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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

約束 8



チャンミンは家賃がかからなくなった分、
昼間のコンビニバイトに切り替えた

ユノは働かなくてもいいと言ってくれたけど
スタジオ代など、ギターを続けるには結構お金がかかる

それに廃棄のお弁当などもらえることが
チャンミンは嬉しかった。

歌をつくる時間も増えた

以前と比べて
歌を作るペースが速い

やっぱり愛する人がいるからだろうか

そんな事を考えながらチャンミンは淡く微笑んで

明るい陽の光の中で、ユノへの想いを歌にしていった


ユノはユノで、抱えているいろいろな問題に立ち向かう勇気が出てきたように思う

今回のスンホのことは、ユノにとって古傷をえぐられるような案件だった。

それはジンやテソンも同じで
ただ、ユノと受け止め方がちがっていた

あくまでも、自分の二の舞を誰にもさせたくないだけのユノと、
芸能界の仕事をすべてギルへのリベンジととらえているジンとテソン

それぞれの過去への想いがそうさせていた

ユノは突き放してしまったスンホのことも、
残ったメンバーのためにもケリをつけてやったほうがいいと考えはじめていた。

また、メンバーがかつての自分のように
明るい未来への道を閉ざされることのないように
考えてやらなければならない。


ユノのスマホにギルから連絡があった
スンホのことで、番号は教えてあった


「ユノ、今大丈夫か?」

「ああ」

「警察からは薬物はシロと出た。
スンホはシロだ。明日の朝刊に大きく出る予定だよ」

「そうか、よかったな。
これで、うちには飛び火しないよな」

「何言ってるんだよ、火元のくせに」

「火元である証拠はないよ」

「ま、それでも、トレスタの社長は、他のメンバーを引き取るって言ってるんだぜ?感謝してくれ」

「…………」

「他のメンバーに話したか?」

「ああ、1人ずつ話した。
トレスタがみんなを引き取ってくれると言ってると」

「で?」

「それが…行かないってさ」

「えっ?4人とも?」

「ああ」

「こっちに来ないように仕向けただろ」

「いや、その逆」

「逆?」

「ジンたちは何も知らないし
俺はトレスタに行くことを勧めたんだ
やっぱり自分の経験から」

「みんな自分の意志で決めてるのか」

「ああ」

「スンホを恨んでいるんだろうか」

「それもあるかもしれないけど
スンホへの思いはあまり話したがらない」

「1人1人と俺がもう一度話をしてもいいか?
スンホと個別に会わせるのでもいい」

「…………」

「どうだ?」

「それを俺がさせなかったら、やっぱりあいつらの未来をダメにすることになると…思うか?」

「ユノ…」

「自信がないんだよ、俺」

「それをしたら、みんなの未来をダメにしたのは
ユノってことになると俺は思う」

「………」

「ユノが一番よくわかっているはずだろ」

「………」

「俺にまかせろ、お前はメンバーを連れてくるだけでいい」

「わかった」

「ジンやテソンにはバレるなよ」

「ああ」

ユノはメンバーひとりずつに連絡をとった

まだろくにグループ名も決まってない状態の4人

スンホに会って、話をしたらいいと
言いたいことを思い切り言えばいいと

そう言ってやった

そんな理由をつけてやらないと
みんなはスンホに会えない

どんなに若くたって子供だって

必要な建前やプライドというのがあるのだ

ユノはジンの手前もあって、スンホとメンバーが直接話す席には加わらなかった。

メンバーがユノに気を使って
今の事務所に残ると言いだしたら意味がない


「これはチャンスだ」

そこまでみんなには言ってやった。

みんながかつての自分のような目に遇わないように

こんな世界にいれば
これからも汚いことに巻き込まれる可能性はいくらでもある

自分にいかに得になるか
それを考えなければ生き残れない

ユノに足りなかったそんな部分


それでも、ギルの事務所には行かないといったメンバーたちは、まだまだ純粋すぎて子供だった

まずはスンホとわだかまりを解いて
ギルに芸能界の生き抜き方について指南してもらおう

それが一番いい。

今頃、スンホはメンバーひとりずつと
どこかで会っているんだろうな

ギルの取り計らいで。


ユノは気持ちを切り替えて
自分の部屋へ帰る

愛しいチャンミンが待つ部屋へ


ユノが帰ると、チャンミンがバイトを終えて帰ってきたところだった。

「ユノ、お帰り!
今日はさ、キンパしか残らなかったよ」

「コンビニ?」

「うん、一緒にバイト入ってるオバさんに
みんな取られた」

「なんだよ、負けるなよーチャンミン」

「まったく!」

「お前が可愛くお腹がぺこぺこだと泣いて見せたら
きっと全部くれるぜ?」

「そうか、その手があったか。」

「フフフ…」

「恋人が待ってるって言ったからかな」

「だめだよーそれじゃ。
チャンミン、もう少し女心をわからないと」

「なんだよ、ユノがお腹空いてると思ったから」

「思わず本音を言っちゃったのか」

「そういうこと!」

そう言ってチャンミンは
ユノに全身を預けて抱きついてきた


「おっと…お前は…
いつもいきなり抱きついてきてさ」


そう言いつつ、ユノは嬉しそうにチャンミンを受け止めた

「僕はいつ抱きつくかわからないんだからね!

「アハハハ」

「覚悟してなきゃダメなんだよ、ユノ」

「あーわかった、わかった」

「ねぇ、ユノ、チキン頼もう」

チャンミンは甘えて、ユノの髪に自分の指を絡めた

「そうだな、キンパだけじゃ足りないな」

「電話するね」

「おぅ」

「ユノ、シャワー浴びちゃいなよ」

「うん、そうする。先にいいか?」

「いいよ」

チャンミンは電話して、チキンを頼んだ


ユノはスンホたちを想う気持ちを
熱いシャワーで流そうとした

もうすぐチャンミンが頼んでくれた
チキンが届くだろう

キンパとビールで2人の時間を楽しく過ごしたい


インターフォンが鳴った

チキンが来た

チャンミンがそのままドアを開けた

「はい!」

と、そこにいたのはチキン屋さんではなく…

キレイな顔をした、男の子だった
チャンミンを見て驚いた顔をしている

「あ…」

「あ、あの…」

なんと、その子の後ろには
あの、芸能人のギルが立っていた

テレビで毎日のように見るギルだ
まさか、なんでここに?

「あの…」

ギルがその子の肩を抱いて頭を下げた

「夜分にすみません。
ユノは、いますか?」

「あ、は、はい…今、シャワー浴びてて」

気のせいだろうか、その言葉を聞いて
一瞬ギルの顔が歪んだように見えた

「あ、どうぞ」

チャンミンは2人を中に入れた

2人はためらってなかなか玄関から入ってこない

「あ、ここはユノの部屋ですから
僕は…あの…関係ないっていうか」

そこへ、シャワーから出てきたユノがTシャツと短パンという姿で玄関に現れた

「誰?チキンじゃないの?」

「あ、えっと」

なんと説明していいか、わからないチャンミン。



「スンホ…」


「うっ…ユノさん!」

スンホと呼ばれた男の子が、とつぜん顔を歪ませ
いきなりユノに抱きついた


え?


ユノもスンホを抱きしめて
頭を撫でている

「スンホ…
みんなと話したか?」

「うん…」

スンホという子はしゃくり上げながら
ユノに抱きしめられ、頭を撫でられている


チャンミンはその様子をただ見ているしかなかった。

何が起きているのか、さっぱりわからない

ぴったりとユノの胸に収まる、その背の高さが羨ましいな、そんなことを思いながら…


「ギル、入って」

ユノがスンホを抱きかかえながら
ギルを部屋へ促す。

こんな有名な人が…ユノの知り合い?

目の前のすべてのことが
チャンミンの知らないことばかりで

疎外感を抱かざるを得なかった

ユノに何があったのだろう

仕事のことだから、自分は関係ない
だけど…ユノが困ったり悩んだりしてることなら
一緒に受け止めたいのに

3人はソファで並んで座り、話をしている
話の内容はまったくわからない


チャンミンは自己紹介もさせてもらえず
仕方なくひとりキッチンにいるしかなかった。

そのうちチキンが届けられたけれど
チャンミンはすっかり手持ち無沙汰だった

スンホという子のすすり泣く声が聞こえる

ユノが優しくなだめているようだ。

「みんな…残るって…
ユノさんにもトレスタに行くように言われたけど…
その方がいいってわかってるけど…
でも…僕と一緒はいやだって…」

ユノとギルはため息をついていた…


なんの話?

ユノ、何を困っているの


チャンミンは寂しくて
1人キッチンでキンパを頬張るしかなかった

目の前でせっかく届いた揚げたてのチキンが
どんどん冷めていった





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