FC2ブログ
プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋35




処置室が開いて

チャンミンが出てきた

その瞳は輝いていた

まるであの頃のシム先生だ

「先生!」

テホと同乗者の男が駆け寄ってきた

「ユノ、帰ってきたよ…」

微笑んだチャンミンは輝いていた


「あ……」

「ありがとうございます!」

「先生…本当にありがとう…」


「ドンへにも知らせなきゃ…」


「え?」

テホが驚いたようにチャンミンをみた


「ドンへさ、ここの警備員やってるんだよ。
偶然に会ったんだ。きっと心配してるはずだ」


「先生…」

「ちよっと警護室に行ってくる」



「ドンへさんは去年、亡くなったよ…」

「……」

「たしかに警備の仕事してたけど…」

「え」

チャンミンはへへっと笑った

「そんな…はずは…ないよ」

「……」


「だって…さっき…」


「先生…」


「ウソだよね」


「最期はヒョンが看取った」


「……そんな…」

「30歳まで生きられたのは…奇跡だったって…」

「……」


ドンへ…

ユノをここまで連れてきてくれたのは…君?





ユノは川沿いの道を歩いていた…

ヒューヒューと風が吹いて、とても寒い

あれ?

ここはどこだろう

どうしたんだっけ

あ!テヒョンのやつが、発注ミスをして
急いで納品しなきゃいけないんだ

ユノはあたりを見回した…

あ…

ふと目の前を見ると

ドンへが岩の上に座って微笑んでこっちを見ていた

「ドンへ!!」

「久しぶり,ユノ」

「お前!どうして…」

「悪かったな、いろいろ面倒かけて」

「そんなこと言ってるんじゃないよ、俺を1人にしやがって」

「お前は1人じゃないよ」

「なあ、戻ってこいよ」

「俺は、もう戻らないよ」

「じゃあ俺がそっちに行く、
なんか寒くてさ、お前に近寄るとあったかい」

近づこうとするユノを
ドンへはキッパリと拒絶した

「ダメ」

「なんだよ」

「お前はこっちに来たらダメ」

「なんでだよ」

「チャンミンがお前を迎えにきてるよ」

「チャンミン…」

「ああ、お前と同じように首にチェーンぶら下げて
迎えに来てるよ」

「そんなわけないよ…ドンへ」

「よく耳を澄ますんだな」

「……」

その時、遠くでユノを呼ぶ声が聞こえてきた
風の音と川沿いに揺らめくススキの音に消えそうだ


「ユノ!!!」


でも、それはハッキリとユノの耳に届いた

「チャンミン?」

「ユノ!!」

風に消え入りそうな声

でも、確かにあの声は懐かしいチャンミンの声だった

「まさか…」

「お前、チャンミンを1人にするのか?」

「……」

「ずっと待ってたんだろ?チャンミンを」


ずっと待っていた…

あの日、ソウル駅の雑踏の中

改札の前で、チャンミンが来るのを

待っていたんだ


あの日から、俺はずっと待ち続けているのかもしれない

俺は、心をあの駅の雑踏の中に置きっぱなしにしてきたのかもしれない


チャンミン…


けれど

「昔の話だ
俺も大人になった」


「なに言ってんだよ、ユノ
なにがオトナだよ」

ドンへが苦笑した

「あの頃のユノが今のお前を見たら泣くぜ」

「え?」

肩をポンポンと叩かれ振り向くと

そこには17歳の自分がいた。

オレンジに色を抜いた髪

今のユノを睨みつける瞳はギラギラとしていた


「お前は…」


「しょうもねぇ大人になりやがって」

はすっぱな口調が自分でも懐かしい

「お前は…あの頃の…オレ」

「ちっぽけな大人になりやがって
つまんねぇの」

「なっ…」

「チャンミンをお前にやらなくてよかったよ!」

「なに言ってんだ!ガキのくせに
なんにも知らないくせによ!」

「ああ、なんにもしらねぇけどな、ガキだけど、
チャンミンを好きな気持ちは
お前なんかに負けねぇ」

「お前になにがわかる
チャンミンを愛するのがどういうことか
お前なんかにわかるか!」

「だったら!アホヅラして寝てねぇで
とっとと起きろ!」

「あ?!」

「チャンミンをほったらかしにすんな!」

17歳のユノにドンとど突かれた


ユノは深い穴へ落ちていくような感覚に陥った





チャンミンは1人夜中のロビーのソファに座っていた

体はひどく疲れていて
そのまま横になりたかったけれど

頭は妙に冴えていた…

ドンヘは…自分が長く生きられないことを知っていたのだろうか

いつも穏やかで、そして前向きだった

僕に、ユノを迎えに行けと言った…

迎えに行って…いいのだろうか…

ユノはまだソウル駅で僕を待っていてくれるだろうか…

2人のチケットを持って待っていてくれるだろうか

ユノは目覚めない

もしかしたら、このまま目覚めないかもしれない

それでもいい…

僕がずっとそばにいるんだ

チャンミンは集中治療室で眠るユノを、透明なガラス越に見つめた

あなたをこの世から失ってしまうことを思ったら
僕はなんでもできる

あなたに罵倒されても
結果、僕は嫌われてしまっても

あなたが生きていればいい。

あたりまえのことなんて、なにひとつとしてこの世にはない

だから、こうやって再び会えたチャンスを
僕は逃したくないんだ

ユノ…

僕のはじめて恋した人

そして、いまだに恋している…大事な人






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
検索フォーム
ブロとも申請フォーム