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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

夜香花(1)

~~~チャンミンside~~~


夜のソウル

比較的セレブな人種が集まる繁華街
その中でひときわ目立つ銀色のビル

僕はため息をついて、そのビルを見上げた



幼いころに両親を亡くし、身寄りのない僕を育ててくれた叔父夫婦

借金の保証人になってくれ、と言われた時にはあまり深く考えずにサインした
まさか、自分に返済を押し付けていなくなってしまうなんて思わなかったし


途方にくれた僕に、バイト先のカフェの店長が見かねて言った

「とにかくお金、というなら。。チャンミン、おまえなら稼げる仕事がないわけではないよ」

なんとも歯切れの悪い言い方に、普通の仕事ではないのだろうな、とは思ったけど
店長が紹介してくれたのは、ホストの仕事

「かなり高級な店だから、紹介じゃないと雇ってもらえないんだ。
でも、おまえなら大丈夫。」

仕事を選んではいられない

絶対僕には無理な仕事だけど、とりあえずやるしかないんだ

何度ため息をついても、時間はただ過ぎていくばかりだし。。


意を決して、僕は銀色のビルに入っていった。
エレベーターの7階で降りて、重厚なドアの前に立った

「クラブイースト」

今日からここが僕の職場だ
緊張しすぎて胃がきりきりと痛む

スーツなど持っていないから、とりあえずいつものジーンズとポロシャツ
用意は何もいらない、と聞いているけれど

それに、このドアから入っていいものだろうか?
従業員用の入口はないのだろうか?

迷っていると、背後のエレベーターが開いて一人の男性?女性?が降りてきた

女性かと思ったけれど、その声は男性だった
「お?もしかしてシム・チャンミン?」

「・・・はい、そうです」

その人は色白のきれいな顔をしていた
大きな瞳と赤い唇が中性的で、金髪に染めた髪にはゆるくウエーブがかかっていた

「怯えんなよ、とって食ったりしねえから」上質そうなスーツの上着を脱ぎながら

口角を片方だけあげてにやりと笑うその人は

「店長のキム・ヒチョルだ、よろしくな」


見た目の近寄りがたい雰囲気とは裏腹に

店長のヒチョルさんは丁寧に仕事の説明をしてくれた

緊張している僕を気遣ってか、気さくに冗談を交えながら

「それにしても、おまえはひさびさのヒットだな」

「は?」

「いやいや、よくこの仕事をやろうという気になったな」

「・・・・・・」

「まったく縁のない世界だろ?」

「・・・・はい・・あ!いえ・・でも・・あの・・」

「いいんだよ、事情があんだろ。ここはみんなナンカ抱えてるよ。男も、客のオンナも」

「・・・・・・」

「金か?この世界で成り上がろうってタイプにはみえねえな」

「・・・お金・・です」

「とにかくだ。ここに来た客に夢をみさせるんだ。それが俺らの仕事
客はその夢に金を払う」

はあ~

なんか余計に無理な気がしてきた。。。

女の子と付き合ったのなんてほんの2~3回、それもおままごとみたいな交際

女性をいい気分にさせる技術だって、なんにもないのに

「おい、シム・チャンミン、心配すんな」

「あの、僕、女性体験といってもですね。。」

「客がみんな百戦錬磨のオトコばっかり求めてるかっていったら、そんなこともねえんだよ
それぞれ持ち味ってのがあってな、チャンミンはそのスレてないところで攻めろ」

「攻めるって・・」

「あ~そこが売りだと心得よ、な?これは覚えとけよ?
間違ってもトップ連中のやつらのマネなんかしなくていいから」

そんなマネなんてできるわけないじゃん。。。
それにこの店長、悪い人じゃなさそうだけど、この店に似合ってないような。。

カフェの店長の顔をたてて、とりあえず今日はここで頑張らなきゃ
でも、僕にはやっぱり無理だ。。お金を稼ぐ手段はまた何か考えよう

そんなことを考えていたら、続々とこの店のホストたちが出勤してきた

「さあ、開店までやることいろいろあるからな」

と店長に背中をたたかれ、とりあえず僕は借りたスーツに着替えた

おしぼりの用意やら、掃除やらを済ませ
ミーティングの時間になり、僕はみんなに紹介された

ヒチョル店長はミノという、これまたホストらしくないホストに僕の世話を託した
ミノは僕と同じ25歳でホスト1年目
「緊張するよね、わかるよ。僕もそうだった」

なんでも聞けそうな雰囲気でよかった。。今日はミノのおかげで乗り切れそうだ

店長がこの店のナンバー2のシウォンさんのところへ僕を連れていった。
シウォンさんはいかにも高級ホストといった風情で、今夜も指名がたくさん入っているということだ。

「かわいいね、いいじゃない?今夜は僕のヘルプについてくれるの?」と掘りの深い顔立ちが華やかなシウォンさん

「いや、いきなりユノについてもらおうかと思って」と意味ありげな笑みの店長

「へえ~なるほどね、一発でホストの神髄みせちゃうワケ」

「?」

「さ、開店だ、今夜も夢を売ろうぜ」

重厚なドアを開けて、客を迎えるホストたち

次々に入ってくる女性客を騎士のようにエスコートするホストもいれば

甘えるように微笑みかけるホスト

なるほど、みんなそれぞれの持ち味で接客するってことか・・・

でも、店内でまったく動けずにいる僕をミノが助けてくれた。

「ここにいればいいよ。ユノさんにつくんでしょ?もうすぐ来るから。
すごいな、いきなりユノさんのヘルプだなんて」

「そうなの?」

その時、なにか普通ではない空気を感じてドアを振り返ると

その男、クラブイーストのナンバーワン、ユノが現れた

僕の人生はこの時から荒海への航海へ乗り出したのだった・・・・







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