プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋28



2人で学校から帰ってきて
泣き疲れた母親が、キッチンでボーっとしている


どこを見ているの?

母さん、ごめんね、こんなに泣かせて

僕がしていた事はそんなに母さんを悲しませることだったの…

よく、彼女はまだできないの?
と言ってくれていた母さん

それがユノだっていうことは
ここまでまわりを驚かせることだなんて

正直、僕はまだわからない


「母さん…僕…」

「チャンミン…」

母さんが僕の言葉を遮るように呼んだ


「…はい」

「何も気にしなくていいのよ」

「……」

「あなた、何にも悪くないわ
あの不良に騙されたのよ」

「母さん!」

「わかってる。あんな写真撮らされて
あんた嫌だったでしょう?」

「…違う」

「脅されてたのね、かわいそうに」

「そうじゃないよ!」

「きっと、可哀想に思ったお友達が
学校に言ってくれたの。だからもう心配することないわ」

母は…そう思い込もうとしているのだろう

母なりに自分が納得できるように
話を組み立てている、そんな風に見えた

それほどまでに

僕がユノを好きなことを
受け入れられないのだろう

僕はそれ以上、もう何も言うことができなかった

母にこれ以上なにを言っても、悲しませるだけだ

いつかみんなにわかってもらおうなんて
ユノと話していたことが、これほどまでの事だなんて


そして、更に驚いたことに
すべては母親の言う通りの話が作られていった



翌朝、針の筵の中登校した。

川沿いのいつもの道で、期待していたユノとは会えず

あの「おはよ、チャンミン」と
後ろから肩をポンとされる喜びが今朝はなかった

あの後、ユノに連絡をしてみても
まったく繋がらない。

どうしてるの…ユノ

あの後、どんな話になったのだろう


教室に入れば、みんなが汚いものでも見るような目で
僕を見た。

なんだよ

僕は皆んなを睨みつけながら、席についた


ユノの席は空いている

登校してないのか…


キュヒョンとミノだけが
わざとらしいほどにいつも通り挨拶にきてくれて
どうでもいいようなゲームの話をしてくれる

「あ、おはよう…」

「おはよ、チャンミン、
お前には悪いが、王冠は先にゲットさせてもらったからな」

なんの話?

「キュヒョンは汚い手を使ったんだぜ?
課金したんだよ、オキテ破りだろ?」


あ、ゲームの話か

わざと明るくしてくれる2人

なんか、

泣けた…


「………」

「チャンミン…」

「ありがと」


「なにも心配することない」

ミノが僕の肩を叩いて元気づける


「今日は…これから手続きなんだ」

「なんの?」

「停学処分」

「そんなの自分でやるの?」

「わかんないけど、来いって」

「ユノは…やっぱり同じ停学処分みたいだけど、来てないよ」

なんで…僕だけ」


教室にキム教諭が入ってきた

「1時間目は私の授業だけれど、
自習でお願いね、シム・チャンミン、ちょっと」

クラスのみんながチャンミンを振り返る

「はい…」

チャンミンはみんなの好奇の視線の中
教室を出て行った

廊下を歩きながら、キム教諭が静かに話す

「ユノと…連絡をとった?」

「いえ」

「ドンへから何か連絡は?」

「いえ、ドンへがなにか?」

「いや、あいつも学校きてないから」

「そう…ですか」


「ユノの保護者って、あの親戚のはずなんだけど
拒否されてしまって、だれか身元引受人みたいな人いないかな」

「ユノの、ですか?」

「そう」

「バイト先の…」

しまった!と思った。ユノはスナックのママには言ってないのかもしれないのに。


「ああ、やっぱりね」

「やっぱりって…」

「うん、前もユノがケンカして大変だった時
バイト先のご婦人が来てくれて、面倒みてくれたから」

「……」

「やっぱり今回もお願いするしかないか」


昨日の応接室に入った。

そこには校長とPTAの会長がいた。
面倒くさそうな表情で座っている


「座って」

ぺこりと頭を下げて、チャンミンはソファに座った

早速、と言った感じで
校長が事務的に話し始めた

この件は早く終えたいのだろう

「結論から言って、シム・チャンミンお咎め無し。」

「は?」

お咎め無し?
なにか犯罪でも犯したのか?


「チョン・ユンホが君を脅してたらしいという事で
性的要素を含んだイジメと判断させてもらって
昨日言った、不純な交友ではないということで頼むよ」

早口で話すそれは、まるで罪状認否だ

しかも、ユノが僕を脅すってなんだ?

「ちょ!ちょっと待ってください!」

チャンミンが立ち上がると、
校長も会長も怪訝な顔をした。

チャンミンが抵抗するのを見越していた感じだ

「ここからは、私が話しますから」

キム教諭がチャンミンの肩をおさえた

「じゃ、頼んだよ。私たちはこれで」

応接室から校長と会長がさっさと出て行った


「先生!どういうこと!ユノはどうなるの?」

「退学処分だ」

「………」

「た、退学?停学じゃなくて?」

「そうなんだよ…」

「待ってよ…」

「……」

「僕がお咎めなしって…なんだよ…」

「シム、これはユノの希望なんだよ
ユノが望んだ事なんだ」

「………」

「内々で済ませてやりたかった。
ほんとに、伝わり方がまずかった。最悪の展開だったんだよ」

「……」

「力になってやれず、ほんとに情けないけど」

「こんなのって…」

「シム・チャンミン…」

「こんなのってないでしょう?
なんでユノばっかりこんな!」

「チャンミン!ユノの気持ちもわかってやって!」

「いい?先生?
あの日、この写真を撮られた日
あのベンチに座ろうと言ったのは僕なんだよ」

「落ち着いて、チャンミン」

チャンミンはその大きな瞳を剥き出して教諭に詰め寄った。

「あそこなら、木の枝に隠れて
キスしても誰からも見えないって、そうやって
ユノを誘ったのは僕だよ!」

「もう、それ以上言わない、シム!」

「僕とユノは汚くなんかない!
誰より大好きで、愛し合ってるんだよ!」

「もう、それ以上言わないで!」

キム教諭が怒鳴った

「私だってね…お前たちのことは、少なからず衝撃受けてるんだよ」

「先生…」

「理解してやりたい。
イタズラや、さっき話にでたみたいに
脅しとか、そんなのはない事は知ってる」

「……」

「お前たちは、そんなヤツらじゃない、
どれだけ真っ直ぐで正直なのか知ってるよ」

「……」

「だけどね、世間はそうはいかない!」

「……悪いことなんか…してない!」

「じゃあ、聞くけど
なんで他の生徒みたいに、付き合ってることを
おおっぴらにしなかった?」

「それは…」

「お前たちだって、まわりに理解されないのは
わかっていたんだろう?」

「そんなこと、人に言うことじゃない…」

「知れたら、どんな反応をされるかわかっていたはずだ
そういうものなんだよ」


先生の…言う通りだ


今も、今だって

テホくんがこのことを知ったら
どう思うか気になる

ドンへがどう思っているのか
キュヒョンたちが本当はどう思っているのか


母親が受け入れられないのも、なんとなくわかる


ユノ…僕たちは…本当はわかっていたのかな

いけないことだって…思っていたのかな

「先生…」

「なんだ?」

「罪なの?先生これってそんなに罪なの?」

「世間では、受け入れられないんだよ
それを認めてもらおうとするにはお前たちは幼すぎる」

「…全然、わからない」

「いいか?ユノはね、お前にバツがついて
医大の招待枠を受けられなくなることを恐れた。
それだけは困ると、昨夜、ここで土下座して私に頼んだ」

キム教諭の声に涙の色が滲む

「これで、シムまでが将来を見失ったら
ユノがもっと苦しむ」

「じゃあ、ユノはどうなってもいいっていうの…」

「大丈夫。きちんと私が裏付けをとって
あいつの悪いようにはしないから」

「なんの?なんの裏付け?」

「ユノを欲しいと言ってる会社があるらしくて
事情を聞いたら、結構本格的な話まで進んでいたし
社長さんも本気だった。
私が責任もってそこは面倒みるから」

「ユノにはバツがついていいっていうの?!」

「シム・チャンミン、いいからこれは
一度、ユノと話した方がいい。ね?」


もう、だれも信じられない

味方は誰もいないんだ


孤独だった

チャンミンは初めて孤独を味わった


そしてなにより

ユノに会いたかった


ユノに会えたら、きっとすべてが今までどおり

昨日から今日のことが
とてもバカバカしく思えるに違いない

ユノ…

どこにいるの


チャンミンは首に光る
シルバーのネックレスにそっと触れた






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