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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

そこに愛はあるか〜6〜


オフィスは決算期の忙しさで社員も休憩もとらず働いていた。

そんな中、チャンミンだけがのんびりとパソコンを見ている

まわりが忙しくても気にならないところが
やはりチャンミンだ。

ユノが小さな声でチャンミンに声をかける

「少しは仕事をしている振りをしろよ」

「数字見てるの、全体の」

「その仕事は、自分の社長室でやれよ」

「だって…」

「今は普通の社員だろ?」

チャンミンは不貞腐れながら
パソコンの画面を変えた

「あ、それから。
今日はバスケチームのところに行くから
先に帰ってて」

「え?迎えに行くよ。チームの体育館でしょ?」

「いいよ、来なくて」

「僕が行っちゃマズいことでもあるの」

「………いや」

「え?まさかほんとに?なにかあるの?」

「ないよ…
迎えに来なくていいから残業してるフリでもしたらどうだ?」


バスケの仲間といる自分を、チャンミンに見られたくないと、ユノは思った

それがなぜかは、よくわからない

ユノの言った言葉は、かなり効果的で
チャンミンはガッツリと追っかけモードになった。

「ぜったい迎えに行くから!」


だけど

もうそんなこと、ユノはどうでもよかった。

この苦しい生活から逃れたいとユノは思っていた。

バスケのコーチは、自分の実力でなればいいじゃないか。

チャンミンのコネで、なんて最初の考えは
ユノはもう持っていない。


チャンミンはもちろん残業なんてせずにバスケチームの体育館に寄った。

「車の中でお待ちになれば」

「いや、爺。
ちょっと中を見てみる」

「でも…」

「僕がオーナーなんだから
いいでしょ」

「まぁ、そうですね。はい。
老朽化したところがないか確認するのもよろしいかと」

「うん」

チャンミンは体育館を覗いた

そこには、ユノを囲んでバスケの仲間達が楽しそうに話をしていた。

初めてみる、仲間といるユノの姿だ

バスケチームのユノは

サロンで色気を振りまくユノ
チャンミンを器用に抱くユノ
会社であれこれと指示を出す課長のユノ

そのどのユノとも違っていた

爽やかで、健康的で
仲間に向ける楽しそうな笑顔は、チャンミンには向けられたことがない


これが本当のユノなのかもしれない

ユノはこんな爽やかな人なのだ。

そう思うと、チャンミンは悲しくなった。

ユノは僕とは違う世界にいて
僕の知らない笑顔を持っている



やがて、チームの1人がユノの前に出てきた

「俺たち、ユノにまだ就職祝いをしてなくてさ」

「そんなのいいんだよ。
コーチになった時に祝ってもらうからさ」

「それはそれ。これさ、みんなから
すごく遅くなったけど」

「えっ…」

仲間達がニコニコしている。

ユノの手に渡されたのは
ベージュの包みにラッピングされた四角い箱

「就職祝いだよ、おめでとう!」

ユノは驚いて言葉が出ないといったところだ。


「………」

チームの仲間が口々におめでとう!と叫ぶ

「そんな…悪いよ、こんな…」

「高いものじゃないんだよ
俺たちが買えるんだから、大したことない」

「開けていいか?」

「もちろん!」

ユノが神妙な面持ちで、包みを開ける

チャンミンも遠くからその中身を見ようと身を乗り出した

時計だ

腕時計…


ユノは箱を開けて、その腕時計を取り出すと
いきなり顔を歪ませたかと思うと、手で顔を覆った


ユノ…

泣いてるの?

嬉しくて?


チャンミンはショックだった


世界で5個しかない時計をあげても
大して喜ばなかったあなたが

今、仲間から贈られた何でもない時計に涙する


みんなの思いが詰まったその時計は

僕が外商をこき使って手に入れた高級な時計より

あなたにとっては価値があるということか。

そこには愛があるから?

あなたには仲間がいて、夢があって、自由がある


そのどれも、僕は持っていないものばかり


チャンミンは打ちのめされた

ユノは実はとても遠い人だったのだ
チャンミンの窮屈な世界とは無縁の…


チャンミンは静かにその場を立ち去った。

急速に訪れた孤独感

体育館を囲む夜の木々が風でざわめく
その音がチャンミンの孤独を更に深めた


車に近づくと、ソクジンがそそくさと車から降りて
ドアを開けてくれる

「ありがとう」

後部座席のシートに座り込む

はーっと大きくため息をついて
チャンミンは俯いた



「どうかなさいましたか?」

「あのね…」

口調が少し子供っぽい

「はい」

「ユノね…みんなから、チームのみんなから
時計もらってた」

「時計?」

「うん、就職祝いだって」

「なるほど」

「すごく…嬉しそうでさ
ユノ、泣いてた…」

「ぼっちゃまも、腕時計を差し上げましたね」

「あれはね、そんなに喜んでないみたい」

「さようですか?」

「うん、みんながユノを思ってさ、お祝いする気持ちがこもった、そんな時計のほうがうれしいんだね、きっと」

「ぼっちゃまの時計も気持ちがこもっていたでしょう」

「こもってないよ」

「伝わっていないだけです。
爺はぼっちゃまが、あの時計を手に入れるのに奔走されていたのを知っています」

「高価だから、ユノが喜ぶかと思って
でも、そうじゃなかった。」

チャンミンは頬を掻いて苦笑した


「ぼっちゃまも、お好きな気持ちを込めて何かして差し上げたらどうですか?」

「別に好きじゃないし」

「ぼっちゃま」

たしなめるようにソクジンが言った。

「……」

爺に取り繕ったところで、チャンミンの気持ちなんてとっくにバレてる

「何か…ユノが喜ぶことを…してあげたいな」

「といいますと?」

「僕がしてあげられる…ユノが喜ぶことなんて
ひとつしかないよ」

へへっとチャンミンが悲しそうに笑う

「ぼっちゃま、まさか…」

「ユノを解放してあげること。
そして、あの仲間たちのところへ戻してあげること」

「………」

チャンミンはシートにもたれて、目を閉じた




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そこに愛はあるか〜5〜





口付けながらユノは思う

決して手には入らないお前の心…

仮に手に入ったとしても、それはきっとシャボン玉のようにすぐに手のひらから消えてしまうだろう


俺は…それが怖い

もう来なくていいと…そばに来るなと言われるのが
一番怖い

こんなにも好きになってしまった気持ちをいつも抑えているせいか、
一旦そのカラダに触れると止まらなくなってしまう。


そっと唇を離すと、ユノは熱いため息をついた。

「チャンミン、シャワーを浴びておいで」

「う、うん…」


ユノが悲しそうだ…


ほどなくして

パタンとガラスドアが閉まる音がして
チャンミンがシャワーから出てきた

まだ濡れた髪

可愛い唇

不思議そうにユノを見るその瞳

チャンミン…


ユノは思わず側に近寄ってチャンミンを引き寄せた

「?」

チャンミンはわけのわからぬまま、
その広い胸に抱きすくめられた

あ…

ユノの熱い吐息

抱きすくめられて、強く抱きしめられて
チャンミンは切なくて涙が出そうになった

ユノ…

今日はどうしたんだろう

あ、

もしかして、腕時計?


そんなにあの時計を喜んでくれたなら…よかった…よね


抱きしめるユノの腕の強さ…その中に

僕を想う…あなたの愛はない


あるのはご褒美をもらった喜び

いや、そんな可愛いものではないか。

報酬を受け取った男の満足感?


チャンミンはユノの胸でギュッと目を閉じた
ユノにその表情を晒さないように

ユノはそっと身体を離して、チャンミンを見つめた

ユノ…?

たまに見るユノのその瞳に
僕は勘違いをすることがある

ユノはゆっくりと顔を近づけて
僕の頬に優しく手を添えて

フッと口付けたかと思ったら
襲うように食らいついて来る

その突然ほとばしるような熱に

僕は勘違いをする

もしかして…

もしかして…本当に僕を想ってくれたなら
この情熱が僕への想いなら

どんなに幸せだろう

激しく口付けられているチャンミンの目尻から
一筋涙が流れた…



いつものように

週末はセレブの集まるサロンへ2人は連れ立って行く

長身でスタイルが良く、頭の小さな2人が
バッチリと決めた様子はかなり目立つ

けれど

サロンの様子がいつもと違う

なにかざわついていて、落ち着かない

友人がチャンミンを見つけると
慌てて近づいてきた

「チャンミン!」

「ひさしぶりだね、珍しいじゃない?」

「イースト銀行の新しい頭取が来るってさ」

「えっ?」

チャンミンの表情が一瞬硬くなった

「チャンミンも挨拶するだろ?」

「もちろん」


ユノが初めて見る、チャンミンの大人の表情だった。

「ユノ、先にカクテルを飲んでいて」

「わかった」

ユノはカクテルは頼まず、部屋の隅のソファーに腰掛けた

チャンミンの慌てぶりがすごく気になったけれど
気にしていない風を装い、軽く返事をして腰掛けたのだ。

部屋を見渡せる位置にあるこのソファ
見えるのは、いつもと違う表情のチャンミンだ。

入り口から既に何人かの取り巻きを従えて
イースト銀行の若い頭取がサロンに入ってきた

そんな頭取をみんなで囲みはじめる。

チャンミンはみんなに負けないように
自分もなるべく頭取の前へ出ようとしている。

不器用だな。うまく回り込んで一番前に出たらいいのに

薄く微笑んでいるのはいつものことだけれど
その笑みには緊張がある

大手企業のお気楽な三代目と言われて
何も考えてないワガママ坊ちゃんと思われているけれど

ちゃんと跡取りとしての仕事をこなそうとしているのか

チャンミンがなんとか頭取の前に出ることができて
ユノはホッとした。

チャンミンはきちんと挨拶をして
自己紹介をスマートに行なっている


その姿を見ていたら、ユノはたまらなくなって
ソファから立ち上がった

長い脚で大股にフロアを横切り
まわりの視線を集めていることになんの興味も示さず

ユノはサロンを出て行った

外ではソクジンが車で待機していた。

ユノに気づくと、ソクジンはドアを開けてくれた。

「ユンホさま、おぼっちゃまは?」

「俺にユンホ様なんて、そんな風に言わなくていいよ」

「いや、おぼっちゃまの上司であられますので」

ユノはため息をついて、シートに深く座り込んだ

「上司って言ったって、チャンミンのコネだよ。
俺の実力じゃない」

ユノの彫刻のような横顔が夜の闇に陰影をハッキリと浮かび上がらせている

少し寂しそうな…横顔


「営業部第一課の課長として、ユンホ様はとても評判がよろしいですよ。異動されて1ヶ月とは思えません」

「……そうだと…いいけど」

「そうでございますよ」

ソクジンの優しい声に、ユノはとても切ない気持ちになった。

「俺は…チャンミンの役に立っているんだろうか…」

ぽつりとユノが言った

「ユンホ様…」

「チャンミンの金で生活している俺って
こんなのチャンミンは軽蔑してるだろうね」

「……」

「俺は…なにをやっているんだろうな…」

「チャンミン様は…」

「ん?」

「気楽に生きているように見えますが
とても必死なんです」

「………」

「恵まれているように見えても
生まれた時からまわりはみんな敵で」

「………」

「とても孤独です」

「……」

「どうか、そんな坊っちゃまを
これからも愛して差し上げてください」

「俺が?」

「はい」

「俺は…そんな存在じゃないよ」

「坊っちゃまを…愛しておられませんか?」

「………」


愛してるよ

愛してるけど

「きっと、坊っちゃまはユンホ様に愛されたいと思っています」

「そんな…」

ユノはフッと笑った

「いつも刺激的じゃないとならないなんて
思っていらっしゃるのでしょうけれど」

「……」

「坊っちゃまはユンホ様に安らぎを求めておられるはずです」

とても…そんな風には思えない

ユノはかぶりを振った。

「チャンミンは、そんなの俺に求めてないよ」

「ですが…」

ふいに車のドアが突然空いて、息を切らしたチャンミンの姿が現れた

その表情は怯えているのかと思うほどに真剣だった。

「ユノ!どこに行ったのかと!
出て行くなら誰かに声かけてからにして!」

「あ、悪い」

チャンミンは鼻息荒く車に乗り込んだ

「いや、頭取と話してたから」

「………」


チャンミンは、さっきの頭取とのやりとりを思い出して、シートに沈み込んで目を閉じた


…………


「はじめまして、シム・チャンミンです」

「シム?シムはたくさんいて、覚えきれないよ」

「それだけ、私どもがお世話になっているということですね。」

「君のことはそうだな、綺麗な豹を連れているシム、と覚えておくよ」

「綺麗な豹?」

「あの部屋の隅に座っている美しい豹は君のだろ?」

「あ……」

「ねぇ、シム・チャンミン」

若き頭取が意味ありげに顔を近づけてきた

「あの豹を今度僕にも貸してくれないかな」

「……何をおっしゃるかと思えば」

「僕に頼みごとをする時は、ぜひあの豹と一緒に」


チャンミンは頭取を睨みつけて、ソファに戻った

と、ユノがいない

早速誰かに連れ去られたのかと

チャンミンは焦ってユノを探した


そこへ、チャンミンの子会社を経営する従兄弟に呼び止められた


「チャンミン、連れなら、さっき自分から出て行ったよ」

「どこへ?」

「コートを受け取ってたから、帰ったんじゃないかな」

「ありがと」



あんな薄汚いヤツにユノを渡すもんか

怒りに震えてチャンミンはサロンを出て
車までなぜか走ってきたのだ。


………


シートで目を閉じているチャンミンの顔を
ユノがジッと見つめている


あんな風に仕事モードの姿を見たせいか
今夜のチャンミンは、遠くに感じる

もともと遠い存在だけれど


ソクジンが運転席から声をかけた

「おぼっちゃま、今夜はイースト銀行の…」

「うん」

目を閉じたまま、チャンミンはこたえた

「緊張されたでしょう。
よくお役目を全うされて、ご立派です」

「なんで企業が銀行のご機嫌とりをするんだ?
反対だろうに」

「ぼっちゃま、堪えてください。
イースト銀行は味方につけるべき銀行です」

「そうは聞いてたけど」


ユノに目をつけるなんて、とんでもない頭取だ。

チャンミンは目を開けた。

ユノとバチっと目があったけれど
ユノはサッと視線を逸らした


「今夜、ユノのところに泊まるから」

「チャンミン…」

「ん?」

「今夜は自分の家に帰れ」

「は?あなたが僕にそんなこと…」

「いいから、今日は帰って親に頭取のことを報告するんだ」

「なっ…」

「これは課長命令だ」

「……なんで、今それを発動するの」

「その方がいいからだ」

「………」


チャンミンはぷいと横を向いた

「爺、ユノのマンションより先に僕の家!」

あきらかに不機嫌な声だ。

「かしこまりました」


ユノは悲しかった

今夜は、チャンミンがユノにとって手の届かない存在だと思い知らされた夜だった。

わかってはいたけれど

あのセレブな連中に馴染んで溶け込んでいるチャンミンが、ユノを愛するわけがない。

おやすみ、チャンミン

俺の…チャンミン


チャンミンは黙って車を降りた

そのままスタスタと門へ向かって歩き出してしまい
ソクジンが慌てて追いかけた

門のところでソクジンとチャンミンが少し話をしている

豪華な門

ここから入って、玄関までどれくらいあるのか
そんな風にぼーっと思いを巡らせていたユノは

ふと、チャンミンが車へ戻ってきたことに気づいた

「?」

合図をされて、ユノはウィンドゥを下げた。

チャンミンがウィンドゥの縁に指をかけて
ユノを見つめた。

どこか寂しそうな瞳が潤んでとても綺麗だ

そんな目で、俺を見ないでくれ


何か言ってしまいそうになったユノに
チャンミンがそっと微笑んだ

「おやすみ、ユノ」

「え?」

「あなたの言ってることは、正しい」

「へ?」

思わぬチャンミンの言葉にユノはおかしな返事をしてしまった。

「ユノの言う通り、
僕は、今夜のことを父に報告するべきだね」

そう言ってにっこりと微笑んで、チャンミンは車から離れた

チャンミン…

ユノは喉の奥がツーンと痛くなり
目頭が急に熱くなって焦った


運転席にソクジンが戻ってきた


「おまたせしました、ユンホ様」

「だから、ユンホ様なんていいって」

「……今夜はぼっちゃまを帰してくれて
ありがとうございます」

「………」

「さ、帰りましょう。
おまたせいたしました」

「なぁ、ソクジン」

「はい?」

「俺さ…」

「……はい」


「もう疲れた」

「………」

「………」

「ユンホ様…」

「………」

「ぜひそれを、ぼっちゃまに伝えてあげてくださいませんか」

「いやだ」

「ユンホ様…」

「そんなこと言ったら
もう終わりじゃないか」

「………」

「ごめん、言ってることが支離滅裂だな」

「いえ」

「俺…やめようかな、会社」

「……」

「アハハ…なんだかもう」

「………」

「何がしたいんだろう、俺」

ユノの声は掠れて上ずっていた

ユノは泣いていた

ソクジンはユノが泣いているのを誤魔化せるように
エンジンをかけた




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そこに愛はあるか〜4〜



街の中心部から少しはずれたところに
昔それなりの著名人が暮らしていたと言われる瀟洒
な建物がある。

それがまるごと会員制サロンとなっていて

夜になれば、その建物に入ることが許されたセレブたちがやってくる。

サロンでは、それぞれが思い思いに集い、酒を飲み、
ビリヤードやたわいないお喋りを楽しむ。

そこに潜む大きなビジネスの種や
玉の輿の相手探しには事欠かないけれど

そこに欲望を見せるような
下品な人間はこのサロンに似合わない

すべての欲はその品の良い仮面の下にひた隠す

生まれた時から全てを所有し、何の不自由もない人間。そんな生粋のセレブがたまに連れてくる美しい部外者たち

ユノはその中でも秀逸だった。


ユノがカクテルを取りに行っている隙に
悪友たちがチャンミンを取り囲む

「今度はずいぶん長いね、ユノさんと。
もしかして真剣な付き合い?」

「は?」

「彼も、チャンミンにぴったりくっついて
他の人間なんて目に入らないみたいに見えるけど」

「ユノが?」

「ああ」

チャンミンは呆れた表情でみんなを一瞥する

「どうしたら、そんな風に見えるんだろうね。
ユノの下心がわからないかな?」

「目的はチャンミンだろ?」


チャンミンは驚いて目を見開いた

みんな、何を言ってるんだ
ユノが純粋に僕を求めていると思ってるのか

チャンミンは呆れた

「何言ってるんだよ、目的は僕の金と地位に決まってるじゃないか」


「そうなの?それだけ?」

意外そうに答える友人にチャンミンは前のめりになった。

「彼は僕が口をきいてウチの子会社にいるし。
実力なんかないけど課長のポストも与えてやった」

「へぇ」

「元々バスケのコーチがしたいからって、オーナーの僕にコネを求めて来たんだよ」

「意外だな、もっとこう…」

「もっと?」

「自分でなんでも切り開いて行くような…
誰かの力なんて借りないようなタイプにみえる」

「そんなの!」

友人の言葉に、チャンミンは思わず声を荒げてしまった

「だ、か、ら!
ユノが僕の側にいるのはね、自分の欲望の為なんだよ。
そのためなら僕の言うことならなんでも聞くし
自分で何かを切り開いていこうなんて、
そんな志はまったく持ち合わせていない人間だよ」

「あ…チャンミン」

友人の視線がチャンミンの肩を越えた方を見つめていることに、チャンミンは気づかなかった

「ちょっとビジュアルがいいからって
それを武器にする、そんな輩だよ?」

「あ…」

「僕もね、そこはちゃんとわかってるわけ。
連れて歩くのにいい感じだし、パーティ映えするし。
ま、寝たりもするけどさ、そこも報酬ありきで…」

「おい!チャンミン!やめろって」

青ざめた友人たちの視線を辿って振り返ると

そこにはカクテルを2つ持ったユノが立っていた

「ユノ…」

友人たちはその場の雰囲気に身動きがとれず
固まっていた

ユノはその空気を読んで、ゆっくりと近づき
カクテルをひとつチャンミンに渡した

「いつものスペシャルをお持ちしました」

口角を片方上げて、下から見上げるようにチャンミンを見つめるユノは顔色ひとつ変わらない

「ありがとう。ライムは絞った?」

チャンミンは上から見下ろすように
ユノを見た

「もちろん」

ユノは居心地の悪そうな友人たちを見回すと
にっこりと優しく微笑んだ

「もしかして、僕がこの王子様に純粋に想いを寄せているとか思われてたのですか?」

「あ…いや…」
「そういうわけじゃ」

みんなが苦笑いで狼狽える

「今、僕が着ているこの服も、住まいも
すべて王子様に用意してもらったものです。
それだけの働きを、僕はきっちりとこなしてますから」

意味深に微笑むユノに、壮絶な色気が漂う

「バスケはできなくなりましたけど
スポンサーへの就職も無事にできて、バスケのコーチもさせてもらえそうで、感謝してます」

そう言ってユノはチャンミンの顎をその長い指ですくうとみんなの前でそっと唇にキスをした。

チャンミンは一瞬目を見開いたけれど
ムッとした顔でユノを見つめた

「なので、もしもっと上を目指せるのなら
他のどなたかを紹介してくださるのも嬉しいです」

気まずさに狼狽えていたチャンミンの友人たちの表情に
ユノへの軽蔑の色が浮かび始める


「もう帰る」

チャンミンがユノを見ずに言った。

「それじゃ」

ユノはニッコリ微笑み、その場を離れたチャンミンについて行った。


残った友人たちは、怪訝な顔をする。

「金目当てって、初めから知ってるけどさ
あんな風にあからさまなのもどうなの?」

「あそこまで言わなくっても…」

「あんな言われ方してもチャンミンが側に置くってことは、あのユノって男、よっぽどソッチが上手なんだろうね」

「自分でもキッチリ仕事こなすって言ってたし。
報酬って言ったぜ?」

「割り切った関係か。」

「ま、いつまで続くかな」

「チャンミン、飽きっぽいしね」



幾分ムッとした表情のチャンミンと
平然として、笑みまで浮かべるユノ

「おぼっちゃまはご機嫌斜めですか?」

ソクジンの運転する車でユノのマンションに向かう車内
ユノはチャンミンの柔らかいクセ毛をいじりながら尋ねる

「別に…機嫌が悪くなるようなことはなにも」

「ならいいけど」


チャンミンはひとつため息をついた。

気分を変えなくては。
今日はとっておきのものを用意したのだ
ユノのために。


マンションに着くと、当然のようにチャンミンも降りて
上質な革で作られた洒落たリュックを背負う

「爺、頼むね」

「…はい。どうか明日の朝には
お戻りになられるようお願いします」

ソクジンは説得などとうに諦めて頭をさげ車に乗った


「チャンミン、リュックなんて背負ってどうしたの?
お前の着替えならウチにあるよ」

「うん、なんでもないよ」

なぜか嬉しそうに笑うチャンミンは
たまらなく可愛い

急に機嫌が良くなったようで
ほんとに気まぐれなやつだ、とユノは思った


心が、この可愛い王子に囚われて正直動けない

俺たちは

こんなに危うい関係で
純粋さなんかまったく持ち合わせていない

わかってる

さっきのサロンでのチャンミンの言葉には
傷ついたけれど

わかっていることじゃないか


ユノは忘れない

バスケチームのオーナーと引退した選手ということで
出会い

たしかに最初はいいコネをつかんだと思っていたユノだった。

それは2人でテレビを見ていた時だった

バラエティで恋愛相談の番組をやっていて
チャンミンがいちいちそれにひとりごとのように答えていた。

「つきあってるからって油断するから」

「謎の部分がなくなったら終わりだよ」

「あー追いかけさせないと。なんで自分から行っちゃうんだろ」


ユノはそんなチャンミンに優しい笑顔を向けた

「ずいぶん手厳しいね
チャンミンはどんな恋愛をしてきたの」

「ぼく?」

「うん」

「恋愛なんかで悩んだことないし」

「え?」

「いいじゃん、その時楽しければ。
それなのに付きあうとか、彼女や彼氏ヅラして束縛したりさ。そういうのが余計嫌われるっていうのに」

「チャンミン…」


「恋愛なんてね、追っかけてる時が一番いいんだよ。
相手が振り向いたらもうそこで興醒めしちゃうんだ」


ヤバイ…


いつも綱渡りをさせて、焦らせて
ドキドキさせていないと

本当はメチャメチャ本気で
愛おしくてたまらないのに

抱きしめたくなる衝動を
ユノは必死の思いで抑えた…



部屋に入ると、チャンミンがおもむろにリュックから
四角い箱を取り出した。

「はい、これ」

「?」

「ちょっと手に入ったんで、あなたにいいかと」

そんな軽いセリフで渡された箱は
思いのほか重く

そのビロードのような黒い箱は
もしやこの間雑誌で見た、あれだ

世界に数個しかない
高級腕時計

たぶん、これ一個で
かなりいい車が一台買えるはず。

こんな高価なものを…

それでもユノは平然とした表情でそれを受け取った


「これ、この間、俺が雑誌で見てたやつ?」

チャンミンはユノの反応を期待しているのか
少し上気した様子でユノに近づいてきた

「そう!いいなって言ってたでしょ」

「これ絶滅機種だよね
世界に何個だっけ?」

「限定って言ってよ。世界に5個」


ユノが無造作に箱を開けると、中から黒く光るクロノタイプの時計が出てきた。

ユノはその時計を指でつまむと
高く持ち上げてじっくりと眺めた

「ふぅん」

半分どうでもいい、そんな顔だ。


さすがのシム家のチャンミンでもこの時計を手に入れるには少し苦労した。

デパートの外商の上得意なはずのに
世界で5個となると、そう簡単にはいかなかった。


それなのに…


先月だったか、
2人でソファーでゆっくりしている時

ユノが雑誌をパラパラとめくっていて
ふとその綺麗な指を止めた

「?」

チャンミンがそのページを覗くと
高級時計ブランドの新作が載っていた。

「世界に5個だって!」

ユノが感嘆の声をあげた

「あんまりこういうの興味ないけど
金具まで黒くてカッコいいな」

ユノが何かモノを褒めるなんて珍しい

「欲しいの?」

「え?俺が?世界に5個だぜ?」

「いいと思ったんでしょう?」

「この100分の1の値段ならね」

「……」


チャンミンは決意した。


手に入れよう

この黒光りした腕時計


チャンミンがこの時計を手に入れるために
どこかの外商が2人くらいクビになっているほどの騒ぎで

それが今、ここにある


そこまでして手に入れた時計を
ユノは不思議そうな顔をして、大して嬉しくもなさそうに見ている

「すげぇな、チャンミン」

「なにが?」

「世界に5個しかないのに、簡単に手に入るなんてさ」

簡単では…なかったけどね…

ユノはまるで他人事だ。
あなたへのプレゼントだというのに


ユノはなにか考え事をしていた

「これだけの金があるなら…」

「あるなら?」

「うーん、いや、なんでもない」

「なに?言いかけたことは、きちんと言ってよ!」

「わかったわかった、俺ならこれを買うだけの金があったら、他に使うって話。」

「ユノだったら、何に使うの?車?」

「人に使うよ」

「人?」

「だれかを助けるために寄付をするとか、
普段お世話になってる人に何かをしてあげるとか。
世界に5個だからって理由でこんなに高価なもの買ったりしない」

「なっ…」


チャンミンは顔が真っ赤になった。


怒りで体が震える

「ま、チャンミンにはなんてことない金額だろうけど」



僕だって、人にお金を使ったんだ
ユノ、あなたにね?

それを…



「………」

「とりあえずもらっとく。」

「今度サロン行くときはしてきてよ」

「その時までに売ってなかったらね」

チャンミンは唇を噛んだ

そして…

チャンミンから高価なモノをもらうたび
ユノの心はどんどん荒んでいった。

これは俺を繋ぎ止めようとしている証

本当はなんにもいらないのに
そう言えない自分の弱さがイヤになる

チャンミン、お前さえいてくれたら
なんにもいらないんだと

そう俺が打ち明けたら
きっとお前は言うだろう

「僕たちは割り切った関係のはずでしょ?」


俺たちに…愛なんかいらないんだ

わかってる

わかっているけれど


ユノはそっとチャンミンの頬に手を添えた

チャンミンが少しビクッとする


「実は時計はそんなに欲しくないんだ」

「え?」

「……」

「あ、この前、サロンでみた新車?
あれが欲しいの?
ユノ、振り返って見てたよね。
僕、知ってたん…」


欲しいのは…

チャンミン、お前だ

そうして、優しくチャンミンの唇を塞いだ




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そこに愛はあるか〜3〜


バスケのコーチングが終わったユノが体育館の方から仲間と出てきた。


ソクジンがチャンミンに伝える
「ユンホ様がお見えになりましたね」

「うん、わかってる」

ソクジンがライトを点滅させて合図をした。


「あーやれやれ」

ユノがチャンミンの車に乗り込んだ

まだプロチームのコーチはできないけれど
会社のバスケ同好会でみんなをみてやっている。


ドカッと高級なシートに座り込んだユノに
チャンミンが怪訝な顔をする

「汗臭いな、課長」

「そうか?じゃ前の座席に乗るか」

座席のドアに手をかけたユノの手を
チャンミンが掴んだ

「そういうことではないです」

ユノがニヤッと笑う
チャンミンの顔は真剣だ。

「帰ったらすぐシャワーを浴びて」

「はいはい」

ユノは後部座席のクッションに身体を戻した。


「今日はサロンへ行くんだから」

「え?そうだっけ?
今日は部員たちと飲みに行く約束してるけど」

「それは断って。
ユノを面倒みてるのは僕だから、あなたに自由はないんだからね」

「すげぇ縛りだなぁ」

「当然だよ」

「はいはい」

ユノは面倒くさそうにため息をついてみせた。


「それより、うちの部署はどう?」

「僕が経営者だってことは…」

「それは社員に言ってないよ。馴染めそうか?」



チャンミンは軽くユノを睨んだ

「女子と仲良くなって、早速いい話を聞いた」

「いい話?」

「ナナっていう子の自慢話」

「あー俺がキスした話?」

「記憶あるんだ」

「ないよ、本人から後で聞いた」

「ふぅん、珍しいね、あなたが記憶なくすほど飲むなんて」

「俺にもそういう日があるんだよ」

「そういう日って、どういう日?」

「たとえば、せっかく慣れた職場を
ぼっちゃまのヤキモチでカンタンに変えられちゃった日とか」

「………」

「みんなとも仲良くなりはじめてたのに」

「その仲良くすることが問題です」

「ナナの件で、俺、また異動なの?」

ユノが面倒臭そうにチャンミンをみた。

「……今後も何かあるようなら考える」

「なんでも仰せの通りにしてるだろ
何がご不満なんだよ」

「………」


「ちっ」

何も答えないチャンミンにユノが呆れてため息をつくと
運転するソクジンもひとりため息をついた。


しばらく走ると車はタワーマンションのエントランスに滑り込んだ

この豪華なマンションはいわゆるユノの「寮」だ。

もちろんチャンミンがユノのために用意した。

「じゃ、後で」

ユノがさっさと車を降りると
あわててチャンミンも車を降りた

「ぼっちゃま」

ソクジンが嗜めるようにチャンミンを呼ぶ

「爺は帰ってて、僕はユノと話があるから」

「旦那様に挨拶をなさってから
お出かけになってください」

「爺…」

チャンミンの眉がハの字に下がる

はじまった…

そう気づいたソクジンは視線を逸らした

この美しいぼっちゃまのおねだり顔には
恐ろしき魔力があることをソクジンは知っていた。

じっと見ていては魔法にかけられてしまうのだ。

「パパにはボクから電話しておくから、ね?」

キラキラした大きなひとみと
ハイトーンボイス

「だから、適当に言っておいて。お願いだから」

甘えたようにソクジンを見つめるチャンミンに
ユノも思わず見惚れてしまう

少し首をかしげて
唇を気持ちへの字に曲げる

可愛い

とにかく可愛いのだ

ユノを上回る身長があり、最近はかなり鍛え上げて
筋肉もつけている。

それなのに、可愛くてたまらない


見惚れていたユノはハッと我に帰り、慌てて取り繕った。

「お、お前が家に帰っても俺のとこ寄っても
俺はどっちでもいいけど」


その言葉にチャンミンがユノを見れば
ユノはとても面倒くさそうな表情をしていた。

ソクジンが何度目かのため息をついて
車に戻った。

「それではユンホ様、よろしくお願いします
わたくしは帰りますので」

「あ、はい、お疲れさまでした」

ユノはソクジンに明るく手を振った


そんなユノを見てチャンミンは思う

ユノは飼い主の愛情を上手に利用して
優雅に生きる猫のようだ

飼い主の言いなりになっているようでも
決して誰のものにもならない気高い猫

そしてユノは思う

チャンミンはすべてを意のままにする
きまぐれな猫のようだ。

与えられたおもちゃが気に入らなければ見向きもしない
ちょっと気に入っても少し遊べば飽きる

そんな仔猫にとって、実は生きているネズミなんかのほうがとても気になるものだ。
捕まえられなくて尚更興味をそそる。

だからユノは思う。

自分はネズミでいなくてはならない。
捕まえられないすばしこいネズミ

でも、だからと言って、そばを離れたらダメなのだ
このわがままな仔猫は視界に入らないものには興味がない。

ユノは常にチャンミンの視界に入ろうと努めながら
チャンミンに興味がないフリをする。

本当はこの可愛いチャンミンに
どっぷりとハマっているのに



ユノを繋ぎとめておくために
財力にモノを言わせ、欲しがるものを与えて束縛するチャンミンと

チャンミンが興味を失わないように
そっけない態度で追わせようとするユノ

なんの意味もない滑稽な関係

それでも2人は必死だった。


部屋に入るやいなや、

ユノはふいにチャンミンを抱きしめた

「うわ」

普段見られないがっついたユノの態度に
チャンミンのテンションが上がる


「僕に会いたかったとか?」

ユノの身体を受け止めながら
チャンミンが可愛く微笑む

とっても嬉しそうだ


「会いたい?別にそういうわけじゃない」

「じゃ、なんでシャワーも浴びずに抱きしめたりするの」

「シたいから」

「僕を抱きたい?」

自信有り気にチャンミンが聞く


「正直誰でもいい。抱かせてくれたら」

「……」

チャンミンは少し悲しそうな顔をした。

「ユノは…」

「ん?」

「ユノはほんとうに人を好きになったことがないんだね」

「なーに言ってんだよ、俺はチャンミンぼっちゃまが大好き」

「……」

「なんで僕のことが大好きか知ってるよ」

「そう?」

「僕のお金と地位ってやつでしょ?」

「………」

「人聞きの悪いこと言うなぁ………セックスも楽しませてもらってるよ。」

「そっちですか…」

「お前も楽しんでるだろ?」

「ええ、楽しんでますよ。
いい仕事をしてくれたら、その分はきっちり払う」

「俺もしっかり貢いでくれたら、きっちり応える」


チャンミンは丁寧にネクタイをとりながら
ため息をついた

ユノがその首元に長い指を這わせて手伝う


「シてからサロン行くか?」

「いや、いいです。」

「ふぅん」

「……」

「お前さ」

「はい?」

「俺のこと、ほんとに人を好きになったことないなんて言ったけど」

「うん」

「チャンミンはどうなんだよ」

「……」

「ほんとに人を好きになったことなんて
あんのか?」

「たぶん、ない」

「だろうな」


へへっとユノが笑った。

チャンミンが不意にユノの腕を掴んで引っ張った

「なっ!」

「やっぱり1回セックスしてから、サロンに行く」

「え?」

ユノは半分引きずられるようにして
チャンミンに寝室に連れて行かれた。


誘ったのはチャンミンだったのに


その日はいつになく
ユノは激しかった

ユノの熱い吐息がチャンミンの肌の上を滑り
密着した肌も熱く艶かしい

たまに目があった時のユノのそれが
あまりに真剣で…悲しく見えるほど真剣で


自分をキツく抱きしめるユノを受け止めながら
チャンミンは天井を見つめていた

もしかしたら、僕は愛されている?

ふと、そんな風に勘違いしてしまいそうだよ

だって…

こんなに…



ユノがシャワーから出てくると
チャンミンはまだベッドにいてニコニコとしている

可愛い

ユノはそう思うと同時に視線を逸らした

「お前、シャワー浴びないの?
サロン行くんだろ?」

「もう、今日はユノすごいんだもん。
すぐに立ち上がれないよぉ」

そう言ってヘラヘラと笑うチャンミンは
抱きしめたくなる可愛さだ。

「ちょっとキツすぎた?
以後気をつけますよ」

こんな言い方しかできない

ユノは自分で言いながら落ち込んだ

ふと見ると、チャンミンは下を向いてシーツをいじっている。

さっきまであんなにニコニコしてたのに
急に黙って、唇を引きむすんでいる。

「?」

チャンミンは急にパッと立ち上がり
シャワーを浴びにいった


どうしたんだろう


ザーザーと大きな音を立てながら
イラついたようにシャワーを浴びて

チャンミンは乱暴にドアを開けて出てきた

「何か、気に障った?」

ユノがチャンミンの行く手を阻むように
立ちふさがった

チャンミンがユノを睨みつけた

「別に。でもあなたの言う通り
今度からは今日みたいにキツイのはやめて」

「なっ…」

「翌日に響くし」

「…嬉しそうに見えたけど」

ユノがボソッと思わず口走ってしまった

「は?」

「……」

「嬉しそうって、僕が?」

チャンミンが目を見開いて
ユノの顔を覗き込んだ

そして、天井をみてハハッと笑った

「何言ってるの
僕があなたくらいのスキルで喜ぶとでも?」

「………」

「冗談でしょ」

「………」

「バカな事言ってないで、出かけるよ」

次から次へと口から出る自分の言葉に
チャンミンは嫌気が差していた

少しムッとしているユノを見て

チャンミンは悲しくなった

だって

あんなに激しく抱いてくれたあの時間に

愛なんか、なかったんだ





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そこに愛はあるか〜2



ユノとの出会い…

それはチャンミンの、いや、正しくはチャンミンの一族が所有するプロバスケチームの監督が、挨拶に来た日だった。

シム家はこの国の3本の指にはいる財閥で
会社や様々な団体を数えきれないほど所有していた。

そのうちのひとつに小さなプロバスケチームがあった。

シム・チャンミンはいわゆる「三代目」というお気楽な立場で、
生まれた時から既に全てを所有し、周囲がなんでもしてくれる恵まれた環境にあった。

そんなチャンミンに父親がそのバスケチームを任せるという。

「いらない、バスケなんて」


バスケットボールがあまり盛んではないこの国で
プロバスケチームとやらがどれほどのステータスなのか。

「オーナーなんてカタチだけだ、とにかく監督が直々に挨拶したいというのだから、顔を出すんだ」

とりあえず今日挨拶するだけか。
チャンミンはそれでもムクれてみせた。


「みんなが面倒だから、僕に押し付けるんでしょう?」

「評判はいいチームだ。ものにしておいて悪くないぞ。
またグループの誰かに持っていかれてしまう」

シム・グループのだれか。

親戚とは名ばかりのハイエナたち。


あ、

そういえば…

ハッとチャンミンは何かを思い出して
ソファーから半身を起こした。

「あー!たしか、優秀な選手がケガかなんかして
引退するって」

「ああ、国際大会も視野に入っていたらしいが。
たぶんその選手も来るぞ」

「ふーん、だったらちょっと顔だしてもいいかな」

チャンミンにしてみたら、その選手を見てみようか?
そんな興味本位だった。

チームの運営なんてまるで興味はない

せっかく父親が、勉強のために運営を任せてくれようとしているのに。


やがて、バスケチームの監督がその選手を連れてやって来た



「チョン・ユンホです。」


その低く甘い声に、チャンミンは一瞬にして囚われた


チョン…ユンホ…


背が高く、
がっしりとしているけれどスマートな体躯

広く厚みのある胸にスーツがよく似合う。

長い首に小さな顔

凛々しく整ったパーツが
その中に絶妙なバランスで納められている。

年の頃、20代の半ばか。
纏う雰囲気はもう少し歳上な気もする

スポーツをしているせいか爽やかな風貌で
雰囲気を若くみせているのかもしれない。

硬質でクールな横顔に
なんとも言えない男の色気が漂う

そして切れ長の漆黒の瞳がチャンミンをとらえる


チャンミンはソファーの上で
ブザマな格好のまま、しばらく動けずにいた。


なんて…

綺麗な人なんだろう


こんな人が社交のサロンに来たりしたら
大変な騒ぎになりそうだ

そうだよ!

是非、サロンに連れて行きたい!
僕のアクセサリーとして是非!

美しいパートナーは、どんな高級な時計より価値がある


「チャンミン、挨拶しなさい!」

小声の父親がチャンミンの背に手を添えて立たせようとする

そんな子供のような様子に
ユノがクスッと笑った

チャンミンの頬がボッ!と音がするかと思うほど赤くなった。

とてつもなく恥ずかしいという自分の気持ちと
そのセクシーな微笑みに

チャンミンは完全に自分のコントロールが出来なくなった。

「あ、えっと」

父親に促され、ヨロヨロと立ち上がる

いつもの三代目特有の余裕はどこへ行ったのか。
怖いもの知らずと言われている自分はどこへ。

「シム・チャンミンです」

そう言ってぺこりと頭を下げた


可愛い


ユノはそんなチャンミンに食指が動いた。


チャンミンは背が高く、それなりに筋肉のついた体であろうに、なで肩がアンバランスで儚げだ

透き通るピンクの頬に、彫りの深い顔立ち。
大きな瞳はキラキラと輝いている

恥ずかしさからか、後ろを向いてしまったチャンミンの、そのうなじの美しさにユノは息をのんだ

ずっと男子校で男まみれの中でスポーツをしていたユノ。

そんな環境では男同士の思慕や恋愛なんて
日常茶飯事だった。

女より男の方がうんとイイことも
よく知っている


ユノは学校を卒業してもバスケを続けていたけれど
練習のしすぎで膝を悪くし、ずっと悩んでいた。

もうお終いだと感じた最後の試合。

選手としての自分に見切りをつけ、普通の社会人としての生活を送ることに決めた。

できたら、所属していたバスケチームのスポンサー会社に就職をして、ゆくゆくはコーチとして、みんなの力になりたかった。


どうにか、その会社に就職できるよう口をきいてもらいたい。

それでスーツを着込んで、オーナーのシム家に監督と挨拶に来たというわけだ。


今度はシム家三代目のどうしようもないのがオーナーになる。だから心配なのだと、監督はこぼしていた。


これがそのどうしようもない三代目か。

どうしようもなく、美しいじゃないか。


でもそのアタフタとした様子を見ると
手なづけて、バスケチーム顧問のコネをつかむなんて
簡単そうだ。

とことんソッチで奉仕してやってもいい。
楽しませてもらいながら、コネを得られるとは。

そう目論んだユノはもういちどチャンミンを見つめて
優しい笑みを浮かべた



そんな出会いから

結局、ユノはチャンミンの装飾的パートナーとしてサロンへ出向き

チャンミンはその得意な可愛い笑顔で祖父に泣きつき
ユノを自分の会社に就職させ、おまけにチャンミンも同じ部署についてきた。


ギブアンドテイク


そして、あっという間に
2人は深いカラダの関係をも持つようになった


そこに愛なんか必要ない

楽しめばいいんだ


相手に惹かれて、というよりは
自分の都合でつきあっている。

そんな風に自分に説明した2人だった。


身体の奥から、心の底から
これは危険だというシグナルがひっきりなしに送られてくる

自分に十分な自信を持っている2人は
何かにハマって足元を掬われるのが怖かった

相手を本気で愛して裏切られるなんて、
自分のプライドが許さない


気づいていても、認めない

2人はお互いから視線を逸らした


けれど

サロンでも会社でも、ユノの人気は大変なもので
チャンミンは少し面食らった

特にサロンではその爽やかで誠実そうな、
それでもそつなく誰とでも対応できる社交性。

決して誰かの誘惑になびく事なく
あくまでもチャンミンをエスコートする役目に徹するユノ。

とびきりセクシーなのにそんなストイックな姿が
サロンに集う若者たちの興味を引いていた

それは会社でも同じだった。総務部に配属になったユノに若い男子社員が想いを募らせ、派手な行動に出てチャンミンを慌てさせた。

蓋を開ければ、ユノも少しソノ気だったようで
チャンミンの一言でユノはあっさりと異動になり
なんとチャンミンも頃合いを見て異動してきたというワケだ。

絶妙な、ユノとチャンミンの追いかけっこが始まっていた。


サロンの帰りに2人だけになると
お互いの目的を確認しあった。


「いろんな誘いもあるだろうけど
結局あなたは僕といるのが一番得策だからね?」

「わかってるよ
だから、誰の誘いにも乗らないじゃないか」

「誰かの誘いに乗りたいの?」

「たまにはね、お前がいなきゃ乗りたいさ」


チャンミンは少し口を尖らせて、車窓の外を拗ねたように見つめた

その可愛い横顔をユノは愛おしそうに見つめる。

この気持ちが声に現れないように気をつけた


「そんなつまらなそうな顔をして。
抱いてほしい時はいつでも奉仕してるじゃないか」


奉仕…


「………」

「何か不満があるなら努力するよ
チャンミン王子」

「………」


不満?

それは、あなたが僕の心を求めてないこと


ユノが僕を抱くのはお金のため
自分のバスケの夢のため。

ユノが必要としているのは
僕自身ではなくて、僕の資産と地位だ。

車窓から車内に溢れる街の灯りが
時折チャンミンの綺麗な瞳を照らす

そんなチャンミンに見惚れながら
ユノは自分の心に蓋をする


チャンミンが俺を欲しがるのは
俺が変わったオモチャだから。

抱けと言われたら、拒否しないし
キスだってねだられるだけしてやっている。

でも、俺の心は、決して手に入らない。

そう…思わせないと
チャンミンはカンタンに俺に飽きて
あっさりと捨てるだろう

なにしろ、チャンミンに近づいてくる人間なんて
五万といるんだから

自分が侍らす人間を毎日下着を替えるように選べるのだ


俺はチャンミンにとって
今は珍しいオモチャ。

いつもドキドキさせないと。
決して満足させてはいけない。

ユノはそう自分に言い聞かせた

お互いがお互いにすっかりハマってしまっているのに

認めたら最後
認めたら負け

特にユノは意固地に振る舞っていた。

もうすぐ豪華なマンションが見えてくるはずだ。


チャンミンが用意してくれた
ユノの住まい


できたら、チャンミンの世話にならず暮らしたい。
男としてのプライドがある。

でも

普通の暮らしをしたなら、元々別世界に住むチャンミンとは縁が切れる

一緒にいたいけれど、
一緒にいる時の自分は情けない

一緒にいたいけれど
一緒にいるには始終演技をしてなければならない

自分で自分を縛り付けながら
ユノは意味のない苦しみにもがいていた。


2人はそれぞれ車窓の外を眺める


いつのまにか、こんなに本気になっていたなんて

2人の悩みは同じだった





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そこに愛はあるか〜1〜


おひさしぶりです。

毎日暑いですが、
みなさま、いかがお過ごしですか。

アリーナツアーの発表もあり
忙しいことと思いますが

短編ですが、新しいお話を描きました
意地っ張りな2人です。

ツアーはどこに参戦するか
考えることにお疲れでしたら、どうぞ!




*************




「今日は新しく異動してくる社員がいるから紹介させてくれ」

オフィスが一瞬にしてざわめく

「異動だって!」

「新しい社員?」


営業第1課の若き課長チョン・ユンホは
そんなオフィスを睨むように見渡すと

社員のざわめきはおとなしくなった。

「今、総務で手続きをとっているから後でまた紹介する主任、伝達事項はなにかあるか?」

「あ、ないです」
主任が答えた

「じゃ、俺のほうからいくつかある」

俺、と自分を呼ぶ課長チョン・ユンホが
簡単な連絡事項を説明しだすと

デスクの女子達がうっとりとその様子を見つめた。

長身でスッキリとしたスタイル
広い肩に長い脚、小さな顔

鋭角に整ったクールな顔立ち

そこには大人の色気と青年の爽やかさが同居する

サッパリとして堂々とした性格
何事にも動じない余裕と、明るい茶目っ気も併せ持つ

本社からこの課に来たばかりのチョン・ユンホ。

仕事の処理能力も高く、若くして課長という出世コースだ。

近寄り難い雰囲気なのに
誰でも懐に入れてくれる寛容さもある

若い新入社員でさえ
こんな大人の男になりたい、という憧れを抱いていた。


程なくして、オフィスのドアが開いた

全員がドアをみる


ペコリと頭を下げたその男が顔を上げると
なんとも言えない高貴なオーラが発せられ、
女子社員からはまたも感嘆のため息が漏れた。

チョン・ユンホに負けない長身で
韓国人離れした彫りの深い整った顔立ち

儚さと甘さを纏い
育ちの良さが感じられる上品な佇まい

そのすべてに「高貴な」という形容詞があてはまる。

唇をへの字に曲げて
割と強い視線でみんなを一瞥する様子に
気の強さも感じられた。

「今日からみんなと一緒に仕事をするシム・チャンミンだ。本社からこの第1課に異動になった。
わからないことが多いだろうから、いろいろと手伝ってやってほしい」

ユンホにそっと背中を押されて
チャンミンは軽く一歩前へ出た

「一日も早く、わたくしがみなさんと親しくなれるよう
お力添えをよろしくお願いします」

え?

自分へ力添えしろと?


どこかの皇太子か?

少し変わった挨拶に、一瞬オフィスはザワついた。

「自分から親しくなるんじゃなくて
そっちから来いってこと?」

「ずいぶんオレ様だね」

「でも、可愛いし、カッコいい」

ただでさえ目立つ容姿で、その傲慢そうなキャラに
チャンミンは営業第一課全員の興味を引いた。

ユンホはため息をひとつついて
口を開いた

「そういうわけなので、みんな面倒みてやるように」

面倒を見る、という言い方が気に入らなかったのか
チャンミンはキッとユンホを睨んだ

そんなチャンミンをチラッと見て
なんでもないようにユンホは業務にとりかかった。


チャンミンはなぜか女子に囲まれるような席につかされた。

オフィスでも目立つグループの女子たちは
遠慮なくチャンミンへの興味を示した

「よろしくね!チャンミン。
わからないことがあったら、アタシたちになんでも聞いてね!」

女子たちは体をくねらせ
その長い髪をなでながら、チャンミンに色目を使う

仕事中なのに。とチャンミンは思った。

「なんでも聞いていいの?」

品のいい、優しい笑顔でチャンミンが微笑む

「うん!なんでも聞いて!」

女子たちは色めきたった

「チョン・ユンホ課長ってどうなんだろう」

チャンミンの声が甘く響く

「え?ユノ課長?」

「うん」

「どうって、今、この会社で一番人気よ。」

「へぇ」

「でもねー気をつけた方がいいわよ」

「なんで?」

「ユノ課長も先月赴任してきたんだけどさ」

「うん」

「ヤバイの。前のところでなんかあったらしいのよ」

女子たちがニヤーっと気持ち悪く微笑む

「なにかあった?」

「ま、あれだけイケメンなら仕方ないけどさ
部下となんかあったらしいの!
しかも男子の部下!」

「ふぅん」

チャンミンは少し難しい顔をした。

「部下に手を出して
それで異動させられたってわけ?」

「たぶん、そう!
前はね、本社だったんだけど。あ、あなたもよね?
その話知らない?」

「知らないね」

「チャンミンも気をつけた方がいいわよー」

「僕?」

「狙われちゃうかもっ!」

女子達はなぜかとても嬉しそうだ

「女子の君たちだって気をつけないとね
そんな上司じゃ」

「アタシ達はダメよ」

「どうして?」

「もう散々アピールしたの」

「えっ?ユノ課長に?」

「そうよ、もうね、全員玉砕」

「そう」

チャンミンはニヤリと笑った

「でもね、ナナだけがいい目見たのよ」

「え?」

女子たちがみんなそのナナという女子に視線を投げた

ナナは恥ずかしそうに、そのピンクの頬を染めた

チャンミンの心で、ジリッと何かが焼きつく音がする

女子たちはニヤニヤとしている

「どんないい目をみたんですか?」

あえて平静を装って、どうでもいいけど、というテイでチャンミンは聞いてみた

「ま、偶然にね
課長が住んでるらしい駅の側で夜会っちゃってさー」

なにが偶然なもんか

こういうオンナが計画的に何をするか
僕は知ってる

ユノの帰りを張ってたに違いない。

「ユノ課長メッチャ酔っててぇー」

酔ってた?

ユノが…酒を飲む?

甘い飲み物が好きなユノが酒を?

「だから大丈夫ですか?って聞いただけよー」

「きゃー!そこから先聞く?
もう!何度聞いてもコーフンするわ!」

大騒ぎである

ふん、とチャンミンは思った

どうせ大したことないんだ


「いきなり抱きつかれてーー」

えっ?

ユノから?

「オマエ、俺の寂しさを癒してくれる気はないか」

ナナがユノの口調を真似た

きゃーー!とさらに大騒ぎをする女子

まさか…

「こう、ガバッと抱きつかれてさ
あのキレイな手がアタシの髪に入ってきたわけ!」

なんだよ…それ…

「それで後頭部がっしりと抱えられて
キスされたのよーかなり強引だったわっ!」

ナナは頬を紅潮させて
その時の事を興奮気味に語った。

そんなことが…

僕がちょっと目を離した隙に


チャンミンは奥歯を噛み締めた

「もうサイコーだったわ!」

「あんた、一生分の運使い果たしたわよ」

「いいのよ、あのキスの思い出だけで
あたし、5年は男いなくて大丈夫」

キャーー!いやーー!

怒りを押さえるのに必死なチャンミンをよそに
女子たちはもう、大騒ぎである

「うるさいぞ、そこ」

とうとうユノ課長のゲキが飛んだ


ふん、あなたの話なんだけど

チャンミンはユノをジロリと睨んだ

女子たちは、とりあえず仕事をしているように
パソコンをいじっている


「でもそれは、上司としてどうなんでしょうね」

あくまでも冷静にチャンミンが話す

「問題なんかにするわけないじゃん。
できたらもう一回お願いしたいくらいなのに」

「そうよ、転任になったらアタシたちだって
チャンスなくなるじゃないの」

「でも、チャンミンがキスしてくれるなら
いいわーー」

そこでまた、大騒ぎになり
ふたたびユノ課長がこちらを睨んだ

この部署はガサツとは聞いていたけれど
特に女子の品格については最低だな


それでも…


ユノがここにいるなら。



終業後チャンミンは秘書が出迎える車に乗った。

今は秘書となったソクジンは
ついこの間までチャンミンの教育係、いや爺代わりをしていた優しい初老の男だった。

「ユノも乗せてくから」

「おぼっちゃま、それは…」

「なんで?だめ?」

「身分を隠しているとはいえ、我が社なのです。
上司と部下がそういった行動をとるのはよくありません」

「そんなことどうでもいいよ」

「おぼっちゃま」

「ボクの会社なんだから、なにしようとボクの勝手だよ」

「おぼっちゃまは、そんなにあのユンホ様がいいんでしょうか」

「別にいいってほどでもないけどさ」

ソクジンはため息をついて、車を近くにある高校の体育館の中を覗ける道路に停めた。


ユノが会社のバスケ同好会のメンバーと何やら楽しそうに練習している。

膝をどうとか、と言っていたけれど
今でも選手として十分活躍できそうな動きのユノ。

汗を拭いながら、爽やかに微笑む


あんな笑顔、

絶対僕には向けてくれない


「ぼっちゃま」

運転席でミラー越しにソクジンが話しかけた

「ん…」

「バスケ同好会に入ったらよろしいではありませんか」


「絶対やだ」

「どうしてですか?」

「………」

「それなら、ユンホ様と一緒にいる時間が長くてよいではありませんか」

「そんなに長い時間一緒にいる気はないよ」

ソクジンがクスッと笑ったことに
チャンミンは気づかなかった







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