プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋20




「ユノ…僕もユノが好きだよ」

チャンミンはユノの手をギュッと握った

「男なのに、変だと思うけど」

「変だよな、男なのに」


2人で笑った

静かな笑い声が夜の海にかき消される


「チャンミン、お前、いつから俺のこと好きだったの?
最初は嫌いだったろ」

「うん、最初はキライだったよ」

そう言ってチャンミンは笑った

「いつから好きだったかな、いつのまにか、かな」

「俺は、最初からお前をいいと思ってたぜ?」

「そうなんだ、からかわれてるのかと思ってた」

「チャンミン…」

「なに?」

「もう一度キスしたい」

「……」

チャンミンは恥ずかしくなって下を向いてしまった

ユノはチャンミンの肩を抱き寄せて
うつむくチャンミンの頬に口付けた

「こっち向いてよ」

ユノの低い声が耳からチャンミンの胸に響き渡るようだ

チャンミンがそっと横を向くと
ユノがその顎に手を添えて優しく口づけてきた


最後の花火がキラキラと夜の海に舞い落ちて
キスをする2人を明るく照らしていた




**************

<ユノ、チャンミン、25歳 クリスマス >


ジングルベルが響き渡る街
粉雪が舞う


大学病院のインターンであるチャンミンは
恋人とクリスマスの買い物に出ていた

「なぁ、チャンミン、疲れてるか?」

「なんで?そんな風に見える?」

「せっかくのクリスマスなんだ。
もうちょっと楽しそうにしてほしいな」

背の高くスーツの似合う恋人は
チャンミンの背中に手を回した

「コーヒーでも飲んで、少し休もうか」

「うん…」



ぼーっとカフェに入ったチャンミンは強い視線を感じて
そちらを見た

え?

ユノ?


カフェの窓際の席で、驚いたようにチャンミンを見つめるユノがいた


まさか


いつもユノの幻影ばかり追っているせいか

誰かを見間違えてるのか

いや、そんなことはない


恋人に促されるまま、
チャンミンはユノが座るテーブルの隣の席についた


チャンミンは気が動転して、何を注文したかもよくわからず、相手の声も耳に入って来ない


チャンミンの全神経は隣のテーブルで1人コーヒーを飲んでいるユノに向けられていた


ピピッと音がして、チャンミンはハッと目の前の恋人に視線を移した。

チッと舌打ちをしながら
恋人が胸ポケットから小さな機械を取り出して、その画面を見て難しい顔をした。

「あ…仕事?」

「あーうん、でもいいよ」

「気にしないで、仕事行って」

「うーん」

「いいから、ほんと」

「ごめん、先に部屋行っててくれる?」

そう言って、恋人はキーと札を1枚テーブルに置いて席を立った。

キーのカチャリという音に、ユノがチラリとテーブルを見た。

恋人は自分の指にキスをすると
それをチャンミンの唇にそっとつけた

スマートな所作

「後でね、チャンミン」

恋人が店を出ると、隣どうしのテーブルで1人ずつ座る2人に緊張した静けさが漂う

2人ともじっと動かずにいた


「チャンミン、久しぶり」

重い空気を変えるように、ユノが明るく声をかけた

チャンミンが恐る恐る隣を見ると
ユノが爽やかに微笑んでいた

「あ…」

「そっちに座っていい?」

「う、うん、いいよ」

ユノは自分のコーヒーを持って
チャンミンの前に移動してきた。

「ひ、ひさしぶりだね」

努めて、明るく振舞おうとするチャンミン


夢にまでみたユノが目の前にいた

ユノは綺麗な青年へと成長していた

顔のラインもシャープになり、涼しげで優しい瞳は大人びて、昔の尖った反抗期の鋭さは影を潜めている

髪の色も本来の黒さなのだろう
漆黒の瞳によく似合ってよりセクシーにみせていた

チャンミンは、そのダンガリーのシャツからのぞく長い首元を思わず覗いてしまった。

もしや、そこにシルバーのチェーンがあるのではないか、そんな淡い期待


そんなものは遥か遠い昔へ投げ捨てたに違いないのに


「チャンミン、変わらないね」

「ユノは…とても大人っぽくなった」

「さっきのは…恋人?」

「………」

「カッコいい人だね、大人で」

「……ユノはどうしてるの」

「今日はドンへの見舞い」

「…悪いの?」

「いや、定期的な検査入院だから、全然」

「そう…」

「………」

「ユノはちゃんと…友達も大切にして…」

「チャンミンは……キュヒョンたちと…会ってないのか」

「僕は…みんな捨てちゃったんだよ、なにもかも」

「俺の…せいだな…」

「…そんなこと…ない。
ユノはなんにも悪くない」

「でも…」

「僕ね、ユノ」

「?」

「いつか、こうやって会えたら
言いたいと思っていたことがあって」

チャンミンの鼓動が早くなる

ユノが黙ってチャンミンを見つめる


「ユノ、ごめん、本当にごめん」

「………」

「………」

「チャンミンが…謝ることない」


ユノが静かに言った。

チャンミンはギュッと目をつぶった

僕はずっと、あなたが忘れられないんだ


「医者になれたの?」

「…うん、もうすぐ」

「よかった…お母さん、喜んだだろ」

「再婚したんだよ、母さん」

「そうか…」


「ユノ…僕」


「………」


チャンミンはなにも言えなかった
何か言うには、今のチャンミンはその資格がない

恋人のマンションのキーを前に

ユノが忘れられないと、どの口が言うのだ

でも、もうユノに会えないかもしれない
今、何か言わないと


「僕は、僕はずっと」

「……」

「ずっと…」


それ以上言えずに、チャンミンは泣き出してしまった

店内にはクリスマスソングが流れる

ユノは、優しくチャンミンを見つめていた


「チャンミン」

「………」

「お互い、過去から解放されよう」

「え?」

チャンミンは泣き顔を上げてユノを見た

相変わらず、幼く可愛い顔立ちが
涙でくれているのをみて

ユノはたまらなくなった

ずっと…忘れられなかった
俺の…可愛いチャンミン

思い出の中のチャンミンと変わらないまま
今、自分の目の前にその存在があるなんて

愛おしくてたまらない、そんな風に見つめるユノの目に
涙が光る

目の前にある、キラリと光るキーが
2人にどれだけの時間が流れたかを物語っていた。

チャンミンの白いシャツの襟元にもし
あのシルバーのチェーンが見えたなら

俺は今ここで、このキーを放り投げ
その手をとって、連れ去ってしまうのに


「チャンミンが幸せそうで、それで十分」

「幸せ?」

意外そうにチャンミンが問う

「無事に医者になれて、誰かとクリスマスを過ごすみたいな、そんな幸せなチャンミンに会えて、なんか、今日は本当によかった」

「ユノ…」

「実は俺、結局テジョンに住んでいて、
こっちへやっと戻ってきたところ」

「…そうだったんだ」

「お互い、なんのしがらみもなくさ」

「……」

「いろいろ思うところがあったかもしれないけど
もういいじゃないか」

ユノは目の前のキーを見つめて微笑んだ

チャンミンは何も言うことができず
下を向いて嗚咽を殺した

「自分を責めるな、俺も自分を責めないから」

どんな時間を過ごしてきたのか
話すことも大人びたユノがそこにはいた

ユノはそばにあった、二つのレシートを取ると
席を立った

「じゃあな、元気で」

そう言って立ち去るユノに
チャンミンは声がかけれなかった


ユノ…愛してる

僕は今でも、あなたを忘れられない

チャンミンはバッグから、小さなビロードの袋を取り出した。

その中には繊細なつくりのシルバーのネックレスが入っていた。

チャンミンはそれを握りしめて、
ひとしきり静かに泣いた


店の外にでたユノは降りしきる雪の空を見上げた

粉雪は本格的な雪になり
今夜はホワイトクリスマスだとニュースが告げている


ユノは財布から、小さな麻の袋を取り出した
中にはチャンミンとお揃いの、シルバーのチェーンが入っていた。

ユノはそのチェーンを握りしめて
ギュッと目を閉じた






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
検索フォーム
ブロとも申請フォーム