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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 8



リレーで優勝したA組

アンカーのユノをゴールでチャンミンが抱き止めて終わった。

ユノがチャンミンに抱きついた時、
チャンミンがその勢いに転びそうになるのを
しっかりとその腰を抱いてユノが支えた

まわりの女子たちがその姿に息をのんだ

それは後から密かに話題になっていた。


「なんかキュンとしちゃったよー
あの2人いいよね」

「うん、2人ともキレイだし」

「もっと仲良くすればいいのに」


そんな女子たちの期待とは裏腹に

ユノとチャンミンは相変わらずだった

ユノはドンへをバイクに乗せて登校し
チャンミンはキュヒョンやミノとゲームの話に高じる

チャンミンはあの体育祭で感じたユノを好きだという感情はなにかの勘違いだと片付けた

ユノもチャンミンを綺麗だと、そして惚れたと感じたあの気持ちはやはり勘違いだと折り合いをつけた

そうしないと、生活できない2人だった。

認めるわけにはいかない
受け入れるわけにはいかない自分の感情だった。

突然それぞれに訪れた

一般常識では考えられない同性への想い

認めて前に進むには、まだ若すぎた

ユノがふと見るチャンミンは、
いつもミノやキュヒョンと楽しそうに過ごして笑っている

クスクスと可愛く笑う
花のような笑顔だ

どうしたら、あんな笑顔を自分にも見せてくれるんだろう。

そう思っても、どうしたらいいかわからない。

あの体育祭のリレーで思わず抱きしめてしまった
チャンミンの細い身体の感覚が忘れられない

悶々としているユノだった。


チャンミンといえば、
ふと見るユノはいつも大勢の友達に囲まれて、
眩しいほどの笑顔でみんなと騒いでいる

制服を無視していつも着ている白いTシャツ

ガッシリとした体躯が感じられ
シャツから伸びる逞しい腕にドキドキしてしまう

まわりの生徒と違って
少年っぽさの抜けた精悍な容姿

若い青年の持つ、独特の色気のようなものが
ユノにはあった。

すでに性体験もそれなりに済ませて
ユノは自分よりもうんと大人なのだろう

体育祭のリレーで抱きしめられた感覚が

今も忘れられない



ユノは授業が終わるといつものようにドンへたちと
戯れるように下校した。

みんなはゲームセンターやなんだと遊んで帰ることもあったけど、平日はユノは遊ばずに帰る。


ユノは繁華街のスナックの裏口から
鍵を開けて入った。

「ただいま」

「あら、ユノお帰り」

出迎えたのは、このスナックの初老のママ
ソリョンだった。
酒とタバコで枯れた声ではあったけれど
口調は優しかった

「シャワー浴びたら店開けるから待っててください」

「うん、ゆっくりでいいわよ。
今日は平日だし」

「はい」

ユノは着ていた服を脱いで
シャワー室へ入った

サッパリして着替えたところに
ソリョンが笑顔で待っていた

「ユノ、ちょっとこれ」

「?」

「これね、ドンホが着ていたやつなんだけど
割とモノがいいのよ」

「革ジャン?!」

「そう、デザインが古いとか
その辺は私はわからないんだけど」

「本革?ドンホさんいいの着てたんだなぁ」

ユノはリビングに飾ってある
青年の写真と革ジャンを見比べた

「お洒落だったのよ、あの子
ちょうど今のユノくらいの歳に買ったんじゃなかったかなぁ」

「俺なんかが着ちゃっていいんですか?」

「いいのよ、着てくれたほうが
ドンホも喜ぶと思うのよ」

「じゃあ、もらっちゃおうかな」

「うれしいわーよかった」

へへっと照れ臭そうに笑ってユノが革ジャンを羽織って見た

「ドンホが生きてたらねー
ユノと本当の兄弟みたいだったと思うわよ」

「でしょうね。話聞いてるだけでも
親近感っていうの?それ湧いてますから」

「あんたも早く弟さんと一緒に暮らせるようにならないとね」

「俺、仕事はこの店ずっと手伝うんでもいいんだけど。
生活させてもらって、給料までもらっちゃって甘えてるから偉そうなことは言えないけど」

「何言ってるの。
ダメよ、人生最初からこんな小さなスナックなんて。
ちゃんと高校出て、きちんとしたところに勤めなさい」

「はい…」

「いつも遅くまで手伝わせてるこっちが悪いわよ
ユノはほんとに授業中寝てたりしてないでしょうね?」

「うーんと、大丈夫」

「怪しいわね」

ユノは逃げるように外へでた

「さてと、店開けなきゃ」

ユノは小さなスナックのシャッターを開けた


客がひと段落したところで、
ユノは店の外で携帯電話をかけた

「テホ?」

「ユノヒョン?今誰もいないよ」

「そうだと思ってさ。
勉強がんばってるか?」

「うん」

「お前、受験生なんだから塾とかいかないとダメだろ」

「そんなの行かなくて大丈夫だよ」

「友達は行ってるんだろ?
お前だけ、我慢したり恥ずかしい思いはしてないか?」

「みんなが行ってるわけじゃないし」

「高校は俺が好きなところ行かせてやるから心配するな」

「わかったよ、ありがとう」

「給料入ったから、なんか上手いもの食べに行こう」

「ほんと??じゃあ、パスタ!」

「ああ、いいよ。いつがいい?」

「明日!」

「わかった。明日な」


**************


<ユンホ 23歳 初夏>


「ねぇ」

「あ?」

ベッドの中で、ユノは今にも眠りそうだった

「今日、やすみなんでしょ?」

「ああ、うん…」

「ずっと寝てる気?もうお昼だけど」

「さっき起きたよ…これは昼寝…」

「出かけるって言ったじゃん」

「うーん、そうだったっけ?」

ユノの日に焼けた逞しい腕が宙を舞う

スヨンがその腕を掴んで自分の胸に抱き抱えた

「じゃあ、もう一回する?」

「今は…寝る」

「チッ」

スヨンがベッドから出て、ソファにドカッと座る

そうしてじっとベッドの中のユノを見つめる


なんてセクシーな男だろ、とスヨンは思う

陽に焼けた裸の上半身が毛布から出ている

長い首、広い肩

うつ伏せに眠る小さく細い顔は
凛々しく整っている

だけど…

一緒にいればいるほど、寂しくなる不思議な男



「ねぇ、ユノ」

「ん…」

「アンタってほんとに人を好きになったこと、ある?」

「え?」

ユノがむっくりと顔をあげた

寝ぼけ眼だ

「アンタってめちゃくちゃセクシーでカッコよくて
男らしくて優しい」

「そりゃ最高だな」

「だけどね、心底、誰も愛せない、寂しい人ね」

「……」

「知ってた?今日はなんの日か」

「え?」

スヨンは側にあったワンピースを着て
髪をひとつにまとめた

「アタシの誕生日よ」

「……」

「気にするわけじゃないけど、
先週からアタシ言ってた」

「……ごめん」

「忘れてたことがイヤなんじゃないの。
普段から、アタシの話をアンタはほとんど聞いてないのよ」

「……」

「一緒にいればいるほど、さみしいよ、アタシ」

「………」

「もう、会うのやめよ」

「……」

ユノは黙っていた

スヨンはバッグを持ってアパートの玄関まで行って振り向いた

「引き止めることもしてくれないのね、バカな男」

バタンとドアが閉じた


ほんとに人を好きになったことがあるかって?


あるよ

たった一度だけ

心から誰かを愛した


チャンミン





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