FC2ブログ
プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜2



ユノとの出会い…

それはチャンミンの、いや、正しくはチャンミンの一族が所有するプロバスケチームの監督が、挨拶に来た日だった。

シム家はこの国の3本の指にはいる財閥で
会社や様々な団体を数えきれないほど所有していた。

そのうちのひとつに小さなプロバスケチームがあった。

シム・チャンミンはいわゆる「三代目」というお気楽な立場で、
生まれた時から既に全てを所有し、周囲がなんでもしてくれる恵まれた環境にあった。

そんなチャンミンに父親がそのバスケチームを任せるという。

「いらない、バスケなんて」


バスケットボールがあまり盛んではないこの国で
プロバスケチームとやらがどれほどのステータスなのか。

「オーナーなんてカタチだけだ、とにかく監督が直々に挨拶したいというのだから、顔を出すんだ」

とりあえず今日挨拶するだけか。
チャンミンはそれでもムクれてみせた。


「みんなが面倒だから、僕に押し付けるんでしょう?」

「評判はいいチームだ。ものにしておいて悪くないぞ。
またグループの誰かに持っていかれてしまう」

シム・グループのだれか。

親戚とは名ばかりのハイエナたち。


あ、

そういえば…

ハッとチャンミンは何かを思い出して
ソファーから半身を起こした。

「あー!たしか、優秀な選手がケガかなんかして
引退するって」

「ああ、国際大会も視野に入っていたらしいが。
たぶんその選手も来るぞ」

「ふーん、だったらちょっと顔だしてもいいかな」

チャンミンにしてみたら、その選手を見てみようか?
そんな興味本位だった。

チームの運営なんてまるで興味はない

せっかく父親が、勉強のために運営を任せてくれようとしているのに。


やがて、バスケチームの監督がその選手を連れてやって来た



「チョン・ユンホです。」


その低く甘い声に、チャンミンは一瞬にして囚われた


チョン…ユンホ…


背が高く、
がっしりとしているけれどスマートな体躯

広く厚みのある胸にスーツがよく似合う。

長い首に小さな顔

凛々しく整ったパーツが
その中に絶妙なバランスで納められている。

年の頃、20代の半ばか。
纏う雰囲気はもう少し歳上な気もする

スポーツをしているせいか爽やかな風貌で
雰囲気を若くみせているのかもしれない。

硬質でクールな横顔に
なんとも言えない男の色気が漂う

そして切れ長の漆黒の瞳がチャンミンをとらえる


チャンミンはソファーの上で
ブザマな格好のまま、しばらく動けずにいた。


なんて…

綺麗な人なんだろう


こんな人が社交のサロンに来たりしたら
大変な騒ぎになりそうだ

そうだよ!

是非、サロンに連れて行きたい!
僕のアクセサリーとして是非!

美しいパートナーは、どんな高級な時計より価値がある


「チャンミン、挨拶しなさい!」

小声の父親がチャンミンの背に手を添えて立たせようとする

そんな子供のような様子に
ユノがクスッと笑った

チャンミンの頬がボッ!と音がするかと思うほど赤くなった。

とてつもなく恥ずかしいという自分の気持ちと
そのセクシーな微笑みに

チャンミンは完全に自分のコントロールが出来なくなった。

「あ、えっと」

父親に促され、ヨロヨロと立ち上がる

いつもの三代目特有の余裕はどこへ行ったのか。
怖いもの知らずと言われている自分はどこへ。

「シム・チャンミンです」

そう言ってぺこりと頭を下げた


可愛い


ユノはそんなチャンミンに食指が動いた。


チャンミンは背が高く、それなりに筋肉のついた体であろうに、なで肩がアンバランスで儚げだ

透き通るピンクの頬に、彫りの深い顔立ち。
大きな瞳はキラキラと輝いている

恥ずかしさからか、後ろを向いてしまったチャンミンの、そのうなじの美しさにユノは息をのんだ

ずっと男子校で男まみれの中でスポーツをしていたユノ。

そんな環境では男同士の思慕や恋愛なんて
日常茶飯事だった。

女より男の方がうんとイイことも
よく知っている


ユノは学校を卒業してもバスケを続けていたけれど
練習のしすぎで膝を悪くし、ずっと悩んでいた。

もうお終いだと感じた最後の試合。

選手としての自分に見切りをつけ、普通の社会人としての生活を送ることに決めた。

できたら、所属していたバスケチームのスポンサー会社に就職をして、ゆくゆくはコーチとして、みんなの力になりたかった。


どうにか、その会社に就職できるよう口をきいてもらいたい。

それでスーツを着込んで、オーナーのシム家に監督と挨拶に来たというわけだ。


今度はシム家三代目のどうしようもないのがオーナーになる。だから心配なのだと、監督はこぼしていた。


これがそのどうしようもない三代目か。

どうしようもなく、美しいじゃないか。


でもそのアタフタとした様子を見ると
手なづけて、バスケチーム顧問のコネをつかむなんて
簡単そうだ。

とことんソッチで奉仕してやってもいい。
楽しませてもらいながら、コネを得られるとは。

そう目論んだユノはもういちどチャンミンを見つめて
優しい笑みを浮かべた



そんな出会いから

結局、ユノはチャンミンの装飾的パートナーとしてサロンへ出向き

チャンミンはその得意な可愛い笑顔で祖父に泣きつき
ユノを自分の会社に就職させ、おまけにチャンミンも同じ部署についてきた。


ギブアンドテイク


そして、あっという間に
2人は深いカラダの関係をも持つようになった


そこに愛なんか必要ない

楽しめばいいんだ


相手に惹かれて、というよりは
自分の都合でつきあっている。

そんな風に自分に説明した2人だった。


身体の奥から、心の底から
これは危険だというシグナルがひっきりなしに送られてくる

自分に十分な自信を持っている2人は
何かにハマって足元を掬われるのが怖かった

相手を本気で愛して裏切られるなんて、
自分のプライドが許さない


気づいていても、認めない

2人はお互いから視線を逸らした


けれど

サロンでも会社でも、ユノの人気は大変なもので
チャンミンは少し面食らった

特にサロンではその爽やかで誠実そうな、
それでもそつなく誰とでも対応できる社交性。

決して誰かの誘惑になびく事なく
あくまでもチャンミンをエスコートする役目に徹するユノ。

とびきりセクシーなのにそんなストイックな姿が
サロンに集う若者たちの興味を引いていた

それは会社でも同じだった。総務部に配属になったユノに若い男子社員が想いを募らせ、派手な行動に出てチャンミンを慌てさせた。

蓋を開ければ、ユノも少しソノ気だったようで
チャンミンの一言でユノはあっさりと異動になり
なんとチャンミンも頃合いを見て異動してきたというワケだ。

絶妙な、ユノとチャンミンの追いかけっこが始まっていた。


サロンの帰りに2人だけになると
お互いの目的を確認しあった。


「いろんな誘いもあるだろうけど
結局あなたは僕といるのが一番得策だからね?」

「わかってるよ
だから、誰の誘いにも乗らないじゃないか」

「誰かの誘いに乗りたいの?」

「たまにはね、お前がいなきゃ乗りたいさ」


チャンミンは少し口を尖らせて、車窓の外を拗ねたように見つめた

その可愛い横顔をユノは愛おしそうに見つめる。

この気持ちが声に現れないように気をつけた


「そんなつまらなそうな顔をして。
抱いてほしい時はいつでも奉仕してるじゃないか」


奉仕…


「………」

「何か不満があるなら努力するよ
チャンミン王子」

「………」


不満?

それは、あなたが僕の心を求めてないこと


ユノが僕を抱くのはお金のため
自分のバスケの夢のため。

ユノが必要としているのは
僕自身ではなくて、僕の資産と地位だ。

車窓から車内に溢れる街の灯りが
時折チャンミンの綺麗な瞳を照らす

そんなチャンミンに見惚れながら
ユノは自分の心に蓋をする


チャンミンが俺を欲しがるのは
俺が変わったオモチャだから。

抱けと言われたら、拒否しないし
キスだってねだられるだけしてやっている。

でも、俺の心は、決して手に入らない。

そう…思わせないと
チャンミンはカンタンに俺に飽きて
あっさりと捨てるだろう

なにしろ、チャンミンに近づいてくる人間なんて
五万といるんだから

自分が侍らす人間を毎日下着を替えるように選べるのだ


俺はチャンミンにとって
今は珍しいオモチャ。

いつもドキドキさせないと。
決して満足させてはいけない。

ユノはそう自分に言い聞かせた

お互いがお互いにすっかりハマってしまっているのに

認めたら最後
認めたら負け

特にユノは意固地に振る舞っていた。

もうすぐ豪華なマンションが見えてくるはずだ。


チャンミンが用意してくれた
ユノの住まい


できたら、チャンミンの世話にならず暮らしたい。
男としてのプライドがある。

でも

普通の暮らしをしたなら、元々別世界に住むチャンミンとは縁が切れる

一緒にいたいけれど、
一緒にいる時の自分は情けない

一緒にいたいけれど
一緒にいるには始終演技をしてなければならない

自分で自分を縛り付けながら
ユノは意味のない苦しみにもがいていた。


2人はそれぞれ車窓の外を眺める


いつのまにか、こんなに本気になっていたなんて

2人の悩みは同じだった





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
検索フォーム
ブロとも申請フォーム