったことなんて
あんのか?」

「たぶん、ない」

「だろうな」


へへっとユノが笑った。

チャンミンが不意にユノの腕を掴んで引っ張った

「なっ!」

「やっぱり1回セックスしてから、サロンに行く」

「え?」

ユノは半分引きずられるようにして
チャンミンに寝室に連れて行かれた。


誘ったのはチャンミンだったのに


その日はいつになく
ユノは激しかった

ユノの熱い吐息がチャンミンの肌の上を滑り
密着した肌も熱く艶かしい

たまに目があった時のユノのそれが
あまりに真剣で…悲しく見えるほど真剣で


自分をキツく抱きしめるユノを受け止めながら
チャンミンは天井を見つめていた

もしかしたら、僕は愛されている?

ふと、そんな風に勘違いしてしまいそうだよ

だって…

こんなに…



ユノがシャワーから出てくると
チャンミンはまだベッドにいてニコニコとしている

可愛い

ユノはそう思うと同時に視線を逸らした

「お前、シャワー浴びないの?
サロン行くんだろ?」

「もう、今日はユノすごいんだもん。
すぐに立ち上がれないよぉ」

そう言ってヘラヘラと笑うチャンミンは
抱きしめたくなる可愛さだ。

「ちょっとキツすぎた?
以後気をつけますよ」

こんな言い方しかできない

ユノは自分で言いながら落ち込んだ

ふと見ると、チャンミンは下を向いてシーツをいじっている。

さっきまであんなにニコニコしてたのに
急に黙って、唇を引きむすんでいる。

「?」

チャンミンは急にパッと立ち上がり
シャワーを浴びにいった


どうしたんだろう


ザーザーと大きな音を立てながら
イラついたようにシャワーを浴びて

チャンミンは乱暴にドアを開けて出てきた

「何か、気に障った?」

ユノがチャンミンの行く手を阻むように
立ちふさがった

チャンミンがユノを睨みつけた

「別に。でもあなたの言う通り
今度からは今日みたいにキツイのはやめて」

「なっ…」

「翌日に響くし」

「…嬉しそうに見えたけど」

ユノがボソッと思わず口走ってしまった

「は?」

「……」

「嬉しそうって、僕が?」

チャンミンが目を見開いて
ユノの顔を覗き込んだ

そして、天井をみてハハッと笑った

「何言ってるの
僕があなたくらいのスキルで喜ぶとでも?」

「………」

「冗談でしょ」

「………」

「バカな事言ってないで、出かけるよ」

次から次へと口から出る自分の言葉に
チャンミンは嫌気が差していた

少しムッとしているユノを見て

チャンミンは悲しくなった

だって

あんなに激しく抱いてくれたあの時間に

愛なんか、なかったんだ





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