プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 9



次の日

ユノはテホと明るいイタリアンの店で待ち合わせた。

宿題を済ませてから来るというテホを
ユノはコーラを飲みながら待っていた

やがて、最愛の弟が嬉しそうに店に入って来る

ユノがそれこそ、目の中に入れても痛くないほどの
可愛い弟

「ヒョン!久しぶり」

「おぅ、がんばってるんだな
宿題済ませるなんて偉いぞ」

「ヒョンは宿題ないの?」

「忘れた」

「もー相変わらずだなぁ」

「それはいいから、なに食べたい?
なんでもいいぞ。
この渡り蟹のパスタなんてどうだ?」

「いいよ、こんな高いの」

そう言うテホを無視して、
ユノは渡り蟹のパスタを注文していた。


それから、2人は近況を語り合いながら
パスタやサラダ、そして奮発してデザートまで食べた。

「ヒョン、バイク乗ってるの?」

「そう、バイト先の息子さんの形見」

「ドンホ、さん、だっけ?」

「ああ、今度お前も乗せてやるよ」

「乗って見たい!」

テホの無邪気な顔にユノの笑顔も柔らかい

「ああ、いつでもいいぞ」

「だけど、叔母さんたちにバレるとやばいね」

「叔母さんたちに、イヤなことされてないか?
何か我慢していることとか。」

「今のところ何もないよ。
他の親戚の手前もあるだろうけど。」

「俺たちに必要な金は父さん達が残してくれてるんだから、何かあったら言え」

「うん、ヒョンがその通帳持ってるのはおかしいって
叔母さん、ほかの親戚に愚痴ってた」

「何言ってんだよ、通帳をあいつらに渡したらみんな使われちまう」

「それは困るね。
でも、親戚の中には可哀想だって言ってくれる人もいるし」

「可哀想?お前が卑屈になることないんだぞ。
欲しいものがあったら俺に言えばいいし。
男なんだから、同情されても堂々としてろ」

「うん、ありがと」


楽しい時間を過ごした後、
2人はどこか遊びに行こうということになり
店を出た。

2階の店から螺旋階段を降りる途中で
テホのリュックが手すりに引っかかり
中身が全部落ちてしまった

「あー!」

急いで降りて、2人で散らばった本や鉛筆を片付けた

その中に、分厚い本があり
ユノが何気なく手に取った

それはかなり重さのある化学書だった。

ふと、裏表紙の下の価格を見てユノが驚いた

「テホ」

「ん?」

「こんな高い本、どうした」

「あ、それ…」

「図書館で借りてる本じゃないな」

「あ…えっと…」

「どうしてこんな高い本が買えたんだ?」

テホは狼狽えた

ユノは本についた埃を払いながら
立ち上がってテホを見下ろした

「さっきの俺の話、聞いてたか?」

「……」

「言ってごらん、この本はどうしたんだ」

「…貸してもらった」

「誰に?」

「……」

「誰から借りてるか言えないのか」

「いつも図書館で会うお兄さん」

「そいつがどうしてこれをお前に?」

「いつも…僕が図書館で借りてて
でも人気だからいつもあるわけじゃなくて」

「うん」

「そうしたら、そのお兄さんが持ってるから
貸してくれるって」

「こんな高価なものを?
見ず知らずのお前に?」

「もう、使わないって、そう言ってた」

「お前が金が無くて買えないって言ったのか?」

「そうじゃないけど…」

「恵んでもらって恥ずかしくないか?」

「……」

「馬鹿にされてんだぞ?」

「でも、すごくいい人だよ」

「何がいい人なもんか、足元見やがって」

「勉強も教えてくれるんだ」

「塾に通えないからか?腹が立つ!
そいつはどこに住んでるんだ。これを返しに行くぞ」

「そんな!」

「テホ、俺たちは金もないし、両親もいなくて
確かにまわりから見たら不幸に見えるかもしれない」

「……」

「だけどな、誇りだけはある。
人から同情されるような、そんな俺たちじゃない」

「……」

「こういう本が欲しいなら言えよ
買ってやるから」

「………」

「そいつのところへ行って
これを返すんだ」

「せっかく勉強教えてもらってるのに」

「塾なら通わせてやるよ」

「……」


結局、テホはユノを説き伏せる事が出来ずに
図書館にいるであろうチャンミンのところへ
本を返しにいくことになった。


テホは泣きそうだった。

優しいチャンミン。
もうこのまま、兄に反対されて会えなくなるのだろうか。


図書館へ行くと、まさにチャンミンが出口から出てきたところだった。

「ヒョン!」

「テホくん、今日は来ないからどうしたのかと…
え?ユ、ユノ??」

「チャンミン…なんで、お前がここに…」

「2人、知り合い?!」
テホが2人の顔を見比べて言った。

「ああ、同じクラスだよ」

ユノがぶっきら棒に答えた


「ええっ?!」

「あ、え?、お兄さんって、ユノ?」

ユノが本を片手にチャンミンに詰め寄った

「チャンミンがテホにこんな本やったのか」

「あ、もう僕は使わないから」

「あのさ、お前がどんだけ金持ちか知らないけどな
こんなことしてくれなくたっていいんだよ」

「こんなこと?」

「こんな高い本を恵んでもらうほど
金がないわけじゃねぇ。」

「何言ってるの…」

「オメェにはこんな本、ハシタ金だからってさ」

「は?」

「ヒョン!違うよ!チャンミニヒョンはそんなつもりで貸してくれたんじゃないよ!」

「いいから、お前は黙ってろ」

「ヒョン!!!」


ユノがふと見れば、チャンミンの目が座っている
完全に怒っている

「なんだよ、その目」

「………」

「なんだよっ!金持ちだからって
俺たち兄弟をバカにすんな!」

「誰が金持ちだって?」

チャンミンの声が低く響く

「あ?」

「誰かが言ったの?
僕が金持ちだって」

「金持ちのボンボンだろうが…」

「僕は小さい頃、父親が亡くなって
それから母がずっと働いて、女手ひとつで育ててもらってるけど?」

「え、えっ?」

「母の仕事が変わるたびに転校してきたんだ」

「……」

「その本は僕が中学の時、小学生から貯めていたお小遣いをはたいて、やっと買った大切な本」

「あ……」

「一生懸命に勉強してるテホくんを見てて関心して
この子にならと、もらってほしいと僕からお願いしたんだ」

「チャンミニヒョンは、招待生で医学部に入るために
勉強してるんだよ」

「招待生?」

「授業料が免除になるんだよ
母に負担かけられないから」

チャンミンがユノをジロリと睨んで呟いた。

「そ、そうか…」

バツ悪そうに頭をかくユノ。

「なんなの?人の好意をそうやって踏みにじって。
僕だってお金なんかないけど、人の好意はきちんと受けて感謝するよ。それが礼儀じゃない?」

「べ、別に踏みにじったわけじゃ…」

「意地ばっかり張ってさ!
自分たちを可哀想だと思ってるのは、まわりじゃなくて
自分なんじゃないの?!」

「なんだと?!」

ユノはチャンミンに詰め寄った

「ヒョン!やめてよ!」

テホが泣きそうになりながら
ユノとチャンミンの間に入った。

「こんな兄によくぞこんな出来た弟がいるなんて。
テホくんはお兄さんに似なくてよかったよっ!」

「もう一回言ってみろっ!!」

チャンミンはユノを無視し
ムッとしたまま、その場を去った



既に夜の帳が降りる公園

ベンチに座る、ユノとテホ

さっきからずっとテホがしゃくりあげて泣いている

「なぁ、テホ、もう泣くなよ」

「だって…うっ…もう…チャンミニ…ヒョンに…
えっ…会えない!」

「悪かったよ…」

「ユノヒョンなんて、大っ嫌いだ!」

「ちょっ…ひでぇな…」

「せっかく…うっ…勉強…教えてくれるって…」

「だからさ…」

「憧れだったのに…招待生を目指すなんて」

「わかった。俺、明日チャンミンに謝るよ。
もう一度、勉強を見てもらえるように、俺から頼んでみるから」

「ほんとっ?!」

泣きじゃくっていたテホがパッと顔をあげた

「あ、ああ、話して…みるかな…」

「必ず、謝ってよ?ヒョン、酷いこと言ったんだからね?」

「わかった…」

「わーい!よかった!」



あーーーもう!


ユノは頭を抱えた





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