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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋31




ユノは綿密に計画を立てた

仕事の研修が始まる前に、住まいもテジョンへ自分で行って確かめた。

チャンミンと暮らすことに不都合がないかどうか確かめた。

ユノは自堕落な高校生ではあったけれど
その気になれば用意周到に事を進める能力があった

パク社長が見抜いたユノのセンスだった。


一旦、スナックの住まいを追い出される形で出て行ったユノは

ドンへが知り合いの使っていない倉庫を貸してくれて
そこで寝泊まりをしていた

「いろいろ、ほんとに助かったよ、ドンへ」

「今までバイクに乗せてもらったお礼」

「それにしても…」

「荷物は?」

「スナックに置きっ放し。
荷造りしなきゃな。
もう全部捨てられてるかもしれないけど」

「ママも理解してくれなかったか」

「ああ、無理だろ、冷静に考えたらさ」

「まあな。理解してもらえないよな」

「弱すぎる、俺は」

笑顔ではあったけれど、ユノの瞳は悔しそうだった

「仕方ないさ。
なんだかんだ言っても俺たち未成年だしさ」


ユノは3年近く世話になったママにきちんと挨拶をしようと思った

「荷造りにきたの?」

「はい」

「そのまんまよ、上がってさっさと送っちゃいなさい」

「…はい」

結局、ユノの荷造りをママは手伝った


「あんたのことはね、ほんとの息子みたいに
思ってたのよ」

「…はい」


今、この時間だって
まるで本当の親子のようで


「なんかさ、この間の子、チャンミンくん?」

「はい」

「意外な感じで驚いたわよ」

「意外?」

「もっと陰湿な感じだと思って。アタシのいない隙に
上がり込んでコソコソしてたっていうから」

「……」

「あんたが誑かされてんだって思ってたのよ」

「それは…ないです」

「そう、そんな感じまるでなくてさ
清潔できれいな子だった。正直だし、誠実そうだし」

「…はい」

「あんなに、泣いてさ。
もう、ほんとにユノのこと、好きなんだねぇって」

「……」

「アタシ、思ったの。
ドンホがあんな男の子好きだとか言ったら」

そこでママは荷造りの手を止めて
遠くを見るような目つきをした

ユノが少し乗り出すようにママを見つめた

「追い出す?やっぱり…
裏切られたって…思う?」

「驚きはするわよ、そりゃ」

「…あ」

「でもね、最終的には認めちゃうかもしれない」

「え?」

「応援しちゃうかもしんないわ、結局」

「ママ…」

「ユノ、あんたもほんとにあの子が好きなのねぇ」

「……好きです、ほんとに」

「連れてっちゃいなさいよ、テジョンに。
あの子なら全部捨てて来てくれるかもしれないわよ。
あんただって、かなりの犠牲払うんだから」

一瞬、計画を見破られているのかと思って
ユノは焦った

「なーんてね」

「あ…うん…どうかな…」

「冗談だけどさ、でもそういうのも、いいわよ。
慎重に誰にも後ろ指さされないように生きていくっていうのも、それが本当に幸せかって言ったらね、どうだか」

「悔いないように生きて行ったら、どんな結果になっても納得できるのかな」

「人間なんて、いつ死んじゃうかわからないんだからさ。先の安全ばっかり考えててもね。」

そう言って、ママはタンスの上にある青年の写真を
愛しそうに見た

荷造りの終わったユノを
ママは寂しそうに見送った

「あの子にはお別れ言ったの?」

「なかなか…言えなくて」

「もう、会わない方がいいね
離れがたくなっちゃうから」

「はい…あの…ほんとにお世話になりました。
こんな形で…申し訳ありませんでした」

「バカな子だよ!ほんとに」

そう言って、ママは鼻をすすった




ユノはほとんどの準備を整えた

チャンミンはほぼ家出の形でユノについてくる

後から警察が追ってくるなんてことのないように
いろいろ考えなければならない

「チャンミン?今、電話して平気だった?」

「うん、リュックにね、必要最低限のものは詰めたよ」

「そうか。電車のチケットは用意した。
座席指定券も買ったから」

「うん!今夜、ソウル駅に18時だよね」

「そう、大丈夫か?」

「大丈夫!」

「チャンミン」

「なに?」

「お前、ほんとに俺についてくるなんて
覚悟できてるのか?」

「今更なに言ってるの」

「………」

「このまま、引き離されるんだよ?
大人の計画なんてそんなもんだよ。僕も携帯変えるって言われたし。先生に聞いても、ユノの住まいはわからないって言われた。」

「そうか…」

「母さんや先生は、僕がテジョンに行ってから
説得するから」

「うん。あまり心配させないように」

「わかってくれる。ちゃんと話せばわかってくれるよ」

「うん…
実はさ、ママが、あの時のチャンミンをみて
少し考えが柔らかくなった」

「ほんと?」

「やっぱり、ちゃんと話せば
わかってくれるさ」

「そうだよね?きっとそうだよね?」

「俺がちゃんとしてれば、上手くいく」

ユノは自分に言い聞かせるように
つぶやいた

「今夜からはずっと一緒にいられるね」

「ああ、そうだな」

「18時にソウル駅でね、待ってるよ」

「ああ、気をつけて来いよ」

「うん」



チャンミンは途中まで書いた置き手紙を読み直した


ほんとに親不孝でごめんなさい
僕はユノとテジョンへ行きます

着いたら、ちゃんと居場所も連絡先も伝えるので
心配しないで

母さんを何度も驚かせて本当に申し訳ないけど
僕はね…


その時、ドアが開いて母が帰ってきた
いつもの時間よりうんと早い

「母さん?どうしたの?」

「なんか調子悪くてね
早退してきたのよ」

「え?大丈夫?」

「今日は夕飯、家にあるレトルトあっためるのでもいいかしら」

「そんなの全然いいけどさ、
医者とか行かなくて平気?」

「大丈夫よ、このところちょっと疲れただけ」

そう言ってやつれ切った母は笑った

チャンミンの事の心労もあるのだろう



僕は…
自分が悪いことをしてるとは全然思えないのです。
将来はそう思うのかもしれないけれど、
今はそうは思えないのです…


「チャンミンだって、勉強がんばってるんだから
母さんもがんばるわ」

「……」


母さん、今まで女手一つで育ててくれたのに
母さんの思うような子に育たなくてごめんなさい。
だけど、僕の幸せは…


「横になるのは今日だけ。
夕飯ほんとにごめんね、何か栄養のあるもの食べないといけないのにね」


僕の幸せは…


そこから先を書いていいものかどうか
ふと、チャンミンは迷いだした



「母さんも夕飯レトルトでいいの?」

「今夜はいらないかな」

「何か食べなきゃ」

「フフ…そうね
そういえば、試験の日は母さん仕事休みにしといたわ」

「え?」

「チャンミンが寝坊して遅刻したら大変」

「…子供じゃないよ」

「それだけじゃないの。あなたが試験受けてる間、
お父さんのお墓に行ってこようかとも思ってね」

「父さんの墓?」

「そう、お父さんと2人で試験が上手く行くように
祈ってようかと思って」

「母さん…」


僕を育てるために、自分のことはいつも二の次で。
そんな風に生きてきた母さん

僕は…

チャンミンは首元のシルバーのネックレスに触れた




ユノはソウル駅へ向かった

ほとんどの荷物を送り、ほんの手荷物程度をリュックに入れて人で溢れかえる駅へ向かった。

待ち合わせの改札の前にユノは早めに着いた

手には2人分のテジョン行きのチケット

自由席でもよかったけれど
ユノは奮発して指定席にした。

2人の旅立ちだった
チャンミンに窮屈な思いをさせたくない


なぜこんな事になったのか、今もよくわからない。
でも、自分もチャンミンも捨て身だった。

そこまで自分たちにとって真剣な恋なのだ

だれが何と言おうと

汚いだとか、不謹慎だとか

だれも何もわかっちゃいない
それでも構わない


ユノは柱にもたれかかり
首元のシルバーのネックレスに触れた

チャンミン…

俺は何があってもお前を守る
すべてを捨てて自分について来たことを
絶対に後悔させない

ユノの視線は力強く、前だけを見据えた


ジーンズにTシャツ、革ジャンを羽織った長身のユノを
通り過ぎる女たち誰もがチラッと見やる


ソウル駅の雑踏の中
きっとチャンミンは頭一つ分飛び出していて
遠くからでもすぐわかるはずだ

きっと不安そうに俺を探し
俺を見つけたらふんわりと嬉しそうに笑うはず

チャンミン、早くお前に会いたい





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