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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 4



転校してきて、初めての週末、チャンミンはキュヒョンに誘われて繁華街へ出た。

2人は長い時間をゲームセンターで過ごした

久しぶりの繁華街、久しぶりの友達との時間
チャンミンは楽しかった。

気づけば、かなり遅い時間になってしまっていた。
自転車で来てはいるものの、高校生がうろつく時間ではない。

2人は慌てて自転車を止めた公園まで急いだ。

繁華街を抜けて少し人通りが少なくなったころ

走る2人に、横の路地から人がぶつかってきた

「いてぇ!!」


まずい…


キュヒョンはそう思った。


3人のいかにも悪そうな男たちが路地から出てきた。
大人ぶってはいるけれど、明らかに10代の男たち。

ぶつかってきた1人は肩を押さえている

その横のいかにも悪そうな男が
2人を見下ろすように睨む

「兄さんたち、周り見ないで走るのはダメだろ」

「すみません…」

キュヒョンが頭を下げた

「キュヒョン、何言ってるの?
ぶつかってきたのはこの人だよ?」

チャンミンは整然と口をきく。


「はぁ?」

相手のボス的な男が、チャンミンに顔を寄せてきた

「走ってたのはオマエだろうが?あ?」

「走ってたのは確かだけど、でも!」

「チャンミン!いいから!」

キュヒョンがチャンミンのシャツを引っ張る

「だって!」

「オマエ、チャンミンっていうのか?
いい度胸だね。それに結構カワイイ顔してるじゃねえか」

「………」

「どうする?俺の弟がケガしちまって
治療費いただこうか、それともお前がナニかイイコトしてくれるか?」

「なっ…」


男の手がチャンミンの肩を押さえつけた
チャンミンはその手を振り払おうとしてもがいた

もう1人の男がチャンミンからリュックを引き剥がし
地面に投げつけた


その時だった


「おーい、ドファン、なにやってんだ」



低い声が路地の裏から聞こえた

「やべぇ」

さっきまで肩を押さえていた男が身構える

ドファンと呼ばれたボス的な男も急に悲壮な顔になる


なんだ?


路地の暗闇から、背の高い1人の男が姿を現した

白いTシャツに革ジャン、細身のダメージジーンズ


ユノ?!


細い顔に前髪が緩く上げられ、凛々しい顔立ちに
その切れ上った黒曜石のような瞳が光る

カツ、とユノのブーツが鳴った

「なにやってんの?こんなところで」

低く掠れた声

ユノは、口角を片方だけ上げてニヤリと微笑む
顔立ちが甘くないだけに凄みがある


「な、なんだよユノ」

ドファンと呼ばれる男は、ユノに向き直った。


「なにチンピラみたいなマネしてんだ」

「お前には関係ねぇ」

「どうせ金巻き上げるなら大物狙えよ」

「てめぇ、年下のくせにデカイ口たたくんじゃねえよ」

ドファンと呼ばれた男が、ユノに向かおうとする。
もうひとりの男が、チャンミンの襟首を掴み上げた

「うっ…」

首が…苦しい

その様子をチラリと見たユノが、ドファンを突き飛ばして、こちらにやってくる。

きれいなアーモンドアイが豹のようにつりあがり
睨みつけるその表情にチャンミンはなぜかドキリと心臓が高鳴った。

チャンミンに絡んでた男の腕をとると、ユノはそれを捻り上げた

「いてぇ!」

男はしばらく暴れていたけれど、腕の痛さに
チャンミンを離した

「てめぇっ!」

ドファンともう1人がユノに身構える

ユノがチャンミンの至近距離まで顔を近づけ
低い声で囁いた

「お前ら帰れ」

「えっ!そんな…」

「いいから、早く帰れ!」

チャンミンを悪い輩から庇うようなユノの広い肩、
鋭い視線…

あの柑橘系のフレグランスが香る

ユノの強く綺麗な瞳がチャンミンの心のなにかを
掴んで離さない

チャンミンは視線をユノから外すことも
その場から動くことも出来なかった


チャンミンの瞳は濡れていた
驚きと怖さでその大きな瞳が揺らぐ
そんな瞳でまっすぐにユノを見つめる

あまりに綺麗で、ユノは思わずゴクリと唾を飲み込んだ

奴らはチャンミンをこんなに怯えさせて…

チャンミンの子鹿のように震える姿
それはユノの庇護本能を十分に刺激した


キュヒョンがチラリとチャンミンを見やった。


チャンミンはじっとユノを見つめている

「ユノ、ごめん!チャンミン行くよ!」

ドファンの手が後ろからユノの肩をつかんだ
ユノは振り返りざま、ドファンに頭突きを食らわせた

3対1の乱闘だった

ユノが!

キュヒョンに引きずられるようにして
チャンミンはユノと距離が離れて行く

「見捨てるの?!ユノを見捨てるの?!」

「ユノなら大丈夫。このエリアじゃ1番ケンカが強いんだから」

「そんな!!!」

「だれかユノの仲間に連絡とるからさ」

「あんな3対1だなんて!」

「いいから!僕たちが捕まったら
ユノの足手まといになっちゃう」

「だけど!」

キュヒョンはチャンミンの手を掴んで走った。


公園まで走りきり、2人は自転車までたどりついた

「ユノを置いてきちゃって、僕たち…」

「チャンミン、大丈夫。ユノ相手が5人くらいいたって
負けないらしいから」

「そんなわけないよ!それウワサでしょ?!
かなり話が盛られてるって」

「ユノと仲のいいヤツに連絡もしたから大丈夫だよ」

「………」


その夜、チャンミンはユノが心配で眠れなかった

あの場に今も倒れていたらどうしよう

繁華街の路地裏なんて、誰かが血だらけで倒れていたって、誰も助けないだろう

やっぱり自転車で戻って見ればよかった。

ユノ…

思い出すのは、あの綺麗な瞳

気合いが入っていたのだろう。
あれは戦闘体勢になった雄の眼。

男の腕を捻りあげる時に、力を込めて引き結んだ唇

長い首に筋が立ち、節立った拳に血管が浮き立つ

「早く、帰れ」

ハラリと落ちた前髪が、あの時チャンミンの鼻先に触れた気がする。

あの香り…はじめはなんで高校生が香水なんてと
煙たく思った香りが今は、もう一度嗅ぎたいとさえ思う

チャンミンはハッとして、布団の端を思わず掴んだ

え?

まさか…

か、からだが…


チャンミンの身体が変な兆しを見せた


ちょっ!ちょっと待って

チャンミンはベッドから飛び起きて
風呂へ向かった

ドタバタと夜中に音を立てるチャンミンに
母親が怪訝な顔で起きてきた

「どうしたの?」

「な、なんでもない。急にシャワー浴びたくなって」

「変な子ね」

チャンミンは水のシャワーを全身に浴びた

そんなわけない

そんなことがあるもんか

チャンミンは風呂で1人、頭を抱えた



翌朝、チャンミンは登校するのが怖かった

ユノが来てなかったらどうしよう


そっと、教室のドアを開けると

窓側のチャンミンの隣
いつものようにユノが机に突っ伏して寝ていた

よかった…

チャンミンはホッとして席についた。

起きたら、昨日のお礼を言わなきゃ

そう思ったただけでドキドキしてきた。

なんで、ドキドキなんてするんだ

思わずチャンミンは拳を握った





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