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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋15



ユノはドンへや仲間たちとゲームセンターにいることが多くなった。


夏休み…

チャンミンはテホの勉強をみてやりながら
自分も勉強をがんばっていた。

夏休みになれば、毎日でもユノが図書館に来てくれると
そう信じていたけれど

ユノはパタリと来なくなった

「夏だから、夜でも明るいからじゃない?」

ユノが迎えに来ない理由をテホはなんでもないように
そう言った。

「そもそも、中3の僕を迎えにくるなんて
ほんとにヒョンは過保護なんだよ」

「まあ、そうだね」

「それより、先生はその後どうなの?
彼女とさ!」

「彼女?」


スジンからは毎日のように連絡があり
たまにカフェで話したりした。

完全に

会話は噛み合っていなかった


スジンの話といえば
友達の彼氏の話や、自分のメイクの話、流行りのカフェだとか、チャンミンにはまったくもって興味のない話


じゃあ、ユノとは会話が噛み合っていた?


チャンミンはそう自問自答する

答えはノーだ。


ユノとの会話なんて、それこそまったく中身がなくて
自分が小言を言って、それをユノがうるさがる


だけど、そんななんでもない会話が
もう楽しくて仕方がなかった

なんでだろう

なんでユノといる時間はあんなに短くて
あっという間に過ぎてしまうんだろう


「また!ぼーっとしてる!」

スジンに言われて、チャンミンはハッとした

「あ、ごめん」

「今ね、臨海教室の話してたんだよっ」

「ああ、そうだったね」

「行くでしょう?チャンミン」

「うん、だって授業の一環でしょ?」

「ねぇ、一泊だけどさ、夜アタシと抜け出さない?」

「え?」

「花火大会みたいなのがあるんだってー
アタシと見ようよ」

「う、うん…抜け出すなんて、できるのかな」

「大丈夫よ、ね?」


スジンの夏らしいワンピースから
胸の谷間がのぞいている

あきらかに計算されたスジンのアプローチも
チャンミンにはほとんど通じなかった

まわりでは少しずつ、キスがどうのという話もではじめていて、

ミノもやっと彼女ができて、ファーストキスを済ませたと言っていた。

キュヒョンも女の子のカラダの話ばかりして
ミノと盛り上がっている。

こんなスジンの姿を見たら
普通なら興奮して大変なはず

普通なら…



「なぁ、ユノ」

「ん?」

ドンへの部屋でユノが壊れたスロット台で遊んでいる

「チャンミンがスジンと付き合ってるって、知ってた?」

「……ああ」

「チャンミン、スジンに骨抜きにされてるって、ほんとなのかな」

「……」

「スジンなんて顔が可愛いだけでさ、
したたかなメス猫って感じだけどなぁ
チャンミンにはわからないかな」

「それでも好きだから、付き合ってんだろ」

ユノは面白くなさそうに、スロット台をいじっている

「チャンミンのいろんな初めてを全部掻っ攫うって
息巻いてるらしいぜ、スジンらしいな」

「いろんな…初めて?」

「チャンミンがキスもしたことないって
スジンがまわりに喋りまくってる」

「スジンは…チャンミンとキスするって言ってんのか」

「チャンミンのファーストキスをいただくって息巻いてたよ」

ユノは思わず、手に力が入りスロット台のレバーを壊してしまった。

「おーい!壊すなよ」

「最初から外れてたんだよっ!」

「チャンミンをスジンにとられたからってさ!」

「なっ!なんだよそれ」

「カミさんに逃げられたオヤジみたいだ、ユノは」

「………」


「見守ってやれよ、チャンミンに春が来たんだ。
相談に乗ってやればいいじゃん。経験豊富だろ?」

「相談なんて…なにもないだろ」

「近況くらい聞いてやれよ」

「……」


俺は小さい男だ

大事な友達の幸せを祝ってやることが出来ない



ある日、ユノがパッピンスを奢ってくれるということで
珍しく図書館にテホとチャンミンを迎えに来た

チャンミンは久しぶりにユノと話が出来そうで
前の夜は眠れないほどだった。

図書館に来たユノを見たとき、胸が張り裂けそうになった。
まったくユノを忘れていない自分にも気づいてしまい、胸が苦しくもなった。

情けない…

そもそも今日はスジンと映画を見ようという話になっていたのに。テホから今日の事を聞かされ、即スジンに断りの連絡をしているという…

会いたいのだ

ユノに…


「ヒョン、奢るとか無理しないでよ?」

そう言いながらも、テホは嬉しさを隠せない

「パッピンスくらい、なんてことねぇよ」

「僕は自分の分は払うよ?テホだけご馳走してあげてよ」

「何言ってんだよ。今日は、お前に彼女が出来たお祝いで奢ってやるんだよ」

「………」

「そうだよ!お祝いしなきゃ!ヒョンたまには気がきくことするじゃん!」


チャンミンはお祝いされるなんて
ちっとも嬉しくなかった

心はモヤモヤとして、喜ぶテホになんとか作り笑いをした。


それでも気を取直して、店に行ったのに…


「えぇー!休業日???」

本日休業と書かれた札の前に立ち尽くす3人


「もぅー!ピンス食べたかったのに!」

テホが子供のように駄々をこねた


「あーじゃあさ、俺のところに来いよ
店に氷と機械があるから、作ってやるよ」

チャンミンが驚いた

「店に僕たちが行っていいの?」

「ああ、店のママは実家に帰ってるから
今日は店が休みだし」

「ピンスが食べられるならどこでもいいよ?
でも、ヒョンが作ってくれるの?」

「ああ、作るっていっても氷削るだけだ。
それも機械が」

「だよね!」

テホはユノにコツンと小突かれている。
微笑ましい兄弟の姿に、チャンミンも強張っていた気持ちが和らいだ。


3人はユノのバイト先のスナックへ行った。

小さな店構え

常連さんだけで持ってるような、そんな店だった。

それでも中はきちんと片付いていて
住む場所も、気持ちよく整えられている。

ユノは店のカウンターで、氷の用意をし
チャンミンがそれを手伝った。

手際のいいユノを見ていると、その仕事ぶりが伺える

客の注文に酒を作り、空いたグラスを片付けたり
きっとキビキビとそんな風に働いているのだろう

前にテホが言っていた

店の常連客が、ユノが卒業したら自分の会社に欲しいと。そんな話もあるらしい。


3人でパッピンスを食べた

貸切状態の店内にテホは喜んだ


冷蔵庫にあった材料で、ユノが手早くチゲも作ってくれて、それも3人で平らげた

「ユノがこんなに料理が上手だなんて、意外だよ」

チャンミンは自然にそんな言葉が出た。

「え?」

ユノが驚いたようにチャンミンを見る

「あ、いや、すごく美味しいし、なんていうか
手際がよくて…」

「……」

「あ、えっと…」

なんで、ユノは黙ってしまうんだろう


「俺、はじめてチャンミンに褒められた」

そう言って、ユノが嬉しそうに笑った


なんて笑顔…

弓なりに細められた切れ長の瞳が優しい

ニッコリと笑った口元の真っ白な歯が眩しい

ユノ…

「そんなこと…ない」

「ヘヘッ、だっていつもダメ出しばっかされてんじゃん」

「そんなことないよ、ユノ」

チャンミンが真剣な瞳でユノを見る

「……」

「ユノは…なんでもできてさ。
責任感もあって…面倒見も良くて、人望もあってさ。
きっと仕事だって、すごく手際がいいんだろうなって…」

「……」

「……」

「な、なんだよ、珍しいじゃねぇか。
そんなに誉めなくったって、チゲくらいいつでも作ってやるよ」

「そう言うわけじゃ…」

「あ!テホ…」

その声にチャンミンが店内を見ると
テホがソファで眠りこけている

「お腹いっぱいになって眠くなったのかな」

「勉強のし過ぎなんだよ、ったく。」

「ベッドに寝かしてくるから、待ってろ」

「え?あ、うん…」

ユノはそこそこ大きいテホをひょいと持ち上げた

「起こして連れて行ってもいいんじゃないの?」

「可哀想だろ、寝てんのに」


チャンミンはフッと微笑んだ

弟をいつまでも子供扱いして
世話を焼く

ユノは…

こういう人だよね…


チャンミンの胸の奥から
幸せがたくさん溢れ出してくる

認めたくない自分の気持ち

わかってはいるけど





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