プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋27




ある日、ユノはミナに呼び出された

「あのさ、まだ俺に用があるわけ?」

「そうよ、アタシのことバカにしてさ。
忘れたわけじゃないのよ」

「去年のことだろうが?お前だってもうカレシいるだろ」

「でもね、バカにされたのは事実だから」

ユノは呆れたようにため息をついた

思ったよりしつこい女だ。


「で?なんだっていうんだよ」

「なんでもない。せいぜい自分の可愛い恋人を大事にすることね」

「……」

ユノの顔に緊張が走った

「どういう意味だ」

「だから、恋人を大事にしなさいって言ってんの。
忠告よ」

ミナは意味ありげにほほ笑むと、ユノを校庭の隅に置き去りにして立ち去った


ユノは急に不安になった

理由は思い当たらないけれど
何かとんでもないことになりそうな気がする

それが何かはまったくわからない

ただの「悪い予感」だった。

とにかく
無性にチャンミンに会いたい、とユノは思った。

ユノは居ても立っても居られずチャンミンに電話をした

携帯電話はひたすら呼び出し音だけが鳴り響く

出ない…

ユノは携帯の蓋を閉じた

しばらくして、折り返すようにユノの携帯が鳴った

「チャンミン?」

「ユノ…」

力なくチャンミンが返事をする

「どうした?」

「…なんで電話くれたの?」

「なんでって…別に用があったわけじゃないけど」

「先生から何か言われた?」

「えっ?何を?」

「今日、僕とうちの母さんが、先生に呼ばれた。
今、帰ってきたところ」

「なんで?」

「母さん、今、泣いてるんだ、キッチンで…」

ユノの胸に痛みを感じるほどの不安が走る

「どうして…」

チャンミンのテンションの低さが
ユノを更に不安にさせた。

「僕たち、この間…公園のベンチにいるところ
誰かに写真撮られてて…」

「……え?」

「今日、キム先生に学校で見せられた…」

ユノは突然電話を切ってバイクのキーを入れ
タイヤが軋むほどカーブさせて学校へ向かって走り出した。

嫌な予感がだんだん的中していくような気がして
ユノの身体に悪寒が走る

学校の塀にバイクを停めた

校門を駆け抜け、校舎に駆け込み、職員室へ向かって走った

「チョン・ユンホ!」

後ろから声がして振り向くと
そこには担任のキム教諭がいた。

1年からずっと担任のキム教諭

女だけれど怒ると誰よりも怖く、厳しい
男口調でそっけないけれどその心根はとても優しく、
温かいことをユノはよく知っていた

「ユノ、お前どこに行ってた」

キム教諭は難しい顔をしていた

「先生…」

「話がある。お前の保護者に連絡をしたけれど
関係ないと言って取り合ってもらえなくて」

「あのさ、なにがあったか知らないけど
まずは当人だけを呼んで話を聞くべきなんじゃないか?」

「なにがあったか知らないけどなんて
お前よく言えるね、全部わかってるんじゃないか」

「なんでいきなり親とかなんだよ」

「……シム・チャンミンから聞いたのか」

「………」

「ユノ…PTAから来た話でね、個別にどうこうって時間も猶予もなかった。それは悪かった」

「なんだよ、それ」

「ユノ、ちょっとこっちへ」

ユノはキム教諭に応接室へ入るよう促された

テーブルには何枚かの写真が置いてある

「座って」

ユノは心臓がドキドキした

テーブルの上には、あの日、あの紅葉の影のベンチでキスをしている2人が写っていた

しかもそれは1枚や2枚じゃない

「………」

なにも誤魔化すことのできない写真だった

「チャンミンは…認めたんだよ」

「何を?」

ユノはキッとキム教諭をにらみつけた

「お前たちがここで何をしていたか」

キム教諭は負けずにユノを睨んだ

「悪いことなんて、何もしてねえよ」

「ユノ…」

キム教諭の顔が少し悲しげだ

「ごめん、力不足で…」

「…なんだよ」

ユノは狼狽えた

「本当は、私が先に2人に話をしたかったんだよ」

「……」

「一番いい方法を3人で考えたかった」

「……」

「この写真は生徒から親へ、そして学校へと伝わって。
最悪のシナリオなんだよ」

「最悪?」

「うん。お前にはわからないだろうけど
正直、最悪なパターンで話が伝わってしまった」

「俺たちの話は誰も聞いてくれないのか」

「チャンミンはひたすら謝ってた…」

「誰にだよ、誰に謝るんだよっ!」

「PTA会長と母親に」


なんてことだ

チャンミンは親と一緒にこの写真を見せられ
責められ、詫びさせられたっていうのか。

「卑怯だぞ!みんなでチャンミンを囲んで責めたんだろ!
母親を呼び出すなんて最低だ!」

「ユノ!お前はわからないかもしれないけど
それだけ、世間ではお前たちは子供なんだよ」

「チャンミンにとって母親がどんな存在か知ってるだろ?」

「ほんとに、お前に卑怯だって言われても
私は何も言えない…」

「……」

「すまない…ユノ」

「……」

応接室の大きな時計がカチ、カチと時を刻んでいる


「で?俺はどうすりゃいいの…」

「とりあえず、2人とも停学処分だ」

「処分理由はなんだよ」

「不純な交友をしたってことだよ」

「けっ、なんだよそりゃ」

「残念だけれど、チャンミンも招待生の道が閉ざされた」

「え?」

「大学の招待生は高校で事件を起こしてないことが条件だ」

「おい、待てよ」

「残念だけれど…」

「そ、それは…困る!」

「ユノ…」

ユノがキム教諭に詰め寄る

その顔は真剣で悲しそうだった。

キム教諭が今まで見たことのない
ユノの表情だった。

「先生!俺はさ、どんな処分でもいいんだよ。
わかるだろ?保護者だってあんなんでさ、俺がどんな処分になったって、誰もなんとも思わない」

「……」

「でもさ、チャンミンは違うんだよ!
親孝行なのが見ててわかっただろ?」

「ユノ…お前たちは…」

「頼む!チャンミンを助けてくれ!
どうか、頼む…お願いだから…」

ユノはソファから降りて、土下座した

「頼むよ…チャンミンを救ってくれよ」

「ユノ…」

応接室の床に額をつけるユノの頭上でキム教諭の静かな声がする

「チャンミンも、ユノは何も悪くないんだって…叫んでたよ…」

「……」

「ユノを助けてって」


ユノは嗚咽をこらえることができなかった

「何言ってんだ…チャンミン…」

「私もつらいよ、ユノ」

ユノはバッと顔を上げた

「頼む、俺はどうにでもなるんだ
バイト先で、俺に来ないかっていってくれてる会社がある。
だからどうにかなる。
だけど、チャンミンはバツがつくわけにはいかない。
学校だってチャンミンは貴重だろ?
この高校から医大の招待生が出るってなればプラスだろ?」

「ユノ…」

「俺が…全部ひっかぶる」

「……」

「先生、俺のためだと思って、うまい話
作ってくれよ…この通りだから…」

キム教諭はため息をついた

「俺、そのためなら、なんでも言うし
どんな悪役だって構わない…」

「……」

「チャンミンだけは…頼むから…今まで通りに」


もう誰もいなくなった校舎に
ユノの叫びが響き渡っていた





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