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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

カナヅチの島(9)



毎日、ユノの家に通った。

ユノが自分の家で自分のウェディングの仕事をしているとわかっていたのに
なぜその事が気にならなかったのだろう。

たぶん、僕はユノが大好き過ぎて何も見えず
先のことなんてまったく考えてなかったのだ。

そこまで僕は酷かった
人間としてダメだった。

後から考えたら震えがくるほど、馬鹿だった。


ユノがいない間、チャンミンはジョンの散歩に行ったり、バルコニーの花の世話をして過ごした。

今日は料理にも挑戦する。

鶏肉を買ってきて
オリーブオイルとバジルと塩で
美味しい夕飯を作ろう

チャンミンがキッチンで鶏肉と格闘しているところに、ユノが帰ってきた。

「お帰りなさい!」

「何やってるの?鶏肉?」

「うん…あ、すぐできるからさ、シャワー浴びてて」

「すぐできないだろ、何を作ってるのか知らないけど」

ユノが不安そうにキッチンを覗き込んだ。

「あ、バジルとね、これから中にいろいろ詰めて」

「参鶏湯?」

「みたいなもの…」

「これで何か作っておくから
シャワー浴びてこいよ」

「はい…」

チャンミンはユノにあっさりキッチンを譲り
つまらなそうにシャワー室へ行った。

何かいつもダメだな…


シャワーから出ると、美味しそうなグリルができあがっていた。

少し落ち込んだ

ユノはパッパッと何か美味しいものを作るのが上手で、自分も何か作ってあげたくて。

そんなチャンミンの表情をユノは察知した

「得意な方がやればいいんだよ、なんでも」

「あーうん…でも…」

「ん?」

「へへへ…僕何にもできないよね」

悲しそうに、なのに無理して笑う

ユノが美味しそうなチキンをパソコン机に乗せる

「お前は美味しそうに食べてくれるから
作りがいがあるよ。
そういうの大事なんだぞ」

「えーそんなのが大事?」

「そうだよ。」


ユノがパラ・トリアムでまた何か果実酒をもらってきたようで、2人で飲みながら美味しい料理を食べた。

「チャンミン」

「ん?」

「お前さ、もう一週間も家に帰ってないけど
親御さんとか心配してないのか?」

「連絡はしてるから大丈夫だよ」

「あ、連絡してたのか」

「うん」

「なんて話してあるんだ?」

「なんてって…まさか男の人の家に転がり込んでるなんてさ、言えないでしょ」

フフフとチャンミンは楽しそうに笑った

「……」

ユノは少しだけ、複雑な気持ちになった。

チャンミンはきっと夏が終わったら
この島を離れる。

もしかしたら、今自分が手がけているパーティに顔を出すのが目的で来てるのかもしれない。

それは自分も同じで、この島には3ヶ月しかいないじゃないか。

深く考えるのはやめよう

ユノはその時はそう思った。


その夜もチャンミンは帰らず
当たり前のようにユノの家にいた。

なんにも考えてないようなチャンミン。

一緒にいる時間が長くなるにつれて
ユノはそんなチャンミンに違和感を抱き始めた。

だんだんとチャンミンに対して執着が生まれ始めているだけれど
チャンミンはなんとも思わないのか。

無邪気に鶏肉にかぶりつくチャンミンを
ユノは見つめた。



翌朝いつものようにバルコニーに水をやるチャンミンがユノを呼んだ

「なに?」

「前から思ってたんだけど、このスペースになにも植えられてないけど」

「ああ、何にしようか決めかねてたところだよ」

「ねぇ、それって僕が決めてもいい?」

「ん?何を植えるか?」

「うん。」

「いいよ、植えて育ててみるか?
蕾から咲かせてみたらいい」

「あ、うん!それやってみたい!」

「仕事で仕入れたヤツでバランスの悪いのがある。
それをやるよ」

チャンミンはユノに手伝ってもらって
少しだけ空いてるスペースに蕾のついた苗を植えた

水のやり方と、肥料のやり方を教わり
チャンミンは丁寧に作業をしていった。

いいかげんで、なにも真剣に考えたりすることのないチャンミン。

でも、一生懸命に何かをしようとする、
そんなチャンミンがユノは大好きだった。

水撒きも上手にできるようになったし
鶏肉も上手に焼けるようになってきた。


今朝もチャンミンはしゃがんで苗を見ている。

ユノはゆっくりと近づき
その頭をクシャクシャとなでた。

「蕾がなかなか大きくならないね」

「もう少しかかるさ。
さ、立ち上がって」

「どうして?」

ユノはチャンミンの腕を取り、引き上げ立たせた。

「キスするため」

「?」

そう言うと、ユノはチャンミンの頬にふれ
そっとくちづけた。

次第に深くなるくちづけに
チャンミンは酔いしれ、

ユノの首に腕を回す


バルコニーに出てきたジョンが
そんな2人の様子をみて、

やれやれと言わんばかりに
部屋へ戻った。




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