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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 5



キム先生が教室に入ってくる頃
ユノがむっくりと起き上がった。

昨日のお礼を…言わなきゃ

ぼーっとしたユノが頭をかきながら
筆記用具をひとつずつ机に叩きつけるように出していく


「あ、あの…」

「あ?」

ユノが寝ぼけ眼でチャンミンを見た

「あ、あのさ、昨日はありがとう」


「……別に」

ユノはチャンミンから目を逸らして答えた。

なんだろう、あれほどうるさくチャンミンを構おうとしていたユノが、なぜこんな態度をとるようになったのか

チャンミンには見当がつかない

「あれから、大丈夫だった?」

「なにが?」

「怪我とかしなかった?」


「別に」

「…そう」

「………」

「なら、よかった」

「………」

ほとんど答えないユノに
チャンミンはもうそれ以上何も言えなかった。

考えてみれば、自分もずいぶん勝手なのだ。

転校生だからと面倒見てくれると張り切っていたユノを、煙たがってキツイ態度をとっていたのは自分だ。

今更、優しい態度で接してもらおうなんて
虫が良すぎる。

謝ろう


「あのさ、僕、いろいろとごめん」

「は?なにが?」

「いや、せっかくの…親切をさ、なんか、うるさがって」

「なんだよ、今更」


ユノがニヤリと笑った
口角を片方だけ上げてイヤミったらしく微笑む、あの笑顔。

「うん…今更…だよね」

「なんかあったら、ミノやキュヒョンがいるだろ
それでいいじゃねぇか」

「………」

チャンミンは無性に悲しくなって下を向いてしまった

ユノはチラッとその様子を見た

なんだよ、こいつ
急にしおらしくしやがって

俺のこと、あれだけウザがってたくせに

絡まれてるのをちょっと助けたくらいで急に態度変わってさ。俺がケンカが強いからってビビったのか。

キュヒョンと週末までベッタリ一緒にいるんだから
俺が構わなくたっていいんだろうが。

ふん


それでも…

盗み見るその姿はやっぱり綺麗だった

ユノに無下にされて、下を向いてしまったチャンミン
俯くその横顔は憂いを纏って透き通るように綺麗だった

そんな悲しそうな顔をしていると
どうにかして微笑んでほしくなる

こいつが喜びそうなことを
なにかしてやりたくて、たまらなくなる

いやいや…

ユノは向き直った

こいつはどうせ、俺が嫌いなんだ。

チャンミンはきっと、ワガママな金持ちの坊ちゃんだろ
どう見たってそんな感じだ。

俺の1番嫌いなタイプの人間だ


関係ないね


それから、昼食の時間になっても
ユノは、さっさと席を立ち、何人かの仲間で学食へ行った。

チャンミンもキュヒョンやミノと学食へ行く


「昨日はほんと命拾いしたよ。
チャンミン、ユノに礼言った?」

「言ったけど…キュヒョンは言ったの?」

「ああ、あれからものの10分でカタがついたって」

「え?そんな話したの?」

「うん、だから気にするなって言ってたよ」

「そう…」


僕には、そんなことは言ってくれなかった


その日は結局、チャンミンはユノと一言も口を聞くことなく終わった。


チャンミンは帰り道、図書館へ寄った。

なんとなく家には帰りたくない気持ちだったし
大学受験に向かって早くから頑張らないと。

学生専用の勉強室で、チャンミンは参考書を広げて
しばらく勉強に熱中した。

勉強室には数人ほどしかいなくて
側には中学生の男の子が勉強していた。

その子が広げている化学書が、チャンミンが中学の時よく読んだそれと同じだった。

いい本だとされていたけど、
とても高くて、お小遣いをためてやっと手に入れた記憶がある。

一生懸命に勉強するその子に好感が持てた。

自分も余計なことに気を取られず、
がんばって勉強しなきゃ。

これから、毎日図書館に来よう。
今からどこかの部活に入るのもなんだし。


翌日はドンへが退院して登校した。


ユノは本当に嬉しそうで
まるで仔犬のようにドンへの周りでジャレつくように
はしゃぐ

ドンへはやれやれと言った感じだったけれど
それでもやっぱり嬉しそうだ

ドンへとは特に話したりしたことはなかったけど
チャンミンは思い切って声をかけた

「退院してよかった。
もう大丈夫なの?」

「えっ?」

ドンへが不思議そうな顔をしてチャンミンを見た

側にいたユノがチラリとチャンミンを見たけれど
すぐにそっぽを向いた

「ああ、チャンミンありがと。
もう大丈夫だよ」

「よかった…」

チャンミンは静かに微笑んで、また机の上の本に視線を戻した

口をへの字にしているユノと、そんなチャンミンの様子をドンへがしばらく見比べていた


その日の授業が終わって帰ろうとしているチャンミンに
後ろからドンへが声をかけた。

「チャンミン」

「ん?」

チャンミンが振り返ると、ドンへが優しそうに微笑んでいる。

「ユノとなんかあったの?」

「……なんにも、ないよ」

下を向いてしまうチャンミン

「なんか、あれだけチャンミンにウザかったユノがさ
なんか拗ねてるみたいで」

「す!拗ねてる?!そんなことないと思うよ!」
チャンミンが驚いて顔をあげた。

「そう?」

しばらくドンへを見つめていたチャンミンが
視線を伏せて微笑んだ

「僕がさ、あまりにも酷い態度とってたから
イヤになったんだと思うよ」

「あれだけしつこかったら、チャンミンじゃなくたって、そういう態度になるよ」

そう言ってドンへは笑った

「あれは、なにか拗ねてるね」

「拗ねてる?」

「うん、ま、なんでだか、今日一日みてて
なんとなくわかったけど」

「え?」

「ユノはね、チャンミンの1番最初の友達になりたかったんだよ」

「は???」

「そういう奴なんだ。
ガキだよなぁ」

ドンへは笑う

「………」

「チャンミンがユノよりキュヒョンやミノと先に仲良くなったから拗ねてんの」

「まさか…」

チャンミンは苦笑した

「いやいや、そういう面倒くさいやつ」

「でも、ユノはドンへが退院して
ほんとに嬉しそうだね」

「過保護なんだよ」

「過保護って……」

「俺が遅刻しそうで駅まで走ろうとすると
体調を心配して、バイクの後ろに乗せられちゃうんだぜ?」

だから、毎朝バイクでドンへを…

「ユノって、最初の印象がすごく悪かったけど
みんながいい奴だって言ってるの、わかってきた」

チャンミンは遠い目をして話す

「うん、あんなイイ奴はいないよ」

「……」

「だから、仲良くしてやってくれ」

「ごめん、ドンへ。もう遅いみたい」

チャンミンが寂しそうに笑った。






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