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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

カナヅチの島(10)



チャンミンは久しぶりに自分の別荘に帰った。

二週間も帰らなかったけれど
連絡はしていたし、いつもの事でもあった。

親ともお互い程よく無関心で。
自分のことにも無関心だった。

だから、自分とユノの間にある事実にも
無関心だった。

「チャンミン、なんだかひさしぶりね」

「元気だった?お母様」

「んーなんだか…」

「?」

「チャンミン、色気が出てきたわね
年頃かしら、それとも」

「え?そう?」

「なにかあったわね?」

「へへへ」

「まあ、お相手はセリではないわよね。
あんまり派手にしないでね?」

「え?派手?」

「いいのよ、後2ヶ月近くあるんだから
それまでなら楽しむといいわ」

そう言って、お母様はウィンクをした。

それまでなら?

大きな冷蔵庫からビールを取り出しながら
チャンミンは神妙な顔つきになった。

そりゃ僕はセリと結婚するけれど
その後だってユノとは会うつもりだ。

セリだって、結婚したって誰かと恋をしたりするだろう。

だって結婚なんてただの契約。

マンションを買うのとなんら変わらないじゃないか。

「ねぇ、お母様」

「なあに?」

「あの、僕はね、結婚しても恋はすると思うんだ」

「そうね、いいんじゃない?
でもウェディングパーティが終わったら、あなたはこの島から出るでしょ?」

「あ、そういう意味?」

「ちがうの?」

「えっと…そうだけど」

あんまり深く考えていなかった。

でも

式が終わって、いろいろ済んだら
また会いに来ればいい。

あ、でも

その頃ユノもこの島にはいないのか。

あれ?

ユノも僕とはあと2ヶ月くらいだと思ってるのかな


なんだか

モヤモヤとした。


お母様がタブレットを持ってきた。

「チャンミン、どれがいい?」

「なに?」

「あなたたちの、写真よ。
パーティの時には、広間に飾るの」

「へぇ」

そこには穏やかに微笑む新婦セリと
ノー天気に笑うチャンミン

2人がタキシードとドレスに身を包んだ写真。

ろくに見もせずに選んだ


ま、そんなことよりも
ユノに言わなきゃ、僕がこれから結婚すること。
そしてユノと別れるつもりもないこと。

今まで大抵のことは自分の思い通りにしてきたチャンミン。

自分の希望が受け入れられない、という未来は想定外だった。


ユノの家に行くと
ユノはジョンとご飯を食べていた

「いらっしゃい、チャンミン。
カレー作ったけど食べる?」

「うん」

こっくりとした濃いめのカレーだった。

「美味しい!」

「そうか、いろいろ果物も入っているんだよ」

「あのさ」

「ん?」


ユノの漆黒の瞳が優しい

綺麗な形の鼻筋と少し厚めの唇

夜になれば、この唇が僕の全身を這う


「色っぽい顔をして、なに考えてるの?」

「え?」

「エッチな事考えてただろ。
ベッドに行こうか?」

「なに言うの!僕は花の世話に来たんだよ」

ユノが可笑しそうに笑った

チャンミンはイライラしたようにバルコニーへ行く。

そしてすっかり板についた手さばきで
水をやり、肥料を施す


食事の終わったユノがバルコニーへ来た

「チャンミン」

「……」

「泳ぎにいかないか?」

「行きませんよ、僕は…」

「あーごめん。言い方変えるよ
泳ぎを教えてやるから、海に行こう」

「教える?」

「すっげぇ、きれいなところがあるんだよ。
人がたくさん来ると嫌だから内緒なんだ」

「へぇ!行ってみたい!
でも泳ぎは嫌だよ」

「とりあえず、行こう」

飲み物と果物を持って
ユノの軽トラに乗る。

チャンミンは助手席に乗せてもらった。

今日はジョンはお留守番。

「ジョンはいいの?」

「あいつ、あんまり海好きじゃないんだよ」

「泳げないとか?」

「お前とか違って泳げるよ」

「ふん!」

拗ねるチャンミンがユノは可愛い。

子供をあやすように、チャンミンの頭を撫でると
チャンミンがますます口を尖らす。


「荷台がよかったか?」

「ユノの隣がいいよっ!」


怒りながら可愛いことを言うチャンミンに
ユノはたまらずその頬にキスをした

「もう、ちゃんと運転して?」


軽トラを道沿いに止め
2人は岩場の浜を降りて行った

「どこへ行くの?」

「いいからおいで」

波が荒いような気がして
チャンミンは少し怖くなった。

「海には入らないよね?」

「なんで海パン履いてきたんだよ?」

「え?濡れるからって言ったでしょう?
海には入らないって言ったよね?!」

「まあいいから」

一旦浜まで降りたはずのユノは岩場の上で文句を言うチャンミンのところまで登ってきた。

「おいで」

チャンミンは差し出されたユノの手をとり
岩場を降りて行った。

降りたそこには

大きな岩に波が永い時間をかけて開けた大きな穴があり
ユノはチャンミンの手を引いてその中へ入って行こうとした。

「すごいね!探検みたい
秘境だよ秘境!」

「いいだろここ」

「人類が足を踏み入れたことないって感じ!」

岩に波が打ち付けられる音が少し大きくて怖いけれど

ユノと一緒なら大丈夫な気がする。

大きな穴の中の岩壁には植物が生い茂り
いくつか開いた穴から太陽の光が差し込み
それが溜まった海水にキラキラと反射している

とっても、綺麗だった

穴の中は波がほとんどない。

チャンミンはユノに導かれて
少しずつ海に入った。

腰まで来て、ユノが穴から出ようとした時
チャンミンがユノの手を引っ張っだ

「ここから先はいやだよ」

「大丈夫」

ユノとチャンミンはすでに胸くらいまで海に使っている。

ここだけは波が穏やかだ。

ユノは怖がるチャンミンの腰を抱くと
チャンミンがユノの首に飛びついて来た

海水は2人の肩まで来ている。

「足がつくだろ?」

「つかない、つかない!」

至近距離にあるお互いの顔

チャンミンはため息をついた

「落ち着いた?」

「少しだけ」

「泳ぎを覚えるといいよ」

「うーん、そうだけど」

ユノが爽やかに笑う

「ねぇユノ」

「?」

「僕たちさ、ずっと会えるよね?」

「……」

「ダメなのかな」

「会えるよ、決まってるだろ」

「だよね?」

ユノは海の中でチャンミンを強く抱きしめた




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