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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

大好き 36



飛びついてきたチャンミンをユノはしっかりと受け止めた。

「大好きだよ、ユノ」

「愛してる、俺も大好きだよ、チャンミン」


ユノはチャンミンを抱きしめながら感じた

パーカーのポケットの中で眠り
布団に入れば首元で丸くなっていた

あのチャンミン…

ずっと、側にいてくれたんだ


ユノは部屋に転がり込んできたチャンミンを思い出した

全裸で血だらけで痣だらけ…

どんな思いで俺のところに来たんだろう

少し常識はずれなところも
向こう見ずなくらい純粋なところも

話としては頭でまったく理解ができないユノだったけれど、その心では、パズルが少しずつ組み上がっていくように、チャンミンと仔猫が一致していく


ユノはチャンミンをギュッと抱きしめた

「側にいてくれたんだ…チャンミン」

「約束したでしょう」


しばらく2人は抱き合って泣いた

ずっと一緒だったんだ
こんなにも愛おしい存在…


え?


「ちょっと待って!!」

ユノはガバッとチャンミンを離し
その肩を掴んだ

「猫に戻るってどういうこと?」

「この事がバレたら、僕は猫に戻っちゃうんだ
これからはユノの言葉がわからない普通の猫に…」

「そんな…なんでそんな話バラすんだよ!」

「だってさ…うっ…」

チャンミンは嗚咽がとまらない

「ごめん、そうだよな…俺が言えって言ったんだよな
ごめんな、お前が隠し事なんて、やっぱりそれなりの事なのに…」

「うっ…うっ…」

「結局、俺はお前を信じきれてなかったんだ
本当にごめん…」

「いいんだよ、ユノ…
僕もウソついたまま、生活していけるとは思えなくて」

ユノは今までチャンミンに言ってきたこと、してきたことすべてを後悔した。


俺が受け止める、何を聞いても驚かない…

そんなことばかり言ってたけれど

なんて浅はかな!

俺は…何も知らなかったとはいえ
こんな事態を招いてしまった

あの正直なチャンミンが言えない事なんて
俺と別れてしまうような事に決まってるのに


「じゃ…このまま…猫になっちゃうのか…」


チャンミンは涙を拭った

「仔猫のチャンミンに会いたがっていたでしょう…」

「それとこれとは違うよ、チャンミン」

「だって…うっ…うっ」


「え?いつ?どうやって戻っちゃうの?」

「わからない…」

「あの、クリニックの先生か?
手ほどきしたのはあいつか?」

「…そう」

「もしかしたら、あいつも猫だったのか??」

「それは!ユノ…」

ユノは思わず自分の口を手で抑えた


俺がそれに気づいたらあの先生も猫に戻るってわけか。
きっとあの駅員もそうなんだな

どうしたらいいんだ!!


「チャンミン、俺はお前が猫に戻るのはいやだ」

「そんな!もう遅いよ!」


チャンミンはグズグズに泣いている

「えっと…どうしたらいいんだ」


「じゃあさ、これから猫の僕が大好きっていう時は
何か合図をするから、ユノも何か合図して」

「どんな合図?」

「えーっとそれは…」

「ちょっと待ってろ。何か合図するモノをつくろう
プレートとかさ、カードみたいなもの。
紙とマジック買ってくるから、まだ猫に戻るなよ」

「行かないで!ユノが帰ってきた時に
僕は猫に戻っちゃってるかもしれないよっ!」

「そんな!」

ユノはチャンミンを搔き抱いた


「なぁ、どれくらい時間が残ってるんだろう」

「うっ…うっ…わからない」

「とりあえず、やるだけやろう!
えっと」


ユノはその辺にある新聞紙をハートの形に切った

「いいか?俺に大好きと言いたい時は
このハートの新聞紙の上で鳴くんだ」

「うん…」

「後、伝えたいことはどんなことだろうか…」


「大好きだけで十分。それだけわかったくれたらいい。」


「チャンミン…」

「僕がこのハートの上で鳴いたら、抱きしめてよ?
お腹が空いたじゃないからね?」


ユノの胸にチャンミンへの想いが込み上げてくる
いやだ…やっぱりこんなのイヤだ…


ユノは突然しゃくりあげて泣き出した

「え?!ユノ?!ちょっと…」


まるで子供のように泣くユノにチャンミンは驚いた

いつも大人で…チャンミンを包み込んでくれるユノが
こんな風に泣くなんて…


「やっぱり…俺…チャンミンと話ができなくなるなんて
耐えられない…」

「ユノ…苦しめてごめんね…」


再び、2人は抱き合って泣いた

外は闇が白み始めて
2人は泣き疲れて、それでもきつく抱き合っていた

やがて、朝日がユノのアパートの部屋を薄く照らしていく

「このまま…僕、ユノの腕の中で猫に戻りたい…」

「俺もしっかり抱いててやるから
何も心配するな…」

「猫に戻っても、好きでいてくれる?」

「当たり前だろ…ずっと一緒だ…」


それでも2人は泣いていた。


ハート型に急いで切った新聞紙は
ユノとチャンミンの涙で印刷が滲んで歪んでいた。


僕は毎日このハートの上に乗って
大好きだと鳴こう

ユノが切ってくれた、このハートの上に乗って


やがて、完全に朝日は上がり
いつもの日常の朝がやってくる。

それでも2人は抱きしめ合っていた。


「ユノ…」

「ん?何か身体が変か?」

「ううん、なにも変わらない」

「そうか…」

ユノは安堵のため息をついた。

「僕はいつ猫に戻るんだろう」

「そのことはなにも聞いてないの?」

「聞いてない…」

「もしかしたらさ、すぐじゃないんじゃないか?
48時間とか、1週間とか、もしかしたら、1年とか」

「猫から人間になるのには、1年かかってる」

「もし、1年かかるなら、俺たち2人でやってないことが
いろいろできるよな」

「たとえば?」

「旅行とかさ…後はなんだろう」

「ユノといられるなら、それでいい。
たくさん話ができたらそれで十分」

「チャンミン…」

ユノは自分の胸の中にいるチャンミンの頬を撫でた

もし、これでチャンミンが猫になったとしたって
一緒にいられることに変わりない

だけど、絶対に猫の方が早く死んじゃう
そんなこと耐えられない!

そう考えてユノは焦り出した

離れたくない…

ユノの中にまだ諦めたくないという思いが
湧き上がってきた。

何かどこかにいい方法があるかもしれない

「チャンミン、とりあえずあのシウミン先生のところに行こう」

「どうにかなるかな?」

「猫に戻ることについては話聞いてないんだろ?」

「そう…」

「いつ、どんな風に戻ってしまうのか、
そこだけ確認しよう、な?」

「そうだね。」

「今のままだと不安だしさ」

「うん、僕も猫に戻るときは覚悟したい。
ちゃんとユノにお別れが言いたいし」

「お別れなんて言うな!
お前が猫に戻ってもずっと一緒にいるんだから」

「う…ユノ…」

「もう泣くなよ…」


もうどれだけ涙を流しただろう

今のように愛し合って笑い合う生活を手放さなければならない。

ケンカするのだって、言葉を交わせるから。
そんな当たり前のことが今はとても大事だったと
思える2人だった


ユノは車を出して、チャンミンを助手席に乗せた

運転をしながらも、ユノはチャンミンの手を握って離さない

こうやって外に出てみると
自分のしていることがあまりに滑稽だと思える

猫が人間になったり、人間が猫になったり
そんなことが本当にあるのだろうか。

ふとそんな冷静な思いが湧いてくるけれど
なにしろ、このチャンミンが言うことなのだ。

きっと、本当なのだろう。

とりあえず、第三者の話を聞こう
それを聞いたら、更に悲しみが増すかもしれないけれど

ユノは車を停めて、シウミンのクリニックを訪れた

いつ猫に戻ってしまうかわからないチャンミンを
抱き込むようにしている。

「え?!」

2人はクリニックの入り口を見て絶句した

"都合により、閉鎖させていただきます。
今までありがとうございました"

「そんな…」

ふとそこへ、真っ白な猫がチャンミンの足元にやってきた

綺麗な猫はチャンミンの足元をぐるっとひとまわりすると、クリニックのエントランスにちょこんと座って2人を見つめた。

「先生!」

チャンミンは泣き叫んだ

「ごめんなさい!僕が真実を打ち明けちゃったから
だから先生…猫に戻ってしまったんだね」

チャンミンは猫を抱き上げると
その白くて小さな頭に頬ずりをした。

「そんな…」

こんな風にチャンミンも猫に戻ってしまうのか…

ユノは信じきれてなかったこの話を
猫に戻ったシウミンを見て
現実なのだと認めざるをえなかった…





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百海です。
いつもありがとうございます
明日は最終回になります
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