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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

約束 22




全員が歌い終わり

何人かのゲストが新曲を披露した後

いよいよ、番組初の優勝者の発表だった。

全然そのつもりがないチャンミンの
リアルな表情を撮ろうと、カメラが待ち構える

「初の優勝者は!」

チャンミンはどこかキョトンとしている

まるで自分以外の誰が優勝するのか
興味津々といった感じだ。


「シム・チャンミンさん!」


パッとチャンミンだけにライトが当たった

チャンミンは目を見開いて驚いた

えっ

僕?


そんなチャンミンを見て

ユノは自分はなにをやっているのだろうと思った。

自分の意図しない方向へ
どんどん2人して流れていく

自分はその流れに抵抗することもなく
憂ながら濁流に飲まれていく


優勝したチャンミンは笑った

驚きながら笑った

まわりの挑戦者と手を取り合ったりして…

ユノは微笑んだ

思った通り、チャンミンは優勝したら喜んだ。


今の状況をそんな箇条書きで認識しながら
ユノは、気持ちを切り替えようと必死だった。


大きな拍手の中、チャンミンは堂々としていた。


ユノは身体と気持ちがバラバラに動いていた。
その表情さえも、自分の気持ちにウソをついていた。

ユノは勢いよく客席から立ち上がると
急いで控え室に向かう

スタッフに止められそうになったけれど
胸のスタッフパスを見て「あ、どうぞ」と道を開けられた。

ユノの心は「無」だった。


何も…考えまい

この濁流に溺れないように
チャンミンとしっかり漕いで行く



控え室から、偶然にチャンミンが出てきた

「ユノ!今、僕ね、客席行こうと…」

ユノがチャンミンを思い切り抱きしめた

「あ!」

まわりのスタッフが一瞬驚いたけれど
何事もなかったようにその場を去った

「おめでとう!チャンミン!
凄いな、お前」

「あ…ユノ…うん、ユノのために歌ったよ」

抱きしめられながら、チャンミンはユノの耳元で囁いた

ユノがチャンミンを解き、2人は向かい合った。

嬉しそうにチャンミンは笑っている。


「僕の気持ちが審査員を動かしたって思っていいかな」

「そうだったら、俺も嬉しいよ」

「きっと、そうだよ!」

今度はチャンミンがユノに抱きついた

「僕、来週も頑張る!」

「………」


来週は残念ながら…無いんだよ…チャンミン


ユノはチャンミンの背中をポンポンと叩いて
そして撫でた

「帰ろうか。オンマに報告しないとね」

「もう、したよ」

「喜んでただろ?」

「うん、親戚がね、家出したけど立派になってよかったって、言ってるらしいよ」

「よかったな。チャンミン、汚名挽回だ」

「ほんと!」


2人はお祝いということで
久しぶりに居酒屋へ行って祝杯をあげることにした。


店に入ると、バイトの女の子がいきなり声をあげた

「あ!さっきテレビで優勝した方ですよね?」

「あ、えっと…」

チャンミンが困ったようにユノを見る

ユノはうんうんと頷いてみせた

「そうです、はい。」

「わー!来週も頑張ってくださいね!」

「ありがとうございます」

チャンミンは恥ずかしくて下を向いてしまった。


半個室になった席につくと
ユノがからかうような表情でチャンミンのおでこをつついた。

「もう有名人じゃないか」

「何言ってんだよ、ユノ」

チャンミンはムッとして唇をとがらせた。

「そう言えば、契約書にサインした?」

「したした」

「全部読まないとダメだぞ」

「ジンさんが2回も読んで聞かせてくれたよ」


ビールとつまみが来た。

「ありがとうございます」

持ってきてくれたバイトの男の子に
チャンミンがお礼を言う


「さぁ、ユノ、乾杯しよ!」

「チャンミン」

「なに?」

「ひとつ約束してほしいんだ」

「?」

「今みたいに、誰かが何かをしてくれた時」

「ん?」

「ビールとつまみを持ってきてくれたろ?」

「ああ、うん」

「今みたいに、ありがとうございますっていうチャンミンが、俺は大好きなんだ」

「……」

「たとえ、仕事とはいえ、誰かが何かをしてくれた時
そうやってお礼を言える、そんな気持ちを忘れないでほしい」

「……」

「ずっと、そんなチャンミンでいてくれ」

チャンミンが優しい瞳でユノを見つめた


「…わかった。約束する」

「俺、先生みたいだな」

「ほんとだよ!アハハハ…」

「アンティムのやつらにも、よくそう言われててさ」

「…無意識にしてたことだけど
ユノにそんな僕が大好きだ、なんて言われたら」

「………」

「道ですれ違う人、みんなにお礼言う」

「なんだよ、それ」

2人は爆笑して、そして祝杯をあげた



**********



ユノの細い顎に汗が伝って落ちる

苦しげに閉じられるその瞳

しかめる男らしい眉

その唇の上にある小さなホクロが震える

押し出される、ため息のような低い喘ぎ声


ユノの肩に乗せられた僕の膝が

僕たちの快感と共に揺れる

一定のリズムを保って


攻めるユノはこの世のなにより美しい

そんな美しいユノを僕は下から見上げている


チャンミン、チャンミンと僕の名を呼ぶその声の合間に

たまに…「俺の」って小さく聞こえる


僕は、あなただけのもの


いつもクールで冷静なユノが
必死で僕を欲しがる姿がたまらない


「僕はあなたしかいらない」

そんな歌をさらりと歌ったけど

本気なんだよ、わかってる?


だから、もっと僕を欲しがって
もっと必死に欲しがって…

僕があなたを離さないと思う気持ちと同じくらい
ユノは僕を欲しい?


「チャンミン…」

苦しそうなユノ

「なに?」

ユノに限界がきている

その様子があまりに魅力的で

僕は一気に上りつめる


「もう…もたないよ…」

「そんな…ユノ…あっ」


結局…いつものように

なんだかんだ言っても…僕が陥落…


僕はあなたに勝てない…

だけど、それでいいんだ…


たまらなく、あなたを愛してる





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