プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

約束 7



ユノは休みをとって、チャンミンと町に出ていた

「お昼ご飯は何しようか」

「チャンミン、さっき朝ごはん食べたばかりなのに」

ユノはチャンミンを愛おしそうに見て微笑む
切れ長の瞳が優しく細められている

「ユノは食べなさすぎだよ
たくさん働いてるんだから食べなきゃ」

「そうだな」

ユノがチャンミンの頭を撫でる

結局2人で定食屋に入り、それぞれ好きなものを頼んで食べた。

「チャンミン」

「なに?」

「アパートは解約の手続きは済んだ?」

「うん、もう来週には出て行かないとダメなんだよ」

そう微笑んで上目遣いでユノを見る
イタズラっぽい表情が可愛い

「来週なんて言わずに今日来たらいいよ」

「どうしようかなー」

「荷物はギターと着替えだけだろ?」

「僕だってそれなりにありますよ」

「なぁ」

「ん?」

「もっと広いところ借りてもいいんだぜ?」

「あんなにいいマンションに住んでるのに?」

ユノがニヤニヤしながら、
チャンミンの至近距離まで顔を寄せた

「防音の部屋、借りようか?」

「ユノー!あんまり食べないくせに
そっちはすごい体力なんだから!エッチだなー」


「は?チャンミン何考えてるの?
俺はお前がギターを練習すると思って言ったのに」

「////////////////////」

「チャンミンこそ、どんだけエッチなんだよ」

ユノはゲラゲラと笑った

「いじわるユノ」

チャンミンが可愛くユノを睨む

「そっかー、じゃあエッチなチャンミンのために
防音の部屋にしますか?」

「もうっ!」

チャンミンがユノの肩をバシッと叩いた

「そんなこと言うなら
僕は一緒に住んであげないから」

ユノは笑いすぎて涙を拭っていた

「あーあ、チャンミン」

「なにっ」

「そんな事言わずに、いつも俺の側にいてくれ」


ユノはテーブルに両肘をついて
チャンミンを眺めている

「……ユノ」

「俺はお前と一緒にいたいんだ」

口角を思い切りあげて子供のように微笑む
ユノにしては珍しい表情だ。


「………」

チャンミンは頼んだビビンパを猛然と食べ始めた

「な?ダメか?」

チャンミンがお茶を注いでご飯を流し込むように飲んだ

「これから、僕のアパートに行きましょう」

「うん、そのつもり」

「今日、荷物持って来ちゃいます」

「えっ?ほんと?」

ユノはついていた肘を離して
チャンミンに向き直った

「僕がいないと、ユノ寂しそうだから」

「寂しいよ、わかってくれたか」

「仕方ないなー」

「もれなく特典付き」

「その話はもういいよ!いじわるだな」

チャンミンはユノを睨む

「チャンミンが睨むともうたまらないよ」

「どMですか?ユノはSですけどね」

「そんなことないよ」

ユノがチャンミンの頬を撫でる


チャンミンは思う


たまに…ユノは本当に寂しそうな顔をする

このまま、1人にしてはいけないんじゃないかと
思うことがある

自分より大人でいろんな経験もあり
頼もしくて男らしい人なのに

なぜか…守ってあげなければ…そんな気持ちになる


ユノには闇がある

それはチャンミンの知らない闇

知りたい

ユノをわかってあげたい


だけど…

もし、ユノが自分と居ることで癒されているなら
自分は何も知らない顔をして、笑顔でいてあげるべきなのかと…そんな風にも思っていた


これから、一緒に住めば
今よりもっとユノの事がわかるだろう



2人は定食屋を後にすると
車に乗ってチャンミンの部屋へ行った

「ほんとに荷物これだけ?」

「そう」

ガランとしたボロアパートの部屋には
数本のギターと段ボールが3つ
そしてスーツケースがひとつ


「家具は最初からここにあったやつだから」

「布団は?」

「昨日捨てちゃったよ」

「え?今夜から何で寝るつもりだったんだ?」

「………」


もしかして…チャンミン

お前は今日俺が休みなのを知って

今日から俺のところに来ようとしていた?

ユノは部屋の真ん中に集められた荷物を見つめた


「荷造りはいつしてあった?」

「昨日…」

ユノは何か大きな塊が喉を通るような痛みを感じた

「チャンミン…」


「ユノ…僕ね」

「……」

「ユノが思っているよりずっと…」

「ずっと?」

「ユノのことばかり考えているんだから」


「……チャンミン…」


「だから、昼間離れていても
僕がいつもユノの事考えているって、そう思ってて」


ユノがフッと微笑んだ


とても綺麗な笑顔

「頼もしいな…俺はいつもチャンミンに見守られてるのか」

「そうだよ、ユノ」


ユノはチャンミンをそっと抱き寄せた

「だから、ユノは何も心配しなくていいんだよ
僕が見守ってるから」

チャンミンはユノを抱きしめた

ユノもチャンミンをきつく抱きしめて
そのうなじに顔を埋めた


「約束だよ…」

「うん、だから僕とずっと一緒にいてね
約束だからね」

「ああ…」

ユノは抱きしめたチャンミンの首元に鼻を押し付けた

「ユノ、ちょっとくすぐったい
何してるの」

「匂い嗅いでるんだよ、チャンミンの匂い」

「変態!」

「変態なんだよ、俺」

「フフフ…変態がうつらないようにしなきゃ」

「遅いね、もう。
お前は今夜から俺のところに来るんだから
今日から変態だよ」

「アハハハハ…ユノおかしい」


ガランとした古いアパートの部屋

チャンミンが家出同然で田舎から飛び出してきて
ずっとここに住んでいた

今日でお別れ、そして今日からは

離れたくても離れられない

そんな運命の人と

一緒…


ユノがチャンミンを組み敷く

優しく強く


こんなベッドじゃ狭いね、なんて言いながら

いつかどっちか落ちてケガするね

その時は一緒に落ちて、俺が下敷きになって守るよ


大きな宇宙の中で

怖いことがたくさんありすぎる世界

俺はとても小さい

俺はとても臆病

だけど…

僕は幸せだよ

僕はなんにも怖くない

ユノを守ってあげる


だから、僕だけのユノでいて


夜は2人だけの会話をする
言葉を交わしたり、言葉はいらなかったり



ユノが後ろからチャンミンを抱きしめている

「チャンミン、寝た?」

「ううん、まだ」

「ちょっと気になってるんだけどさ」

「うん?」

「仕事はどうするの」

「昼間だけやろうかなって、思ってる」

「うん」

「ユノに負担かからないようにするから」

「負担なんてなにもないよ」

「だって、僕は生活費とか少ししか出せない」

「いいんだよ、そんなの。
コンビニで廃棄のおかずもらってきてくれて、助かってる」

チャンミンはクスクスと可笑しそうに笑う

その振動がユノの全身に伝わって、ユノは幸せを感じる

「だけどさ、チャンミン。
お前、歌手になるって故郷から出てきたんだろ」

「うん、まあね」

「その夢も叶えたい?」

「ユノは反対?」

「チャンミンの夢に反対なんてしないさ。
ただ…」

「ただ、なに?」

「たぶん、お前が思っているより歌手の世界は
とても汚い世界…」

「そうなんだろうね、ユノはきっとよく知ってるよね」

「俺は…裏しか見てないからね」

「僕ね、デビューとかそういうのより、
なるべくたくさんの人が僕の歌をいいと思ってくれて
辛い時とか、癒されたい時とか、聴きたいと思った時に
音源があったらいいなって。」

「チャンミン、それが歌手としてデビューするってことだよ」

「ああ、そうか」

またチャンミンはクスクスと笑う

「華々しく、っていうのは望んでないってことだろ」

「そうそう」

「俺が力を貸せるところは…」

「それはいやだ」

意外なチャンミンの力強い言葉だった

「………」

「もし、そうなるなら、自分の力だけでやる」

「……そうか」

「えっと…」

急にチャンミンのトーンが落ちた

「ん?」

「だけど、側にはいてほしい。
我儘だってわかってるけど」

「いるよ、安心しな」

ユノはチャンミンを抱きしめた





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