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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 13


チャンミンはわかっていた。

自分がユノを、そういう気持ちで見ていることを
わかっていた。

そして悩んでいた。


ない話ではない

聞かない話ではない

だけど、よくある話ではない


少なくとも、自分の人生には関係がないと思っていた


こういうものは、予期せず訪れるものなのかもしれない
どんなに自分を制しても、抗えないものなのかもしれない。

もう、認めた方が楽だった。

認めて、そして気持ちを隠していく事を選んだ方が
楽だった。

誰にも相談できずに、毎日が過ぎた。


ある時

チャンミンは下校しようと下駄箱を開けると
自分の靴にピンクの付箋が貼ってあった

" これ、アタシの番号 電話してね♡ スジン"


「ん?なんで、僕が電話しなきゃいけないんだ?」

とりあえず、その付箋をリュックのポケットに無造作に入れて、チャンミンは図書館に向かった

今日は月曜日なのだ。

ユノが…来てくれるはず


そして、案の定ユノは図書館併設の公園にいた

既に夏休みに入っている学校も多いようで
図書館は人が多かった

もしかしたら、夏休みはもっと会えるかな。
テホだって夏休みはそれこそ勉強の踏ん張り時だ。

ユノはきっと昼間はバイトがないのだろうし。

「先生、考え事?」

「えっ?」

「なんだよ、ぼーっとしてさ。」

気が付けばユノとテホがチャンミンを不思議そうにみている

こうやって二人が並ぶと、やっぱり似ている。

「二人はやっぱり似ているね。
テホくんの八重歯がなかったら、そのままユノの顔だね」

テホがうえーっという顔をする。

「なんだよっ!お前のヒョンはモテるんだぞ!」

「はいはい、さあ帰ろ。僕たちはもうすぐ期末試験なんだから」

チャンミンが二人をなだめて、家路につこうとする。

その時、チャンミンのリュックから何かが落ちた。

「先生、何か落ちた」

テホがそのピンク色の小さな紙きれを拾った

「え?」

「うわ」
テホが変な声を出す

「なんだよ、どうした?」

ユノがそれを覗き込んだ

”電話してね....”

「スジンて、あのあばずれ…」

「ああ、それね。下駄箱に入ってた」

「先生!これって告白でしょ!告白!」

「ちょっとちがうんじゃないかな」

「何言ってんの!可愛いコだといいね」

テホのテンションが高い

スジンという名前をユノはよく知っていた。

アメフトのキャプテン、ホドンの彼女だけれど
ホドンがケガをして全国大会に出られなくなったら
お払い箱にするという、イヤなタイプの女だった。

ユノにもやたらとちょっかいを出してきて
隙あらばどうにかなろうとしている

きっと、転校生で話題のチャンミンに目をつけて
アプローチしてきたのだ。

ステータスのある男を自分のアクセサリーにするタイプ。

「よせよ、スジンなんて」

「なんでだよ、ヒョン!」

「どうして僕が用もないのに電話しなきゃならないんだろうね」

そこかよ!

ユノは苦笑した。

正直、スジンは学校で3本の指に入るほどのビジュアル

電話して、と声をかければ男なら速攻連絡をしてくる。
そんな自信があるだろうし、それが常だった。

それなのに、どうして用もないのに僕が....とか

まったくその気のないチャンミンにユノは安堵のため息をついた。

「お前たちは女よりも、まずは勉強だよな!」

ユノはテホとチャンミンを両腕に抱きかかえ大声で笑った

「なんでヒョンは自分は関係ないって顔するんだよー!
ヒョンも学生でしょー」

テホとユノの笑い声が夏の夕暮れに響いた

チャンミンとしては、ユノの腕が自分の腰に回っていることに気持ちが動揺し
とても笑いあうような状態ではなかった

はあー

テホを家に送り届けて、いつものユノと2人だけの時間。

「なんだよ、チャンミン。ため息なんかついてさ。
スジンが気になるのか?やめとけ、あんなアバズレ」

「でも、女の子に電話して、なんて言われたの初めてかも」

「うそつけ。チャンミン、モテただろ」

「僕、ダメだったよ。中学の時もパッとしなくて」

「ふうん。好きな子とかいなかったのか?」

「可愛いな、と思う子はいても、それまでだったな」

「へえー」

「ユノは違うでしょ」

「まあね」

「キスとかさ…その…なんていうか」

「セックス?」

「ちょっ!いきなり何言うんだよっ!」

「そんなの中学の時に試したよ」

「そ、そうなんだ」

「チャンミンも…してみたいのか?」

「僕は…別に興味ないよ、そんな余裕ないし」

「だよな、医者になるんだから勉強、勉強」

「……」


その夜、チャンミンは考えた

何が普通かはわからないけど、高校2年生の男子だったら
女のコと普通につきあって、学生生活を送るべきなんだ。

このまま、ユノを思っていてもつらいだけ。

今はこんな日々が続いているけれど
いつユノに彼女ができてもおかしくない

そうなったら、ユノのことだ。
毎週月曜日、彼女と図書館に来るだろう

チャンミンは思わず身震いした。
耐えられない

そんなの耐えられない
想像したくもない!


チャンミンの胸にある無謀な決意が芽生えた。



ある日、テホがユノに電話をしていた。

「期末の保護者面談、先生に聞いたらヒョンでもいいって。」

「行ってやるよ。ちゃんとした格好で行くから」

「変にキメてくるのやめてよ。制服でいいんだからね」

「わかってるよ。どいつもこいつも」

そう言ってユノは嬉しそうに笑った。

「どいつもこいつもって?」

「お前さ、チャンミンに俺の面倒みるように言っただろ」

「面倒?」

「ラーメンばかりじゃなくて野菜も食べろとか、
バイク気をつけろとかさ」

「???」

「うるさくて困ってんだぞ?」

なぜか照れ臭そうな声のユノ。


「僕が先生にお願いしたのは、ヒョンが授業中寝てたら起こしてってことだけだよ?」


「え?」


「ヒョン、ラーメンばっかり食べてるの?」


「あ…」

知るわけないか…学食で何食べてるか、なんて

「いや、なんでもない」

「ヒョンの事を心配してるのは、
僕じゃなくて、先生なんじゃないの?」

「うん…」

「あんまり、迷惑かけないでよ?」

「ああ、わかってるよ」


電話を切ったユノは、優しい笑顔をしていた。

「あーあ、まったく!」


ユノは天井に向かって大きく伸びをすると
そのまま、ドカッとベッドに倒れこんだ

頭の後ろに手を組んで、天井を見上げた


「可愛いなぁ、チャンミン」

それなのに…

スジンのやつ…

お前なんかにチャンミンが靡くわけないのに





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