プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

大好き 33




「さあ、帰ろう」

「はい!」

ユノとソンジュはレッスンルームを出た

「うわっ!」

「え?なんだこれ」


ドアを開けた廊下には
辺り一面に何かがぶちまけられていた

ソンジュがかがんでそれを覗き込んだ

「先生、これサンドウィッチ…」

「ほんとだ…あ…」

ユノには見覚えのある、赤いフチのついたランチボックスの破片

「チャンミン…」

散らばるサンドウィッチの具が、それがどれほど手の込んだものだったのかを表していた

色とりどりのフルーツ
野菜
数種類のハムにチーズ
卵もいい色に茹でられている

「うわーなんか美味しそうなのにもったいないですね」

「………」

「なんでこんなことになっちゃったのかな」

「………」


砕け散ったサンドウィッチの悲惨な姿は
どれほどの力で叩きつけられたのかが伺える

チャンミンがきっと両手で頭上から叩きつけたのだろう

その怒りはどれほどのものだろうか


なぜ怒ったかって?

それは

嫉妬だ

チャンミンの嫉妬


俺とソンジュが踊っているのをみたのか
また、会話を聞いたのか


いつもふわふわと穏やかなチャンミンが
これほど怒るなんて…


それはチャンミンの本気だった


自分に対する本気が伝わってくる


チャンミン…


お前はいつも全力だね


何かを必死に隠していることも

俺を一生懸命愛してくれることも

無理に笑ったり

たまらず泣いてしまったり

こんなに手をかけてサンドウィッチを作り

差し入れに来たんだろ?

俺が…ダンスに懸命になってるって知って


そして怒ったのか?

俺がチャンミン以外の誰かと笑いあってたから?


嫉妬なんて…

そんなの無意味だよ

だって、俺はこんなにも

全力なお前が愛しくてたまらない


ソンジュと2人、散らばったサンドウィッチを片付けた

「先生…」

「なに?」

「これってさ…このサンドウィッチ…」

「ん」

「先生の…恋人なんじゃないですか?」

「………どうして?」

「ん…なんか…すごく手が込んでるし」

「ああ、美味しそうだよな」

「それに…」

「………」

「これって、叩きつけた感じですよね?」

ユノはたまらず笑った

「だよな?怒り爆発って感じだよな」

「……はい」


「こういうところが可愛いんだよ
俺の恋人」


「……なるほどね」




「…………」


チャンミンはひとり

真っ暗なキッチンに立っていた


リビングのテレビだけが
今日あった出来事を神妙な顔で伝えている

たくさん買ってきてしまったチューブの猫のおやつ

ひとつ端っこをカットして、
口に含んでみた

「げっ!不味い!」

チャンミンはペッとシンクに吐き出した

なんでこんなのが美味しいと思えたんだろう


「何やってんの?」

「!!!!!」

びっくりして振り向いたチャンミンの目には
これまた驚いて目がまん丸なユノ

「チャンミン…なに食べてるの?」

「あ!お、おかえり!」

チャンミンはドタバタと猫のおやつを隠した

大量にある分はシンク下に隠してある
でも、手に持っていたものは隠せなかった


ユノはすかさず、チャンミンの手を掴んで引き寄せた

「チャンミン、これ、人間の食べるものじゃないよ?」

「あ!うん!アハハ…だよね…間違えちゃった」

「何と間違えたの?」

「なんかね…美味しそうかなってさ」

「猫の絵が描いてあるのに」

「だよね…」


「チャンミン」

「ん?」

「気が動転してこんなの買ったの?」

「え?」


ユノはシンクの前に立つチャンミンを
後ろからギュッと抱きしめた

チャンミンはびっくりした

こんなスキンシップはほんとにひさしぶりで
ドキドキしてしまう

ユノは後ろからチャンミンの肩に顎を乗せた

「今日、俺さ…」

「うん……」

「もしかしたら、軽く告られたかもしんない」

「!!!」

「たぶんね、それは憧れを勘違いしてるんだと思う」

「……そ、そうなの?」


ユノは…正直にあの子のことを話してくれるんだ


「………」

「………」


「今日さ、チャンミン、スタジオ来たよね」

「………あ」

「サンドウィッチ、差し入れに来たよね」

「………」

「あんなにぶちまけてさ、もったいない」

「………」

「美味しそうだったのに」

「……美味しそうだった?」


ほら、ウソがつけない

ユノは思わず頬が緩む


こんなチャンミンが必死に隠すなんて
お前の秘密は、それほどのものなんだろう

この世がひっくりかえるような

言ったらみんなが不幸になってしまうような

たとえば…俺とチャンミンが離れ離れにならなければいけないような

そんな何かなのだろう

それが怖い?

怯えてる?

俺は負けないよ

だから…できれば…俺を頼って

お前を守らせて


そんなユノの思いを知ってか知らずか
チャンミンは暗いシンクの1点をじっと見つめている


ユノはチャンミンを自分の方へ向き直らせた

丸い頬を両手で挟み、その大きな瞳を覗き込んだ

「泣いた?」

「う……」

「なんでまた泣くんだよ」

「だってさ…」

チャンミンはユノに抱きついて
その泣き顔をみせないようにした。

「人間だから泣くんだよ」

「そうだな」

ユノはまたチャンミンの頬を両手で包み
優しく口づけた


僕はウソばかりついている

ユノはこんなに優しくて

こんなに正直なのに

僕はそんなユノを苦しめて、傷つけている

僕を愛して…大きく包み込もうとしているのに

僕がウソつきだって事実を
飲み込もうとして苦しんでいる


そんなあなたに、僕はもうウソをつきたくない

このままでいいわけない

いつかあなたを解放してあげなきゃ



2人は久しぶりに愛し合った

許そうと努力するユノと
誠実でいようと覚悟を決めたチャンミンは

お互いを深く愛した




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