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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

ひだまりの匂い〜あとがき〜




67話続いた「ひだまりの匂い」が終わりました。

今まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。

このお話のチャンミンの病気は
私の仕事の同僚が体験した「良性脳腫瘍」です。

半年仕事を休んでいた彼女と
同じ症状をほとんどそのまま、あてはめさせて
いただいてます。

いつも、そうなのですが
お話のテーマとか、趣旨とか
そういうものは特になくて

こんな状況だったら
リアルなユノとチャンミンはこう言うだろうな
こう行動するだろうな、
という妄想からなるものです。

お互いに恋をして、
相手にふさわしい自分になるために
いろいろ乗り越えた2人に
試練が訪れて…

せつないシーンも多いのですが
常に納得して生き方を決めようとするチャンミンは
意外にも前向きです。

そんなチャンミンを丸ごと受け止める
ユノさんの寛大さに書きながら1人萌えてましたw


今回、ちょっと書きたかったのが
ユノとチャンミンが完璧ではないところです。

事なかれ主義で、面倒なことから逃げるチャンミンと
やたらプライドが高く、ええかっこしいなユノさん。

それぞれの欠点をわかって、受け止めての恋愛。
だから喧嘩もするし、別れてしまったりするのでしょうね。

欠点のない人なんていないですもんね。



お話は文字から情景を想像してもらって
その情景は読む方それぞれの世界があると思うので
私のイメージをお伝えするのは控えてるのですが

今回は最終回で2人のスナップのような写真をいくつも貼らせていただいてます。

お話の中で最後にチャンミンが2人の思い出を
これから毎日写真にして残そうと考えていました。

それはきっとこんな感じのアルバムになるのではないかな?
という、私の想像です。

みなさまのイメージとは違いましたか?^ ^



そして今回、コメントから
ランキングが上昇していることがわかり
これはなにより読者様のおかげだと思っています。

本当にありがとうございます。


気にはしない、と言っても
やっぱり、ランキングをきっかけに
多くの方に読んでいただけて
共感してもらえるのは、とてもうれしいことです。

現にランキングから来ました、と書かれている方も多くて
効果は大きいのだな、と感じました


特に拍手は本当に拍手してもらってる気分になり
このシステムがある限り
FC2から出られそうにありません(笑)


でも、ランキング上位にこだわると
誰もが喜ぶ当たり障りのないお話を書こうとしてしまいそうです。

そうすると、自分の書きたいお話が書けなくなってしまうので

そこは拘らずに、マイペースで書いていこうかと
思っております。


みなさまと交わすコメントも、お話のことだけではなくて
リアルな2人のことだったり
仕事や生活、ご家族のことだったり
それがとても楽しくて^ ^

お話のことについても
どっきりするような理解をしてくださったり
私がモヤモヤしていることを
整理して語ってくださったりと
そのまま、書き手さんになれるのでは?
と思う方もいらっしゃいます。

かと思えば、叫びをそのまま書いてくださる方
チャンミンがんばってー!とか
泣けた。。。とか。

お話にハマっていただけてるのだなぁと
ほんとに嬉しいです。


あと、私の体調とか、毎日更新することの気遣いを
していただいたりと涙が出そうになります(T ^ T)

今、最終回付近でいただいたコメントをひとつずつ
読ませていただいています。
ゆっくりですがお返事させていただきますね。


私が一読者だった時は、書き手様にコメントを
したことがなかったのですが
今になって、あの時コメントすればよかったなぁ、と思います。
書き手様は喜んだだろうな?と。


あと、私はミスも多くて💦
誤って、書いてる途中のものをアップして公開してる、なんてことはしょっちゅうで

びっくりされた方も多いと思います💦

ほんとすみません💦

それと、いつもなのですが
拍手の非公開コメントにはお返事ができなくて
心許なく思っていました。

ar@@@@aさま、さ@@んさま、し@@まさま、ね@@さま、ne@@oさま、葉@さま、ま@さま、よ@@んさま、ラ@@@スさま、ら@さま

以上、「ひだまりの匂い」の拍手コメでお返事ができなかった読者さまです。
ありがとうございます。とっても励みになりました。

明日は、先日お知らせしました通り、
企画で短編を書かせていただくのですが

その後また、新しいお話を書かせていただきます。

よろしければ、またお付き合いいただけると
うれしいです。

新年度になって、新しい生活になる方もいらっしゃると思います

何かとドキドキな毎日かと思いますが
ユノとチャンミンに会える日を夢見て
お互いがんばりましょう


百海



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ひだまりの匂い(完)

~~ユノside~~



俺はスマホを耳に当て、呼び出し音を聞きながら
フロアに行った


「あ、もしもし?!ユンホさん?!」
「ソヨンさん、すみません、なんかずっと連絡…」



チャンミン………



俺はその姿を見て固まった

店のウインドウガラスをバンバン叩いている

それは、まさかのチャンミンだった


なんでチャンミンが…


「あのね、チャンミンがいなくなってしまって」

「………あ、あの、今、俺の店にきて…ます」

「やっぱり。明日でもいいから連れてきてくれるかしら…」

「あ、は、はい」


俺はスマホをポケットにしまうと
ウィンドウに駆け寄った


俺に気づくと、ガラスを叩くのをやめたチャンミン


なんだか、ファッション雑誌から飛び出してきたようなスタイルで…


ガラスを挟んで向かい合う俺たちは
まるではじめて出会ったあの日のようだ



ぼーっとチャンミンを見つめる俺に
ここを開けて、とジェスチャーするチャンミン


もしかしたら…

もしかしたら、お前は…



俺はロックを外して、そのガラスドアを開けた

ありったけの笑顔で、風と一緒に飛び込んできたチャンミン



「ただいま!」




そう叫んで俺の首に飛びつくように
押し倒さんばかりに抱きついてきた


まさか…


涙が出てきた…
景色がみるみる滲んでゆく


「ただいまって、おまえ…」

「ごめんね、遠回りしちゃいました」


「俺の…チャンミン?」


「そうですよ、僕のユノさん」


「…俺が誰だったか、わかるのか?」


「わかります。
今の、出会った時と同じでしたね
僕たちは逆だけど」


「飛び出してきたのか?」


「大丈夫、書き置きしてきたし。
ユノさん、あの施設に通ってくれて
ありがとう」




「あ…俺がなんで側にいたのか、わかるか?」

「離れないって約束したからでしょ?」


「俺がおまえにとって、どういう存在か…」

「恋人ですよ、僕の大好きな恋人」


「そういう関係だったんだぞ、覚えてるのか?」

「覚えてますよ。
はじめて過ごした夜のことだって覚えてます。
言う?」


「チャンミン…」


「ほんとにごめんなさい」


俺の顔は涙でぐちゃぐちゃだ…

チャンミンの表情が
俺の元に戻ってきたことを物語っていた


そんなチャンミンを見ていたら
心の奥底で抑えていた想いが一気に噴き出した


「俺…俺、待ってたんだぞ…
おまえ、全然起きないしさ…
起きたら起きたで…子供みたいになってるし」


「うん…」


「でも、生きてたんだから、
もうそれだけでいいって…俺…あきらめて」


「うん…」


チャンミンの目から大粒の涙がぽろぽろと溢れた


「だけど…俺…おまえに会いたくて…」


「ううっ…うん」


「会いたかった…ほんとに会いたかった…」


俺はチャンミンを抱き寄せた


「僕も…あなたがどんな思いで、
あの海の施設に通ってくれたのかと思うと…」


「う…ううっ…」


「いつも笑顔でいてくれて…ほんとうにありがとう…つらかったでしょう?」


「つらかったよっ!つらかったに決まってんだろ」


俺は泣きながらチャンミンをきつく抱きしめた


もうどこへも行かないように
チャンミンがどこかへ行ったりしないように


離さない…



「おかえり…」


やっと言えた…


「ユノさん…」


俺はチャンミンの耳たぶにキスをしてから
その聴こえるようになった耳元に囁いた

「おかえり、俺のチャンミン…愛してるよ」




チャンミンの嗚咽をなだめるように
その背中をさすった


「僕も…僕も…愛してます
やっと言えた…」



ばっちりキメて、爽やかに飛び込んできた
チャンミンとは反対に

汚いツナギでそれを受け止めてる俺。

きっとヘンな2人だ。


散々泣いて、お互いに顔をあげて見つめあった



どちらからともなく、俺たちはキスをした

俺はチャンミンの腰と頭を抱き込んで
何度も何度もくちづけた


それは今までの
幼いチャンミンにねだられてのキスではなくて


しっかりとお前を欲している
俺からの恋人のキス


「もう一度、よく顔見せて」


俺はチャンミンの顔を両手で挟み
その可愛い顔を見つめた



「よく思い出したな…」


俺はチャンミンの頭を撫でた


「絶対にあなたの元に戻るって、言ったでしょう?」


「うん、約束守っていい子だ」


チャンミンの顔がぱぁーっと華やぎ

俺の真正面から
ぶつかるようにキスをしてきた


ヒチョリヒョンが事務所から
戻ってきて


「あーあ、ガラス張りでギャラリーいんのになぁ」
とニヤニヤしていた。


「負けたわ、あたし。」

「は?ナレさん、何言ってんですか」

「見てよホジン、オッパの顔。あんな顔初めて見た
それに男のくせにあんなに綺麗じゃ、あたしでも勝てないわ」


「ナレさん、ユノさんとどうにかなろうとしてたんですか?ムリに決まってんじゃないですか。そんなの…ムリですよ…」


「なんであんたが寂しそうな顔すんのよ」

ナレがホジンをどつくと、
ホジンのメガネが飛んだ

「割れたらどーすんですか?!」


「お!なんだよ、ホジン
おめぇ、イケメンじゃんか!
なんでコンタクトにしねぇんだよ」

メガネを拾ってやりながら
ヒチョリヒョンが驚く


「イケメン?」

「自分でもイケメンだと思うだろうが」

「メガネとったら、鏡みても何もわかりませんから」

「あーそういうことか。おめぇ、ウチのホストになんねぇか?」

「な、何言ってんですか、ヒチョルさん」

「ナレも真っ赤になってることだしよ?」

「は?あ、あたし?あたしは何も…」

「なんでナレさんが赤くなるんですか?」

「う、うるさいわね!とにかく、あんた
コンタクトにしちゃダメだからね」

「他の女が目つけたら困るもんな?ナレ」



抱き合う俺たちの
後ろがギャーギャーとうるさい


チャンミンは俺の肩越しにその様子を見ていた


「ねぇ、ユノさん」

「なんだ?」

「あの2人のバイトは、僕的に少し問題アリですね」

「え?なんで?」

「カンっていうやつです。
次からは、バイトの面接は僕にさせてもらいます」


「は?ま、いいけど…
なんか、チャンミン少し変わったな…」

「手術して、リハビリして
アップデートされたんですよ」


「アハハハ…いいな、それ。」


「そういえば、わかってない僕に何度もキスしましたね」

「だって、お前がしてって言うから…」

「舌いれなかったから、許すけど
僕、嫉妬するって言いましたよね」

「だから毎回ごめんね、ってお前に謝りながら
キスしてた」


「ふぅ〜ん」


「あーあ、幼いチャンミン、可愛かったんだよ
子犬のぬいぐるみを診察してたりさ」


「そういうのがお好みなら
いくらでもやってみせてあげます」

「アハハハ…ほんとに変わったなー」



「ユノさん、あなたはいつも変わらない」



「そうか?」

「変わらないで…ずっとあなたのままでいてください」

「ああ、俺はずっとお前のことが変わらずに好きだ」

嬉しそうに微笑むチャンミンが可愛い


「僕ね、これからは毎日写真撮ろうと思って」

「なんで?」


「やっぱり思い出って、大事ですよ」


「そうか?」


「いつか何かあった時、
思い出が僕たちを助けてくれることがあると
思うんです」


「思い出をなくしたお前だから…わかるのか」


「今日の一枚の写真が歴史になって
いつか僕たちの励みになるんですよ」


「じゃ、今日はチャンミンのご帰還で
写真撮っとくか」


「はい!撮りましょう!」



俺たちはこれから、毎日愛し合って

それを少しずつ積み重ねていくんだ。


チャンミンの手術で
2人一緒にいることは当たり前ではないってことが
よくわかった


いつか、どちらかが先に
この世を去る時がきても

俺たち2人の思い出は消えない


だからきっと寂しくない



俺はチャンミンの笑顔を見て
そんな風に思った

チャンミンも同じようなことを、考えてくれていて
うれしかった


俺のスマホを勝手にポケットから取り出して
俺の頭を自分に引き寄せて写真を撮ろうとするチャンミン

俺はシャッターとともに
すかさずチャンミンにキスをした


驚くチャンミンにキスをする俺


今日の一枚はそんな2人だ

明日はどんな写真が撮れるだろうか









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ひだまりの匂い(66)

〜〜ソヨンside〜〜


ユンホさんが急用だというので
サービスエリアから、私がチャンミンを引き継いで
施設に戻ることにした。


「ユノさんと今、離れたらダメなのに…」

「チャンミン、大丈夫?」

「僕とユノさんて…男同士だけど
あの…恋人だったと思うんです」

「チャンミン…あなた、話し方が…」

「はい?」

「あ、いや…あ、それはユノさんが言ったの?」


さっきユンホさんが、チャンミンの話し方がもとに戻った気がする、と言っていたけど…ほんとだ


「いえ、自分でわかりました」

「え?!ほんと?!」


「今、ユノさんに会いたいです。
一緒に帰ればよかった…
今は離れたらいけない気がして…」


「あ………あの、チャンミン
施設で診察受けましょう、ね?」



チャンミンの診察の後
医師とスタッフとの面談があった

「ソヨンさん、彼は新しいことを覚えたりするのは、もう問題ない?」

「そこは大丈夫ですね」

「すぐ失神したりするのは?」

「ないですね…3日間ないです」

「記憶は?」

「記憶は完全じゃないんですけど
感情はかなり戻ってきたみたいで」

「退行は?」

「話し方が変わりましたね。成人の話し方です」



「かなり良さそうだけどね
うーん、もう少し様子をみましょう」


「そうですね」


ドクターからいくつかの行動範囲を広げる許可がでたけれど

チャンミンは焦ってイライラしていた


次々といろんなことを思い出して
埋まってゆく思い出のパズル


完成にならない最後のピースがなんなのか
私にはわからないけれど


チャンミンがユンホさんを恋しがるのは
以前の保護を求めるものではなくて

明らかに、それは恋愛感情だった


手放しでよろこんでもいいのものか
あまりにもいろんなパターンをみてきたものだから
安心できずにいる。


幼くなってしまったチャンミンを前に
自分の感情を押さえ込んでいたユンホさん


悲しみを隠して、笑顔でチャンミンに接する姿に
とても感動して

私が2人の幸せを願う気持ちは
仕事のそれを超えていた


チャンミンの想いは虚しく…
ユンホさんはなにかトラブルがあって
この施設には何日も来られなくなってしまった



手術で剃ってしまったチャンミンの頭髪は、
その傷口を隠せるほどには伸びてきて

少しクセ毛の茶色の短髪は
チャンミンをヨーロッパの男の子のように見せていた

冬物が必要なチャンミンは
ネットでいくつか洋服を買ったのだけど
丹念に雑誌などで、コーディネートを考えたりしていた。


ある朝、チャンミンはその届いた服を着て
私達スタッフに見せに来た

黒いタートルセーターに
黒い細身のパンツ、黒のローファー

その上に薄いグレーのチェスターコート。


それはもう、雑誌からそのまま飛び出してきたように素敵で

元々、長身でスタイルがよく、モデル並みのルックスを持つチャンミンは

みんながため息をつくほどに、よく似合って素晴らしかった。



「砂浜で散歩してきますね」


「そんなカッコで砂浜?
砂だらけになっちゃうわよ。
約束の時間までには帰ってきてね」

「はい」


そして、チャンミンは帰ってこなかった…



[ ユノさんのところに帰ります。本当にすみません。でも大丈夫ですから ]

との書き置きをみつけたのは、
みんなが、チャンミンを探し始めてすぐのことだった

ユンホさんに連絡をとりたいのに
携帯が全然繋がらない

警察にも連絡しないといけないけれど
きっとユンホさんのところに行ったのだろうから
騒ぎになるのもどうかと…

みんなで悩みつつ、繋がらないユンホさんに
連絡をとり続けていた



〜〜チャンミンside〜〜


僕は頭痛を耐えた

なにかを思い出す度に、起こる頭痛…

でも、思い出したかったのだ

僕とユノさんのすべてを

僕とユノさんの歴史のパズルに
すべてのピースを埋めたかった


2人で映画を見たこと

一緒に暮らし始めた日

はじめて体を繋げた日

ユノさんの誕生日や僕の誕生日

殴られて血だらけだったユノさん

別れの日

追いかけてきてくれたユノさん

抱きしめて、キスをして
「愛してる」と言って見つめあって


そして、僕はあなたの元に、僕として帰ってくると

そう約束したんだ


最後の花火、最後のくちづけ


あなたの唇をなぞりながら
あなたの言葉を読み取っていた日々


手術の恐怖で不安な日々を
僕は濃密にユノさんと過ごした




僕は新調した冬物の服を着て、コートを羽織り
とびきりカッコよくして、あなたに会いに行くんだ


冬の足音が聞こえる砂浜に
両手を挙げて飛び出した


さようなら!この海!



冷たい風にコートの裾が翻る
僕の短い前髪が乱される

ユノさん…

ユノさん


僕は、あなたの名前を呼ぶと
こんなにも幸せだ


僕は目を閉じて
冷たい風を顔に受けながら、波の音を聴いた


約束通り、この海に僕を連れてきてくれたんだね
それなのに…悲しませてごめん


約束を守れてなかった僕を
それでも優しく包み込んでくれた


そんなあなたは
僕の唯一無二の存在、僕の全部、僕の人生



長いこと聞いてなかった
あなたの「愛してる」が聞きたいんだ

あの優しくて低くて、甘い声



砂浜を走る僕は、こんなに笑顔で
この笑顔をあなたにみせたい


愛してるよ、ユノさん


僕のパズルはすべて埋まった
僕の最後のあなたとの記憶は

「いってきます」


だから、ただいま!と言ってあげる


僕はUターンすると、今度は砂浜から丘にあがる
緩やかな坂道を駆け上がった



あなたはどんな思いで、この坂道を
車椅子を押しながら僕と会話してたのか

そんなあなたの心を思うとせつなくて
早く会って、ユノさんを抱きしめたかった


僕は、無人駅から電車に乗った


ソヨンさん、ごめんね

ユノさんにどうしても会いたいんだ



〜〜ユノside〜〜


チャンミンともう少し過ごしたかったけど


店で食中毒の疑いがでた

飲食店として致命的なトラブル…


ヒチョリヒョン1人にまかせることはできなくて
ここ数日、毎日夜中まで対応に追われていた

やっと、その疑いが晴れて
明日から普通に営業ができるようになった

今日は一日閉店したまま、明日からの営業の準備だ。

「ホジン、もうすぐ受験なんだからさ
そろそろ、バイトも辞めないといけないんじゃないか?」

「こんな大変な時に何言ってるんですか!
勉強ならキチンとしてるから大丈夫です」

「失敗したら、俺のせいとか言われんのイヤだぜ?」

「僕は人のせいなんかにしませんよ」


「2浪したらシャレになんないわよ」

結局はウチでバイトしてるナレが捨て台詞を吐く

「僕は浪人はしてませんから」


まあ、とにかく…

これで明日の午後には施設に行けるかな

チャンミンに会いたい…


話し方も戻ったみたいで、この間はもう少し
様子を見たかったのに


そんなことを考えていたら


テミンが俺のスマホを事務所から持ってきた

「ヒョンのスマホ、ずーっと鳴ってますよ
施設からだけど、マズイんじゃない?」


「え?!マジか?!」

「店長!誰か店のガラスドアを叩いてます!来てください!」


今日はいったいなんなんだよ


俺はスマホの着歴をタップしながら
店のフロアに行った



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「ひだまりの匂い」は明日31日が最終回となります

ひだまりの匂い(65)

〜〜チャンミンside〜〜


夜中に目が覚めた


ユノさんに後ろから抱きしめられ
ミィも僕の首で丸くなっていて


僕はこれじゃあ、動けないよね


少し可笑しくなったけど

暑くて水が飲みたいから
ベッドを出た


ミィが起きて僕についてきた



水を飲んでいると
ミィが玄関へ行こうとする


「外はダメだってユノさんが言ってたよ?」


ミィは一度振り向くと
また玄関の方へ行った


僕は心配でついていくと
診察室のドアがぼーっと光っているのが見えた

中に電気がついてるのかな?


そのドアの前で、ミィが開けて欲しそうに
ドアを引っ掻く


「ユノさんがここには入っちゃダメだって
いろんな危ないものがあるからって」

そう言ってるのに…


でも可哀想になって、僕はドアを開けた


すると中から眩しいくらいの光が漏れて
目が痛くなった


この部屋はなんだろう?
ああ、やっぱりここは入っちゃいけないんだ

ユノさんに怒られたらイヤだな…


でもミィは入ってしまった

僕は連れ戻しに、眩しいのを我慢して部屋に入ると


とたんに光は落ち着いて
少し暗い診察室の椅子に誰か座っていた


「じいちゃん!」


会いたかったじいちゃんが
その椅子に座って優しそうに微笑んでいた
その膝にはミィが座っている


いつも僕に優しかったじいちゃん


みんなに「変わり者」と虐められた時は
じいちゃんの膝の上で、よく泣いた


" チャンミナは変わり者なんかじゃないよ
素直でとってもいい子だ。そのままでいいんだよ "


その優しい声を思い出して、涙が出てきた…


僕は思い出のパズルをはじめてから
初めて泣いた


「じいちゃん…会いたかったよ
どこに行ってたの…」


「チャンミナ…ごめんな
じいちゃん、チャンミナをひとりにして」


「ううっ……
違う…違う…そうじゃないんだよ」


「チャンミナ…」


「僕のせいだった…僕が…そうだ、僕が
叔父さんのところに行かないって言ったから

それで…それで、電話に出なかったから
じいちゃんが…僕に会いたがっていたのに」


「チャンミナのせいじゃないよ」


「僕が悪いんだよ…ごめん…じいちゃん」


「チャンミナは、この動物病院を守ってくれたじゃないか…」


「でも…今、僕はこんな状態で、ユノさんにも
迷惑かけてる…」

え?

「えっと…迷惑かけてる…と思う」


なぜそう思うのだろう

僕はなにを…


「チャンミナ…お前は大丈夫だ」


「じいちゃん、僕は大丈夫なんかじゃないんだよ」


「チャンミナ…パズルのピースはたくさん落ちてるよ」

「そう…なの?」



「ユノさんは今、楽しそうか?」


「どうだろう…楽しくないと思う」

「なんでそう思う?」


「ユノさんはいつも悲しそう…
そう、ユノさんは僕を見て笑ってくれるけど
悲しそうなんだ」



「待ってるんだよ
ユノさんはチャンミナ、お前のことを待ってる」


「わかってる…」


そう…ユノさんは僕が…僕が…

僕はわかってる…

でも自分が何をわかってるか、それがわからない


微笑む白衣のじいちゃん

「もう、じいちゃんは帰らないといけないから」


「まって!
あのさ…じいちゃんは
あの時、最期の時、僕になにが言いたかったの?」


「お前のせいじゃないって
それだけ言いたかったんだよ」

「じいちゃん…」


「もう、自由になったらいい」


ごめん…ごめんなさい…


じいちゃん、ごめんなさい…


ほんとうにごめんなさい…


ごめんね、ユノさん…

ユノさん…

僕の愛しい人…



" お前さ、絶対にどっか行くなよ?
ただ、帰ってきたって…ダメなんだぞ…"

あの人の唇はそうやって言葉を紡いだ


" 絶対、また来てくれよ、な?"

これはあの人の声…

声が聞こえる…

はるか昔に聞いた…愛しい声



" 先生に…チャンミンに会いたい!
行っていいか?"


" 今日は俺の誕生日だから、チャンミンといる"


"チャンミンがそばにいてくれるだけで
最高のプレゼントだよ "


" 俺の気持ちに…名前がついてよかった "



その綺麗な顔と、甘く低い声と、僕の想いが

ひとつになったような気がした





「チャンミン?薬の時間だから起きて」

「ん………」

「薬飲まなきゃいけないから、起きて」

「うん…あれ?ミィは?」

「ミィはひなたぼっこだよ」


「そうか…」


ユノさんが不思議そうな顔をしている


僕は立ち上がって、ユノさんの顔をじっと見つめた

「チャンミン?
今日は顔つきが違うね?」


なんだろう

ユノさんの顔を見ていると
なにやら説明のつかない感情が湧き上がってくる


「キス…してくれる?」

「ああ、いいよ、おいで」


ユノさんはいつものように、
僕を抱きしめてキスをしようとした


その時、また別の怒りにも似た感情が湧いてきて
僕はユノさんを突き飛ばしてしまった


頑丈なユノさんは、僕の力なんかで
倒れたりはしなかったけど

「なんだよ…」


その顔が、最近のユノさんじゃなかった
僕を子供のように扱うユノさんじゃない

でも、なぜか懐かしいユノさんの表情


「なにしてるんですか?誰にキスしてるの?」

「チャンミン…お前…」


しばらく僕たちは見つめあった


この気持ちはなんだろう
自分で自分がコントロールできない


「ごめん…なさい」

「いや、いいよ。いいけど…」


僕たちは黙って朝ごはんを食べた


「今日はなにをするの?」

「残念だけど、仕事しないといけなくなって
今日は海の家に戻らなきゃ」

「海の家って施設?」

「え? あ、そう…施設…」



ユノさんが荷物を作って、
僕たちは車に乗り込んだ


夜中に夢を見てから
僕は頭の奥で頭痛がしている

でも、これを言うと僕は薬を飲まされて眠らされてしまう

今、眠るわけにはいかない

なぜかそう思った


ユノさんは誰かと電話している
何か難しそうな顔をしているけど
その話は僕の頭に入ってこなかった


高速道路のサービスエリアについた


「チャンミン、俺、もう戻らなくちゃならなくて
ソヨンさんがここに来てくれるから
ここから、ソヨンさんの車に乗り換えて帰って」


「…うん…でも何か飲んでもいいですか?」


「チャンミン…」


なんでそんなに驚いた顔をするんだろう


「何か飲みますか?
ユノさんの分も買ってきます」

「戻った…のか?」

「はい?なにが?」


「いや、あ…うん…ソヨンさん来るまで時間あるから…でも、買い物はできる?」

「は?できるに決まってるじゃないですか」


「じゃ、…じゃ、これで買ってきて…俺はコーヒーで」

「はい」



僕はコーヒーを2つとって
混んでるレジに並んだ


やっと自分の番がきて
お金を払おうとユノさんの財布を開くと



" ユノさん 愛してる "



財布に挟んだノートの切れ端が、僕の目に
いや、僕の頭に飛び込んできた


それは衝撃的に…

そしてあまりに突然に…



「お客様?お支払いを…」


レジの男の子の声がすごく遠くに聞こえてる


これは…僕の字だ


僕があなたを思ってひとり夜中に書いた
泣きながら書いたんだ


僕は1人で生きていく決意をして
あの夜、いろんな計画をたてた



" 俺を解放してくれ "

あ………僕が…1人でいようとした理由は



「チャンミン、みんなの迷惑になってる」

ユノさんが僕の腕をつかみ
僕をレジの列からひっぱりだした


「どうした?チャンミン…」

「あ………」

「大丈夫か?」


僕のこの想いはなに?


あなたの顔をみてるとひどく懐かしい気持ちで
泣きそうな気分になって
心臓がドキドキしてくる


「ソヨンさんが来たから。
飲み物も買ってきてくれたし
海の家に帰ったら、ちゃんと薬飲むんだぞ?」


今、離れたくないんだけど…


でも、ユノさんは…無情にも急いで
自分の車で帰ってしまった…



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ひだまりの匂い(64)


〜〜ユノside〜〜



「まだちょっと早いような気もするけれど
やってみてもいいかもしれないわね」


チャンミンを家に連れて帰ってみることを
ソヨンさんに相談した


「ええ、辛そうだったらまた連れてきます」

「誰か必ずついていないとダメよ」

「チャンミンがいる数日は休みをもらってますから
大丈夫です」


「奇跡を期待してるわ。いきなり完治する可能性だってないわけじゃないのよ」


奇跡…

そんなに可能性の低い話なんだな…


「はい」



風の穏やかな少し寒さの柔いだ日

俺は青いバッグを持ってチャンミンと施設を出た


「チャンミン、無理にいろいろ思い出そうとしちゃ
ダメよ」
ソヨンさんにコートを着せてもらうチャンミン


「はーい!」

「さ、行こうか」


「ねぇ、僕、やっぱり子犬たちを連れていきたいんだけど」

「ウチにはホンモノの猫がいるんだぞ?」

「一匹だけいい?」


「ああ、ここで待ってるから
連れておいで」


「ユノさん、ありがとう」


ほとんどしゃべらなかったチャンミンが
最近はよく話す…


挨拶もできるようになり
笑顔も少しずつ見られるようになった。


でも、笑顔を見ると…俺はつらい


俺は、チャンミンの笑顔が大好きだったんだ

可愛いあの笑顔を見るとたまらなかった


今、車の助手席でチャンミンは眠っている

このあどけないチャンミンはきっと
小さいころのチャンミンなんだ


神様は俺に
小さい頃のチャンミンを見せてくれているんだ


家に着いた。

チャンミンがどんな反応をするか
俺は緊張した。

「覚えているよ!ここ僕の家でしょう?」


はしゃぐチャンミンは
車から降りると走って引き戸まで行き、止まった


その引き戸に手をかけて、考えている


「前は…これじゃなかったよね?
これって、ユノさんが…作ってくれたんだっけ?」


「俺が…注文したんだよ。
忘れてないんだ」


「今、思い出したの…」


考え込むチャンミン…
頭痛が来ないといいけど


「ここから…覗いてたのは…
ユノさん?」


…覚えてるのか…


「ああ、はじめて会った時にね」


チャンミンは引き戸から離れて後ずさりした


大丈夫かな。


結局俺の元に戻ってきて、背中の後ろに隠れてしまった。


「戻るか?海の家に」

「戻る…」


やっぱり、戻るのは早かったか…


俺はため息をついて、
後ろに隠れたチャンミンに向き直って抱きしめた


「わかった、帰ろう。
でも、ミィにご飯をあげてくるから
車の中で待ってられる?」


「1人になってはダメだって、言われてるから」


「そう…だね。じゃあ、背中に隠れてていいから
ちょっとだけ、この家にはいるよ?」


「わかった」


チャンミンは俺の背中に隠れたまま、
俺のパーカーの裾をギュッと握る


引き戸を開けると、ミィが迎えに出た

チャンミンは俺の背中から顔だけだして
ミィを見ている

ミィはチャンミンの足元に擦り寄り
可愛い声でひとしきり鳴く


「可愛いなぁ」

「だろ?」

ミィのことは…忘れているんだな


「ユノさん、僕、大丈夫みたい。
この家に入ってみる」


「そうか?無理するなよ?」

「大丈夫」


ダイニングに入ると…


「母さん?」


あ…まずいかな…


「あれ?」

今、どの時代のチャンミンなのだろう

「父さんと…あ…」


「亡くなったんだよ?事故で」


「うん…そうだね。」

「わかってる?」


「うん…」

「大丈夫か?」



ミィがチャンミンのそばから離れない


その足元にぴったりくっついて
チャンミンの行くところについてくる

まるでチャンミンを守るように。



家の中をくまなく見ていくチャンミン

いつ頭痛がくるか、気が気ではない



「僕は…僕は本当にいろんなことを忘れているんだ」

「そうだね」


「でも、わかる。ここで生活していたのは本当だね」


「ああ、そうだよ。本当のことだ。」


俺と愛し合い、いろんなことを乗り越え
ここで生活していたんだよ



「お前は俺のことを…たくさん愛してくれた」

思わずそんなことを、ぽつりと口走っていた


「愛してくれた?」


「過去形だな…アハハ」


「どういうこと?」

「なんでもないよ」



「僕…ここで生活していたの、わかる。
ここで暮らしていたのは、たしかに僕だね」

「ああ、そうだよ」


「忘れていることを思い出したい…」


「チャンミン…」



「パズルみたいになってる。
ソヨンさんたちがいつも言ってることが
やっとわかった」


「ああ、思い出がパズルみたいに抜けているって」


「もっと大事なことが…」

「チャンミン」


期待した………


ドラマみたいにここで全部思い出して


俺を愛していたことも
俺に愛されていたことも

ここでたくさん愛し合ったんだ


テーブルには読唇術の本が置かれていて
チャンミンはそれを手にとってパラパラと眺めた


この間まで、字が読めていなかったけど
読めるようになってるみたいだ。


心臓がドキドキしてきた。

チャンミン…


でも、チャンミンはそこでアウトだった


「頭が痛い…」

「ああ、もうそこまでだ。先に薬を飲もう。ベッドに横にならなきゃ」


チャンミンに薬を飲ませ
ベッドに寝かせた


「ユノさん、僕、ユノさんのこと、好き」

「俺もチャンミンが好きだ」


「キスして、覚えたよ、キスだよね?」

「ああ、いいよ。」

そっとチャンミンにキスをした。


「ユノさんにキスしてもらうと
頭痛いのなくなるよ」


「そうか?じゃもう一度してあげるから
それで眠って」


そう言うと、瞳を閉じたチャンミンの
柔らかい瞼にくちづけた


いつもいつも、泣きそうなキスだ…


おやすみ、チャンミン…


このベッドを一緒に買いに行ったことも
思い出すといいのに。


チャンミンがベッドに入ると、すかさず
ミィがチャンミンの首元に収まった


チャンミンが眠るのを見届けて
俺はシャワーを浴びた


少し熱くしたシャワーが、俺の肌を勢いよく叩く
丸くなった水滴が、次々と足元に落ちていく

片手を壁について、
もう片方の手で、前髪をあげると
熱いシャワーがダイレクトに顔にあたる

うつむいたまま

あの日を思い出していた


チャンミンが目覚めなくて
手術から3日ほどした病院


ヘジンさんやらヒチョリヒョンがお見舞いに来てくれて
玄関まで送ると、ちょうどキムドクターがタクシーを待っているところだった。


キムドクターの方から声をかけてきた。

よかったね、みたいなそんな感じの挨拶をされて

俺は思い切り違和感を感じた




「ユンホ君、手術自体は成功だったんだよ。ほとんどの腫瘍をとりきれたんだから」


「は?成功? チャンミン起きませんけど?!」

俺はドクターに掴みかかった


ヒチョリヒョンやテミンに羽交締めにされ

ドクターから引き離された俺。

ドクター は怯えることなく
俺に近寄って、語りかけていた


何を語られたのか、あの時は興奮してわからなかったけど

今はなんとなく、わかる


生きていたんだから、よかったんだ

チャンミンは生きていて
無心にぬいぐるみの診察をしている

食べ物も美味しそうに食べる

海が大好きでよく行きたがる


それ以上、望むことなんてあるのか。



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