プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋30



チャンミンの母親は自分が納得できる解釈をして
やっと落ち着いてきた

チャンミンはユノに脅されて、
イジメられていたと。

辱めまで受けてしまって
傷ついたのはチャンミン

自分の息子は何も悪くない

自分が人生をかけて1人で育てて来た息子が
まさか同級生の男子生徒と恋愛関係だなんて

突拍子もない話は、母の理解を超えた

母は早く元の生活に戻りたかったけれど
ふと、その話が心に重くのしかかってくることがあった。

そして


ユノは退学処分となった。

住み込みで働いていたスナックのママが
なんだかんだと学校に抗議をしたけれど

ユノの就職が上手くまとまりそうなのもあって
口をつぐんだ。

店の常連客のパク社長は、昔から心根が明るく誠実。
商売の腕は確かでいくつかの支社を構えようとするほど仕事は波に乗っていた。

そんなパク社長は、気のいいママを慕って
この場末のスナックを好んで通った

そこで住み込みで働くユノに
最近の若者にはない男気と誠実さを感じていた。

テキパキと仕事さばきもいいし性格も明るくて気持ちがいい。
勉強はどうだとしても、決して頭は悪くない。

それに弟を大学までやりたいだなんて
人情も厚く責任感もある。

パク社長は真剣にユノを会社に欲しがった

ママの太鼓判もあったし
今回、退学になったのも以前からやりあっていた
友達と、ちょっと大ごとになってしまったと聞いている

若い頃はいろんなことがある。

そういうことなら、ウチが是非引き取ってやろう


処分を受けたユノとしては
こんないい話はなかった。

なんだかんだ言っても

スナックのママはユノのことで動いてくれたし
先生も一緒になって取り計らってくれた

あの日、泣きながらスナックを訪れたチャンミンの姿に
ママは少しだけ心を動かされた。

ママは思った

若い頃は、そういうこともあるのかもしれない。

たまたま好きになったのがもしかしたら、同性だと

ただの憧れが、ちょっと違う方向へと行ってしまうことも、あるのかもしれない。


チャンミン自身も表向きは受験生として
追い込みをかけていた

ユノが退学になり
もう2人は会わないと大人たちに約束をすることで
この話は一件落着となったように見えた

けれど

2人はこっそりと連絡を取り合い

時間こそ短かったものの
隠れて会っていた


こんな理由で別れるなんて
2人にとってなんの意味もない

大人になったら
自分で自分の人生の責任がとれるようになったら

誰に何も言わせない

2人で暮らす

それが2人の新しい夢となって
また歩き出したところだった


それなのに

誰がどこで知り得るのか

2人の隠れた逢瀬は

大人たちの耳に入る


再び、大人たちは協議を重ねる羽目となり
2人が会えなくなるような既成事実を作り出した


ユノはソウルではなく、テジョンで働くことになった

ユノがまたトラブルのあった友達とこじれそうだ

そんな事情を知らされたパク社長が、そういうことなら少し友達とは離れた方がいいだろうという計らいだ。

パク社長はこれから立ち上げのテジョン支社で
ユノを試したいという気持ちもあった。


「テ、テジョンですか?」


「チョン・ユンホ、それは仕方ない」

「……」

キム教諭はとても頑張ってくれたのだ

「ユンホ、お前はね、きっとテジョンでも可愛がられる。先生は買ってたからね、お前のこと」

「……」

俯くユノにキム教諭は言葉が見つからない


「私たちが考えるのは、お前たちがいかにして
逢瀬を重ねられるかじゃないんだよ。
2人がこの事で躓くことなく、人生を送れることなんだ」


未熟な若者たちを見捨てずに導こうとしてくれているのは、間違いない。


今後、今までのようにチャンミンとは会いにくいのはわかっていた。

きっと、自分がテジョンへ行ってしまっても
何か会う方法はあるはずだ。

大人になって独立したら、もうそこは誰にも何も言わせない。

チャンミンもいつも言っていた

無事に大学が受かって、そして医者になれば
もう、そこは大人で自分の主張をしてもいいと

それまで、少しでもユノと一緒にいられる時間があればいいと。


いつか堂々と2人で一緒に暮らせるようになるまで…


ユノはテホに連絡をした
テホには退学処分の話もまだしていない

「高校は楽しいか、テホ」

「部活決まったよ!サッカー部!」

「そうか、やりたかったんだよな、サッカー。
よかったな」

「うん、試合とか来てよ!」

「それは…行かれなそうにない」

「ヒョン、どうして?」

「あ、叔母さんたち、なんか言ってなかった?」

「何も聞いてないよ」

「そうか、俺さ、テジョンへ行くことになったから」

「え?なんで?」

「就職決まったんだ」

「ええー?!だって卒業してないのに」

「うん、でも是非にって言われて
もう卒業とか関係ないからさ」

「そうなんだ…」

「金はきちんと振り込めるから心配すんな。
何かあったら、必ず連絡しろよ?」

「うん…」

「きちんと勉強するんだぞ?」

「ヒョンもタバコとかやめて
もうバイクもヘルメット被ってよ?」

「バイクはもう乗らないよ」

「だったらいいけど…」

「また…連絡するよ」


ユノはひさしぶりに図書館の公園に来て見た

退学になってから、会社の仕事がはじまるまで
時間はたっぷりとあった。


テホとチャンミンと3人で歩いた帰り道が懐かしい

2人に小言を言われながら、夕陽の中で笑い合いながら
楽しく帰ったあの初夏の夕暮れ


俺とチャンミンはあの時のまま、いられたらよかったのかな

なにも求めなければ、一緒にいられたのだろうか

今となっては…すべてが遅かった

意を決して
ユノはチャンミンに連絡をした


「え?!テジョン?」

「ああ、その方がいいって先生も言ってた。
会社にはケンカで退学ってことになってて」

「ケンカで?」

「ま、元気がいいくらいに思ってくれてる社長だから。
それなら、その相手ともう離れた方がいいって」

「…ユノ、僕ね、どうしても納得ができない」

「俺は問題ないから」

「退学とかそういうことじゃなくて
僕は、自分が何か悪いことをしたって、そういう実感がまるでないんだよ」

「俺だって…そうだよ…お前を好きなのは本気だ
遊びだとか、それこそイタズラなんかじゃない」

「どうして、離れ離れにならなきゃいけないんだろう」

「チャンミン…」

「ユノは?ユノは僕と離れてもいいの?」

「いいわけない」

即答だった

「……」

「このまま、いつになったら自由になれるんだよ」

「……」

「きっと、いつまでも自由にはなれないよ」

チャンミンは胸元のチェーンを指先で触れていた
心の震えがとまらない

ユノがテジョンへ行ってしまう

「たぶん、僕達は引き離されるんだ…
2度と会えないように」

「チャンミン…」

「うまい事言われて、連絡もとれないようにされて
ユノがテジョンに行くっていうのは
きっとその始まりだよ」


そうなのだろうか

なぜかチャンミンの言うことが、ひとつひとつ
ストンと心に落ちて行く

言われてみれば
思い当たることがないわけではない

「俺、テジョンに行ったら
別の携帯を用意してるからって言われた」

「住むところは決まってるなら教えて?」

「知らされてないよ」

「ほら、やっぱりそうだ」

「チャンミン…まさか」

「だれも…信用できない、こんなのイヤだ
僕はユノと会えなくなるのはイヤだ!」

「俺、行くのやめようかな…」

「ここで仕事ができる?それなら一番いいよね?」

「それはダメだ、チャンミン…テホがいる。
バイトの給料じゃ大学まで出してやれない」

高校を退学になったユノに
そこそこの給料がもらえる就職だなんて、こんなにいい話はないのだ


「じゃあ、僕がテジョンに行く」

「え?!大学はどうするんだよ」

「そんなの行かなくたって別にいいし」

「待てよ、チャンミン」

「ユノ、医者なんて他の誰かがなればいいんだよ。
僕が医者にならなくてもだれも困らない。
僕はユノと一緒にいたいんだ」

「チャンミン…」

「このまま、会えなくなりそうで…怖い」

「……」

「テジョンに住んでいたって
行きたくなったら夜間の大学もあるだろうし
きっとどうにでもなる。ユノが僕を守ってくれて退学になったのに申し訳ないけど、やっぱりこれじゃイヤだ」

「………」


「……一緒に行ったら…ダメ?」


チャンミンがテジョンに一緒に来てくれたら…

そんな幸せな想像は許されるのだろうか


それでも

来て欲しい


やっぱり一緒にいたい


2人の胸に、押さえていたそんな思いがせり上がってくる



「チャンミン、来てくれるか?」

「ほんと?!」

「一緒にテジョンへ行こう
なにがあっても、俺が守ってやる」


ユノ!

チャンミンは安堵の涙にくれた

もう、2度と会えなくなるかと不安でいっぱいだった心が
霧が晴れたように明るくなっていった




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