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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

ひだまりの匂い⑻

〜〜チャンミンside〜〜



ユノさんに僕の "人生の傷" と言うべき
家族の事故の話をした。


まさか今夜、この話をすることになるなんて
予想しなかったけれど


ユノさんには知っていてほしかったし
話したかった。


ユノさんはたくさんキスをしてくれて
深くくちづけて、僕を癒してくれた


どこまでも甘くて、どこまでも優しいキス

それが深くなっていくと
身体の芯から蕩けてしまいそうな熱いキス

ユノさんの熱い舌に僕はすっかり支配されて
なにがなんだか、わからなくなってしまって


ユノさんが興奮してるのもわかってしまった


あんなに長く深くキスしてたら仕方のないこと

かといって、今夜それ以上は…


僕は是非どうにかなりたかったけど
ユノさんはそうはいかないだろうし。

急ぐことはないよね

僕たちははじまったばかりだ。



夕飯を食べ終わると、食器を一緒に片付けてから
お茶を飲んだ。

キッチンから続く居間には大きなソファーがあって
2人でゆっくりした。

「これ、ミィのペットボトル」
「おぅ、ありがとな」

ユノさんは適温にしたお湯を入れたペットボトルをタオルに包んで、よく眠っているミィのカゴにいれた。

ミィの頭を優しくなでているユノさん。

そのうちミィはきゅーっと小さく伸びをすると
もう一度丸まろうとして、ユノさんの指に気づいた。

ミィはユノさんの指を小さな両手で抱えて
ちゅうちゅうと吸い出した。

きっと母ネコのおっぱいだと思ってるのだろう

自分の指をミィに好きなようにさせて、
その姿を優しく見守るユノさん


大好き…ほんとに大好き
僕はどんどんユノさんが大好きになる


そのうち、ミィはまた眠ってしまって
ユノさんは僕の肩を抱き寄せてソファーに座った

「ミィは普段はどこにいるんですか?」

「ここ」

ユノさんは自分のパーカの中を指差した。

「なるほど、暖かそうですね」

「あったかいよ?チャンミンも入ってみる?」

「僕?!ムリでしょ?入りたいけどww」

「大丈夫、ほら」

ユノさんはパーカの前を開けると
僕に覆いかぶさってきた

「うわーっ」

僕は笑いながら、ソファーにのけぞって逃げようとしたけれど

ユノさんはパーカで覆うように僕をつかまえて
抱き込んだ

僕はユノさんの胸にすっぽりと収まって
ユノさんはあっという間に
パーカの中に僕を入れてしまった

ファスナーがもう壊れそう

でもあったかくて、幸せで…


そして、パーカの中の窮屈で動けない僕に、

ユノさんは何度もキスをする



「ユノさん、ファスナー壊れちゃいますよぉ」

「ハハハ…大丈夫だよ、この間、テミナが入ってても壊れなかったし」



は?


テミナ?


も、ここに入った?



テミナって誰?



この中に入れそうなのって
もしかして…あの子?





「………」


「どうだ?あったかいだろ?」


「………」


「どうした?」


「出してください」


「え?」


「ここから出して」


ユノさんは不思議そうな顔をして
パーカのファスナーを下ろして僕を解放した。


僕はソファーにきっちりと膝を揃えて
真正面を向いて座った


「テミナって誰ですか?」

「え?あ、弟分で、えっと、あ
この間、モールで会っただろ?」


「あの可愛い男の子?」


「可愛い?あ、可愛いかな?うん」


「あの子ならユノさんの懐にすっぽりと収まるでしょうね?仔猫みたいに。
でも僕はデカイからムリ。窮屈すぎるし
ファスナーが壊れる」


僕は早口でいろいろ喋った

もう嫉妬でプチパニックになっていた


ユノさんの懐にすっぽり収まるあの子は
容易に想像ができた。


普段、そんなことしてるんだ!


「なんだよ、弟分って言ってんじゃん」

「弟分だとそんなことまでするんですか
フツーしませんよ、そんなこと」

「ただ、ジャレてただけだって」

「そうですか!もういいです!」

「チャンミン!」

「今日はもう遅いから帰ってください
チキンありがとうございました。
またミィになにかあったら来てください」


僕はユノさんに革ジャンを押し付けるとどんどん押して、
玄関のガラス引き戸まで押して行った。


「チャンミン、勘違いだって!」

「もう何でもいいです!今日はもう帰って!」

「ちょっとミィを連れて帰んないと」


あ…………

「今、連れてきます。
やっぱり帰りたいんですね!」

「あ?」


僕は自分が何を言ってるのか全然わからなくて


リビングまで戻って、ミィの眠るカゴを手にした。

スヤスヤ眠るミィをみたら、少し落ち着いてきた。


ミィは無防備で眠っていて
ひたすら可愛くて
ユノさんにたくさん愛されている


こんなに可愛いんだもんね

あのテミナって子も…すごく無邪気だった


僕はほんとうに意地っ張りで
全然可愛くないよね


突然、ふわっとユノさんが後ろから抱きしめてきた


「チャンミン」

「ユノさん…」


「ヤキモチ妬いたんだろ?な?」

僕は黙ってこっくりと頷いた。


「そっかそっか」

ユノさんの腕にギュッと力がこもった。



「なんか…ごめんなさい」

「ああ、いいよ、気にすんな」


「可愛くないね、僕」

「可愛いよ、たまんねぇ」

「//////////////」



「今日は帰るわ」

「えっ?帰るの? ぼ、僕が…」

「違うって、もう遅いからさ」


僕は一瞬にして落ち込んでしまって
それを取り繕うこともできなかった。

やっと会えたのに…しかも…


「これ以上ここにいたら、俺ヤバイからさ」

「///////」




「じゃあな、また」

ユノさんはうつむく僕のくちびるに
下から小さくキスをした

そして、ミィと一緒に帰って行った

さようならユノさん
おやすみなさい


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ひだまりの匂い⑺

〜〜ユノside〜〜




俺は悟った
ハダカのチャンミンを見た時に悟った。



俺はチャンミンが好きだ
そういう意味で好きなんだ。


俺はこの気持ちはなんなんだ?とずっと思っていて

まさか、好きだとか、男なのに。


でも、俺を見つめるチャンミンの目に
その答えがある気がしていた。


同じようにチャンミンも思ってくれているんじゃないかってさ。


その気持ちを認めたら、スッキリした


しかも両想いだ

この際、男だ女だってのはどうでもいい。


幸せだ…すごく幸せな気分だ!



しばらく抱き合っていたけれど
チャンミンがぶるっとカラダを震わせて

ハダカだったことに気づいて、俺たちはカラダを離した。


ちょっとキスしたい気持ちもあったけど
それは俺もまだ抵抗があった。

なにせ男同士だから、うん。


俺はキッチンに戻り、味つけしたチキンがいい感じになったところで揚げる作業に入った。

チャンミンは生成りのエプロンをして、
テーブルでサラダを作っている。


なんとも可憐で可愛い


その姿を見ていたら、
やっぱりさっきキスしとくんだったな、と思った。


俺はチキンしか作らなかったけど

チャンミンは他にもスープやらいろいろと用意してくれて

でかいダイニングテーブルに、料理が並んだ。


俺たちは向かい合って座り食事をした。


「美味しい!!ユノさん、すごく美味しいです!」

「そうか?評判いいんだぜ、これ」

「ほんとにお店だせそう、考えてないんですか?」

「金がねぇよ」

「ああ、お金かかりますよね。お店となるとね」


「あのさ、チャンミン」

「はい?」


「この前から思ってたけど
なんで、一人暮らしなのに、こんな8人掛けのテーブルなんだよ」

チャンミンはふと、視線を寂しげに伏せた。

あ、マズイこと言ったかな?

でも、チャンミンのことなら、いろいろ知りたい


「俺には言いたくないことか?」

「………」

「無理に言わなくてもいいぞ
ただ、なんとなく思っただけだからさ」



「8人家族だったんですよ、10年前まで」

「ここで?」

「そうです。ここで8人で暮らしてたんです」

「大家族だな」

「ここは祖父がやっている動物病院だったんです。
祖父母と両親、兄が2人と妹が1人」


「…で、家族はどこに?」



「亡くなったんです」

「え?一度に?」

「はい…」

「もう、言わなくていい。ごめんなチャンミン」


「………」



「あ、もし聞いてほしかったら
話せるなら…俺は聞きたいけど…無理すんな」


「ユノさんには話したい」

「だったら聞く、聞きたい」



「10年前…遠くの叔父の家で法事があったんですけど
叔父と僕は折り合いが悪くて、僕、行きたくなかったんです。

だから、部活の試合があるから、ってウソついて
行かなかったんです。」

「うん…」



「僕も行けば、人数が多いから電車って話だったんだけど、
7人なら、バンでもいけるんじゃないかって事になって
免許とったばかりの兄さんと運転の慣れてない父さんでバン借りて…」


「事故った…のか?」


「しかも僕は1人で夜をすごす開放感で
友達何人もでこの家で騒いでた」


「………」


「明け方、何度も電話が鳴ったのに
近所からの苦情だと思って出なかったんです」


「………」


「まだ生きていたのに…
僕がそれを知って、駆けつけた時には
みんな亡くなってた」


「チャンミン」


「先に叔父が駆けつけていて
全員の死亡確認をしていて…

僕は怒鳴られて…」


「….….」


「爺さんは、最期までお前の名前を呼んでたって。
チャンミンに会うまでは死ねないって」

チャンミンは下を向き、大きく肩を震わせて泣いた

そして終いには両手で顔を覆って泣き出した


「僕が行けば、電車で行けばあんなことにならなかったのに…
ハメなんか外さなきゃ、あの明け方の電話に出ていれば、
爺ちゃんに会えたのに、最期に顔見せられたのに
僕は…僕は…」


俺はたまらなくなって椅子から立ちあがり

座ったままのチャンミンを後ろから抱きしめた

「わかったから、もういいよチャンミン
ツライこと話させて、ごめんな」

俺は泣きじゃくるチャンミンの頭に何度もキスをした

チャンミンは立ち上がって向き直り
俺にしがみついてきた

「僕は本当は幸せになんてなっちゃダメなんだ」

「そんなこと言うもんじゃないぞ!」

「だって!僕が…」

俺は…それ以上チャンミンが酷いことを言わないように
口づけて言葉を塞いだ


時がとまった


びっくりして目をつむることも忘れているチャンミンと
そんなチャンミンに深く深く、くちづけている俺。



好きを通り越して、俺はチャンミンを愛してる

会ったばかりなのに、男なのに

全部、なんにも関係ない



俺はくちづけが止まらなくなり
角度を変えて、もう一度舌を入れ直そうとしたところで
チャンミンが我に返った

「あ、あの…」

「ん?なに?」


頼む…もっとキスさせて


俺は自分から「なに?」と聞きいてるくせに
答えられないように唇を塞ぎ、舌を入れ込む

チャンミンもなにが言いたかったのか
俺を受け入れ、2人で深いキスに没頭した。


俺はカラダが反応してきてしまい、
かといって、ここからどうしたらいいのか
さすがにわからない


女なら場所構わず押し倒してどうにかするけど

ここで押し倒したところでその先が俺には…


仕方なく、カラダを離したけど
興奮状態の俺は、おさまりがつかない


どうにかアタマを冷やさなきゃマズイ


「ミィにミルクやんねぇと」

「え?」

びっくりしてるチャンミンをそのままに
カゴで寝ているミィを抱き上げようとしたけれど
これまたスヤスヤと眠っていて

ミルクをあげるタイミングではないことは明らかだ


でも、ミィの寝顔を見ていたら
少し気持ちが落ち着いてきた


「あの…」

チャンミンが後ろから声をかけてきた


「あ?」

「食べましょう?まだ残ってます
美味しいチキン」


にっこりと笑うチャンミンに
また持って行かれそうになったけど


「ああ、そうだな」



残りをすごい勢いで2人で平らげて
明日、へジンさんにあげる分など残らなかった



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ひだまりの匂い⑹

〜〜チャンミンside〜〜


陽が沈むのをこんなに待っていたのは
きっとはじめてのことだ。


ユノさんが、ウチに来る


なんだかこの日に限って、
へジンさんが残業してカルテの整理をしている。

別にユノさんとへジンさんがかち合うのはいいんだけど

ユノさんはへジンさんにもチキン食べていくように
勧めたりしそうで。


僕は…ユノさんと、2人きりがいい


ガラッとガラスの引き戸を開けて
医院の方からユノさんが入ってきた

グレーのジャージに揃いのパーカ
いつもの革ジャンを羽織ってる。

カッコいい!やっぱりユノさんはカッコいい!

会いたかったユノさん…


「こんばんは?」

「今日の診察はもう終わったのよ、悪いけど」

「あ!いいんですよへジンさん!その方、僕のお客さんで」

「先生の?でもゲージ持ってるけど」

「あ、はい、仔猫もちょっと診ますけど…」

「あら、手伝いますよ、それじゃ」

「へジンさん、もう今日は遅いからいいですよ」

「いいですってば。計測は私がやりますから。
先生は診察の準備してくださいな」

「………」


これ以上抵抗するのも変なので
従うことにした。


ユノさんは僕たちのやりとりを不思議そうにみている。

「すまないな。おばちゃん、残業になっちゃったな」
「あら、いいのよ。アナタかっこいいし。」


な!カッコいいとか!へジンさん///////

へジンさんはミィをゲージから出すと
体重計に乗せたりひととおりの計測をした。

ミィは順調に健康に育っている。


「本当なら、まだ母猫のそばにいる時期なんです。
しばらく手がかかりますけど。
夜はどうやって暖かくしてあげてますか?」


「えっと、ペットボトルにお湯入れて、タオルでくるんで、寝てるカゴに入れてる」


「え?」

「なんかさ、ストーブの前だと暑すぎる気がして。
エアコンだと乾燥しそうだし、
湯たんぽはデカイのしか売ってなかったし。
温くなった缶コーヒー持ったとき、これいいなってさ。
でも缶だと、急に冷めるし冷たくなるから。」

へジンさんもビックリした顔をしていた。

「で、夜中に一度取り替える。
あ、なんかマズかったか?それって…」



「イケメンさん、アナタ意外に優しいのね」

「意外に?」ユノさんが眉をピクッとさせた。


「ユノさん…」

「なんだ?」

「素晴らしいですよ、そんなにきめ細かくしてあげてたんですね」

「ああ、そうか?」

「カラダが小さいので、ちょっとの事で
すぐに体温が上がったり下がったりします。
その方法はとてもいいですよ」

「そ、そうか」

「はー、こんな優しいイケメンさんが飼い主で
お前は幸せものだねぇ」


「お前じゃなくて、ミィっていうんだ」


少しムッとしてそう言ったユノさんに
へジンさんは大げさにジェスチャーした

「ミィちゃん!愛されてんのね!
ほんとに幸せモノだよっ!」


驚いた…申し訳ないけれど、本当に意外で。

このチンピラ風な風貌でそんなにきめ細かく面倒みてたなんて。

診察しても、お尻もキレイで
キチンと手をかけてもらってるのがよくわかる。


僕は感動してしまった

そして、さらに好きになってしまった


僕たちに褒められて気をよくしたのか
ユノさんは機嫌がよくなり、表情が柔らかくなっている。


「そうだ、おばちゃん。
俺、今日ここでチキン作るからさ、良かったら食べて行きなよ」


きた…

予想どおり…

ユノさんなら、絶対そう言うと思った…


言われたへジンさんはまたもや、驚いた顔をしていた。

「何言ってんの、イケメンさん」

「嫌いか?チキン。
俺の作ったヤンニョムチキン、評判いいんだぜ?」

「そういうことじゃないのよ!
やだね!鈍感なのかい?この子は。」


まずい!へジンさんは感づいてた!
お願い!変なこと言わないで!

僕は慌てた
たぶん水に溺れて喘いでいるような顔をしていたんだと思う。


「先生、大丈夫よ、アタシ、そこまでヤボじゃないから」


あ"ーーーーーーすでにヤボだよっ
そんなこと言わないでよ


「帰るわね!ごゆっくりね!」


気を使いました、と言わんばかりの体で
そそくさと帰って行った。



はーーーーー参った



静かになった診察室に
ミィの小さな鳴き声だけが聞こえている


僕はいたたまれなくなり

ミィを手のひらに乗せてやさしく撫でた。
僕の焦りとはうらはらに、気持ち良さそうなミィ。

ユノさんは僕のそんな姿を
突っ立ったまま、じっと見ている

なんか、言わなきゃ…えっと…

「あの人…へジンさんっていうんだけど
いつも…いつもあんな感じで…」

「いいおばちゃんだ」

「あ、そ、そうです、ほんといい人で」

「気を利かせたんだな」


え?!

ユノさんの視線が熱い…気がする


「あ!チキン、せっかくだったのに…ね?
へジンさん、チキン好きなのに…」

「食べていくって言われたら、どうしようかと思ったよ」


ええっ?!

それはどういう…


「せっかく…チャンミンに会えたのにさ…」
そう言って下を向いてしまった


ユノさん…

僕は激しく勘違いをしそうだけど



ふとユノさんが、顔をあげて微笑んだ

「たくさん作るから、明日持たせてやって?」

「え?あ、ああ、そうですね、はい」



今のは…今の空気はなんだったんだろう


あまり考えないようにして、
僕は診察室を片付けて、ユノさんとキッチンに行った

ユノさんはなぜかパーカを脱ぐと
黒いTシャツとジャージだけになった。


「寒くないですか?そんな格好で」

「あ?ああ、このパーカに油がはねると目立つんだよ。大丈夫」

男っぽく見えて、意外に繊細なんだな

「じゃ、エプロンしてください」
「ああ、助かる。借りるな?」


グレーのジャージに黒いTシャツ、
僕の貸した黒いエプロンを首にかけ、
ウエストの前でキュッとヒモをしばる。


味にこだわるラーメン屋さんみたいなユノさん。

首にかけた太い金色のネックレスが
ちょっと怖いけど
かっこよすぎて見惚れてしまった


「作ってるから、着替えろよ
それとも家でもそんな格好?」

「あ、じゃあ、着替えてきますね」


僕は2階の寝室でやっぱりユノさんと同じようなジャージに着替えていた。

下を履き替え、上はTシャツまで脱いだものの、
トレーナーが見つからない。


タンスの中を探していたとき、
勢いよく、後ろで寝室のドアが開いた

「チャンミン、もっとデカイ鍋…」

振り向くと、ユノさんだった


僕はハダカの上半身を思わず両手で隠してしまった
これじゃ女の子のポーズだよっ!


ユノさんは絶句して立ちすくんでいた

あ、ど、どうしたら…


僕の寝室に沈黙が流れた


僕の事を見つめるユノさん



僕は観念したし、そして確信した!



僕はもう間違えない
僕は勘違いなんかしてない


その目は絶対に

僕のことを欲しい目だ


僕のことが好きかどうかはわからない

でも、僕は間違えたりしない


僕は自分の上半身を両手でクロスして隠しながら
ユノさんに向き直った

今度はあえてこのポーズ。


来てくれるなら
僕は…

ユノさんの視線が熱すぎて、
僕は溶けてしまいそうだ

セクシーな切れ長の黒い瞳が艶っぽく光っている


「チャンミン…」

ユノさんはゆっくりと寝室に入ってきた



心臓はドキドキと煩かったけど
僕の興奮もMAXだった


ほしい…ユノさんがほしい


もう僕は嘘がつけないし
なんでもないフリもできないよ


僕もユノさんに近づき
後、30センチというところまで近づいたら


ユノさんが両手を広げてフワッと僕を抱きしめた

ユノさん!


僕はうれしくて泣きそうになった


クロスしていた腕をほどき、
ユノさんの背中に回した。


この胸板の厚さと肩の頑丈さがよくわかる


逞しいその腕に抱きすくめられて
たまらない気持ちで胸がいっぱいになった


「会いたかったんだ、チャンミン」

「僕も会いたかったです」

「男なのに、なんでだかわからないけど」

「僕はわかりますよ」

「わかるのか?」

「僕は…ユノさんが好きだから」

「やっぱり、そうか…
俺もチャンミンが好きなんだな」


お互いに抱き合いながら、フフッと笑い合った。




「あーーーなんかスッキリしたっ!」

ユノさんが、僕をギュッと抱きしめて言った

「フフ…スッキリしましたか?」

「ああ、好きなんだ、俺はチャンミンが」

「すごく、ほんとにうれしいです」



「俺の気持ちにちゃんと名前がついて、よかった」


なんて…すてきな事を言うんだろう

僕はまた泣きそうになってしまう



「俺たちは両思いってやつか?」

「そうですね」

しばし、僕たちは笑い合った



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ひだまりの匂い⑸

〜〜チャンミンside〜〜


ショッピングモールでユノさんと出会ってから
数日が過ぎた。

僕の連絡先を知らないから仕方ないけど
連絡もなければ、医院にもこない。

ミィが元気なのか気になるけれど


ユノさんに会いたい…
会いたくてたまらない


ユノさんが書いてくれた書類の文字を人差し指でなぞってみる。

綺麗な手だったな…

携帯番号は書いてあるし、住所もわかる。

電話をかけてみたいし、家にも行ってみたい

でも、この書類を元に連絡しちゃマズい。
これは公的書類なんだし。

どうにもならず、日に日に思いは募っていった


あの時、一緒にいた綺麗な男の子も気になる
どういう関係なんだろ


ウチで事務や受付をしてくれているおばちゃん
へジンさんが今朝もやってきた。

「あー寒い!先生、もうこの家建て替えたら?
冬寒くて仕方ないわよ」

「すみません。寒い思いさせちゃって」

「先生もさ、そろそろ吹っ切ったら?
いつまでも、ここにしがみついてないで。
もうすぐ10年よね?」

「…はい、再来月で」

「結婚はどうなってるの?
たまに来るあの子は婚約者でしょ?」

「仮面恋人なんですよ、お互いそこわかってて。
たぶんずーっといい親友です」

「親友と結婚なんて一番いいけどね」

「そうなるかもしれませんね」


ウワサ話をしていたら、本人が登場した

「おっはよー!チャンミン。あら、おばさん、おはよう!」

「おはよ、ミンスちゃん、
相変わらずキレイだね、あんた」

「ありがとね!」

「どうした?ミンス」

「あー、めんどくさい話」

「顔見せろって?」

「うん、今回断れず」

「わかったよ、いつ?」

「だから、再来月のほら、アンタのとこの、
法事やるからってさ」

「そういうこと?うん、わかった。
悪いね付き合わせて」

「いいよ、詳しく決まったら連絡するから
じゃあね!」

どちらかというと男っぽいミンスは
颯爽と自転車に乗って冬の朝を走り抜けて行った。

僕の幼馴染で一応、カタチばかりの婚約者。


僕はいろんな意味で大きくため息をついて
ユノさんの書いた書類を抱きしめた…

会いたいなぁ



………それから2日して、
僕はユノさんに会いたくて、ガマンの限界を迎えていた。

電話してみよう!

ミィの様子が気になって電話したって事でどうだろう?
僕は助けた医者なんだし。
医者としてならいいよね?

落ち着かない僕はキッチンをウロウロと歩き回っていた。

いつ電話しようか。
まず、なんて言おう?


午前の診察が終わり、昼食を取りおえると
意を決してスマホをタップした

コールが6回も響き、諦めかけたころ、

「はい?ユノです」

わっ!ユノさんだ!

「あっ!あの!」

「はい?だれ?」

「あ…いや、あの….….」

「え?」

「ミィが…あの…どうしてるかと」

「先生?チャンミン?」

「は、はい…」

「ちょっと、ちょっと待ってて」

電話の奥からいろんな音がしてて
小さくミィミィという鳴き声もしている。

「なんか…大丈夫ですか?」

「あー!ああ、なんとか大丈夫」

「何してましたか?ミィの世話?」

「ああ、おしっこさせてた。」

「フフ…そうなんですね」

ユノさんが小さなミィに振り回されてる様子が
よくわかって、おかしかった。

「今、お尻ふいてやったから、大丈夫。で?」

「いや、あの…特に用事じゃないんですけど
すみません、この間の書類から連絡しちゃって」

「そんなのいいんだよ!俺もさ、ほら、いろいろ聞きたくて、でも、診察に行くほどじゃねぇし。
看板の電話番号かけたら、おばちゃんが出るしでさ。」

「あ、そうだったんですか?!」

なんだか…うれしい…

「電話、そっちからもらえてよかった」

「………」

「….….」

「あ、あ、じゃあ連絡してよかったですね?」

「ああ…うん、よかった」

「えっと…」

「会いたかったしさ」

「えっ?!僕にですか?!」

「会いたい」

「………あ、あの」

「………」

「あ!ミィのことで?!」

「先生に、チャンミンに会いたい。
行っていいか?」

「あ、も、もちろん!」

「夜になるけど」

「は、はい…待ってます…」

「夕飯は俺がヤンニョムチキン作ってやるよ
チャンミンのところ台所デカイし」

「え?ユノさんが?ウチで?」

「ああ」

「………」

「ダメだったか?」

「すごく、楽しみにしてます!
ほんとに楽しみにしてます!」

「ミィも一緒だけど」

「もちろんですよ、診させてください」

「悪いな」


今夜!ユノさんがくる!
やっと会える!

しかも、しかも

ウチでチキンを作ってくれるって!

ほとんど患者さんの来ない午後
僕はぼーっとして過ごしてしまった



〜〜ユノside〜〜


会いたかった…
チャンミンに会いたかった

仕事途中でこまめに帰って
ミィの世話をしていたし、

長く家を開ける時はヒチョリヒョンやテミンに預けたりしていた。

ヒチョリヒョンのところからミィが帰ってくると
なにやらいい香りを纏ってくる。
花のようなそんな香り。

ヒョンはミィになにしてんだ?

夜はミィをゲージに入れ、暖かくさせて
俺はよくチャンミンの病院の前をウロウロしていた。

チャンミンがばったり出てきたりしないかな?

特に用もないから、病院にくるのも変だし。

電話番号書いてきたから、連絡してくれたっていいのにさ。

とにかく、会いたい。

この間のエリート風なイケメンは誰なんだろう

いろいろと気になる。


ガマンできずに、看板に出ていた番号にかけてみた。

おばちゃんがでた。
「はい、シム動物病院です」

「あ、あの…」

「はい?」

「あ、先生は?」

「診察中ですけど」

「電話にはでられませんか?」

「ですから、診察中ですので」


そりゃそうだよな…




俺はその日、ミィにおしっこをさせていた。

まだ目がきちんと開いてなくて
すげぇ変な顔。

でもメチャクチャ可愛い。

俺がいないと生きていけないってところが
なんとも言えない。

小さなしっぽをふるふると持ち上げておしっこをするミィ

トイレでできるように
すこしづつ躾けているけれど

まだそこまで歩いていかれないから、
俺がトイレに置いてやり、おしっこをさせる。

片手でもちあげて、お尻を拭いてやっていたら

スマホが鳴った。

会いたくてたまらなかった、チャンミンからだった




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ひだまりの匂い⑷

〜〜ユノside〜〜


「誘ってくれてほんとにうれしいよぉ♫
今日はユノヒョンとデートだぁー!」

「そんなに喜んでくれてもな
ペットショップで悪いな、テミナ」

「いいんだよ。そんなの♫
まずはなに買うの?ミイちゃんのトイレ?」

「ああ、それと砂だって」


俺はチャンミンから書いてもらった紙を見て
ひとつひとつ、値段を吟味しながら買っていった


「とりあえず、こんなところか。」

「ヒョン、なんか食べようよ」


俺たちは会計を済ますと結構な荷物を抱えて
ショッピングモールの中を歩いていた。

適当にラーメン屋を見つけて入った。

「テミナ、なんでも好きなラーメン頼め。
今日は付き合わせたから奢るよ」

「ヒチョリヒョンから借りたお金だけどね?」

「…………………」


「あ、傷ついた?ユノヒョン…」

「…ほんとの事だから仕方ねぇよ」


「ごめんね、ひどい事言って。
でもさ、ユノヒョンは借金の取り立てとか
ショバ代の徴収なんて仕事、合わないよ。」

「そんなこともねぇよ」

「だってさ、返済見逃してあげたりしてるんでしょ?ユノヒョン優しいんだよ。
向いてないって。他にも仕事あるはずだよ!」

「ヒチョリヒョンのクラブでホストか?
余計に向いてねぇよ」

「ヒョンがホストになるのは僕がいやだ」

「アハハ…ホストのテミナがなに言ってんだよ」

「チキンの店やりなよ!安い肉であれだけのチキン作れるのは才能だよ」


「弟分のお前に心配させて、ダメだな
これからはミイも育てなきゃなんねぇし。
しっかり仕事するさ。 な?」


「それでも、僕はユノヒョンには他の仕事してほしい」

「うーん….」

そうは言っても、俺は学校もまともにでてねぇし…
チキンの店なんて、金ねぇしな。



ラーメンを食べおわり、会計をして店を出た途端



ふと目の前に、ずっと頭から離れなかったあの笑顔


「あ、チャンミン…」

「ユノさん…」

チャンミンの視線は俺の腕に絡みついてるテミナに

俺の視線は、チャンミンが甘えるように寄り添う
スーツ姿のエリート風イケメンに

それぞれ注がれた。

その場に立ち尽くす….変な4人

チャンミンは慌てたように、そのエリートから離れた。

「あ…」
「だれ?」訝しげなエリート。

「患者さん…」
「飼い主さん?」
「はい…」なぜか俯くチャンミン….


こっちではテミナが無邪気に振舞う。
俺の腕にこれ見よがしに抱きつく。

「ヒョンなに?このカップル」

「ああ、ミイの医者」
「あー!きれいな獣医さん。ほんとだね!」

なんで知ってるんだ…ヒチョリヒョンめ。

「え?きれいって?」
驚いているチャンミン

「あーいや、なんでもねぇよ。
今、ミイをヒチョリ…いや知り合いに預けてさ
いろいろ買いにきたんだよ。じゃあな」

「ばいばーい♫」
俺の腕にぶら下がりながら、何アピールしてんだか
テミナのテンションがやたらと高い。

「は…あ、はい、さようなら」

すれ違う俺たち…

ちょっと振り向いてみたら、チャンミンもこっちを振り向いてて、びっくりして向き直った。


なんだ…カレシがいるのか?

チャンミン、ソッチなのかな…
言われてみれば
なんかゾクッとくるなって思ったんだよな。



〜〜チャンミンside〜〜



誰なんだろう…あのキレイな男の子

素人じゃなさそうな感じ。

ユノさんはそういう店に通ってるんだろうか。

それとも、ユノさんもホストかなにか?



「……ミン…チャンミン?」

「は?!はいっ!」
ハッとして我に返った。


「さっきのイケメンなチンピラが気になる?」

「チンピラって…いい人ですよ?」

「イケメンは否定しないね?」

「何が言いたいんですか?」


僕とソンモさんは買い物に疲れてカフェにいる。

ソンモさんは…恋人ではない

一度、はずみで寝たことがある
それ以上でもそれ以下でもない…

微妙な関係…

僕は寝た事をきっかけに付き合いたいと思っていたけど

ソンモさんには奥さんがいる

そこをウソつかれて、僕は興醒めした。

僕は誰かと結婚とかはしないけれども

不誠実なのは、やっぱりイヤだ。

「僕が何を言いたいかって?
そりゃチャンミンと是非もう一度、熱い夜を過ごしたいって、それが言いたい」

「何言ってるんですか、こんな場所で昼間っから」

「じゃ夜で、場所がバーならいいの?」

「奥さんのところへ帰ってあげてください」

「あーあ…」

「奥さんに僕のこと、なんて言ってるんですか?」

「そのまんま、大学の後輩だって言ってるよ。
何か感づいてるみたいだけど」

「じゃ、そのまんま、大学の先輩後輩でいましょう
今日は学会のお話聞かせてくれてありがとうございました。
また次回お願いします」

「お前も学会出たらどうだ?」

「遠慮しておきます。
叔父夫婦にあったらまたうるさく言われるし」

「いいなずけ、もいるんだろ?」

「ミンスですか?彼女はわかってくれてますよ
みんなの前で演技してくれてます」

「ふうん…お前はあんなボロ家で、慎ましく医者やってる器じゃないだろう?」

「僕はあそこが好きなんですよ」



「もう、10年くらいになるか?
親父さんたちの事故から」

「…再来月で10年です…」


カフェの窓から空を見上げると
雪が降ってきそうな、寒空が広がっていた



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ひだまりの匂い⑶

〜〜ユノside〜〜


仔猫を片手に押さえてミルクをやる先生

シャワーの礼を言おうと明かりの漏れている診察室を開けたら、その姿に出くわした。

優しく微笑み、なにか仔猫に話しかけながら
ミルクをやる姿は

聖母のようだった…


俺はしばらく見惚れてしまった


男に見惚れるとか…ないだろ、俺。

でも…

ま、オンナみたいに綺麗なんだよな
そういうことだ。

俺は勝手に自分で折り合いつけて納得した。

寒すぎてどうにもならなかったとはいえ、
こんな見ず知らずの俺を泊めて
迷惑だったな…

かなりムッとしてたよな。

これ以上関わると余計怒らせそうで
俺はお言葉に甘えてベッドを借りることにした。

仔猫はチャンミンが連れて行ってしまって
俺はそのまま布団に潜った。

それでも、仔猫を世話するあの優しそうな笑顔が
頭から離れなかった。

雨はまだ全然止まない…




翌朝、階下の物音で目が覚めて
下のキッチンへ降りて行った

昨夜の雨はすっかり上がり
古めかしい木造りのキッチンには
眩しい朝陽が差し込んでいる。

古くて大きな木のダイニングテーブルがどっしりと
部屋の真ん中に構えられて
これまた古い木の椅子が8脚。

その奥に旧式の台所。
一応カウンターキッチンになっていて
部屋の至るところにグリーンが置いてある。

建物自体は古い木造だけど
手入れや掃除がよく行き届いて居心地はいい。

そんな中でシム・チャンミンが
また仔猫にミルクをやっていた。

昨夜の温かい灯の中の姿と違って
朝陽を浴びたその笑顔がまた眩しくて。

愛情いっぱいに仔猫に話しかけているその姿に
俺の頭の中で警報が鳴った

やべぇよ…男にドキドキしちゃマズイだろ
いくらチャンミンが綺麗だからってさ。


チャンミンが俺に気づいて微笑んだ

今、俺にその笑顔を向けるのはやめてくれ



「おはようございます。昨夜はよく眠れましたか?」

「あ、ああ…本当に悪かったな
よく考えたら、すっげぇ図々しいよな。」

「あの雨の中、この子を外に出せませんよ」

ああ、俺じゃなくて、仔猫な。うん。

「ご飯食べたら、お世話の練習しましょう
時間ありますか?」

「ああ、大丈夫。
あ、朝ごはん? 俺、いらねぇよ」

「え?なんでですか?」

「ん?いつも食べてない」

「食べたほうがいいですよ。
朝は仔猫にご飯あげなくちゃいけないし
キッチンに立ったついでに、なにか食べる習慣つけるといいです」

「はい」

思わず「はい」なんて言っちまった。

大きなテーブルには
トーストにオレンジジュース、ベーコンにサラダと
フルーツ。

「すげぇな、こんな朝ごはん食べたことねぇよ」

「顔洗って、食べちゃってください」

2人で仔猫の育て方について
いろいろ話しながら朝ごはんを食べた。

真剣に話すときは、キリッとキレイなのに
笑い出すと、本当に可愛い。

その落差に、ドキドキしながら

それでもたまに、チャンミンが俺を熱く見つめるような気がして

豪華な朝ごはんの味がよくわからないまま
落ち着かない食事を終えた。

チャンミンの膝の上のカゴで
仔猫がミィミィと泣いている。

「鳴くようになったな
昨夜は声も出ねぇほど弱ってた?」

「そうですね。
ミルクを飲んで元気になったのかもしれないです」

それからひととおり、世話の仕方を教わって
用意しなくてはならないものを紙に書いてもらった。

「そろそろ僕は診察室に行きますね。
開院の時間ですので。」

「おぅ、ほんとに世話になったな
あ、俺、こいつの名前決めたぜ?」

「もう決めたんですか?なんていう名前ですか?」

「ミイ」

「え?」

「ミィミィ鳴くからミイ」

「うそ、ちょっとそれって…」

チャンミンはそういうと、ガマンできない、という感じで手で顔を覆って笑いをこらえている

なんだよ

しかも、またそんな風に笑う
ドキドキさせんな!

「なんだよ、おかしいか?」

とうとうチャンミンはお腹を抱えて笑いだした。

その姿が可愛いったらありゃしない…

「笑ってすみません!でもあまりにもオーソドックスな名前すぎて…」

「なんだよ…オーソ?なに?」

「いや、普通すぎて…
外に向かってミイ!って呼んでみてください
100匹くらい猫が集まってきますよ」

「わかりやすくて、いいだろうが!」

「いや、いいんですけどね…あーおかしい」

そんなに笑うなよ
これ以上、その笑顔で俺を振り回すな。

「じゃ、俺帰るから。金は?」

「あ、怒らせちゃいましたか?」

まだ笑いの涙が目尻に光り、
少し困った風に縋った表情をする。

ヤバいって!もう!

「怒ってねぇよ。で、金はいくら置いていけばいい?」

「特に何も治療してないので、いいですよ。
そのかわり、ミイを大事にしてあげてくださいね」

「ああ、わかった。」




「で、オメェはそのキレイなセンセーのところに
お泊まりして、この仔猫連れて帰ってきたってワケか?」

「ああ、そうだよ」

「バカか、ユノ」

「なんだよ、ヒチョリヒョン!バカっていうな」

「こんな目も開いてねぇ仔猫、オメェに育てられるワケねぇだろうが。金だってかかんだぜ」

「え、そんなに金かかんのか?」

「あたりめぇだ。トリミングやら爪の手入れやら
専門のサロン行かせないとダメだろ?」

「は?フツーの猫だぜ?」

「オンナだろ?こいつ」

「オンナって…」

「ブハハハ…ウソだよ」

「なんだよっ!」

「で、なんで俺がこの仔猫のトイレやらウンチの砂やらを買わないといけねぇんだよ」

「全然金がない…」

「おめぇ、そのセンセーに治療費請求されたら
どうするつもりだったんだよ」

「あービクビクしてたけど
たぶん、いいです、って言いそうな感じで」

「情けねぇな!」

「………」

「なぁ、ユノ」

「ん?」

「悪いこと言わねぇ、
おめぇ、オレのクラブで働け」

「ホストなんてやだよ。好きでもないオンナを抱いたりできねぇよ」

「はーーーーーっ そのエロい顔でよくそんな純情ぶりっこができんな。」

「なんだよっ!いつもいつも、エロい顔って!」

「おめぇ、すっげぇ稼げるぞ、マジで。
それだけのビジュアル、生かさないのはもったいねぇよ。」

「お断りだね」

「あーあ、で、その仔猫名前決めたのか
このヒチョル様が幸せなオンナになるように名付け親になろうか?」

「ミイだよ」

「は?」

「だから、ミイだよ、ミイ。」

「ぶはははははは!」

「なんだよぅ!もう!」

「おまえさ、外に向かってミイ!って叫べ」

「100匹くらい猫が集まってくるんだろ!」



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ひだまりの匂い⑵

〜〜チャンミンside〜〜



気持ちも落ち着いたのか、
その人がぶるっと震えた。

あ、雨に濡れてびしょ濡れなんだ
風邪ひいちゃうな

「寒いですよね、
そのままだと風邪ひきますよ」

濡れた服は着たままじゃないほうがいいけれど
脱いでください、っていうのも…

いや、一見男同士なんだから、そう勧めるべきかな


「熱い風呂に入りたい」

「え?!」

「寒い…温まりたい…」
その人はガタガタと震えている。

きっと仔猫を懐に入れて走ってきて
しばらくは暖かったのだろう

えっと…

「熱いシャワー浴びるっていうなら
ウチの使ってくれていいんですけど…」

「ああ、それでもいいや、
でも湯冷めしそうだ。泊めてくれ」

「え?!泊める?」

「布団一枚あればいいからさ。
この雨の中、また帰るのやだよ
こいつもいるし。」

タオルに包まった仔猫はもぞもぞと動いていた。

たしかにそうだけど…


普通に男同士なら「泊まってけよ」ってこっちから言うんだろうな。

うん、この人はそんな気ないし
落ち着かないのは僕だけだしね

「いいですよ、泊まっていってください。
明日、仔猫の様子も診たいし」

「あー助かる。悪いな、いろいろと」


そう言ったかと思うと、
その人は、いきなりシャツを脱ぎだした


ち、ちょっと…///////

「驚くなよ、これ濡れてるから寒いんだよ
シャワーどこ?」


見事な上半身だった…

がっしりした広い肩から、細い腰にかけて
きれいな逆三角を描いて

その背中の素晴らしいことといったら…

二の腕は太く逞しく
その綺麗な手先まで見事な曲線が続いていた…


僕の心拍数はかなり上がってしまい
またもや、見惚れてしまった…


「ねぇ、オレのカラダ、いいかもしんないけど」

「えっ?!あ!ち、ちょっと…あ、こっちです///」

その人はニヤッと不敵に微笑むと
ジーンズまで脱ぎだした。


もうこれ以上見てられない///////

僕は急いで背中を向けて、シャワー室へ連れて行った。

「悪いな、なんか着るもの出しといてくれ」

「え?あ、そうですよね、はい」

その人は最後にトランクスを脱ぐと
俺に渡した。

目のやり場が……///////

「洗濯なんてしなくていいからな。
ビニールかなんかに入れといて」

早速シャワーを浴びる音と共に
その人は言った。

は?洗濯なんてするわけないし
まるでカノジョじゃないか

そうは言いながらも、僕は妙にドキドキしながら
その人の下着をビニールに入れ、

シャツとジーンズ、革ジャンを
乾くようにストーブの前に置いた。

シャツはテロンとした安っぽい生地で
あっという間に乾きそうだった。

革ジャンもどうも本革ではなく、
合成皮革のようだった。

どんな人なんだろう


とりあえず、シャワー室の前に
乾いたタオルと新品の僕のトランクス、
着てないジャージとトレーナーを置いておいた。

その間に死んでしまった仔猫の事もして
残って生きていた仔猫の世話をした。

薄い茶トラの雑種で女の子だった。
まだ目が開いてない。
小さな頭に申し訳程度の小さな三角耳

可愛い…

柔らかいタオルにくるんで
スポイトでミルクを与えると
夢中でスポイトに吸いついた

僕の片手に収まってしまう小ささだ。

「フフ…そんなにがっつかないで
ゆっくり飲んでいいんだよ」

ふと人の気配がして見上げると
その人が診察室の入り口に立っていた。

僕を真剣な顔で見つめている…

その鋭くセクシーな視線にドキッとした

「あ、今、仔猫にミルクを…」

「え?ああ、見ればわかるよ
シャワーと服、サンキュ」

見るからにジャージがキツそうだ

「小さかったですかね?」

「丈はぴったりだぞ?」

「あなた、ガタイがいいから。
あ、トランクスはあげます。返さなくていいですよ」

「何から何まで、悪いな」

「この子、女の子でしたよ」

「そうか?オンナか。うれしいな」

僕は一瞬、淋しい気持ちになったような
気がしたけれど。


「一通り、世話の仕方を教えますけど
本当に大丈夫ですか?
猫って飼ったことありますか?」

「実家にいた時、犬なら飼ったことあるけど」

「どちらが簡単とは言えませんけど
散歩とかが必要ない分、楽かもしれないですね」

「そうか。で、そうやってミルクをあげるのか?」

「育て方の小冊子をあげますよ。
でも、まだ小さすぎて…
自分で体温調節もできないし、結構大変です。
昼間はお仕事ですよね?」

「うーん、まあな。
仕事は時間の自由がきくから、なんとか。」

どんな仕事なのかな。
どこに住んでいて…あ、まだ名前も聞いてない

そうだ、書類!

「書類を書いてもらわないといけないんでした。
仔猫の埋葬とか、この子を引き取るにあたって。」

「わかった、どれ?」

「ここに名前と生年月日、住所と連絡先…」

「はいはい」

あ、左利きなんだな。

その人はスイスイと書類を仕上げていった

名前は チョン・ユンホ、僕より2歳上…
家はアパート、ここから歩くと20分くらいかかるな

仕事の欄で…躊躇していた。

無職とか?

「仕事は無理に書かなくていいですよ」

「うん、ちょっとなんて書いていいかわかんねぇ」

ん?どういう仕事なんだろ。

書類を受け取る時に思わず「ユンホさん…」と
名前の欄を読んでしまった。

「ああ、ユノでいいよ」

「あ、すみません///////ユノさん?」

「さん、なんていらねぇって。ユノで」

「でも、ヒョンなんですよ」

「そうなのか、でもいいよ、
センセーはなんて名前?」

「シム・チャンミンです…」

「なんで赤くなるんだよ、笑っちゃうな、マジで」

「あ、赤くなんてなってませんよ!」


「センセーは…」

「は?」

「センセー…いや、チャンミンは笑うと可愛いな
黙ってると綺麗だけどさ」

「な/////// か、可愛いって…そんなこと…」

「照れてんのもカワイイぞ」


完全にからかわれてる…

僕は少しムッとして、仔猫の世話に戻った。

「悪りぃ悪りぃ、怒んなよ
で?ミルクあげたら、どうするんだ?」

そう言いながら、僕の肩を抱いて
ミルクを飲む仔猫を見下ろしている…ユノ

勘弁してほしい…
僕をこれ以上刺激しないで…

抱かれた肩が、すごい熱を持ってるんですけど

「後は書いてありますよ、ここに。
まずは読んでみて、わからないことは聞いてください」

僕は少し早口になった。

「おぅ、わかった。読んどくよ」

ユノは僕の肩を2〜3回さするとさっと離れた。


はぁーーー寝れるかな今夜…


僕は書斎で寝ることにして
僕のベッドをユノに提供することにした。

シーツだけとりかえて、ユノを呼んだ。

「え?俺、ソファーでいいよ」

「シーツ替えちゃったからここで寝てください」

「センセーはどこで寝んだよ」

「ソ、ソファーです」

「ほら!そりゃねぇだろ」

「いいんですよ!もう遅いからここで寝てください」

「ダメだよそんなの
あ、一緒にベッドで寝ようぜ、な?
これダブルだろ?
男同士なんだから問題ないだろ」

「僕は問題あるんですよっ!!!」


「…………………」


「…………………」


「どんな、問題?」

「…今晩は…仔猫のそばにいますから」

「え?」

「とにかく、調べたいこともあるし。
僕の邪魔しないで。」

僕は自分の書斎に入り、ドアをバタンと閉めた



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ひだまりの匂い⑴

~~チャンミンside~~



雨がシトシト降る寒い夜更け

僕の動物病院のガラス戸をドンドン叩く音がする。

無視を決め込み、布団に潜った。

まだ叩く音は鳴り止まない。

近所迷惑なんだけど。

早くガラス戸を普通のドアにしたいな。

ドンドンと音はしつこく続いた。


「あーーー!もう!」


僕は仕方なく布団から出て
白いニットのパーカを羽織って
動物病院の玄関へ向かった。


カーテンの向こうには大きな人影
相変わらずガラス戸を叩いている。


古い木枠に古いガラスがはめ込まれた引き戸。
そんなに叩くと壊れるって。

僕は怒りに任せてカーテンを勢いよく引いた

ガラス戸の向こうの黒い瞳と目が合った

びっくりしたのか、ガラス戸を叩くのを止めたその人は

僕と同じくらいの長身で

整った小さな顔にかかる濡れた髪

切れ長のアーモンドアイに埋め込まれた
黒曜石のような黒い瞳

高く整った鼻筋

そして綺麗でスッキリとしたラインを描く顎

そのバランスの美しさといったら…

男性的なのに美しい…その人…

僕は突然目の前に現れたその人に…


見惚れた


その人は、僕を真剣に見つめていた

しばらくすると、その人は、ガラス戸を叩いていた手で、軽くコンコンとガラスをノックした。

僕はハッとして、我に返った。

ガラッと軋む音をたてて、ガラス戸を引くと
雨の音と共に、その人は飛び込んできた

「寒くて死ぬだろうが!早く開けろや!」

低くドスの効いた怒鳴り声

「な///////!!!!」


な、なんでこんな人を、僕は美しいなんて
思ったんだろう

さっき見惚れたことを瞬時に後悔した。


「あなたこそ、なんなんですか?!
こんな夜更けに近所迷惑なのがわかりませんか?!」

「だってさ、これ…。こいつら」

いきなりトーンダウンしたその人は
自分の懐から、まるまったセーターを出してきた。

調子狂う人だな。

それはセーターに包まった
産まれたばかりの仔猫が3匹。

「段ボールがあったのは知ってたけど
まさかこいつらが入ってるなんて気づかなくて」

さっと見ただけで、2匹は息をしてないことが
わかってしまった。

「こっちへ」

僕はびしょ濡れのその人から
仔猫を預かると、診察室へ通した。

ストーブをつけて、
乾いたタオルに仔猫を包みなおして
とりあえず暖めた。

そして、診察をはじめた。

その人は診察台の側に立って
黙って、僕のすることを見ていた。

「先生…どうだ?」

「残念ですけど、2匹はすでに息を引き取っていますね」

なんだかこの人に "死んでる" という表現は
しない方がいいような気がして。

「そうなのか?!どおりで動いてない、と思ったんだよ…」

「でも、1匹は息があるし、動いているので
助かりますよ」

その人は椅子に座り込んで、項垂れてしまった。

強面で、よく見ると服装もチンピラじみた姿なのに
意外な態度がまた僕の興味を惹いた。

なにより、とても綺麗な人なのだ。

下を向いたまま、濡れた髪をかきあげる
その手の美しさに、再び見惚れた…


僕は…昔から女性に興味がない。

好きになるのは男性ばかり。
男性としか、つきあったことがない。

そんな性癖についての面倒なことは
ま、いろいろとある。

でも、祖父から受け継いだこのボロい動物病院で
僕は静かに暮らしていた。

そう、静かに暮らしていたのに…


その人はいきなり、しゃくりあげて泣き出した

え…ちょっと…なに


「俺がもう少し早く気付いていれば
今朝からあの段ボール、置いてあったのに」

あ…そうだったんだ…

「今朝は生きてたのかなぁ…
先生、そこんとこ、わかるか?」

「たぶん、この仔猫たちは産まれて3日くらいしかたっていません。
外に出された時点でもうダメだったんだと思いますよ。
残ったこの子が強いんです。」

今のこの人に
これしか言えない。

「そうなのか?」

「でも、この子もミルクも飲まず
明日まではどうだったかわかりません。
あなたがこの子を助けたんですよ」

これで浮上してくれるだろうか。

「先生は優しいな」

「え?僕ですか?」

「俺に気をつかって、そんなこと言ってくれて」

「気をつかってるわけではありません。
獣医としての意見ですよ」

「ありがとな」

その人はフッと笑った。

キュッと細められ、弓なりに弧を描く瞳。
すっきりと口角の上がった口元から
真っ白い歯がこぼれる。


今夜、何度この人に見惚れているのだろう。

しかも、ありがとう、だなんて。
そんなお礼なんて言う人に見えないのに。

いろいろとギャップにやられて
僕の心臓はドキドキしっぱなしだ。


「あ、あの…2匹のことは僕にまかせてください。
きちんとしてあげますから」

「お墓とかにいれてくれんのか?」

「そうですよ。ちゃんと火葬もしてあげて
お墓に入れてあげます。」

「そうか!ありがとう先生」

その人はいきなり立ち上がり、僕の両手をとった。
えっと…手をにぎってますけど…

かなりガッツリと…

「あ、で…あの…この子はどうします?
僕が里親みつけましょうか?」

「俺が育てるに決まってんだろ?
こいつの兄弟見殺しにしちまったんだから」

「そんな風に思わなくても…
でも大丈夫なんですか?
飼うとなったら中途半端な飼い方しないでくださいね?」

「大丈夫だ。俺が責任を持って面倒みる」


キッパリと言い切ったその人の目は
切れ上がったアーモンドアイ。

真剣な表情がたまらなくセクシーに見える。


どうしよう………
たぶん僕は…この人が好きだ…



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憧憬〜あとがき〜



お話を読んでくださった皆様へ


今回の「憧憬」いかがだったでしょうか。

このお話に最後までついてきてくださって、本当にありがとうございます。

新年早々、ドラッグというタブーなモチーフを使い
ご気分を害された方もいらっしゃることと思います。
そこまでではない方もキツかったのではないでしょうか。

ホントにごめんなさい、です💦

自分との闘いを強いられ、
そこに誰かのために闘えるか?というチャンミンの試練があって。

そして、そんな弱さや強さを受け止めるユノの愛、
というところも私にとってはツボというか、
お話として、読んでみたかったのです。

少数の方にしか受け入れていただけないだろうな
というのは覚悟して書き始めたのですが、

せっかくいただけるようになった拍手などが
なくなってしまったらどーしよ?💦などという
不安も正直ありました💦

それでも拍手や温かいコメントいただけて
ホッとしたというか、それがなければ最後まで書けなかったと思います。

心より感謝しております✨

そしていつもながら、拍手コメの未公開コメには
お返事ができない設定で申し訳ないです。

ここでお礼をさせてください。
いつもありがとうございます✨

途中で「魂削って書いていませんか?」とコメントをいただいたのですが、思わず泣けてしまいました。うれしかったです。はい、削ってました(T ^ T)



強引で自信家、でも寛大でどこまでも深い愛を与えてくれるユノと、
そんなユノに小さい頃から憧憬を抱き、認めてもらいたくてがんばるチャンミン。

そして全力を尽くした結果、悲劇に見舞われてしまったチャンミン。

しかもそこからチャンミンは試練と闘い
ユノはあきらめずにチャンミンを守ろうとする。

だれもが認める美しい2人…


小さな頃の「大好き」が大人になって形を変えても
根っこの部分は全然変わってない

そんな2人を書きたかったのです。


いつもお話を書くときは、
思い浮かんだシーンがいくつかあって
それをどこかに入れ込みたくて頑張るのですが

大人になった2人が
自転車2人乗りで夕陽の中を走り抜けるシーン。
ここはもう最初からラストにすると決めていました。

そんな2人に、本来はライバルになるであろう
カイとテミンに登場してもらったのですが
結局は2人ともチャンミンの手助けをすることになります。

ユノに一時期は愛され
その深い愛情を受け止めるテミンが
自分の死を悟り、犠牲的愛情でユノを裏切る。

そして、チャンミンに自分の愛を託すという。

今回、自分で書いていてテミンには結構泣かされていたのです。
自分で書いてるのに、変ですよね(~_~;)

そして、同じようにユノに救われ、
恩返しとはいいながらも、実はユノに恋愛対象でみてもらいたかったカイ。

カイはチャンミンと通ずる心があります。

子供の頃からの絆って、お互いの素を知ってるだけに、
恋愛に発展したら、やっぱり強いですよね?

そんなこんなで、かなりハードな妄想にお付き合いいただいてありがとうございました。


次回は少しゆったりとしたお話になります。
大した事件は起きないと思いますが、
微妙な心の動きで進むお話になるかと思います。

チンピラユノ✖️動物病院のお医者さまチャンミン
です。

どう繋がるんじゃい?(笑)という声が聞こえそうですが
仔猫を拾ったチンピラユノさんが、チャンミンの動物病院を訪れる、というところからはじまります。

ヒチョリヒョンがまたホスト系で登場する予定です。
そしてやっぱり小悪魔テミンがはずせなくて💦
もう大好きなのです。すみません。


もしよろしかったら、続いて読んでいただけると
うれしいです。


かなり寒い毎日が続いています。
インフルエンザも流行っているようで
みなさま、どうぞご自愛くださいね。


百海


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憧憬(完)

〜〜チャンミンside〜〜


「社長!」


「なんだよチャンミン、まだ会社じゃないから
ユノって呼んで」

「今日は会議でしょ?!僕もう行くよ?準備あるから」

「なんで俺が秘書と一緒の時間に行くんだよ
重役出勤てのがあるだろうが」

「だから別々に行けばいいじゃん」

「やだっ!」

ベッドのユノが裸のまま、僕に抱きつく。
クシャクシャの髪と寝起きの顔が妙にセクシーで。

変な気持ちになってくるじゃん…


「あ、お前、シたいだろ?そう思っただろ」

「なに言ってるんですか///////」

「する?」

「昨夜、何回シたと思ってるんですか」

「3回」

「毎晩そんなにしませんよ、ふつー」

「煽られるんだよな、テソンに」

「まったく意味がわかりません。もう行きますよ!」



支度を整えて、着替えると
ユノは見違えて、若きリーダーの顔になる

家にいる時とすごいギャップなんだけど

でも、またそれが、なんとも…



会社に着くとテソンが待っていた

「チ、チャンミン///////おはよう!」
「お前は中学生か?!」

ユノがテソンに何かくだらないことを囁いている



「社長、今日のスケジュールですが…」
僕はユノの第一秘書を務めていた。

「ああ、頼む」

ユノは目を閉じて今日のスケジュールを聞く。
その顔が真剣でメチャクチャかっこいい

僕はたまに見惚れてしまい、言い淀んでしまう

「ほら、見惚れない!」
そう言って片目を開けてニヤッと笑うユノ。

「もう、全然勝てない…」

僕はタブレットを閉じて、ため息をつく。


「あ、そうだ、明日は午後から視察に行くから」

「どこへですか?」

「うん、ある場所。
俺が運転するから、俺とチャンミンと2人だけで」

「はい…」



その夜

ユノの腕の中の僕…

「ねぇ、明日どこへ行くの?」

「うーん、内緒」

「僕の知ってるところ?」

「どうかなー」

「なんで教えてくれないのっ!」

僕はユノに背中を向けた。

「明日になればわかるよ」




翌日、身支度をしていたら
ユノは普段着を着ている

「え?スーツじゃないの?」

「ああ、スーツじゃなくていいよ」

「そうなんだ…」

ユノはボーダーのカットソーに
下はハーフパンツだ。

僕も白いコットンシャツにハーフパンツにした。

ユノのカットソーはボートネックになっていて
その逞しい肩がチラっと見えて、なんともいい感じだ。

黒いレンジローバーに乗り込み
どこへ行くのかわからないままに出発した。


僕は途中眠気に襲われて、
眠ってしまった…



「チャンミン、着いたよ?」


ユノに起こされて、車を降りると


鼻の奥がツーンと痛くなって
涙がとめどもなく溢れてきてしまった



ここはあのジイさんの別荘



小さな僕たちが出会って遊び、
ユノへの憧憬をはぐくみ、
そしてファーストキスを奪われた思い出の場所。


泣きじゃくる僕をユノが抱きしめた

「そんなに泣くとは思わなかったよ
なんだよ、来たかったらいつでも言ってくれれば
よかったのに」

「だってさ…」

「もう泣くなよ、な?」


「あ、視察って、ここの開発?」

「お前さ、そういう流れになると思うか?」

「だって、昨日、視察って言ったじゃん」

「建設会社も呼ばずに、こんな短パンで視察かよ?」

「じゃあ、なんなの?」

「この別荘、メンテナンスしてこのまま俺たちで使おう」

「え?うそっ!いいの?」

「いいよ、俺たちの土地なんだし」

「だったらさ、ワイナリーにしていい?」

「いいけど?この土地でできんのか?」

「ジイちゃんが、ワイナリーにぴったりの土なのに
お父様たちが別のことに利用しようとしているって
怒ってたんだよ。
ジイちゃんの望みのワイナリーにしたい。」

「ああ、いいよ。」



僕はユノに肩を抱かれながら、懐かしい建物を一周した。
僕らの思い出話は尽きることがなかった。


「懐かしいね、なんだかさ。
僕はいっつもユノの後ばっかりくっついてて」

「俺にとって、チャンミンは
いつまでたっても小さなチャンミナなんだ
たぶんそこは一生変わらない」

「だからいっつも保護者みたいな事言うんだね?」

「ハハハ…そうだな、これからもずっとそうだ」

ユノの乾いた笑い声があたりに響く


「僕はいつまでもユノヒョンに憧れるチャンミナだよ」

「憧れてたか?」

「うん、強くて優しくて、カッコよくて
あの頃、みんなユノに憧れてたよ。

僕はユノの一番になりたかったんだ。

憧れのユノに注目してもらいたくて、もがいてた。


そこは小さい頃から変わらない。
子供っぽいけどさ。

それにユノといれば僕はなんの不安もないんだよ」

「カミナリが鳴る夜とか?」

「フフフ…そうだね」



僕がどんな時も、あきらめずに守ってくれた

僕には不安がなくなったわけではないけれど
ユノがいれば、きっと大丈夫。



「あ!チャンミン、自転車!」

ユノが物置に立てかけてある古い自転車を指差した


「2人乗りしようぜ!」

そう言って、自転車を持ってきてしまった。


「やだよ!こんな古い自転車、パンクしてるんじゃない?」

「大丈夫だよ!ほら後ろに乗って!」

「えー大丈夫?」

僕は恐々ユノの後ろに跨った


ユノの背中に掴まると、なんだかあの頃の僕たちに戻ったような気がしてきた



「しっかり掴まれよ、チャンミナ」

「うん!ユノヒョン!」


ユノは僕を乗せて、最初はバランスがとれなくて
ユラユラしていた。

そのうち、あり得ないスピードで自転車を漕ぎだした。

こ、こわい!自転車が壊れる!

「ぎゃー!こわいよ!そんなにスピードださないでぇ!」
「なんだよぉ!昔はもっとスピードだせ!って
言ってたぜ?!」

「だって!」



大男2人を乗せた自転車は悲鳴をあげながら
思い出の丘を猛スピードで走り抜ける



僕たちはずっと変わらない
今までも、そしてこれからも



大人になった僕たちの笑い声は
いつのまにか、甲高い子供のそれになり

丘に沈む夕陽へと吸い込まれていった



(完)



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