プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

湿度(6)



静かなワインバー

ゆったりとした音楽が流れ
時折、笑い声も聞こえる


ソンヒとのデート

ユノは会社の話や、最近テレビを賑わす話題などを
軽く話しているつもりだった。

「ねぇ、ユノ」

ソンヒが綺麗にネイルの施された人差し指を
ユノの唇に押し当てて、会話を遮る

「さっきから、チャンミン君の話ばかり」

「え?そんなことないと思うけど」

「じゃあ、無意識に話してるのね
チャンミン君がそこまで可愛いとはね」

「小さい頃から一緒だったからかな。
俺の後ばかりついてきて、あ、一度大変なことがあって、何歳くらいだったかな…」

「入社する会社まで一緒じゃないの」

「俺の仕事に興味がありそうだったんだよ。
それにあいつ、地元ではいろいろあってさ…」

「わかった、わかった!
チャンミン君が可愛いのはわかったわよ。」

ユノのチャンミン話が止まらない

呆れ返ったソンヒの態度にユノも困り顔だった。

昨日から考えていた事を相談してみようか。


「あのさ…ソンヒ…
頼みがあるんだ」

「なあに?」

「チャンミンさ、いつも俺が側にいてやってたけど、今は男友達やスンホとばかりつるんで遊んでて」

「だから?」

結局ユノの口からでてくるのはチャンミンの話ばかりで、ソンヒはさすがにうんざりした。

ソンヒはプロジェクトチームの顔合わせの時から
ユノを狙っていた。

モデルばりのスタイルにスーツがよく似合い
きりっとして繊細な造りの整った顔立ち
それに反して優しく温かい態度

仕事上での攻めの姿勢もまた男らしく

話をしていると、その甘く乾いた声に服を脱がされてしまうような色気を覚えた。

ソンヒはそんなユノと寝る関係になれたけれど
ユノはセックスについては意外にもとても淡白だった。

どれだけ攻め込んでくるのかと楽しみにしていたソンヒは大きく期待を裏切られた。

それでも、その優しく頼もしい人柄に
ソンヒは結婚も射程距離に入れていた。

しかし、最初の頃こそ、お互いの話が多かったけれど、その話題が少なくなるとユノの口から出るのは
チャンミンの名前ばかり。

ソンヒは辟易していた。


そんなユノがソンヒにお願いがあるという
やはりチャンミンのことだろう。


「チャンミンに誰かいい彼女がいないかと思って」

「えっ?」

「うん、だからさ、チャンミンも彼女ほしいと思うんだ。」

「そんなの、チャンミン君が自分で決めるでしょ?
私に誰かいい子を連れてこいと言うの?」

「ああ、誰かいないかな?
ソンヒの知り合いがチャンミンの彼女なら
4人で出かけられるし、俺も安心なんだ」


何を言っているのか
ソンヒは開いた口が塞がらない

「チャンミン君が頼んできたの?」

「いや、そうじゃないけどさ
なんか、かわいそうで…」

「彼なら、いくらでも彼女できると思うわよ
わざわざ私がお膳立てしなくっても」

「それがさ、チャンミンはそういうところ、
ダメなんだよ」

「それはチャンミン君が決めることだと思うわ」

「誰かいないかな、ソンヒの知り合いで
チャンミンに合うような女の子」

ソンヒはため息をついた。

「いないわけじゃないけど」

「会わせてやってくれないか?」



その日チャンミンは最近仲の良いスンホと
ゲームセンターへ行く約束をしていた。


書類のコピーを取りに行こうとしたチャンミンにユノが話しかけた。

「チャンミン」

「はい?」

「あ、あのさ、今夜、空いてるか?」

「すみません、用事があります」

「…スンホか?」

「あ、はい、そうですけど…」

ユノが落ち着かない素振りを見せる。
その視線が泳いでいる。

「なにか?」

「あ、飲みに行かないかと思ってさ」

「えっと…」

「用事があるなら、いいんだ…ごめん」


どことなく、ユノは寂しそうだった。

「ユノさん…」

「あ、今夜も映画?」

無理に笑っているのがよくわかる

「いえ、違います」

「そっか、うん、楽しんで」

「………」


なにか言いたげな様子で、それでもユノは
なにかを吹っ切るように立ち去ろうとした。


「ユノ」

「?」
振り向いたその顔がなぜか幼い頃を思い出させた

「飲みに行きますか?久しぶりだし」

「え?いいのか?」

「ソンヒさんも、一緒?」

「え?あ、ああ、そうなんだよ」

「いいですよ、どうせ今日はただのゲームセンターなんで」

「あ、えっと、もう1人来るんだけど」


いつものパターンだ

そうチャンミンは思った。

ユノは彼女ができると、必ずと言っていいほど
彼女の友達をチャンミンに紹介しようとする。

そしてダブルデートを数回した後
その彼女の友達とチャンミンが上手く行きそうになると

ユノが彼女と別れてしまう、というパターンだ。

でも、ソンヒさんは別れないような気がする。


「ソンヒさんの友達が来るってパターンですか?」

「そう…なんだ、うん」

いつも彼女が友達を連れて来るのか
ユノが連れて来させるのか

そこはよくわからないけれど

チャンミンはなぜかユノがかわいそうな気持ちになって、今回も話に乗ってやることにした。

「かわいい子だといいけど」

薄っすらとチャンミンが微笑んだ

「たぶん、かわいいと思うよ!
上手く行ったらさ、4人でどこか行けたらいいし」

ユノの目が輝く

「わかりました。それじゃ今夜」

「ああ、店は予約しておくから!」


心なしかユノが少し浮かれたように仕事に戻っていった。

チャンミンはため息をついた。

女の子なんか誰を紹介されたって
あなたがいる限り、僕は付き合うことなんてない

それでも、あなたが安心するなら
僕は少し我慢をします。

僕の心なんてなんにもわかってない

彼女なんて余計なお世話なんです

でも、あなたの笑顔が見れるなら
少し我慢をします

チャンミンはひとり屋上に行って
空を見上げた。

夕暮れ迫る遠い空に、鳥が飛んでいた


その夜、

チャンミンは高揚しているユノに連れられて
韓国料理のカジュアルな店に来た。
ソンヒと、その友達はすでに席についていた。

「お疲れ様です」

「こんばんは、チャンミン君」

相変わらずソンヒは綺麗だ。
ユノと付き合いだして、ますます綺麗になったような気がする。

ソンヒの隣に座る女の子は
小柄でクリクリとした瞳が愛らしい
なかなか可愛い子だった。

「紹介するわね、私の大学の後輩でミナよ」

「こんばんは、チェ・ミナです」

「あ、シム・チャンミンです」


楽しい時間だった。

ユノはいつもより饒舌で、とても楽しそうだった。
ソンヒとユノの話は出ず、

話題になるのは、ユノとチャンミンの昔話ばかり

ユノは1人で喋ってひとりで笑っていた。

ソンヒは呆れた様子を隠さないでいたけれど
ミナはユノの話をニコニコと聞いてくれていた。

適度な相槌と穏やかで優しそうな雰囲気

ソンヒとはまるで違うミナにチャンミンは好感は持った。

でも、逆に、こんないい子をその気にさせてはいけないな、とも思った。

二次会へ行こうという話になり

連れ立って次の店まで繁華街を歩いた


チャンミンとミナの前を歩くユノは
始終ご機嫌で、ソンヒに子供扱いされていた。

なんだかんだで、お似合いの2人だ…

チャンミンは2人の背中を見つめていた

隣を歩くミナがチャンミンに微笑みかける

「チャンミンさん」

「はい?」

「チャンミンさんは、ユノさんの事が
好きなんですね」


チャンミンが驚いたようにミナを見た




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