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プロフィール

百海

Author:百海
百海(ももみ)と申します。ホミンペンです

死神の恋〜あとがき〜


百海です

今回もお話を読んでいただいて感謝しております。
たくさんの拍手やコメント、ありがとうございます

今年の日本の夏はおかしなことになっていて
関西の台風や北海道の地震など…

読んでくださっている方の中にも停電で苦労されている方もいらっしゃいました。
みなさん、どのような生活を送られているのでしょうか。。。

どのような状況でお話を読んでいらっしゃるのか
とても気になります

私も東日本大震災で不便な生活を強いられた経験があるので、不安な気持ちはわかるつもりでいます。

少しずつかもしれませんが、以前の生活にもどれるよう
お祈りしております。


今回のお話は(も)無垢なチャンミンと、カッコいいアニキなユノでした。

まさにchance of loveの2人がイメージで
拍手画像にも使わせていただきました

チャンミンは死神天使なので、人間の常識はあまり通用しません。
なので、セックスにお金が絡んだりすることをなんとも思ってないし、なんでもすぐ顔や態度に出してしまう
とても可愛いチャンミンです。

チャンミンはきっと、悪事を働いた人間をいたって冷静にドライに地獄へと送り込んで、そのことについて特に心に衝撃もうけていないようです
淡々と仕事をこなしていたのですねw

ユノはいわゆる「コッチェビ(浮浪孤児)」のような育ち方をして、この世を這いつくばるように生きてきました。

生きる為、という名の元、詐欺や偽造を働くことに罪の意識がとても薄いです。

そんな2人が恋をする、というファンタジーなのですが
安易に魔法使いモノにならないよう考えながら描いてみました。

最後、2人は人間としてずーっと一緒に暮らし、見事に添い遂げました。
その間にはきっといろんな困ったこともあったかもしれない。
相手に不信感を抱くことさえ、長い人生にはあるかと思います。

それでもチャンミンは限りある命をユノと紡いでいくことができて、とても幸せだったのだと思います

チャンミンは自分を愛してくれたユノに感謝をして
ユノは自分の人生を輝かせてくれたチャンミンに感謝をして…

きっとユノが天に召される時には
チャンミンが迎えに来てくれることでしょう

そして、2人でずっと天国で暮らすことと思います

このお話の中で、テミンがやり残した仕事を選び
チャンミンに下界への研修を譲りますが

おそらくテミンは、すべてわかっていて
下界に行くことはなかったのだろうと思います。

大好きな友達を天国へ連れて行ってあげて
きっとチャンミンのことも迎えに来てくれたのかもしれません

イジワルな物言いをしながらも
チャンミンとユノの事をずっと気にしていたテミン

もしかしたら、テミンはルカだったのかもしれないですね

テミンやチャンミンがどこから来たのか
ユノはこの先、死神だったチャンミンを思い出すのか
バインダーに何が書いてあるか、わかるのはいつ?

それは読んでくださる方の想像で
いろんなカタチがあっていいのかな、とも思いました。

今回も、テミンが天国に送り届けたい友達は実はチャンミンなのでは?といくつかコメントいただいて、なぜか涙が出てしまいました(´;ω;`)
それってとてもステキな筋書きですよね

いよいよリアルでは2人のツアーが始まりますね!

なかなかチケットがとれず苦戦していますが
初日が私の地元なので、とても楽しみです!

また、新しいお話をアップしたときは
遊びにきてくださいね

それまでみなさま、体調をくずされず毎日をお過ごしください(^人^)






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死神の恋 完




「ねぇ、君、ちょっと」

「はい?」


振り向くと、綺麗な男の人が立っていた


「君、ボーイズエンジェルのテソンくんだよね?」

「あ、はい、そうですけど」

「ユノさんのところ、僕と交代になったから」

「えっ?僕、指名ですけど。ってかユノさんは常連さんだし」

その人は一瞬怒ったような顔をした
かと思えばすぐにニッコリと微笑んだ

「チェンジになったんだよ。
もう帰っていいから」

「…あ、そうなんですか…じゃあ、はい…」


テソンは戸惑いながら、仕方なく帰っていった

テソンはユノの元へ行くことを楽しみとしていたので
ちょっと不服ではあったけれど

抗えないオーラがその人にはあった




アンバランスな古い音を立てて、
ユノのボロ屋のチャイムが鳴る


「はーい」

ユノが崩れそうなドアを開けると
見知らぬ男が立っている

すごく綺麗な男だった

「あ…あれ?テソンは…」

「すみません、急遽チェンジになりました
はじめまして。僕はシム・チャンミンです」

「え?チャ…?」

戸惑うユノを家の中に押しやり
半分強引にチャンミンが部屋に入ってきた

「!」

ユノの目の前に可愛い天使のような微笑み

「よろしく、ユノ」

「え?あ、ああ…」

「お気に召しませんか?僕のこと」

戸惑うユノに、シム・チャンミンから笑顔が消えて
泣きそうな顔になる

それがまた、たまらなく可愛い

「いや、いやいや、全然そんなことない」

ユノはブンブンと両手を振った

「そう、よかった。」

シム・チャンミンは本当にうれしそうに微笑み
ユノはその笑顔に釘付けになった


「……」

見惚れているユノに
チャンミンが真顔で言う

「悪いけど前金です」

「あ、ああ…」

「前と違って僕も人間としての生活があるので」

「え?」

「そのうち、僕が家事をして、ユノが稼ぐってことで
いいんですけど」

「は?」

「あーそれとですね」

「?」

「あなただけ特別なんですが」

「俺…だけ?」

「キスは有り、です」

「え?いいのか?」

「はい!そのかわり」

「え…なに?」

チャンミンがユノに詰め寄った

もうその柔らかそうな唇が
ユノの目の前にある

そして可愛いバンビアイが少し妖しく輝く

「1回だけ、です。
もっと僕とキスがしたいと思ったら
次は直接僕に連絡をください」

「あ、そうなんだ、えっと…」


いきなり綺麗で可愛い男が家に入ってきて
一方的にいろいろ言われているけれど

あまりに魅力的で抵抗できない

ふとみれば、シム・チャンミンは白いシャツのボタンを
はずし始めている


やる気満々だな

ユノは苦笑した


「君、チャンミンだっけ?」

「はい」

シャツをもう半分脱いだ状態でニッコリと笑う

可愛くて…たまらなくセクシーだ

「いいね、君。気に入ったよ」

「よかった」

チャンミンは小さくつぶやく

「次も指名するかどうかは、
またゆっくり考えるけどね」

「即答させてみせます」

「へぇー自信あるんだ」

ユノが意味ありげに微笑む

「当たり前ですよ。あなたに会うために
どれだけ大変な目に合ってきたかと思ってるんですか」

「え?」

「なんでもないです。
とりあえず、こっち」


勝手知ったるユノの家だった

チャンミンはユノを寝室に引っ張り込んだ


*******


「それじゃあ、またどこかで会えたら」

チャンミンはさっさとシャツを羽織ってボタンを留めている

「あ、ボーイズエンジェルに連絡すればいいのか?」

「?」

「あ、あのーえっと…もう一度…その」

「そんなところに電話したって
僕はいませんよ」

「だからさ、その…」

「さっき言いましたよね?
また僕とキスがしたかったら、直接僕に連絡を、と」

「………」

「………」


猶予を与えているかのように
チャンミンは棒立ちでユノを見つめる

期待のこもったバンビアイ
その瞳が少し哀しく翳り

そして、ため息をつくと
コートを片腕にかけて、帰ろうとした

「あ!ちょっ!ちょっとまって」

「?」

「連絡先を教えてくれ
また…その…指名したいからさ」

「もう一度、僕とキスがしたい?」

「……したい」

チャンミンの顔がパッと明るくなった

「じゃあ!僕を迎えに来てください!
キスがしたくなったらすぐに!」

「え?どこへ?」

「僕はホームレスなんです。
教会で食事やシャワーのお世話になってます」

「え?ホームレス?」


とても…そんな風には見えない

抱くといい香りまでしていたほどなのに

そして、その香りはどこかで感じたような…

この笑顔もどこかで出会ったような


「そうか…わかった…じゃあ、教会に…行くから」

「待ってますね!」

花が咲いたような笑顔に
ユノは明日にでも迎えにいってしまいそうだ、と我ながら苦笑した。


そして、やっぱり

翌日にユノは教会へ出向いた

また…あのチャンミンに会いたい


ユノとカン牧師、そしてボランティアや有志のおかげで
きれいに建て替えられた教会

クラシックな呼び鈴を鳴らすと

カン牧師が出て来た

「あ…」

「ユノじゃないか?どうしたんだ?
このところ、全然顔見せないで」

「えっと…ここでホームレスの世話をしてると思うんだけど…」

「ああ、今ひとりね、世話しているよ。
よかったら、ユノも食事していきなさい。
今、そのホームレスが夕飯を作っているから」

「あ…そう…なんだ」

「それがね、すごく料理上手なんだ。
一度食べてみるといい」

「あ…うん、じゃあそうさせてもらおうかな」


ユノは施設のダイニングに入って行くと

シチューのいい匂いがしてきた

「ユノヒョン!!」

施設の子供たちがユノを見て大喜びだ
ユノは瞬く間に子供たちに囲まれて身動きがとれない

「みんないい子にしてたか?ん?」

ユノが子供たちの頭を撫でる

「あ!」

キッチンから出てきたエプロン姿の長身の影。
それは昨夜、ユノを一晩で虜にしたシム・チャンミンだった

「あ、ユノ!」

パッとチャンミンの笑顔が輝く

そのエプロン姿の可愛いこと
ユノはチャンミンに見惚れてしまった



カン牧師が2人の顔を見比べた

「知り合い?」

「はい!昨夜、ちょっといろいろあって」


ニッコリと笑うチャンミンに
俯くユノ

そんなユノの様子に
何かを察したカン牧師が微笑む

「ま、いいから
ユノ、食べていきなさい」

「ありがとうございます」

妙に照れながらユノはテーブルに着いた

チャンミンが作ったシチューはとても美味しかった

子供たちも次々におかわりをせがむ


チャンミンは始終ニコニコ顔だ
なにせ、ユノが自分とキスをしたくてわざわざ迎えに来てくれたのだ

嬉しくないわけがない

カン牧師が、そんなチャンミンを微笑ましそうにみる

「ユノ、こんなに明るいチャンミンだけれどね
ここに来るまでにはいろいろ苦労があったらしくてね。
ここに辿り着いた時には、かなり衰弱していて、
少し入院していたんだよ」

「そうなのか?」


チャンミンはユノの問いかけにニコニコと微笑むだけ

代わりにカン牧師がぽつぽつと語り始める

「倒れているところを、北極の探検隊に救われたらしくてね」

「ほ、北極???」

「ヨーロッパを回って、大陸を横断してここまで来たんだって。すごいよ」

「へぇーどうやって?」

「はい、いろんな人にお世話になって
あ、いろんな教会にも行きました」

「そう…苦労したね」

「もう、途中でダメかと思いました。でも…」

「でも?」

「いや、なんでもないです」



あなたに会うために

それだけを励みにここまでたどり着いたんです

でも、そんなことは、あなたは知らなくていい…

あなたに会えたから
もうそれで十分


食事の後片付けを子供たちと楽しそうにするチャンミンを、ユノはなんとも言えない気持ちで見つめていた


まるで…天使みたいだ

ヤバイな、俺…

確実にチャンミンに心を奪われている自覚があった

たった一晩、抱いただけなのに


見惚れるユノにカン牧師が近づく

「何をぼーっと見てるんだ、まったく」

「なっ…別にそんな…」

「どこかで…出会ったことがあるような気がするんだが」

「チャンミン…ですか?」

「ああ」

「俺も…ちょっとそんな気がします」

「あの時、ユノが木から落ちた時
下敷きになって助けてくれた人に似てるような気もするんだが」

「俺はあの時の事がほとんど思い出せなくて」

「ユノは頭を打ったんだろうな、だからだよ」

「そう…かな」

「あの青年はどこへ行ったんだろうね」

「どこの病院に運ばれたか
結局は分からずじまいですね」

「そうだな…」


チャンミンが子供たちにリンゴを剥いてやっている

ユノはその姿をなぜか泣きそうな気持ちで
みつめていた…




***********




教会はさまざまな人々の幸せと悲しみを懐き、そして救い、いくつもの季節をめぐった

綺麗に建て直したその器も時と共にまた美しく
朽ちていく

人々の人生もまた美しく朽ちていく



ユノはベッドの器械の表示を見ながら
チャンミンに取り付けられた管を調節していた

浅い息づかいをするチャンミンの寝顔は優しく美しい

ユノはやっと椅子から立ち上がると
ゆっくりとキッチンに歩いて行った


「…ユノ?」

ベッドから小さな声がして
ユノは呼び戻された

「チャンミン、起きたか?
リンゴ剥いてやろうかと思って」

「うん…後で…」

「そうか?」

ベッドの脇の小さな椅子にユノがまた座った

チャンミンがゆっくりと細くなった枝のような手を持ち上げると、その手をユノが握った

「苦しくないか?」

「うん…大丈夫…」

「薬を変えてもらったから
すぐによくなる」

「いいの…」

「ん?」

「もうこんな歳だから、仕方ないよ」

「何言ってるんだよ、チャンミン
まさか俺を置いていくつもりじゃないだろうね」

「フフフ…」

「俺が一人で残りの人生を生きていけるわけないだろう?」

「ユノ…」

「なんだ?」

「本棚に黒いバインダーがある。
取ってくれないかな…」

ユノはゆっくりと立ち上がると
本棚から黒いバインダーを取り出した

「これ?」

「うん、中を見てみて…?」

古ぼけた黒い革のバインダーを
ユノはそっと開いてみた

「これ、何語?」

そこには象形文字のような、見たことのない文字が並ぶ

「フフフ…ラブレター」

「ラブレター?チャンミンが…書いたの?」

「そう…何語かわからないかもしれないけど
いつかその時が来たら、なんて書いてあるか…
ユノにも読めるから…」

「この絵は…俺?」

「うん、ユノが若くてカッコイイ時の」

「ハハ…そうだな」

「でも…ユノは…今も…カッコイイよ」

「そうか?チャンミンも可愛くてきれいだよ」

チャンミンは幸せそうに微笑み
ユノの手を握ろうとする

「ユノ」

「ん?」

ユノがチャンミンの手を握り返す


「ごめんね」

「何を…謝るの」


「僕は…ユノを置いていくことになりそう」

「チャンミン…」

ユノの顔に哀しみが宿る


「そんなこと…言うもんじゃない」

「でも…心配しないで
ちょっと先に行くだけ…」

「そんな話は…俺はしたくない…」

ユノの声が怯えて震える

チャンミンは天井をニコニコと微笑みながらみつめている

「僕はね…幸せで仕方ないよ…」

「チャンミン…」

「この人生をあなたと過ごせて…一緒に生きることができて…
もう…それだけで…神に感謝です」

「……」

もうユノはチャンミンの顔を見ることができず
嗚咽をこらえて、ベッドに顔を埋める

「ユノは残りの人生を謳歌してね
僕はずっとあなたの側にいるから…」

「チャンミン…」

「ちゃんと生きないと、僕はあなたを…
迎えに来ないからね?」

「お前は天使になるって…そう言うのか?」

ユノが無理に微笑んで言う

「そう…僕は天使になるから」

「お前は昔から天使だよ…」

チャンミンはギュッと目を瞑った
その瞳から涙が一筋流れる

「もう一度…言って?」


「チャンミン…お前は…俺の天使だ」


その言葉は

あなたが死神だった僕に言ってくれた言葉

ずっと聞きたかった言葉


「ありがとう…ユノ」

「チャンミン…」

「愛してる…」


ベッドに取り付けられた器械が
リズミカルな音から無機質な音に変わった



葬儀の日は穏やかに晴れて


ユノはチャンミンを静かに見送った


ユノはチャンミンが自分の側からいなくなることを
心から恐れていたけれど

なぜか、寂しさを感じることはなかった

不思議だった


風は穏やかに吹いて

輝く塵となったチャンミンを青空に巻き上げた


教会の塔の上には
ユノと出会った頃のチャンミンが穏やかな笑顔で立っている。
そして、優しくユノを見下ろしていた



ありがとう






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死神の恋 22



バタンと音がして
古い木のドアが閉まる

朝焼けの中、ユノが口笛を吹きながら
狭い路地を歩いて行く

屋根の上でウトウトとしていたチャンミンがハッとして目覚める

ユノだ

おはようユノ


チャンミンは屋根を伝って、ユノの後を追いかける


話しかけてもユノには聞こえず

ユノの目の前に立ちはだかっても
まったく気づいてもらえない


最初は泣いてばかりいたチャンミンもやがて諦め…
それでもユノを好きな気持ちは捨てられず

毎日こうやってユノの後をついて回った


ユノは偽造パスポートの仕事はしていたけれど
もう詐欺まがいのことはしていなかった

そのことがチャンミンは嬉しかった

きっと

自分と約束してくれたことを
心のどこかで覚えていているのだ

そう信じたかった


ユノはやはり、教会を建て直すことに尽力していた。

力仕事をしたり、寄付を募る活動をしたり
ボランティアに励んだり

この調子なら、ユノは地獄行きなんかにならない

チャンミンは安心した

これで…よかったんだ…


あなたの記憶からも、視界からも
僕は消えてしまったけれど


ユノが幸せなら…それでいい


たまに涙が溢れそうになる時は
チャンミンは空を仰いで耐えた

涙がこぼれないように
上を向くんだ

いつもユノの側にいて、ユノの家の屋根にいたけれど
夜になるとチャンミンはユノの家から離れた

今夜も屋根の上で膝を抱えて座っていると
だれかがユノの家にやってくる

綺麗な顔をした男の人
いつものテソンとかいう奴だ。

なにやらウキウキした様子で
ユノの家を訪ねてくる

「ボーイズエンジェルのテソンです」

「はーい、入ってー」


もう慣れ親しんだ様子で
そのテソンと名乗るその人は家に入る

楽しげな声や、笑い声が聞こえた後
やがて静かになる

ユノがその人を抱いている、と思われる時間
チャンミンはユノの家を離れる

たまらなく…悲しい

僕の…

僕だけのユノなのに…


チャンミンはそんな時
想い出の電波塔へと降り立ち、そのてっぺんから
ユノの住む町を見下ろす

あの夜

ユノと2人で見た夜景

ユノを後ろから抱き抱え、
僕はユノに甘えた

懐かしいな

あの時、僕は偉そうに
町の灯火ひとつひとつに物語があるなんて

カッコつけて語ったね
物知り顔でさ…

だけど僕は…
きっと何ひとつわかっていなかったんだと思う

こんなにもあなたが大事で大好きで
こんなにもあなたが恋しいなんて

僕は下界のことよりも
まずは自分の事がなんにもわかっていなかった

愚かな…僕…

泣いてはいけないと思いながら
チャンミンは鼻の奥がツーンとして

そして

涙がとめどなく溢れてくる


ユノ

愛してるよ

いつまでもずーっと

僕はあなたを愛し続けるだろうね


ふと、後ろから眩しい光が差し込んだ気がして
振り向くと

そこにはテミンがいた

テミンは相変わらず愛くるしい顔をして
真っ白な輝く羽根を羽ばたかせている


「テミン…」

「チャンミニヒョンは毎晩ここで泣いてたの」

「泣いてなんか…」

「泣いてるじゃないか、まったく」

「ほっといてよ」

「ほっとけないよ!」

「テミン…」

「ユノさんの後付け回してるんでしょ?」

「人聞きの悪いこと言うなよ
ユノさんのこと、見守ってるの!」

「楽しい?」

即答ができないチャンミンだった

「……た、楽しいよ
ユノさん、もう結婚詐欺もしてないし」

「ユノさんは今この時間なにしてるの?」

「………」

「?」

「知らないよ」

チャンミンが悲しそうに俯く


「誰かと…一緒なんだ?」

「ユノさんだって、聖人君主じゃないんだ
そ、その…」

「今頃、だれかを抱いてるってわけか」

「お金のやりとりがある相手だよ
そんなんじゃないよ」

「それでも、いつもその子を指名してるんだね」

「………」


「仕方ないよ、ヒョン
ヒョンと出会う前からの常連さんだしね」

「……」

「ヒョンが負けたわけじゃない」

「いいんだ、そんなの。
もう僕はそいつと同じ土俵に立てるわけじゃない。
勝ったとか負けたとか…ないよ」

寂しそうにチャンミンが微笑む

茶色の前髪を夜風が優しく撫でていく

それを見つめるテミンの金髪も夜風に揺れる


少しテミンの顔に影がさしたような気がした

気のせいかな?


「テミン、何かあった?」

「うん…僕ね、下界へ修行にでることになってさ」

「聞いたよ…研修でしょ?」

「そうなのかな。でもすごく過酷だって」

「そうなの?」

「うん、北極の片隅からスタート」

「え?」

「必要最低限のお金と着替えで。
そこで死を迎えることも多いって」

「死…があるの?」

「そうさ、修行として人間になるんだから
途中で死んじゃうこともあるよ」

「そんな過酷な修行を、なぜテミンがするの?」

「僕はね、ヒョン」

「うん」

テミンが大きくため息をついた

「ヒョンが思っているより堕天使なんだよ」

「知ってる」

チャンミンがニコニコと笑った

「否定してよ、そこ!」

テミンも笑った

「でも、よかったね、テミン下界行きたがってたでしょう?
僕にイジワル言っていたのも、下界でユノに恋していた僕が羨ましかったからでしょ」

「バレてた?」

「うん」

またテミンが笑った

どこか悲しい微笑み


「ん?でもやっぱり辛そうだから
イヤになった?」

「そういうわけじゃないんだ」

「テミン何かあった?
なにか悲しそう」

「………」

「話して楽になるなら、聞くよ?」

「チャンミニヒョン、僕の代わりに下界へ修行しにいかない?」

「えっ?」

「推薦しちゃだめかな」

「な、なんで?」

「こんなこと言うのもなんだけど
チャンミ二ヒョンなら、僕の代わりとして認めてもらえると思うんだ。」

「掟を…破ってるから?」

「そう」

「だけど…」

「たしかに、人間としてユノさんに会える確率は
ほとんどない」

「……」

「ほぼ無一文で、北極の片隅から空も飛べず、スタートだからね。こうやって、見守ってるほうが楽しいかもしれない」

「………」

「だけど」

「ん?」

「僕ね、やり残した仕事があって…」

「そう…なの?」


「大事なともだちを…きちんと天国に送りたいんだ」



「……ともだち?人間?」


「うん」


「天国へ…行くんだ?」


「優しくて温かくて大好きなともだち。
みんなからとても愛されてね」

「………」


「歌が上手くて、才能もあった。
誰よりも音楽を愛した、僕の最高のともだち」


テミンが優しい思い出を辿るように微笑む


「テミンはその友達が大好きなんだね」

チャンミンが優しくテミンの金髪を撫でた


「うん、大好きだよ」

テミンの白い羽根がキラキラと輝いている



「迷わないように、天国まで僕が道案内するんだ」

「……テミン」


チャンミンは考え込んでいた

「ヒョン?」

そして、顔を上げた時には
チャンミンのその表情は明るかった



「認められたら、やってみようかな」

「ヒョン…」

「ユノには会えないかもしれないけど
同じ人間として、広い下界で同じように時を刻んでるなんて…とても素晴らしい気がする」

「人間て死ぬ気でなんでもするよね
本気になったら。」

「空も飛べないのにね」

「うん、どうせなら
ヒョンも死ぬ気でユノさんを探しに行ったら?」

「死ぬ気で?」


「ボヤボヤしてるとあっという間に時間がたって、人生終わってしまうからね?」


「やって…みようかな」


遠くの空が白み始め

藍色からピンクへと絶妙なグラデーションを描いていた








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明日は最終回となります

死神の恋 21



「へぇードーナツって真ん中に穴を開けて作るんですか!」

「これが基本だよ、チャンミン」

「この開けた後の丸いのはどうするんですか?
捨てたら勿体無いですね」

「それはそれで揚げて、丸いお菓子にするんだよ」

「それは名案だと思います!」


その時だった


「牧師さま!大変です!」

教会の前のアパートに住む夫婦が駆け込んできた

「?」

「教会の子供が!
門のところの木の上に乗ってしまって降りられないんです!」

「まさか…あの木には登らないように言って聞かせてたのに!」

「牧師さま…」

チャンミンも戸惑う

「枝に腐っているところがあって危ないんだ!」

「え…」


カン牧師はエプロンを取って、キッチンを出て行った


チャンミンは胸騒ぎがした

まさか…

チャンミンも急いでエプロンを取り、カン牧師を追った


外に出てみると、教会の門の側にある大きな木から
子供の怯えた泣き声が聞こえる

よくみると、枝の先の方に跨るようにして
ひとりの男の子がしがみついている

高さは何メートルあるだろうか

落ちたら、危険だ

しかもその枝が弓なりにしなっている

カン牧師が腐っている枝があると言っていた


そして、その枝の元を見てチャンミンは思わず声が出た


「ユノ!」


ユノが木の上に登り、枝元で男の子に話しかけている


「今、助けてやるから待ってろ
泣くなよ、男だろ?」

「うわーーん!こわいよぉ!落ちちゃう!」

「騒ぐな、じっとしてるんだ、わかったか?」


木の枝の先には赤い風船がひっかかっている

あの風船をとろうと、この大木に登ってしまったのか
僕がみんなの為に持ってきた風船を…


木の下では、子供たちが不安そうに見守っている

チャンミンが駆け寄ると
子供たちが抱きついてきた


「ユノヒョンがこの木には登っちゃだめだから
風船は諦めてっていったのに…」

みんなの目に涙が溜まっている

「大丈夫だよ、大丈夫だから」

「ユノヒョンが助けてくれるよね?ね?」

「うん、ユノは強いからね
きっと助けてくれるから、みんなはもっと下がって」


カン牧師が消防署に連絡をして
夫婦は家からハシゴを持ってきた


ユノが優しく話しかける

「大丈夫だから、動かないでじっとしてるんだ」


ユノ…


チャンミンは気が気ではない


この状況は…

まずい…



夫婦が持ってきたハシゴはとても枝には届かない
届いたとしても、それが引き金になって枝が折れてしまいそうだ


ユノ

ユノ


チャンミンは願うように、様子を見守った


たくさんの天使たちが木のまわりに集まってきた
チャンミンは天使たちを見上げて睨む


" この子じゃないね?この男のほうだね "

" みて、チャンミンがいる "

" チャンミンの仕事みたいだ "


その時、ギシっとイヤな音がして

枝が更にしなった

「わぁぁぁぁ!」

子供は半狂乱だ

「騒ぐな!大丈夫だから!」

ユノが思わず大きな声を出す


一旦しなりだした枝は、みるみる円を描き
頼りなげに折れはじめた


「!!!!」


誰にもどうすることもできなかった

「何か!布かなにか!」

カン牧師の叫び声と、集まってきた人々のざわめき


消防車はまだか?!


もう子供の乗った枝が折れるのは時間の問題で
とうとうユノが動いた

ユノは別の枝に乗って少しずつ子供に近づいていく


危ない!

ユノ!


チャンミンは必死に祈る


消防車はまだ来ない



と、その時



子供の乗った枝が耐えきれずに音を立てて折れはじめた


それは


まるでスローモーションのように


チャンミンには見えた


折れる枝と泣き叫ぶ子供

ユノは隣の枝から体を伸ばして子供を抱こうとしていた


きっとユノが思ったより、枝の折れる速度は速かったのだろう…

ユノの身体が枝から離れ、子供の腕を引っ張りあげるとそれも同時に、子供の乗っていた枝は完全に折れた

ユノの身体はすでに枝から離れていた

引っ張り上げられた子供は
ユノに抱き抱えられ、2人とも木から落ちてきた


何も考えなかった…

チャンミンは何も考えなかった

身体が勝手に動いた


ユノは子供を自分の中に抱え込むように
かばいながら落ちてきた


そんな2人に向かって


チャンミンは手を伸ばしながら走った


" だめだ!チャンミン!"
" あの死神は何を考えているの!"
" 掟破りだぞ!"
" チャンミン!"


" 人間の運命を変えては…ダメ!!"


まわりの天使たちが一斉に手を伸ばして
チャンミンを止めようとした


チャンミンはそんな制止は目に入らず
耳には聞こえず


そして、チャンミンは落ちてくる2人を抱き抱えるようにして、地面に激しく背中を打ち付けて倒れた


「チャンミン!!!」


ユノの…声だ…

ユノ?助かったね?

子供の泣き声も聞こえる

2人とも…助かったんだね…


「チャンミン!!チャンミン!!」


ユノ…

愛してる…

どうか…やり遂げて

生きてやり遂げて…

教会を建て直すんだよね


「チャンミン!!!」

ユノの悲痛な叫び声


「大丈夫ですか?!」

ユノの声…

「大丈夫ですか?!しっかりしてください!」

ユノの声なのに…

チャンミンは違和感を感じて、ゆっくりと目を開けた


目の前にユノの顔があった

心配そうにチャンミンを覗き込むユノ


あ…ユノ…


チャンミンの視界の端に赤い風船が飛んでいくのが見えた

チャンミンはゆっくりと手をユノに伸ばそうとした


「あ!気がついた!大丈夫ですか?!」

「あ……」

「今、救急車が来ますからね」


ユノが周りを見渡して大きな声で呼びかける

「この方が誰かわかりますか?!
お知り合いの方!!」


え?


カン牧師がユノにささやく

「名前だけでも聞いておいて
後で必ずお礼をしなければ」


「お名前は…なんて言うんですか?!」

「………」

「話はできないですか、そうしたら無理しないで」

「………」

「助けてくださって、本当にありがとうございます!
あなたがいなかったら…」


チャンミンはユノに向かって伸ばそうとしていた手を
ゆっくりと下げた


ユノ…


こういうことか…

人間の運命に手を出した僕への罰は…


あなたを愛した罪深き僕への罰は


これか…


最も…僕が苦しむ罰とは…


それは…ユノ…あなたが僕を忘れてしまうこと…


チャンミンはゆっくりと目を閉じた
涙がチャンミンのこめかみに次々と流れ落ちていく


ユノ…

ありがとう


遠くで救急車のサイレンが鳴っている



あなたに出会ったあの夜

一緒に食べたスムージー

あなたの笑顔

「チャンミン」と僕を呼ぶ甘い声

僕を抱く力強い腕

優しい瞳

ボロボロの部屋

ユノが淹れてくれたコーヒー

笑いあった昼下がり


すべて…

とりあげられてしまった


チャンミンは薄っすらと微笑んだ


それでも…ユノは生きている


よかった…


ユノ、僕はあなたに恋をしたことを
後悔なんかしていない…


たとえ全能の神がそれを否定しても

あなたが僕を忘れてしまっても


僕は…あなたが大好き






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死神の恋 20




チャンミンが目覚めると
隣にユノはいなかった

キッチンからリンゴの香りがしてくる

いい匂い

チャンミンは胸いっぱいにリンゴの香りを吸い込んで、ベッドの上に半身を起こした。


その気配にキッチンからユノが様子を見にきた

「気分はどうだ?今、リンゴ剥いてるけど」

「うん、食べたいです」

「皮だけ剥けば大丈夫か?」

「大丈夫です」

「ちょっと熱測らせて」

ユノはベッドに座り
チャンミンの顔を引き寄せると
その額に自分の額を当てた


目の前にユノの端正な顔立ちがある


綺麗な鼻筋がチャンミンの鼻筋をくすぐる


「んー熱はもうないみたいだな」

「ユノのリンゴのおかげ」

「そっか?それならいいけどさ」

ユノがそっとチャンミンに口づける


「なぁチャンミン」

「ん?」

ユノの瞳の奥にゾクっとするような熱を見た気がする


「抱きたい」

「……今?」

「ん」


ユノがチャンミンの髪を撫でる

「リンゴが茶色になっちゃいますよ」

「塩水につけてある」

「ユノ、そんなこと知ってるの?」

「ああ、それくらい知ってるさ」

そう言いながらも
もうユノは我慢できないようで
チャンミンのTシャツの中から、手をいれて
身体を弄っている

「ん……」

チャンミンがくすぐったそうにしながらも
その声は甘い


「お前だって、そんな声出して煽ってる」

ユノが笑うと、チャンミンも笑った

「そういうわけじゃないけど」

ユノがチャンミンを抱きしめた

「もうダメ」

「なにがですか…」

「我慢できない」

「フフ…実は僕もです」



あと

何回くらい…こうやってチャンミンを抱けるだろうか


ユノはチャンミンにもカン牧師にも黙っていたけれど

自分に死期が迫っていることを肌で感じていた


歩いている時に、ふと風が変わったように感じたり

すぐ側にある食べ物が遠くにあるように見えたり

朝起きたとき、鏡の中の自分が死顔に見えてギョッとする

もともと勘の鋭いユノはそういう些細な変化を
感じ取っていた

自分を取り巻く空気に死の匂いがしはじめている


隣でスヤスヤと眠るチャンミンの寝顔を見ていると
愛おしくて、離れる事が悲しくて

ユノは胸が苦しくてたまらない


俺が死んだら
地獄でもなんでもいいけど

チャンミンからは離れないと
子供のように暴れてやろう

神さまだろうが地獄の番人だろうが

この身を引き裂いてみればいい
それでも…俺はチャンミンから離れないから


ユノはもう一度チャンミンを自分の胸に抱きしめた




ユノとチャンミンで揃って教会へ行った

チャンミンは渋ったけれど、
ユノがなだめてやっとその気になった


チャンミンは少し緊張しているようだった。


「大丈夫だよ、チャンミン」

「うん…」

「俺が一緒だから」

ユノはチャンミンの手を握りしめた

「ですね…」

チャンミンは薄く微笑んだ

「僕も、子供たちに謝らなきゃと思って
風船をたくさん持ってきたんです」

「そりゃ、喜ぶぜ?
みんな風船大好きだからな」

「だといいけど…」

「まだ不安そうな顔してる」

「子供たちが…まだ僕を怖がって泣くんじゃないかって」

「大丈夫。俺が確認済みだ」

「確認済み?」

「そうだよ、この間さ、子供たちに言われた」

「なんて?」

「ユノヒョン、寂しそうだって」

「あ…」

「ボクたちもユノヒョンと同じ、寂しいって言ってた」

「………」

「チャンミニヒョンが来なくなっちゃって
寂しいんだって」

「そう…」

「なんかさ、みんなお前に母を感じてるように思える」

「母?」

「わかるんだ、お前、そんな感じのところがあるから」

「死神…ですよ」

「天使だよ」

「………」

「な?」

「それなら…嬉しいです…」


アハハとユノが爽やかに笑う

「ユノ…」

「ん?」

「僕ね、ユノと出会えて本当に幸せです」

「そうか?」

「恋ってとてもいいです」

「いいよな、恋って
毎日、すっげぇいい気分になれるよな」

「僕も、下界がこんなに幸せなところなんて
今まで全然気づかなかった」

「下界って言うなよなぁ」

「フフフ…僕にはね、下界ですから」

「まぁね」


「ユノ」

「ん?」


「僕を幸せにしてくれて、本当にありがとう」


チャンミンが、輝くような笑顔で微笑む


そんなチャンミンをまぶしそうにユノが見つめる


「どういたしまして」


2人の笑い声が青空に吸い込まれる



教会に入ると、カン牧師が2人に気づき
優しい笑みを浮かべながら近づいてきた

「チャンミン!」

「あ……」

「この間はほんとうに可哀想だったね…すまなかった」

カン牧師は半分泣いているような顔で微笑んだ

「いえ、僕も…なんだかすみませんでした…」

「君が謝ることないんだよ、ね?」

カン牧師はチャンミンの肩を優しく撫でる

「ありがとうございます…」


「チャンミ二ヒョン!!」

そこへ子供たちがやってきた

「あ…みんな…」


「この間はごめんなさい…
ボクね、ヒョンのこと怖くないよ?泣いてごめんね」

「ボクね、ミナが泣くから釣られて泣いちゃっただけだよ?」

「あたし泣いてないもん!」


チャンミンはみんなの頭を撫でた

「みんな、この間は僕がちょっと驚かせてしまって
ほんとうにごめんね」

「また遊びにきてくれたんだよね?
ずっと遊びにきてくれるよね?」

「いいかな?遊びにきても」

「あたりまえだよぉ!」

「よかった!今日はね、みんなに風船持ってきたんです」

わぁっ!!と歓声があがった

「遊んでいい?」

「はい、たくさん遊んでくださいね」

「ヒョン、ドーナツ食べた?」

「食べたよ、美味しかった。ありがとうね」


カン牧師が微笑む

「みんながチャンミンに食べさせてあげてと。」

「ありがとうございます」



ユノはチャンミンが子供たちとこうやって会話している
姿を見るのが好きだった


それはまるで天使が子供を見守っているようで

この教会の質素だけれど温かい煉瓦やステンドグラスと相まって

まるでルーベンスの描く絵画を見ているようだった


こんな

透き通るように美しい存在が

死神なんてウソだ…


ユノはなぜか泣きそうな気持ちになった


少しモジモジしながら、チャンミンがカン牧師の顔を覗き込む

「良かったら、あのドーナツの作り方を教えてもらえませんか?」

「もちろん!これから今日のおやつを作るところだから
よかったら手伝ってくれるとうれしいんだが。」

「よかった!どこまでお手伝いできるかわかりませんけれど、やらせてください!」


ユノは苦笑した

なんだか、嫁が実家に気に入られたみたいな
そんな男の気持ちだな…


ユノもまた「幸せ」を噛み締めていた

あの頃、毎日生きることに必死で
とにかくルカを守らなければと、そればかり気にしていたような気がする

あんな毎日をルカは楽しかったと思ってくれていたなんて

そして、今、俺はチャンミンに人生を輝かせてもらっている

いつ…なんどき…自分がこの生を終えてもいい
チャンミンと出会えたことは、俺にとって幸せだ

まったく…後悔はない…


カン牧師とチャンミンが、楽しそうにキッチンへ入ろうとする


「チャンミン!」


ユノが大きな声で呼ぶと


驚いたようにチャンミンが振り向いた


「ありがとうな、チャンミン!
俺も、すっげぇ幸せ!」


キョトンとしていたチャンミンがやがて破顔して
ニコニコと微笑み、頷いた


そして、ヒラヒラと手を振って
キッチンのある部屋へと入っていった


愛してるよ

俺の天使









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