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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

約束 5




「……」

チャンミンはキョトンとした表情でユノを見つめた

「ユノさんの…部屋?」


「ダメか?」

「い、いえ…」


「俺の部屋に来て欲しい」


ユノの真剣な瞳に恥ずかしくなってチャンミンは俯いた


「無理強いするつもりは…ない」

「無理強いだなんて…そんなことないです」

やっとの思いでチャンミンは答えた

ユノはチャンミンの手を握った


「タクシー捕まえるから、こっち」


チャンミンはギターケースを持ったまま
ユノに引っ張られるようにして歩いた

いつも、優しく見守るような表情のユノが
今夜は違って見えて、チャンミンはドキドキした。

何か怒っているような、挑むような…
切れ長の瞳がいつもより鋭い

それでもチャンミンは
ユノのそんな表情に囚われてしまって

握られた手が熱くて

このまま、ユノの部屋に行くということは
どういうことなのか…大きな不安と…

正直、少しの期待があった


何を期待しているというのか…


ユノが大きく手を上げてタクシーを捕まえて
チャンミンを先に乗せた

自分の住む場所を告げて、シートに座り込むと
ユノはまたチャンミンの手を握った

指と指を絡めて握る…特別な握り方

車窓の外を流れる町の街灯


きっと今夜は忘れられない夜になる


流れる景色がチャンミンにそう囁いている

自分の鼓動が、繋いだ手を通じてユノに伝わったらどうしようと心配になった


タクシーはやがて
しっかりした造りのマンションに着いた。

ユノはお金を払うと
チャンミンのギターケースを持ってくれた

「あ、すみません、持たせちゃって」

「いいよ、そんなの」

駅からここに来るまで、会話はこれだけだった

ユノはそれでもチャンミンの手を握る

エントランスで初めて手を離す
チャンミンはギターケースを受け取り
ずっと俯いていた。

なんだか、恥ずかしくてたまらない


中に入り、部屋に行くまで
その手は握られたまま

そして、ユノの部屋が開けられると
突然、チャンミンはユノに抱きすくめられた


!!!!


まだ靴も脱がない状態で
チャンミンはユノの香りに包まれ
その温かさに包まれ

ユノはチャンミンの後頭部を片手でおさえながら
至近距離でチャンミンを見つめた

きれいなユノの瞳
スッと通った鼻筋

細いその顔が目の前で挑むようにチャンミンを見つめる

「キスしたい」

目の前で低く囁く声


逃げられない

逃げる気もない


その細く節くれだった指がチャンミンの頬を撫でる


「……はい」


チャンミンがそう答えると
ユノはチャンミンの顎に手を添えて
照れて下を向いてしまうその顔を少し持ち上げた

丸い頬が少し持ち上がり
不安そうな瞳が輝いている

ユノが顔を斜めにしてチャンミンにくちづけようとする

その寸前でユノが止まった

「?」

「チャンミン」

「は、はい」

「目、閉じて」

「あ、はい、すみません」


なんて無様な!

なんて無粋な!


そんな恥ずかしさで消えてしまいたいと思った時
ユノの柔らかな唇が自分のそれに優しく触れた

ユノの唇はチャンミンを味わうかのように蠢く

柔らかく
熱く…

気持ちいい

ずっとこうしていたい

チャンミンは全身の力が抜けてしまいそうになり
それをユノが支えた

うっとりとされるがままに
唇と全身をユノに預けた

ユノはためらうことなく、その柔らかな舌で
押し入るようにチャンミンの歯列をなぞる

さらに深く

さらに熱く


チャンミンは口付けを受けながら
引っ張られるようにして玄関から部屋に引き上げられた

ヨロヨロと靴を脱いで、
そのまま寝室へと連れていかれる

ユノは寝室の灯りをつけずに
唇を離したかと思うと、またチャンミンを抱きすくめた


「お前がほしい…チャンミン」

「………」


何か言わなきゃ…

黙っていたら、ダメ…

と思う間も無く、また激しく口づけられる


こんな風に


ユノが自分を求めてくれることが
嬉しくてたまらない

切羽詰まったその甘い声が
自分を求めて囁いたのだ


ユノさん、僕も…


僕があなたに応えられるかわからないけど
あなたを満足させられるのか自信ないけど


チャンミンはそう答える代わりに

自分を抱きしめるユノの肘をぎゅっと握った


ユノは唇を離し、チャンミンを見つめた

さっきとは違う優しい瞳に甘い焔が宿る


何もわからないチャンミンは
雛鳥が飛び立つようにユノに導かれた



時間がかかった

ユノは時間をかけてくれた

チャンミンがつらいだけで終わるのはダメだと
ユノは自覚していた


きちんとチャンミンも快感が得られるように
ユノはあらゆる方法でチャンミンを愛した


チャンミンも最初は我慢だった

ユノにしがみついて耐えていた

だけど

ユノの思いやりが嬉しくて
やがてそれはあり得なかった快感となって
チャンミンに喜びをもたらした

ユノがチャンミンに夢中になる度に
チャンミンは嬉しさがこみ上げて

自分がユノを待っていた事が
こういう事だったのだと

すべてが腑に落ちた


ユノの滑らかな肌は汗ばみ
チャンミンの白いうなじが震える

そして


その熱がおさまると
穏やかな深夜の時間が訪れた


布団にくるまって、ユノはチャンミンをしっかりと抱いていた

チャンミンはその腕の中で微睡む


「ユノさん…今日はなにかあったんですか?」

「なんで?」

「いや、なんか…」

クスクスとはずかしそうに笑うチャンミン


「何もなかったわけじゃないけど…」

ユノは優しくチャンミンの髪を撫でる

「けど?」

「それは…ただのきっかけ。
たぶん、最初に会った時から…チャンミンを自分のものにしたかったんだろうな」

「なりましたね?」

ユノを見上げて微笑むチャンミンは
輝くような美しさだった


「俺のものなんかでいいのか?」

「もう、ユノさんのものです」

そう言ってチャンミンはユノの肩に頬を摺り寄せる


ユノの心に開いた暗くて大きな闇の穴

そこにチャンミンが溢れんばかりの笑顔を注いでくれた


ユノの暗い闇はチャンミンが照らす

ユノの奥深い穴はチャンミンが埋める


ほかに誰も代わることができないほどに
ユノはチャンミンを求め

そしてチャンミンはユノに応えた


関係が深くなるほどに、チャンミンはユノに自分をさらけ出して甘えた

そんなチャンミンが可愛くてたまらないユノは
存分に甘やかした


甘い日々



「僕思うけどさ…」

「なに?」

今夜もまた、布団の中でチャンミンが甘えて拗ねた声を出す

「サリーさんは、ユノの事が好きなんだと思う」

ユノは楽しそうにチャンミンを自分の胸に引き寄せる

「ああ、たぶんな」

「知ってたの?ユノ」

「なんとなくね」

「サリーさんが地方に行くようになったら
ユノも行くんだよね?」

「俺の担当だからね」

「………」

ユノは抱き寄せたチャンミンの髪に自分の指を絡めて遊んでいる

「チャンミンの可愛いヤキモチが始まったね」

「………」

拗ねるチャンミンはなにより可愛い


「なぁ、チャンミン」

「なに?」

「一緒に住まないか?」

「えっ?ここで?」

「ああ、もうさ、コンビニのバイトとか
清掃の仕事とかどっちか辞めたら」

「仕事を…やめる?」

「両方やめてもいいんだぜ?
チャンミン1人くらい食わせていけるし」

「そんな…完全に世話になるなんて…」

「歌を作る時間もないだろ?」

「そうだけどさ」

「どっちかだけでも辞めたら」

「うん…」

「それか全然違う仕事でもいいしさ
時間が短い仕事でも」

「考えてみる」

「なんだかんだ言って、一緒にいる時間がなくて
寂しいのは俺のほう」

「えー」

チャンミンが嬉しそうに笑った

「なんだ、そうなの」

チャンミンは笑ってユノに抱きついた


「僕ね、前にショッピングモールで会ったことあったでしょ?」

「お前がバイト中に?」

「うん」

「俺が仕事中だったな」

「あの時、僕、作業着でさ」

「うん」

「恥ずかしかった。なんか冴えない感じにみられたなって。」

「作業着が?仕事中なんだからあたりまえだろ」

「うん…でも…嫌われたかなって」

「一生懸命な感じで、輝いてたよ、お前」

「そう?」

「嫌うどころか好感が持てた」

チャンミンはくすぐったそうに笑った

「よかった、聞いて。
ずっと気になってたからさ」

「そんなこと気にしてたなんて…
お前はなんにもわかってないね」


チャンミンと愛し合うようになって
ユノは心の奥深くに眠る醜い感情が少しずつ癒されていくのを感じた。

やっと、強くなれそうな気がする

ユノが本来持っていた太陽のような輝きが
少しずつ取り戻せるような気がする


「俺もさ、お前に対して恥ずかしく思ってることがあるんだよ…それこそ、冴えない俺…昔の話だけど」

「………」

「?」

チャンミンの顔をのぞくと
まるで子供のような顔をしてスヤスヤと眠っている

ユノはフッと笑った

そして、その柔らかな髪を撫でて
つややかな額にキスをした






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