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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜1〜


おひさしぶりです。

毎日暑いですが、
みなさま、いかがお過ごしですか。

アリーナツアーの発表もあり
忙しいことと思いますが

短編ですが、新しいお話を描きました
意地っ張りな2人です。

ツアーはどこに参戦するか
考えることにお疲れでしたら、どうぞ!




*************




「今日は新しく異動してくる社員がいるから紹介させてくれ」

オフィスが一瞬にしてざわめく

「異動だって!」

「新しい社員?」


営業第1課の若き課長チョン・ユンホは
そんなオフィスを睨むように見渡すと

社員のざわめきはおとなしくなった。

「今、総務で手続きをとっているから後でまた紹介する主任、伝達事項はなにかあるか?」

「あ、ないです」
主任が答えた

「じゃ、俺のほうからいくつかある」

俺、と自分を呼ぶ課長チョン・ユンホが
簡単な連絡事項を説明しだすと

デスクの女子達がうっとりとその様子を見つめた。

長身でスッキリとしたスタイル
広い肩に長い脚、小さな顔

鋭角に整ったクールな顔立ち

そこには大人の色気と青年の爽やかさが同居する

サッパリとして堂々とした性格
何事にも動じない余裕と、明るい茶目っ気も併せ持つ

本社からこの課に来たばかりのチョン・ユンホ。

仕事の処理能力も高く、若くして課長という出世コースだ。

近寄り難い雰囲気なのに
誰でも懐に入れてくれる寛容さもある

若い新入社員でさえ
こんな大人の男になりたい、という憧れを抱いていた。


程なくして、オフィスのドアが開いた

全員がドアをみる


ペコリと頭を下げたその男が顔を上げると
なんとも言えない高貴なオーラが発せられ、
女子社員からはまたも感嘆のため息が漏れた。

チョン・ユンホに負けない長身で
韓国人離れした彫りの深い整った顔立ち

儚さと甘さを纏い
育ちの良さが感じられる上品な佇まい

そのすべてに「高貴な」という形容詞があてはまる。

唇をへの字に曲げて
割と強い視線でみんなを一瞥する様子に
気の強さも感じられた。

「今日からみんなと一緒に仕事をするシム・チャンミンだ。本社からこの第1課に異動になった。
わからないことが多いだろうから、いろいろと手伝ってやってほしい」

ユンホにそっと背中を押されて
チャンミンは軽く一歩前へ出た

「一日も早く、わたくしがみなさんと親しくなれるよう
お力添えをよろしくお願いします」

え?

自分へ力添えしろと?


どこかの皇太子か?

少し変わった挨拶に、一瞬オフィスはザワついた。

「自分から親しくなるんじゃなくて
そっちから来いってこと?」

「ずいぶんオレ様だね」

「でも、可愛いし、カッコいい」

ただでさえ目立つ容姿で、その傲慢そうなキャラに
チャンミンは営業第一課全員の興味を引いた。

ユンホはため息をひとつついて
口を開いた

「そういうわけなので、みんな面倒みてやるように」

面倒を見る、という言い方が気に入らなかったのか
チャンミンはキッとユンホを睨んだ

そんなチャンミンをチラッと見て
なんでもないようにユンホは業務にとりかかった。


チャンミンはなぜか女子に囲まれるような席につかされた。

オフィスでも目立つグループの女子たちは
遠慮なくチャンミンへの興味を示した

「よろしくね!チャンミン。
わからないことがあったら、アタシたちになんでも聞いてね!」

女子たちは体をくねらせ
その長い髪をなでながら、チャンミンに色目を使う

仕事中なのに。とチャンミンは思った。

「なんでも聞いていいの?」

品のいい、優しい笑顔でチャンミンが微笑む

「うん!なんでも聞いて!」

女子たちは色めきたった

「チョン・ユンホ課長ってどうなんだろう」

チャンミンの声が甘く響く

「え?ユノ課長?」

「うん」

「どうって、今、この会社で一番人気よ。」

「へぇ」

「でもねー気をつけた方がいいわよ」

「なんで?」

「ユノ課長も先月赴任してきたんだけどさ」

「うん」

「ヤバイの。前のところでなんかあったらしいのよ」

女子たちがニヤーっと気持ち悪く微笑む

「なにかあった?」

「ま、あれだけイケメンなら仕方ないけどさ
部下となんかあったらしいの!
しかも男子の部下!」

「ふぅん」

チャンミンは少し難しい顔をした。

「部下に手を出して
それで異動させられたってわけ?」

「たぶん、そう!
前はね、本社だったんだけど。あ、あなたもよね?
その話知らない?」

「知らないね」

「チャンミンも気をつけた方がいいわよー」

「僕?」

「狙われちゃうかもっ!」

女子達はなぜかとても嬉しそうだ

「女子の君たちだって気をつけないとね
そんな上司じゃ」

「アタシ達はダメよ」

「どうして?」

「もう散々アピールしたの」

「えっ?ユノ課長に?」

「そうよ、もうね、全員玉砕」

「そう」

チャンミンはニヤリと笑った

「でもね、ナナだけがいい目見たのよ」

「え?」

女子たちがみんなそのナナという女子に視線を投げた

ナナは恥ずかしそうに、そのピンクの頬を染めた

チャンミンの心で、ジリッと何かが焼きつく音がする

女子たちはニヤニヤとしている

「どんないい目をみたんですか?」

あえて平静を装って、どうでもいいけど、というテイでチャンミンは聞いてみた

「ま、偶然にね
課長が住んでるらしい駅の側で夜会っちゃってさー」

なにが偶然なもんか

こういうオンナが計画的に何をするか
僕は知ってる

ユノの帰りを張ってたに違いない。

「ユノ課長メッチャ酔っててぇー」

酔ってた?

ユノが…酒を飲む?

甘い飲み物が好きなユノが酒を?

「だから大丈夫ですか?って聞いただけよー」

「きゃー!そこから先聞く?
もう!何度聞いてもコーフンするわ!」

大騒ぎである

ふん、とチャンミンは思った

どうせ大したことないんだ


「いきなり抱きつかれてーー」

えっ?

ユノから?

「オマエ、俺の寂しさを癒してくれる気はないか」

ナナがユノの口調を真似た

きゃーー!とさらに大騒ぎをする女子

まさか…

「こう、ガバッと抱きつかれてさ
あのキレイな手がアタシの髪に入ってきたわけ!」

なんだよ…それ…

「それで後頭部がっしりと抱えられて
キスされたのよーかなり強引だったわっ!」

ナナは頬を紅潮させて
その時の事を興奮気味に語った。

そんなことが…

僕がちょっと目を離した隙に


チャンミンは奥歯を噛み締めた

「もうサイコーだったわ!」

「あんた、一生分の運使い果たしたわよ」

「いいのよ、あのキスの思い出だけで
あたし、5年は男いなくて大丈夫」

キャーー!いやーー!

怒りを押さえるのに必死なチャンミンをよそに
女子たちはもう、大騒ぎである

「うるさいぞ、そこ」

とうとうユノ課長のゲキが飛んだ


ふん、あなたの話なんだけど

チャンミンはユノをジロリと睨んだ

女子たちは、とりあえず仕事をしているように
パソコンをいじっている


「でもそれは、上司としてどうなんでしょうね」

あくまでも冷静にチャンミンが話す

「問題なんかにするわけないじゃん。
できたらもう一回お願いしたいくらいなのに」

「そうよ、転任になったらアタシたちだって
チャンスなくなるじゃないの」

「でも、チャンミンがキスしてくれるなら
いいわーー」

そこでまた、大騒ぎになり
ふたたびユノ課長がこちらを睨んだ

この部署はガサツとは聞いていたけれど
特に女子の品格については最低だな


それでも…


ユノがここにいるなら。



終業後チャンミンは秘書が出迎える車に乗った。

今は秘書となったソクジンは
ついこの間までチャンミンの教育係、いや爺代わりをしていた優しい初老の男だった。

「ユノも乗せてくから」

「おぼっちゃま、それは…」

「なんで?だめ?」

「身分を隠しているとはいえ、我が社なのです。
上司と部下がそういった行動をとるのはよくありません」

「そんなことどうでもいいよ」

「おぼっちゃま」

「ボクの会社なんだから、なにしようとボクの勝手だよ」

「おぼっちゃまは、そんなにあのユンホ様がいいんでしょうか」

「別にいいってほどでもないけどさ」

ソクジンはため息をついて、車を近くにある高校の体育館の中を覗ける道路に停めた。


ユノが会社のバスケ同好会のメンバーと何やら楽しそうに練習している。

膝をどうとか、と言っていたけれど
今でも選手として十分活躍できそうな動きのユノ。

汗を拭いながら、爽やかに微笑む


あんな笑顔、

絶対僕には向けてくれない


「ぼっちゃま」

運転席でミラー越しにソクジンが話しかけた

「ん…」

「バスケ同好会に入ったらよろしいではありませんか」


「絶対やだ」

「どうしてですか?」

「………」

「それなら、ユンホ様と一緒にいる時間が長くてよいではありませんか」

「そんなに長い時間一緒にいる気はないよ」

ソクジンがクスッと笑ったことに
チャンミンは気づかなかった







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