プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

大好き 35




「あ……」

「おかえり、チャンミン」

ユノがしゃがみこんで、猫用のおやつを手にしている
散らばった大量のそれ…

「あの…それ…」

「こんなに猫用のおやつを…どうしたのチャンミン」

「えっと…」

どうしよう…なんて言えばいいんだろう…

元々、正直なチャンミンは咄嗟にウソをつくということが出来ない

困り果ててるチャンミンを見て、
ユノがため息をついた…

「チャンミン…」

「……はい」

「ちょっと、こっちで話そう」

ユノはスッと立ち上がり、チャンミンの前を通り過ぎてソファに腰掛けた。


チャンミンは買ってきたものを
とりあえずテーブルに置いて、ユノが待つソファへ行った。

ユノはソファの端に座り、自分のとなりを軽くポンポンと叩いて、チャンミンに座るよう促した。

すっかり項垂れてしまったチャンミンは
とりあえずユノの隣に座った

また、ユノを怒らせてしまったかもしれない

チャンミンは膝をつき合わせて、
手のひらをぎゅっと握った


「チャンミン、こっち向いて?」

チラと横を向くと、ユノが優しそうにチャンミンを見つめている。

意外だった

てっきり不機嫌になっているのかと
そう怯えていたチャンミンだった。

ユノは固く握り締めたチャンミンの手に自分の手を乗せた。

「チャンミン…」

「………」

「ひとつウソをつくと、そのウソをつき通すために
たくさんウソをつかなくちゃいけないね?」

「………」

ほんとにそうだ…ユノの言う通り

「わかるよね」

「………うん」

「これからも、チャンミンはたくさん俺にウソをつかなきゃならない」

「………」

「それはチャンミン自身が、耐えられないんじゃないか?」

「………」

「チャンミンが真実を話してくれないことより
その方が心配になってきたよ」

ユノは優しく笑う

「…だけど…耐えなきゃ…」

ユノは愛おしそうにチャンミンを見つめた
ほんとに、なんていうかどこまで正直に生きてるんだろうか

「チャンミンがつらそうなのが
可哀想でみてられないよ」

「ごめんね」

「今日、公園の事務所へ行ってきた」

「公園の?」

「チャンミン…ビラを見たって言うのもウソだったんだろ?」

「………」

「ビラにはチャンミンの特徴しか書いてなかった。
可愛いと言っていたけど、写真はなかったよ」

「!!!!」

「それにビラには俺の名前もなくて」

「あ……」

「最初から俺のところに来ようと思ってたんだね?」

まずい…

どうしよう…

もう、これ以上ユノにウソがつけない…


そして、こんなに優しいユノに
これからもずっとウソをつき続ける生活なんて

チャンミンは真っ直ぐにユノを見つめた。


僕が人間になろうと思った理由は2つ


ユノにダンスを諦めないでと伝えることと
そして、ユノが大好きだという気持ち


チャンミンは大きく深呼吸をした


「ユノ、ダンスができて楽しい?」

「えっ?」

唐突な質問にユノは驚いた

「あのソンジュくんをプロにするのが
ユノの夢?」

「あ…うん、そうだね、もうオーディションも近いし
ダンスについては、今はそれが夢って言えるかもしれない」

「そう、よかった」


チャンミンは思った

これからずっと、ユノのそばでウソをつき続ける自分と
それを許して我慢する優しいユノ


そんな生活を僕は望んでない


僕が猫に戻ったって、ユノの言葉がわからなくたって
きっと僕たちは一緒に暮らせる

僕は間違ってたんだ


「ユノ…」

「ん?」


「ユノ、大好きだよ」


チャンミンがふんわりと笑った


「………」


「たくさん、ユノにウソついてるけど
この事だけはウソじゃないんだ」

「チャンミン…」

「ウソじゃないのは、それだけかもしれない」

「………」

「僕、ユノにほんとうのことを言うね」

「えっ?」

「さっき、ユノが言った通り
僕はウソをつき通すのが辛いんだ」


ユノはチャンミンの手をとった

「ありがとう、チャンミン。
話してくれたら、俺、全部受け止めるよ」

「うん…だけど…信じてくれないかもしれない」

「なんでも信じる…チャンミンの言うことなら」


「僕ね…」

ユノは緊張した

あんなにチャンミンの真実を知りたかったのに
いざ聞くとなるととても緊張してきた


「僕は…いなくなった猫のチャンミンなんだ」


「?」


「人間に…なったの」


「???」


「僕は人間になれる特別な猫だったんだ」


「…………」


ユノはその瞳をまん丸に見開き
チャンミンの顔を見つめたまま固まった

「猫だったチャンミンが人間になったって言うの?」

「そう、僕は人間の言葉がわかる、特別な猫だったの」

「えっと……」

「だけど、そのことがバレたら、僕はまた猫に戻ってしまって、もう人間には戻れないんだ」

「は?!」

「だから、僕はじきに猫に戻る」

「えっ?!」

「ごめんユノ …」

「ちょっ…ちょっとさ、いくらなんでも
それをどうやって信じろって言うの…」


チャンミンの目から涙があふれた

ユノは信じてくれない…

きっと僕は猫に戻ってしまうのに…

「信じて…くれるんだよね…僕の話…」

「えっと…最初からちゃんと、話してくれないか」


ああ、僕はユノに説明しているうちに
猫に戻ってしまうかもしれないのに


「あの寒い夜、僕たちはママと離れてしまって
誰かが段ボールに入れてくれたんだ」

「僕たちって?」

「兄弟がいたんだ。気がついたら、僕はひとりぼっちで
そしたら、ユノが僕をマフラーでくるんで拾ってくれた」

「………」


「僕はミルクをもらって、ユノに育ててもらったでしょう」

「………だけど」

「僕はいつもユノに大好きって言ってたんだけど
ユノはいつもお腹がすいたとしか思ってくれなくて」

「お腹が…空いた?」

ユノは思い出していた

ミャーミャーと鳴くチャンミン
なにを必死に鳴いているのか、その姿がたまらなく可愛かった

そんな時自分は…

「はいはい、お腹空いたよな、今ご飯にしてやるから
待ってな」

俺のことが大好きだと言っていた?

「僕はスジンさんの靴を噛んじゃって…」

「それはスジンかドンへに聞いたのか?」

「違う…だって、スジンさん浮気してたから
ユノがいるのに。だから僕怒ったんだよ」

「………」

「ユノはスジンさんと寝る時、僕をいつもバスケットにいれて、申し訳なさそうにしてた」

「なっ…え?」

「そうだったでしょう?」

「そ、そうだったかな…」

いや、そうだった。
俺はスジンと寝る時、チャンミンをバスケットに入れてた。。可哀想に思いながらも


そんな思いをさせてたのか?
このチャンミンに?

でも…そんな話どうやって信じろって…


「僕はユノにダンスをしてほしかった。
ダンススタジオでみたユノは輝いてて…」

「あ……」

「ユノはいつもベッドで僕をお腹に乗せて、ダンスがしたいって、そう言ってた」


チャンミン…

ユノはチャンミンと自分しか知り得ない事実に
驚愕していた

本当にチャンミンが言うようなことが
この世に起こるのか…


「だけど…なんで…チャンミン…
そのことを伝えたくて?」


「そうだよ…」

「………」

「側にいてくれるかって、いつも言ってくれたよ」


「だから…側に…いてくれたのか…ずっと」

「うん、育ててくれてありがとう
僕はユノが拾ってくれなかったら死んじゃってたよ」

「チャンミン…」


「大好きだよ!ユノ!」


チャンミンは泣きながらユノに飛びついた






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