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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

初恋 2



ユノは寝起きのぼーっとした瞳で、チャンミンを見つめる。

「転校生?」

チャンミンは引き攣った表情でぺこりと頭を下げた

「シム・チャンミンです。
よろしくお願いします」

「可愛い顔してんじゃん
ヤバイよ、お前」

そうやって、ユノはニヤリと笑った

「は?!」

な、なんだって?

なんで、男の、しかもこんなチンピラみたいなヤツに
可愛いとか…

チャンミンの頭にカーッと血が上って
真っ赤な顔になった

「ユノ!お前、そうやってからかうんじゃない!」

先生にまた頭をひっぱたかれている

「いってぇ!そんなこと言うけど、こいつ真っ赤になってんじゃん。照れるところがまた…」

チャンミンが我慢の限界、という表情で
いきなりカバンを机に叩きつけるように置いた

「照れてるんじゃありませんっ!!!
僕は怒っているんですっ!!!」

チャンミンは怒鳴った

いきなりの大声に、クラスの生徒全員がびっくりしてチャンミンを見た

ユノもびっくりした顔でチャンミンを見つめた

チャンミンは口をへの字に歪ませたまま、カバンから筆記用具を投げつけるように机に出し、
席にドカッと座ってまっすぐ前を向いた

最悪!こいつ最悪!
こんなヤツの隣なんて最悪!

「シムくん、ごめんね、こいつふざけてるけど
面倒見はいいから」

「面倒なんて見てもらわなくて結構です!」

チャンミンはキッパリと言い放った

「あ…ま、まあ、いろいろとわからないことが出てくるから、こいつがイヤな態度とったら、今みたいに怒っていいからね」

教師はペチンとまたユノの頭をひっぱたき、
教壇に戻った。

「もう、何発殴るんだよぉ〜」

ユノは頭を掻きながら、椅子に座りなおした

「シム・チャンミンのおかげで目が覚めちゃったよ」

ユノはそう言って、人懐こそうにチャンミンに笑いかけた。

完全無視のチャンミンに
ユノは余裕の笑顔だった。

チャンミンはユノはいないものとして
授業に没頭した。

なのに…

ユノは授業中ずっと片肘をつき、
チャンミンの顔をニヤニヤしながら見つめていた。

ユノにしてみれば、決してニヤニヤしていたわけではなく、うっとりと見つめていたつもりだった。


窓から差し込む春の陽射しが
チャンミンの透き通るような肌と淡い色の髪を
キラキラと輝かせていた。

なだらかで細く伸びた首筋
考え込む時に口元に指を持っていくしぐさ

どこから見ても正真正銘の男なのに
17歳のチャンミンは儚い美しさでユノを魅了した


屈辱に耐えてなんとか終えた授業
チャンミンはユノを睨んだ

「人の顔をジロジロと。僕はそんなに珍しい?
そういう人を馬鹿にした態度、やめてもらえるかな」

「馬鹿にしてるんじゃねぇよ
可愛い顔だなと思ってさ、みとれてたんだよ」


み、み、みとれる?

こんなチンピラみたいな男が、僕に?

「いきなり転校生をからかう感じ?早速いじめ?」

「いやいや、マジな話」

チャンミンは無視をして、次の授業の用意をした。

「次は教室変わるんだぜ。
つれて行ってやるよ」

「化学室ですか?大丈夫です
1人で行かれますから」

「えーそんなつれないこというなよ」

大袈裟にがっかりしたように見せるユノを
ドンへがたしなめた。

「お前、ウザいんだよ
シム・チャンミンは1人で行けるってさ。」

「なんだよぉ、おれが化学室へお連れしようかと思ったのにさ」

「いいから行くぞ」

ドンへがユノを引っ張っていってくれた


やれやれとチャンミンはため息をついて
化学の授業の用意をして、教室を出た。

えっと、化学室は隣の建物の3階、と。
3階から行こうっと

チャンミンは階段を上がったところで
忘れ物に気づいた。

筆記用具!どうしようかな。
誰かに借りてもいいんだけど

ふと、ユノの顔が浮かんだ。

いや、やっぱり取りに帰ろう
あんなヤツに借りるのは嫌だ。

きっとユノはお節介全開で貸してくれようとするに違いない。
できるだけ、借りは作りたくない

階下に降りて、廊下を歩いていると
ふと、階数が違うことに気づいた。

あれ?

下に降り過ぎた。
窓からの景色が地面に近い

チャンミンは早足で誰もいない教室に戻り、
筆記用具を持って化学室に行こうとした。

時間がないから、隣の建物に渡ってから上に上がろう

それが間違いだった。

隣の建物への渡り廊下が見つからない。
どの階からも隣へは行かれないようだ

えっと

やっぱり上に上がって…

チャンミンはだんだん焦って来た。
すっかり迷ってしまった

角を曲がると視界がひらけ、渡り廊下が目の前に現れた

あ、良かった

チャンミンは急ぎ足になった。


ふと、誰もいない教室のベランダに人影が見える

なんとはなしに覗くと

ベランダにはあのユノと女子生徒がいる。
しかもユノはタバコを右手に持っている

チャンミンはそっと見つからないように教室を横切ろうとした

「っていうわけで、今は彼女いらない」

ユノの声だ。

「ふうん、セックスとかしたくないの?」

「俺とセックスがしたいの?
それならいつでも大歓迎だぜ?」


なんていう会話!

やれやれ…

そう思いながら音を立てないように長い廊下を歩き
階段を上がろうとした。


「盗み聞きはよくないねぇ」

突然のユノの声にチャンミンはびっくりして
足を踏み外しそうになった。

「おっと」

よろけたチャンミンをユノが後ろから抱き抱える形になった。

しっかりとしたユノの体躯が問題なくチャンミンを受け止める

「大丈夫?」

チャンミンの耳元でユノが優しく囁いた

「だっ!大丈夫!」

チャンミンは体制を整えると、慌てて階段を駆け上がった

「またころぶぞ!」

後ろからユノの声がする


なんだよ!

なんなんだ!

あんな汚らわしいやつに触れられた!

耳元で囁かれたとき、ユノのフレグランスが香った
柑橘系の爽やかだけれど少し色気のあるそれは
ユノによく似合っていた

いやいや、高校生のくせに香水とかありえない



ユノは結局、化学室には来なかった。

もしかしたら、あの後、あの女子と…

ふとそんな想像をしてチャンミンはかぶりを振った

とにかく、とにかく関わらないことだ。うん。

帰りのホームルームでもユノはいなかった。

キム教諭は空っぽのその席を見てため息をついた。

きっと日常茶飯事なんだろうな。
今頃、あの女子とどこかでイヤラシイことをしているんだ。

チャンミンはあきれて大きなため息をついた。






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