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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

カナヅチの島(6)




それからチャンミンはユノを避けた。

昼間はユノが家に来て作業しているので
外のカフェにいたりして、
夜は家でじっとしていた。

連絡先を交わさなくてよかった、と思った。
わかっていたら、思わず連絡してしまいそうだから

それなのに

ユノが家に来てないとわかると
その行動が無性に気になる。

チャンミンはフラフラとビーチに出たりして
自然とユノを探していた。


自分が何をやっているのか
誰か、説明してほしい!


ムシャクシャする

ひさしぶりにセリと遊ぼうか、と思った

セリに連絡をとると、「いいわよ」と
大して嬉しくもなさそうに返事をされた。

ドライブと思ったけれどそんな気にもなれず
2人でダラダラとカフェにいた。

結局セリといるのが一番落ち着くんだよな。

「ねぇ、チャンミン」

「ん?」

「ユノさん、あなたの家に出入りしてるんでしょ?」

「うん」

「抜け駆けしないでよ」

「は?バレるだろ?家で会ったらさ」

「あ、そっか。誰だかわからなくても、
そこの家の息子のウェディングってことはわかってるもんね」

「そうだよ。だから昼間は外にいなきゃいけなくて
面倒なんだよ」

「私はね、毎日連絡取り合ってるわよ」

「え?そうなの?
あの人、連絡先なんかカンタンに教えるの?」

フフフと意味ありげにセリが微笑む

「スマホ奪って番号登録しちゃうのよ」

積極的というか、強引だな。

チャンミンは少しの勇気を持って聞いてみた


「ベッドまで…いった?」

その答えを聞きたいような、聞きたくないような。

「それがさ」

セリのけだるい言葉に
チャンミンはゴクリと唾をのんだ

「ダメなのよ、ほんとにゲイよ」

「あ…そうか」

少し…ホッとしている自分

「なにか作戦考えないとね。」

「作戦?」

「まずは寝てしまうことだと思うの。
すべては身体でオンナの良さを知ってからだわ」

「ハダカで家に忍び込む?」

「そう。それもあり。
まずは家がどこだか調べないとね」

あの背の高いヤシの木がそびえる部屋を思い出す

「連絡取り合って、会ってるの?」

「まだ4〜5回よ」

「え?そんなに会ってるの?」

「会っても、あんたの事ばっかり聞かれるの」

「ぼ、僕?」

心臓がドキドキした

「狙われてるのかもね、チャンミン。
やだな、私負けたくないわ。他でも賭けてるのよ」

呆れるけれど、これがセリだ。


ユノが自分の事ばかり聞いてくる、と。

その言葉が心に響く。


その夜、チャンミンはパラ・トリアムへ行った。

服をいろいろ考えたけれど
やっぱりジャケットの力を借りないとダメだ。

ユノみたいにラフな格好でオトナを演出するのは
悔しいけれどチャンミンにはムリだった。


麻のジャケットを羽織り
パラ・トリアムのドアを開けると


「いらっしゃいませ」

この間のマスターが出迎えてくれた。

「1人なんですけど」

「こちらへ」

さっと店内を見渡した


いた!

ユノだ!

ユノがMAISON に連れて来てた、あのヒチョルと一緒にカウンターにいた。


ユノもすぐにチャンミンに気づき
嬉しそうに微笑んで席を立った

ゆっくりとチャンミンに近寄ってくる。


なんでもない風に、さりげなくしなくちゃ

「チャンミン、久しぶり。
こっちに来て一緒に飲まない?」

「1人で飲みたいんで、すみません」

「なんかあった?」

「いや、そういう気分なだけです。」

「そうか、ならよかった」


あっさりとユノは立ち去ってしまい
拍子抜けしてしまった。

近づく作戦はどうしたんだ、シム・チャンミン…


ふと、視線を感じて逆側を見ると
日に焼けた1人の男がじっとチャンミンを見つめている

少し酔っているようだ。

思わず目があってしまうと、その男がスツールから
立ち上がってチャンミンの方へ来た。

チラとユノを見ると、険しい表情でこちらを見ている

いいね、この流れ

独占欲があるのはどっちだか
思い知らせてやる。

チャンミンの隣にその男が座った

「坊ちゃん、可愛いね」

坊ちゃん、と言われてイラっとしたけれどガマン

「こんな店にカッコつけて来ちゃって、オトコが欲しいの?」

「そういう趣味はないんです」

ユノからは親しく見えるように
にこやかに答える。

遊ぶにしても、コイツはごめんだ。

「ふぅん、オトコもいいよ?
試して見るといいよ」

「考えておきます」

「だったらさ、これから俺と」

その男の手がチャンミンの太ももに触れた。

全身の毛が逆立つのでは、と思うほど気持ち悪い

「もう帰らなきゃ」

気色悪い。もうここにいるのはイヤだ

チャンミンは席を立ち、店を出た。


外の風が気持ちいい

あーあ

ユノは今のを見てなんて思っただろうか。

男に言い寄られて、ビビって逃げた。
そんな風に見えただろうな。

凹みつつ、歩道に出ようとした時だった。

ぐいとジャケットの襟元を掴まれたと思ったら
後ろから手で口を塞がれた

!!!!!!

耳元でさっきの酔った男が囁く

「一度味わってみなよ」

「!!!!!」


助けて!!!

ユノ!!!


すごい力で駐車場まで引きずり戻され、
車のキーロックが外れる音がした

怖い!

ユノ!!!!


「ほんとに可愛いなぁ」

男がべろっとチャンミンの耳たぶを後ろから舐めた


吐き気がした

気色悪いのと、怖さとで吐きそうだ

チャンミンはそのまま車の後部座席に押しやられた。

一瞬塞がった口が開き、一度大声を出したけれど
すぐにまたそのゴツい手で塞がれた

精一杯もがくけれど、足を相手の足が抑え込む

男の手がチャンミンのジャケットを引き剥がし
身体を直に触り始めた

助けて…ユノ…

涙がでた

もがきながらも、ユノの優しい笑顔が目に浮かぶ…


その時、急に男の身体が後ろに飛ぶように離れた

一気に自由になったチャンミンは大声を出した

「ユノっ!!!!助けて!!!!」

また男の手がチャンミンの腕をグイと引っ張った

「やだー!!やめろっ!!!ユノ!!助けて!!」

「俺だよ、チャンミン」

「え?!」

泣きはらした目でハッと見ると
ユノが険しい顔でチャンミンの腕を引っ張って
車から引きずり出した

ユノの後ろには、さっきの酔った男が
うずくまって倒れている。

「…あ」

店から、マスターとヒチョルが出てきて
男をつまみあげた。

ヒチョルが男を2〜3回蹴るのが見えた。


ユノ…


「大丈夫?なんともない?」

ユノが心配そうだ


怖かった…

嗚咽だけで、何も話すことができない

チャンミンは倒れこむようにユノに抱きついた

ユノはビクともせずチャンミンを受け止めて
しっかりと抱きしめてくれた。

ユノの大きな手がぽんぽんと宥めるように
背中を軽く叩く

チャンミンはユノの逞しい肩に顔を押し付けて泣いた

泣きじゃくった



カッコばっかりつけて

少しでもオトナに見せたくて

なにやってるんだろう


そんな思いが心の中から一気に溢れ出てきて
それは全て涙となって

ユノの肩に吸い込まれていった





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