プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

大好き 31



ユノの帰りが遅くなった

理由はユノから軽く話があった

「ちょっと素質のある子がいてね
オーディションにだしてやろうと思って」

以前だったら、
その子が自分と同じ施設育ちで夢を持っていること
だから余計に力になりたいと思っていること
そのダンスの素晴らしさ

そんなことを熱く語ったであろうユノ

そして、その素質ある生徒について
いろいろと聞きたがり、ユノが生き生きと仕事ができることを喜んだであろうチャンミン。

いつのまにか大きくなっているその心の溝に
2人は気づきはじめた。

ユノは遅く帰ってきては、チャンミンの作った夕飯を食べ、シャワーを浴びるとすでに眠くて仕方がない、といった感じだった。

一日中ダンスをしているのだ
以前とは疲れの質が違う

それでもユノはチャンミンの話を聞こうとしてくれた。

「今日は何かあった?」

「別に…」


以前は「今日は何してたの?」だった。

チャンミンはその日見たテレビの話や
買い物に行って不思議に思ったことなどもよく話した。

何してたの?と聞くと
チャンミンが答えに困るだろうとユノは思っていた。
詮索している、と勘違いされたくなかったし、
答えに詰まるチャンミンを見たくなかった。

けれど…

何かあった?

そう聞かれても、わざわざ話すほどのことは
チャンミンの日常には何も起こらない

今日何してた?と
今日何かあった?は違う

会話もどこかちぐはぐで、想いだけが空回りをしていた。

ユノは相変わらずの一本気な性格で
これを乗り越えなければ、と考えていた。

恋愛を頭で考えてしまうユノの悪いクセがチャンミンを更に迷わせる

チャンミンは心に引っかかったことを
言葉にしてみた。

「あ…えっと…聞いていい?」

「うん、なに?」

「ユノが力を入れてる子って男の子?」

「そうだよ」

「………」

「どうして?」

「ううん、なんでもないんだけど」

「だけど…なに?」

正直に言ってみようか

「なんか…ちょっと心配だな、とか思っちゃって」

へへっとチャンミンが照れ臭そうに笑った

「なにが?」

「その…ユノがその男のコと何かあったらイヤだなと」

「はぁ?」


ピンと張り詰めていた、2人の何かが切れた


「そんな…そんなイヤらしい感情はソンジュに対してもってないよ」

イヤらしい…

「ソンジュって言うんだ。名前さえ知らなかったよ」

「チャンミン…俺、さすがにそれは不快だよ」

「不快?」

「俺とソンジュは純粋に夢に向かって頑張っているだけで、チャンミンが想像しているような不純な気持ちなんてないよ」

夢に向かう輝かしい2人
それを下衆な目でみる不純な僕…か

悔しいような悲しいような…

「どうせ僕は不純だよ」

「そんな事言ってないじゃないか」

無理して笑顔で過ごしていた歪み
2人とも一気に本音が出た


「ユノ、なにも話してくれない。
前はもっと、毎日の事話してくれたよ。
夢の話だって、前はよくしてくれた」

僕には夢の話をしても意味ない?

「俺がなにも話さないって?
堂々と隠し事しているお前がよく言えるな」

「…………」

「お前が自分のことを話してくれないのを
俺がどんな思いで耐えてるか知ってるか」

「……僕は…」

「なんだよ」

チャンミンはキッとユノを睨みつけた

ユノもチャンミンを睨みかえした



ユノと話ができることに憧れた

いつも大好きだと言ってもお腹が空いてるとしか
みてもらえなくて

好きな道を進んでもらいたくても
話が出来なくて

でも話ができる、ということは
こうやってすれ違ってしまうことにもなるんだ


人間になろうとした時、言われた

「人間になってもいいことないよ、猫のままでいた方がいい」

「仔猫でいることは、ユノさんにとって最高の癒し」


僕は僕のわがままで
人間になったんだ

チャンミンはすべてを飲み込もうと思った


「ごめん」

睨み合いから最初に口を開いたのはチャンミンだった

「………」

それは更にユノをイラつかせた。

「言いたいこと言って、結局そうやって謝る。
謝るなら、はじめから何も言うな」

「そうだよ、僕はわかってる。全部僕が悪い。
だけどねユノ、どうにもならないことが世の中にはあるんだ」

「へぇ」

「理解してとは言わない。
でも、許してほしいし、認めてほしい」

「理解しようにも、何もわからないのに無理だよ」

「結局はそこなんだね」

「そうだよ。こんな俺で申し訳ないけどな
こういう面倒くさい奴なんだよ俺。
隠し事は嫌いだ。愛し合ってるならなんでも言うべきだ。
全部預けてくれたら、俺はチャンミンの全部を受け止める。
たとえ、お前が犯罪を犯していようが
人に言えない暗い過去があろうが…」

ユノは止まらなかった

「………」

だけど…


「やめよ、堂々めぐりだ。
この話で言いたいことを言うと、後で気分が悪い」

「どうして?」

「自分の情けなさに嫌気がさすんだよ」

「……」

「とにかく、俺とソンジュをそんな風に勘ぐるのは
やめてくれ」

「感じたことを正直に言っただけだよ」

「正直に?」

「隠し事してるのは、本当に申し訳ないと思ってる。
だからこそ、ほかの事では嘘つきたくないんだ。
なんでも正直に言いたい」

「ずいぶん勝手だな」

「じゃないと、僕とユノは…」

「………終わるか?」

「ユノ…」

「もう、こんな話やめよう」

「ユノは終わりたいの?」

「そうじゃない」

「スジンさんみたいに、もう好きじゃないのに
責任とか感じてるの?」

「そうじゃないって。チャンミン、この話はおしまい。
いくら話したって平行線なんだよ。」


ユノは立ち上がった


あんなに甘い2人だったのに
あんなに幸せな毎日だったのに


どうしてこんな事になっちゃったんだろう


ユノは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと
コップになみなみと注いで飲み干した

ダンスの仕事をするようになって
ユノの後ろ姿は更に魅力的になった。

元々、バランスのいい男らしい骨格ではあったけれど
そのウエストは引き締まり、肩から腕にかけて
筋肉がめだつようになった。

太くなったわけではない、そのハリのような質感が
ユノを躍動的にセクシーに見せていた。


その夜、チャンミンはユノの腕の中に
自分から潜っていった。

ケンカをしてしまって
寂しくなったチャンミン

ユノは少し驚いたようだったけれど
そっとチャンミンを抱きしめた。


チャンミンは思った
もう何日してないだろ

抱きしめてもらいながらも
少し空いた2人の隙間がとても悲しかった。


今日の事は反省しなきゃならない。

もうユノとケンカしたくないし

がんばらなきゃ
明日からまた。

ユノが大好きだって、伝わるように






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