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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 3



チャンミンが帰宅すると母が思いのほか早く帰っていた。

「おかえり、チャンミン。
新しい学校はどうだった?」

「やっぱり編入って難しいね
前の学校より程度が落ちる」

「そうよね、ほんとごめんね。
でも、今度の仕事の方がお給料いいから
予備校には通わせてあげられそうよ」

「そんなのいいよ。
招待生で大学入ってみせるから」

「そうしてくれるとうれしいけど。
でも、無理せず頑張ってね。
高校生活だって、一度きりなんだから楽しんで」

そんな母の言葉に
ふと、ユノの顔が浮かんだ

「うーん、そうだね」

チャンミンは苦笑いをして、自室に入った。

教科書を開いてはみたものの
どうにもユノの事が気になってイライラする

高校生なのに、セックスだなんて…

そんな会話が聞こえてくる学校っていったいどれだけレベルが低いんだ。

早く、自分に合った友達が欲しいんだけどな。

チャンミンはそんな事を考えながら早々にベッドに入った


翌朝、チャンミンは自転車で登校した。
川沿いの道は風が柔らかくて気持ちがいい


教科書の入ったリュックを背負い
颯爽と自転車を漕ぐチャンミンはとても絵になっている

道を歩いて登校する女子生徒の中には
チャンミンを見て小さく黄色い声をあげる者もいる。

「あのコ、2年A組の転校生だって!」

「A組ってユノがいるクラスよね?
いいなぁ、イケメン揃いじゃないの、A組」

「ほんとよね、ユノとあの転校生、ドンへもA組よ」

「もうちょっとイケメンの偏りをどうにかしてー!」


そんな声には気づくことなく
チャンミンは校門に向かって自転車を走らせる。

そんなチャンミンの横を爆音をたてて一台のバイクがすごいスピードで滑り込んできた。

チャンミンの気持ち良い自転車登校を打ち砕くエンジン音。

危ないな

ヘルメットもかぶらず、しかも二人乗り
みればドンへを後ろに乗せたユノだった

もちろん高校へのバイク通学は禁止されている。
ユノはドンへを校門で降ろすと別の場所へバイクを停めに行った。

あーいかにも。
ユノにバイクってもう絵に描いたような不良だ。

軽蔑のまなざしを送りながら
チャンミンはため息をついて自転車を停めた。

校門からユノが入ってきた。
相変わらず制服のシャツは着ないでTシャツにブレザー
教科書らしきものは持っていない


そんなユノを何人かの女子が取り囲む
それを煩そうに顔を歪めているユノ

スッキリとした長身のユノに女子たちがぶら下がるようにしている。

どの子もすごく可愛くて目立つ

「おはよう、ユノ。
明日ね、わたしお誕生日なの。だからね…」

「そうか、なら明日言えよ」

「じゃなくて!ユノ、明日わたしと出かけてほしいの」

「おめぇは、アメフトのホドンの彼女だろ?」

「そう思ってるのはホドンだけ!
わたしはね、ユノが…」

「ヤツが怪我して試合出れねぇからって見捨てんのか。ほかの男に声かけるヒマがあったら見舞いにでも行ってやれ」

うわーキッツイ

チャンミンはあっけにとられた。

セックスだけならしてもいいとか
なんか、ユノって女子をそういう目でしか見てない

そんなユノに群がる女子も女子だけど

ま、いろいろと僕とは世界が違うな。

教室に入ると、やっぱりまだ転入して2日目
みんなと挨拶はするものの、雑談の輪には入って行けない

そういう環境には慣れてはいてもどこか寂しい

チャンミンは隣のユノを無視して
自分の席についた。

「おはよ、チャンミン♬」

ユノは先ほどの眉間に力を込めた表情がすっかり緩み
ニコニコとチャンミンに声をかけた

「おはようございます。」

「今日もよろしくな」

「……おかまいなく」
ユノを睨みつけるようにしてチャンミンが答える

「ツレないなぁ、そこがまたいいんだけど」

なぜかうっとりとチャンミンを見るユノ。
それを見てドンへがゲラゲラ笑う

「ほんと、ごめんね、こいつバカで。
許してやって」

チャンミンは黙って前を向いていた。

許すとか許さないとかそんなのどうでもいいから
とにかくほっといてほしい


美術の時間になって、教室が移動になった。

チャンミンは早々と隅っこのイーゼルと椅子を確保して
ユノから離れた

これで2時間目が終わるまで安泰だ!
ユノから離れていられる

授業はこれから2学期にかけてデッサンを仕上げるという
課題で、チャンミンはその説明に集中した。

1時限が終わって繋ぎの休み時間にユノが来た

「なんだよ、こんな隅っこに座ってさ
俺が面倒みるって話…」

「わざわざいいですから。小学生じゃないんだし」

「化学室だって1人で行かれなかったじゃねぇか」

「美術室には来れたのでご心配なく」

「だけどな…」

そこで2時限目のチャイムが鳴り、
渋々ユノは自分の席に戻った。

2時限目は少し自由に描いてみる、ということで
教室内は私語や雑談が増えてきた

右隣の男子がチャンミンに話しかけてきた

「君さ、昨日転入してきたんだろ?
俺、キュヒョン、よろしく」

「あ、よろしく」

左隣の目の大きな男子もニコニコと話しかけてくる

「僕はミノ、よろしく。
チャンミンは早速ユノに目をかけられて大変だね」

「よろしくミノ!
そうだよね?僕大変だよね」

「でも、ユノはあんな感じだけど
悪いヤツじゃないよ」

「僕にはそうは思えないけどね」

「チャンミンが転入してくるって聞かされた時
ユノ、張り切ってたよ」

「それにしては、僕の自己紹介のとき寝てたけどね」

ミノとキュヒョンは苦笑した。

それから、ゲームの話で盛り上がり
チャンミンとキュヒョン、ミノはすっかり仲良くなった

昼ごはんの時間になり、ユノがチャンミンを誘いにきた。

「学食行くぞチャンミン、初めてだから奢ってやるよ」

「弁当を持ってきてるので大丈夫。
それにほかの生徒と食べる約束してるから」

「弁当?他の生徒と?」

「あのね、先生から僕の世話をするけどように言われたんだとは思うけど、
もう、本当に大丈夫だから僕のことは気にしないで」

冷たくチャンミンは言い放った

「あっそ、わかったよ、好きにすれば」

ユノは踵を返して、チャンミンから離れていった。

意外なユノの反応にチャンミンは少し驚いた

「そんなツレないこと言うなよ」

そんな感じで来ると思っていたけれど

「ま、いっか。これであのチンピラのお節介から
逃れられたんだから」

チャンミンはキュヒョンとミノとゲームの話で盛り上がり、楽しい昼食の時間を過ごした。

学生生活が楽しくなってきそうだ
チャンミンは嬉しくなった。

ユノはドンへや、他の仲間と学食に来ると
チャンミンがキュヒョンたちと楽しそうに弁当を食べているのが目に入った

なにが楽しいのか、チャンミンがクスクスと笑う
眉が段違いになって可愛い笑顔

「俺が話しかけてもニコリともしないのにな。」

面白くなさそうにユノは少し遠い席を陣取った

そんなユノの視線に、チャンミンはまったく気づかなかった。


午後の体育の時間も、チャンミンはキュヒョンたちと連れ立って校庭へ出た。

ふと、目をやると
靴紐を結んでいるドンへに、ユノが懸命に何か言っている。

ドンへは苦笑していて、ユノをなだめているようだ。

「今度はドンへにお節介か」

チャンミンはやれやれと準備運動に入り
それが終わると、校庭を何周か走らされた。

ユノがドンヘにピッタリとくっついて走っている
まだ何か言っている

ほんとにユノはお節介だな、と思った途端

ドンへがガクッと膝から崩れるようにして倒れた

きゃーっと女子の悲鳴が聞こえる

え?

どうしたの?


ユノが倒れるドンへを抱きとめた。

みんなが駆け寄った。
チャンミンもドンへの元へ走ってきた

真っ青な顔で異常に汗をかいているドンへ

「ドンへ大丈夫か?!」

ユノがドンヘを膝枕させてやって
その髪を撫でてやっている

「ドンへ…なぁ、ドンへ」

ユノの声が悲しそうだ

体育教師が生徒をかき分け、ユノとドンへの所へ来た

「救急車呼んだからな。心配するな」

「今、ドンへのカバン持ってくるから。あと水と」

なぜか、クラス全体がこの事態に慣れているようだった。

キュヒョンがチャンミンに囁いた

「ドンへ、心臓がちょっと悪くて」

「えっ?そうなの?」

「うん、普通の生活はできるってことなんだけど
1年の時からこういうことがたまにある」

「そうなんだ…」

ユノが悲しそうにドンへの頭を抱きしめている

その様子がとても痛々しくて
チャンミンはさすがにユノが可哀想になってきた。

かなり冷たい態度をとってきたことに
少しだけ後悔の念を抱いた


女子がドンへのカバンを持ってきた

「薬入ってたよ、これよね?」

ユノがそれを受け取る

「ああ、そうだ。水も持ってきて」

すでに他の生徒が水を用意している。

「ドンへ、苦しいか?薬飲めるか?」

ドンへは苦しそうだけど、少し微笑んだりもしている

そのうちサイレンが聞こえて救急車がやってきた

救急隊員がストレッチャーを持って校庭に来る。

「コイツ、朝から顔色悪くて。体育休むように言ったんだけど」

ユノが半泣きで隊員に説明している。


そうだったのか

ユノはお節介をしていたわけではなくて
ドンへの様子に気づいて心配してたんだ

みんながユノを面倒見がいいとか、いいヤツだとか
そんな風に言っていることが少し理解できた

そのまま、ユノはドンヘに付き添って病院へ行った。



帰り道、自転車を漕ぎながら
チャンミンはなんとも言えない気持ちになっていた

見た目だけで人を判断して
僕はなんて浅はかな人間なんだろう

ユノはきっと、転校生の僕のことも本当に心配してくれてたのかもしれない。

明日からは、僕も少し態度を改めないと。


翌朝、登校すると、ドンへは休みだった。

ユノは机に突っ伏して寝ていた

「おはよう」

恐る恐る、チャンミンはユノに話しかけて見た

「……」

返事はない


キム先生が寝ているユノに気づき、
席までやってきた。

また怒られちゃう

チャンミンがユノを揺り起した

「ん…」

「先生がきたから!」

ユノがむっくりと起き上がった

「ユノ、おはよう」

キム先生がイヤミたっぷりに声をかけた

「あい…おはようございます…」

あくびをしながらユノが答えた
ぼーっとしている

昨日までと違って、ユノはチャンミンにまったく話しかけてこない

話しかけられたら、ふつうに会話しようと思っていたチャンミンは戸惑った。

休み時間になって、思い切ってチャンミンから話しかけた

「あの…」

ユノがチラリとチャンミンを見た

元々冷たい顔つきのユノは黙っていると怖いくらいだ。
昨日までの人懐こい笑顔はない

「あの…ドンへは大丈夫?」

「大丈夫」

ユノはチャンミンを見ずに答えた

「そう…」

ユノはガタリと椅子から立ち上がると
ポケットに手を突っ込んだまま、ほかの友達の席へ行き、雑談したり、ふざけあったりしていた。

こういう風に、自分と無関係でいてくれることを望んでいたのに、チャンミンはなぜか少し寂しい気持ちになった。








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