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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

大好き 34



チャンミンはユノの腕の中で
その温もりを全身で感じていた

仔猫だった頃に感じた温かさ、そのままに。

ゆったりとした時間の中
久しぶりにユノとベッドで会話をした

「チャンミンさ…」

「うん…」

「チャンミンって名前、迷い猫探しのビラで見たって」

「…え?…あ…うん」

「あの駅近くの公園か…」

「あ…そう…だよ」

「なんでその名前がいいって思ったの」

「うーん…なんでだろう…
可愛い顔、してたから」

「あーそうだね、メッチャ可愛かった」

「フフ…」

「生きてるといいな」

「会いたい?」

「会いたい」

即答だった。

「もし…会えたら…どうする?」

「会えたらさ…やることは決めてる」

チャンミンはムクッと半身を起こして
ユノをみつめた

「会えたら…どうするの」

チャンミンの目が真剣だ。

「パーカの中に入れてやるんだ」

「ポケットじゃなくて?」

「仔猫の時はね、入ったけど」

「……いいね、パーカの中」

「その中にいれて、もうどこへも行かないように
閉じ込めるね」

「アハハハ…いいねー」

「チャンミン?」

「なに?」

「なんで泣いてるの?」

「え?あー笑いすぎだよ」

「そんなにウケた?」

「うん、いいなーって思って」

「ヤキモチやいてくれ」

「仔猫に?」

「ああ、今のところ、お前と勝負できるのは
仔猫のチャンミンだけだぞ」

「僕が…負けることも…ある?」

「あるぞ、何しろ相手は最強チャンミンだからな」

「猫は…隠し事…しないしね」

「………」

「……まあ、そうだな」

「ごめん」

「もうその話は…やめよう」

「………」

「仔猫のチャンミンに、俺謝りたいんだ」

「……そう…なの…」

「頭のいい子でね、自分が俺の邪魔になってると
そう思ったんだろうな」

「言葉が交わせないのに、そんな事わかるの?」

「わかるよ…俺を見つめる目が寂しそうだった。」

「………」

「邪魔になんかしてないんだよって言ってやりたい」

言葉なんて交わせなくても、
ユノにはちゃんと伝わっていたんだ

チャンミンは自分の存在価値が
あまりないと思いはじめていた。

ユノに優しく抱きしめられても
その思いは消えることはなかった

自分はあのソンジュにも、仔猫だった自分にも
負けちゃってる…





ユノは翌日のレッスン中にふと思った。

仔猫のチャンミンのビラが欲しいと思った。

また探そうというわけじゃないけれど
考えてみれば手元に一枚もなかったし。

ほんとに、ただ何となく…だった。

夜のレッスンが休講になったのもあって
帰りにユノは公園の管理事務所に寄った。

チャンミンを探していたあの頃は
こういう細かいことをドンへがしてくれていた。

「1年半くらい前ですけど、ビラを貼ることを許可していただいて。猫を探すというビラなんですが」

「はい、1年半くらい前ですね?」

担当は優しそうな年配の女性だった。

「その時のビラをなんか一枚余ってないかと思って」

「見つかったんですか?猫ちゃん」

「結局、まだ見つかってないんですけどね」

「あら…そう…
どうします?見本は何枚か保存してあるので、
またビラを掲示板に貼ってもいいですよ?
今回も2週間しかスペースはお貸しできないけれど」

「2週間?」

「ええ、そう」

「あの…1年半前も?2週間でしたか?」

「そうですよ、スペースをお貸しできるのは
2週間って決まりでね。ずっと前からですよ」

「この公園で1年くらい貼っていただいてないですか?」

「それはないわね、他のところにビラを貼られたら
すぐ剥がしちゃうし」

仔猫のチャンミンがいなくなって、1年くらいして
自分のところに転がり込んできたチャンミン

あの時、ここで見たビラで俺のところへ来て
咄嗟に猫の名前だったチャンミンと名乗ったはずだ

チャンミンが来た頃は、もうとっくにビラなんてなかったんだ。

「あーこれね?チャンミンくん。」

担当の人はファイルから一枚のビラをユノに差し出した。

「え?」

「これ…じゃなかったかしら?」

「あの…写真付いてませんでした?」

「これは…そうね…付いてないわね
猫ちゃんの特徴だけ」

「あれ?」

「え?」

そのチラシにユノの名前はなく
連絡先と名前はドンへになっていた。

「これ、友達の名前ですけど…」

「ああ、来た人の名前じゃないとダメだから
この方が自分のお名前に変えたのね」

「そうなんですか………だからドンへの名前に」

それにしても
どういうことだろう

チャンミンはビラを見て俺のところに来たんじゃないのか。

猫のチャンミンが可愛かったから、と言っていた。
考えてみれば俺の住所も書いてないのにどうやって来たのだろう

はじめから俺を目指して来たのか?

「あの…」

「あ、もういいです。すみませんでした」


ユノはまたモヤモヤとした気持ちに包まれていた。
チャンミンは最初から俺を知っていて、俺のところに来たのか。

やっとチャンミンを包み込めるような心の余裕ができたのに、またひとつチャンミンのウソに気づいてしまい
ユノは流石に落ち込んだ。

ユノがアパートに帰ると、チャンミンは買い物にでかけているのか、留守だった。

ユノは冷蔵庫を開けると、いつも飲むミネラルウォーターがなく、食材が入ってるシンクの下の扉を開けた

「うわっ!」

扉を開けた途端にバラバラと崩れ落ちて来た
大量の猫のおやつ

これは、先日なぜかチャンミンがこっそりと食べていたやつだ。

何かと間違えたと言っていたけれど
なんでこんなに大量に買ってきたんだ???

ユノはそのひとつを手にとって見た

懐かしい…

これは仔猫だったチャンミンが大好きだったおやつだ。

でも、なぜこれをチャンミンが…


その時、チャンミンが帰ってきた

「あれ?ユノ、帰ってた?」

スーパーの袋を抱えてキッチンにきたチャンミンが
ユノと散らばった猫用のおやつを見て固まった





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