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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

約束 10



「いらっしゃいませ」

チャンミンは今日もコンビニで元気にバイトをしていた

夜の時間をユノと過ごすため
チャンミンは昼間のバイトに切り替えた

派手なストライプの制服が
その高い身長には短すぎてあまり合ってない

それでもチャンミンは張り切って仕事をしていた。
廃棄処分のおかずを持ち帰れることも楽しみのひとつだ。


今日はどんなおかずを持って帰れるかな

ユノの好きなトッポギが残ればいいのに

そんな事を考えながら
頭のもう一方では、軽やかなメロディーを紡ぐ


ユノを思うと何曲も曲ができてしまう

それをチャンミンは、コンビニのレシート紙に
音符やコードを書き留めたりしていた


駅で歌うチャンミンに
最近は客も増えて

いい曲だったと、見ている人から手紙をもらったりもした。

チャンミンはそれをユノに見せた

「聴いてくれてる人はちゃんといるんだね」

「毎日来ているコもいるよ、知ってたチャンミン?」

「ほんと?こっちからだと暗くてよく見えなくて」

「結構、可愛い子もいるぜ?」

ユノはニヤニヤした

と、なぜかチャンミンがとても不機嫌な顔になって黙ってしまった。

「なんだよ、どうせ聴きに来てくれる子なら
可愛い子がいいだろうが?」

ユノはふくれっ面のチャンミンの頬を
つつく。

「僕の演奏中、ユノはまわりの女の子ばかり見てるの?」

「は?そうやってとるか」

「だって…」

「チャンミン」

「なに?」

「お前の言う通り、俺はまわりの女の子ばかり
みてるよ」

ユノの指がチャンミンの頬をつーっと撫でる

「なっ!……本音かもしれないけど
それって、僕に言うこと?」

「お前とお似合いの可愛いコも多くて
正直めちゃくちゃ腹が立ってる」

「………」

チャンミンは口をへの字に曲げたままの顔で
嬉しそうにユノを見る

「へんな顔、チャンミン」

「へへっ」

破顔して笑うその姿があまりに可愛い。
ユノはたまらなくなって、その手を引き寄せる

「おいで、チャンミン」

チャンミンももう心得たもので
そのままソファに座るユノの胸に収まる

「ユノがヤキモチ焼いてくれたら、うれしい」

「お前が浮気したら、俺は寝込むよ」

「ユノ、それだけ?寝込むだけ?」

「なんだよ、チャンミン。
俺を試すようなこと、絶対すんなよ」

「僕はユノが浮気したら、相手を殺すからね」

チャンミンが可愛くユノを睨む

「こえーチャンミン」

ユノが笑いながらチャンミンの顔を両手で引き寄せる

怒ったままのチャンミンの顔に
ユノが何度もキスを落とす

「こんな可愛いチャンミンがいるのに
他のヤツになんて、まったく興味がわかないね」

そう言って、ユノはチャンミンを抱きしめた

「フフフ…それならいいよ」

チャンミンはユノの肩に顎をのせて
優しく微笑む

チャンミンを抱きしめるユノの腕に力がこもる

「チャンミン」

「ん?」

「俺…自分が昔どんな子供だったか
やっと思い出せるようになってきた」

「………」

チャンミンはユノの肩でギュッと目をつぶった

切ない…
ユノは今まで…自分がどんな子だったか思い出さないようにしてたのか

それはそのまま、辛い過去へと繋がるから?


「そう?」

「ああ」

「僕も…わかるよ。ユノがどんな子供だったか」

「そうか?」

「とにかく元気な子供で…お母さんを困らせて」

「アハハハ…よくわかるね」

「ユノ…」

「ん?」

「子供のユノを…本当のユノを思い出させたのは僕?」

「そうだよ、チャンミン」

ユノはチャンミンの背中を優しく撫でた

「ずっと側にいるからね…」

「………」

「ね?ユノ」

「ありがとう」

ユノの声に涙が混じって
少し鼻にかかっているような気がした

「チャンミンの子供の頃はもっと可愛かっただろうな」

「そうでもないよ、憎たらしい子」

「おとなしい子だったって、言ってたよな」

「そんなこと、言ったっけ…
田舎だからね、つまらなかったよ」

「厳格な家だったんだろ?
きちんとしたご両親に育てられたイメージ」

「…………」

「聖歌隊のチャンミンは可愛かっただろうなぁ」


「ご両親なんていないよ」


「えっ?」

ユノはチャンミンを離し、その頬に手を添える
チャンミンを見つめたまま、黙っている

「お父さんはいないよ、言わなかったっけ
両親揃ってるとは言ってないよ」

「そうなのか?」

「…うん」

「亡くなったの?離婚?」

「………」

チャンミンは下を向いたまま、強張った顔で微笑む

「俺が聞いたらダメか?」

「へへへっ…ダメ」

チャンミンの顔が笑いながら強張る


ユノがまったく気づかなかったチャンミンの闇

田舎でのんびり大らかに育った
そんなイメージしかなかった

自分にも話せない、そんなことがあるのか
なぜこんな関係になってまで話してくれないのだろう


だけれど、あまりに無理をしていそうで
ユノはそれ以上聞くことはできなかった。



**********


チャンミンは久し振りにキュヒョンと呑んでいた。

ユノがスンホが抜けたメンバーで再構築をするということで、このところずっと帰りが遅い


「会わない間にそんな甘い日々を送っていたのか」

「甘い…かなぁ」

「そのニヤついた顔が甘すぎて胸焼けがするよ」

「へへへへ」

「あーあ、まったく」

キュヒョンはビールを煽った

「で?ギターの方はどう?」

「うん、曲がいくつもできて、驚いてる」

「だろうねぇ、で?発表は?」

「発表って…」

「あの駅前でちんまりとそれを披露してるのか?」

「うん…」

「田舎には、デビューするって
意気込んで飛び出してきたのに」

「……なんか…もうどうでもいいかなって」

「おいおい…俺、田舎に帰ったら、お前のオンマに根掘り葉掘り聞かれるんだぞ?
そんなこと言ったら、連れ戻して来いって言われるよ」

「今はどっちでもいいかな、って思ってる」

「ふうん」

「とにかく今、幸せだから」

「はいはい、ごちそーさま」

「今度キュヒョンもユノに会ってよ」

「そうだなー一度会いたいな
どんだけイケメンなんだか見てみたい」

「ほんと?じゃあ今度飲みに行こうよ」

「いいよ、いつごろにする?」

「えっと…」

チャンミンは天井を仰いだ


「………」


「チャンミン?」


「ユノ…ずっと忙しくて…」

「え?チャンミン、待ってよ
泣いてるの??」

「そういうわけじゃないけど」

「いや、だって、お前」

「ちょっとさみしいだけだよ」

「えーなになに?どれだけ会ってないの?」

「もう10日くらい」

「ビミョーな日数だけど
今のチャンミンにはキツイな」

「……うん」

「連絡はくるんだろ?」

「うん、ご飯の後にね」

「毎食??」

「うん」

「え?一日3回?いや、チャンミンの場合もっとか」

「それと寝る前」

「は?」

「と、朝起きた時」

「………」

「………声聞くと…会いたくてたまらない」


「でしょうね、はい。」

キュヒョンは呆れていた


「だけど、ユノさん、それだけ忙しいってすごいね」

「うん、ユノが面倒見ていたグループが
1人抜けちゃって…だけど残りの4人がすごく頑張ってるんだって」

「なんてグループ?」

「えーっと、ね、アン…なんとか
ユノが一生懸命考えていた名前だったのに
なんだっけな」

「アンティム?」

「あ、そうそう、それ!フランス語かなんかで
仲良しとか、そんな意味」

「え、すごくない?
洗顔かなんかのCM出てるよ、その子たち」

「えっ?そうなの?」

「知らないの?チャンミン」

「ユノの仕事のことは、全然知らない」

「そりゃ忙しいだろ、ユノさん」

「そうなんだ…」


僕はユノのこと、あんまりわかってない

ユノが一生懸命になってること
理解してない


キュヒョンと別れて
チャンミンは今夜も1人寂しくユノの部屋に帰る

もうすっかりこの部屋にも馴染んで
自分の家のようにくつろいでいるけれど

シャワーを浴びようかな、とパーカを脱いだところで
電話があった

たぶん、ユノだ

スマホが軽やかリズムでチャンミンを呼ぶ

どうしようかな

出ないでおこうか。


ユノの仕事が成功していることを
知らされなかったことが、ちょっと悔しい


いつもユノからの電話に飛びついてる自分も
少しみじめだ


スマホは一旦鳴り止み
すぐにまたリズムを刻み始める


このままスマホに出なければ、
どうしたのかと心配するかな…

いつもシャワーを浴びる時でさえ
連絡が来たらすぐ話せるようにスマホを持ち込んでた


チャンミンは鳴り続けるスマホをテーブルに置いたまま、シャワーを浴びた




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